魔法少女リリカルなのは東方参異伝   作:アリヤ

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第十一話の文章を多少書き直しましたので……ちょっと矛盾が発生していまいましたために。

あと、遅くなってすみませんでした。なるべく早く投稿できるようにしたいです。

それではどうぞ!!


第十二話

「くっ、こっちに逃げたこと気付かれた!!」

 

 なのはは魔物から逃げ切れたと思っていたのに、気づかれてこちらに突き進んでいることに驚いた。しかし、なのはは魔物から逃げることはせず、レイジングハートを構えた。

 魔物はなのはの寸前まで近づいてきたが、なのはが構えていたレイジングハートが突然言葉を発し、その刹那になのはを守るようにバリアみたいなものが現れた。逃げることはしないつもりだったが、このときなのははどうやって守るか全く持って考えていなかったために驚いていた。

 

「な、なにこれ!?」

「それが魔法です!! 今使っている防御魔法みたいな基本魔法は、心に願うだけで発動することが出来ます!!」

「心に願うだけ……これが基本魔法かどうかわからないけども、こういうこともできるのかな?」

 

 なのはから魔物が離れていったのを見て、なのはは目を瞑ってあることを願った。すると、魔物を囲むように桃色の輪が現れ、そのまま縮まって魔物を拘束していた。

 

「なっ、バインド!?」

 

 フェレットは基本魔法ではあるけども、拘束魔法をなのはが使ったことに驚き、思わずなのはの顔を見たが、それがさらにフェレットを驚かせることとなった。この世界は平和な世界であるとふぇれttは認識していたため、それに反した顔をなのははしていたからだ。

 フェレットが驚いていた理由――それは、まるでなのはが今までこのような戦いをしたことがあるような顔をしていたからだ。なのはは幻想郷にいた頃、基本的何も問題なく生活していたが、紫が冬眠に入ってからなのはは出かけることもあったし、剣術を妖忌に習い始めてから少し経過し、能力がまだ上手く使えていなかった時に、妖怪に遭遇することもあった。

 その時に自分の身の危険を感じたこともあったし、弱い妖怪に対しては戦うこともした。強さの把握については、なるべく時間を掛けずに相手の強さを把握し、強さによっては逃げるか戦うかの選択を取り、負けるかもしれないと思えば逃げるべきだと妖忌に言われ、なのははその言葉通りに今まで従っていた。今回の事については見た目的に強いというなのはの印象ではあったが、魔法で倒せるというフェレットの言葉を聞いて、最初は逃げようという決断を取ったけども戦おうという気になっていた。

 

「それで、基本魔法の事については大体わかったけど、そのほかの魔法についてはどうすればいいの!?」

「……あ、そのことについてですが、心を澄ましてください。基本魔法と同じように心に願うだけで呪文が浮かんでくると思います」

「……分かった。とにかくやってみる!!」

 

 なのはの姿を見て反応に遅れたが、フェレットはなのはに聞かれた質問を少し慌てつつも返答した。

 その確認を終えたなのはは当分動くことはできないだろうと思い、目を瞑って心から願ってみる。なのはは最初封印魔法的な想像をしていたが、魔理沙が練習していた魔法の事を思い出し、砲撃をしながら封印できるという魔法を願ってみることにした。

 そして呪文の言葉が浮かぶと、なのはは目を開いてレイジングハートを魔物が居る前に構えた。

 

「……レイジングハート」

〈カノンモード〉

 

 なのはがレイジングハートに声を掛けると、なのはが言いたいことがすぐに分かったレイジングハートは形を変化させ、桃色の羽根を生やし、先端が尖り、さらにはトリガーが付いていた。

 その直後、すぐに桃色の光がレイジングハートの先端の少し先で収束していくように次第に大きくなっていき、ある程度の大きさになったところでなのはは叫んだ――

 

「ディバイン――バスター――っ!!!!」

 

 刹那、桃色の光があったところから魔物に向けて砲撃のように放たれ、一直線で魔物へと突き進み、魔物にぶつかった。

 その輝きを見ていたフェレットはさらに驚いていた。戦い慣れをしていると思っていたが、まさか初めてで砲撃魔法を使うとは想像していなかったからだ。思わず驚きすぎて言葉が出てこなかったほどで、戦いの行く末を唯見届けるだけだった。

 砲撃が終わり、魔物の姿がどうなったかをなのはとフェレットは見続けたが、魔物が居た場所にあったのは青白く輝いている正八面体の形をした宝石みたいなものだった。砲撃だけで封印してしまったなのはにさらに驚いていたフェレットだったが、とにかくあの宝石についてなのはに説明することにした。

 

「あの宝石が、先ほどの魔物を生成していたものです。ジュエルシードと言い、レイジングハートで近づけてください」

「……それで、終わるのだよね?」

「はい、とにかくお願いします」

 

 なのははレイジングハートのモードをもとに戻し、それからレイジングハートを宝石みたいなもの――ジュエルシードに近付けた。

 するとジュエルシードはレイジングハートに吸い込まれていき、それを見ていたフェレットはホッと一息ついて安堵していた。

 とはいえ、魔物のおかげで派手にやってしまい、アスファルトなどがへこんでいたりしていた。このままこの場所に居れば警察が駆けつけてくるだろうと考えたなのははフェレットを連れてこの場から急いで逃げ出すのだった――

