魔法少女リリカルなのは東方参異伝   作:アリヤ

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外伝は書きあがっているのだけど、予定よりも早く本編を書くこととなったために本編から投稿することとなりました。

この際、外伝は本編で内容に触れてからやろうと思います。あと一ヶ月くらいに本編を投稿する予定だったために外伝から投稿することにしていたのですけどもね。

ちなみに、今回はプロローグなしで第一話から始めました。プロローグがあまりにも短かったために今回はこれでいいかなと思いまして。

とまぁ、初めてのクロスオーバーであり、東方二次は初めてなためどこか変でしたら感想等に書いてもらえればありがたいです。

それではどうぞ!!


序章
第一話


「ここは……どこ?」

 

 五歳の少女――高町なのはは目を覚ますと周りが森で覆われており、どうしてこんなところにいるのかわからないでいた。

 しかし記憶は鮮明に残っており、意識を失う時に起きた出来事については覚えていた。父親が入院して、家に一人でいることが多くなっていたなのはは、外から家へと帰ろうとしていた時に、突然と陥没するかのように足場がなくなり、黒い空間に飲み込まれてその途中で意識を失い、目を覚ましたら四方八方が木々で囲まれていた森の中だったというわけだ。

 助けを呼ぼうとも考えるけども、こんな森の中では人が通るのすらわからない。一人でいることが多かったために一人でいるのが怖いということはなのはにはないのだけども、一体ここがどこで、どうしてこんなところで倒れていたのかということはさっぱりわからなかった。

 

「誰かいますか!!」

 

 念のため人がいるかどうか確認するために大声で叫ぶが、足音一つすら聞こえてこず、やはり近くに誰かがいないとなのはは思った。

 一体どこへ迎えばこの森から抜けられるのか。こんなところでずっと残っていれば野垂れ死にしてしまうだろうし、一人でいることが多かろうと家族のみんなが心配する。特に父親が入院しているのに行方不明みたいな事態になっていたらなおさら大変なことになるとなのはは思った。

 しかし、そのように思ってもどの方向へ歩いていけばいいのかわからないし、そもそもこんな森の中なんてなのはの記憶の中ではない。というかそれ以前に意識を失う前まで町の中に居たというのにもかかわらず、どうしてこんな森の中にいるのかすら理解できない。もっといえば、意識を失う前に起きた出来事すらなのはの頭の中では理解できていない状態だ。

 たった五歳なのにそのようなことを思ってしまうのは、一人なことが多いために一人で考えることが増えていたからであった。特に一人なことが多くなったために、身の回りで起こる出来事に対して疑問に思った事を考えるようになり、一人でいることに寂しさはずっとあり続けたけども暇をつぶせることにはもってこいだった。

 だからこんな状態でも現状を理解していたし、どうすればいいのかというのを考えていた。しかし、森の中で一人というのは寂しいというよりも怖いという印象の方が強いのは同い年の子供とさほど変わりがなかったために、なのははこのまま帰れなかったらどうしようという不安に駆られていき、ついには泣き出してしまった。

 

「ひくっ、だ、誰か……」

 

 ここから移動しなくては――とは思うけども、歩いてどこかの大通りに抜けられるのかという保障は全くなかったためになのははこの場から移動することができなかった。

 しかしその少しした後、何者かの足音がなのはに向かって歩いてくるような音が聞こえて来るのだけども、なのははその足音に全く気付いておらず泣き続けていた。

 そしてその足音がなのはの前でとまり、なのははようやく誰かが近づいていたということに気付き、その人物の方へと顔を向けた。見た感じ女性で、何か驚いているような感じであった。

 

「こんなところに人間……? いや、もしかして外の世界の人間?」

「……?」

 

 目の前の彼女が何を言っているのかなのはには理解できていなかった。外の世界という言葉も意味不明であったけども、言い方からしてこんな森の中に自分がいることは不思議なように思えているのだろうとは理解できた。

 とにかく目の前の彼女はこのあたりの事詳しそうだと思い、なのはは泣き止み、ここがどこなのかというのを聞いてみることにしてみた。

 

「あの、ここは一体どこ?」

「今すぐ話すべき……だとは思うのだけど、この森は今かなり危険なのよ。私の家で話すからそれいいかしら?」

「うん、分かりました」

「それじゃあ、ちょっと持ち上げるけどちゃんと捕まっててね」

 