 

 

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「ぜぇ、ぜぇ……あまり運動苦手なのに走らせないでほしかった」

「あ、ごめん。運動苦手だと知らなくて……」

「いや、君のせいじゃないよ…… 私が剣術や魔法(・・)に力を入れていたせいだから……」

 

 ここまでくれば大丈夫だろうと思ったなのはは、現在公園に居て、公園内にあるベンチで一休みすることにした。

 しかし、フェレットはなのはのある言葉を見逃さなかった。違和感なく言ったように思えたが、フェレットはすぐに気付いた。

 

「……魔法に力を入れていた……っていうのはどういうことですか?」

「……あ」

 

 フェレットに言われて、なのはも自分が思わず口に出していたことに気づき、失態に気付く。幸いにも幻想郷の存在が外の世界に気付かれるというわけではなかったが、もう一つの魔法について話す必要があるとなのはは思った。

 最初なのはは魔理沙や自分が練習している魔法と一緒なのか分からなかったが、レイジングハートみたいな魔法の杖を使う必要があるという点からして、なのはが習っている魔法とは違うと知った。だからこそ、自分で出してしまったボロが面倒で、どう説明するべきかなのはは悩んでいた。

 しかし、変に嘘をついたところで気づかれる可能性があると思い、なのはは正直に言おうと思った。なのは達が習っている魔法は別に幻想郷にしかないというわけでもないし、もしかしたらその魔法についてフェレットが知っているかもしれないと考え、正直に話すことにした。たとえ知らなかったとしても、幻想郷の存在が知られるというわけでもないため、問題はないだろうとなのはは思った。

 

「……フェレットやさっき私が使った魔法以外に、別の魔法があるというのは聞いたことがあるかな?」

「え? 確か、魔力総量が少ない人間がどうしても魔法を使いたいという事から生み出された魔法の事ですか?」

「……やっぱり、知っていたの」

「しかし、その魔法の魔力は仮想的に魔力を増殖させるもの。そのため、僕たちには使えるはずがない魔法のはずですが……」

「え、それって本当なの!?」

「はい。元々魔力総量を持っている魔導師――これは僕たち魔法が使える人の言い方ですが……とにかく、魔力総量が持っているが故に、魔力が暴走して最悪亡くなると言われています」

 

 今度はなのはの方が驚かされた。フェレットが言った通りならば、自分は魔力の素質が元々あったということだ。それにもかかわらず、別の魔法を使っていたという事がありえないという事をたった今フェレットに言われたのだ。

 しかし、なのははその両方の魔法を使えている。というよりも、なのはは魔力総量があるというのにもかかわらず、魔理沙たちと同じような魔法を使っていたことに恐怖を覚えた。本来ならば、とっくになのはは亡くなっていた可能性があり、自分が規格外だという事を思い知らされた。

 

「その魔法を使う人間として、パチュリー・ノーレッジが有名ですが……ってちょっと待ってください。君の言い方からすると、魔力総量があるというのにもかかわらず、もう一つの魔法を使っていたという事ですかっ!!?」

「う、うん、そうなの。私もさすがに驚きを隠せないのだけど……」

 

 フェレットはなのはの魔力量を見て驚いていたというのに、さらにもう一つの魔法を使いこなせるという事に、もう何度目かの驚きだった。

 二つの魔法を使いこなせる――今までそのような人間は一人も存在していなかったために、ある意味彼女を的に回せば危険な存在になりかねないとフェレットは思うほどだった。魔法以外にも剣術を習っていることからしても、なのはがジュエルシードの回収を手伝ってくれると、とても頼もしい存在だと思ってしまうほどだ。しかし、さすがに強制する訳にもいかないと思ったフェレットは、余り期待しない方が良いだろうと考え、自分一人でジュエルシードを集めようと思った。

 

「……そういえば、さっきの宝石みたいなもの――ジュエルシードというのは何だったの?」

「あ、そのことですか。あれはエネルギー結晶体で、願いをかなえられるほどの力があります。しかし、不安定なもので、先ほどみたいな魔物になってしまう事の方が多いのですが……」

「要するに危険な物だという事だよね? それが、この地球に散らばっているということなの?」

「はい。さすがに手伝わせるわけにはいかないと思うので、僕一人で何とかしますが……」

「そんなのが地球にあるのなら、是非とも手伝わせて!! そんなのがあるというのに、平和に暮らすのは嫌だから」

「い、良いんですか!?」

「うん。だから、これからもよろしくね」

 

 正直フェレットにとっては想定外の事だった。手伝ってくれるとは思いもしていなかったし、なのはが手伝ってくれるだけでかなり頼もしい存在だった。そのためフェレットは拒むことはなく、是非とも協力をお願いしたいと思った。

 

「……あ、そういえば君の名前は? 私は高町なのは」

「そういえばお互いに名乗っていませんでしたね。ユーノ・スクライアです」

「ユーノ君ね。これからよろしくね!!」

 

 お互いの名前を知った二人はなのはの呼吸が落ち着いたこともあって、そのままなのはの家へと帰るのだった――




パチュリーの名前は管理局側では有名という設定です。

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