 そういうと、彼女はなのはを持ち上げて肩に乗せ、左手で何かをしていると突如そこからたくさんの目がある空間が現れた。

 

「え?」

 

 なのははあまりにも理解できず、どういうことなのかと思っていたが、彼女がすぐさまその空間の中に飛び込んでしまったために唖然としたままだった。

 そしてなのはが唖然としてた状態から戻ってきたときには、目の前に一つの家が建っており、いつの間にか肩から降ろされていた。何が起こったのかさっぱり理解できずなのはの頭は混乱していた。

 

「さて、ついたわよ…… ってどうしたのかしら?」

「あ、いえ、ちょっと……」

「あぁそっか。初めての経験だったから驚いちゃったのね。とにかく、私の家に着いたからさっきのことについて話しましょう」

 

 なのはが訳がわかっていない状態だということが彼女には気になったが、その理由が先ほど彼女がやった事だろうと納得した。

 なのはは彼女に言われたままに従い、彼女の後に続くような感じで玄関から家の中へと入って行った。そのまま家の中にある、円形のテーブルがある和風の一室に案内され、そのまま座布団があるところへ座るようにと言われた。その後彼女は一度部屋から離れるけども、すぐに戻ってきて部屋の襖を閉めてからなのはの反対側へと座った。

 

「……さて、まずはお互いに自己紹介していなかったわね。私の名前は八雲紫よ。あなたは?」

「た、高町なのはです」

「なのはね。私は紫で構わないわ。それで、まずここがどこなのかだけど――」

 

 と、彼女――八雲紫がなのはにここがどこなのかということを話そうとした後、突如先ほど紫が閉めた襖が開き、そこから一人の女性……なのか分からない九つの尻尾と頭の上に耳が二つ付いている方がトレイにお茶を二つ持ってやってきた。

 

「藍、早かったね」

「お茶を淹れるだけでしたから、それほど時間は掛かりませんよ」

 

 紫と藍という方が話している中、なのはは藍の姿を見てどういうことなのかと思っていた。コスプレしているような感じでもないし、見た感じこれが本来の姿のようにも思えた。

 藍という方がお茶を目の前に置くと、入ってきた襖から部屋を出ていき、襖を閉め、またしても紫となのはの二人だけとなった。

 

「さて、話が途切れちゃったけど続けるわね」

 

 紫は一度お茶を飲み、そして藍が途中でお茶を運んできたおかげで話が途切れた続きを始めた。

 

「それで、これがどこかということなのだけど、ここは幻想郷。貴方がいた世界とは違う世界なの」

「幻想郷……」

「ここには妖怪とかもたくさんいて、能力という特殊な力を持っている者もいる。あの森の中に居たら危険と言ったのは妖怪が現れるからよ。ちなみに、私も妖怪ではあるし、先ほど居た狐みたいな子も私の式神で妖怪よ」

 

 どおりでその場から離れた方がいいと言われた理由が理解できたが、どうして自分が幻想郷という世界に紛れ込んでしまったのかということだけは解らなかった。

 

「本来ならば私の能力で元の世界に戻せるのだけど……現在、とある異変のおかげで私の能力をもっても帰すことができないのよ」

「そんな!! それじゃあ私は当分の間こっちの世界にいないといけないのですか!!?」

「そういうことになるわ。ちなみに異変というのはこの幻想郷で起こる異常現象とかのことを指すの。あと、たとえ異変解決しても、たぶん戻れそうな感じがしないのよ」

「そんな……それじゃあ、その間私は一体どこに住めば……」

 

 衣食住もなのはにとって重要だったが、それ以上に家族が心配して私を探してしまうのではないかと心配であった。あんな状態で行方不明になったとしたら、絶対に大変なことになるだろうということはさっきも言っていた通りなのはも解っていた。

 しかし、それはまだあとの話だ。今はそれよりも衣食住をどうするかが重要であり、何とか生活できる様になったら伝える方法を考えればいいと思った。

 だが、なのははここで紫から思ってもいなかったことを聞くことになる。

 

「住む場所がないのならば、当分の間は私の家に居なさい」

「え? でも、迷惑をかけるのでは?」

「一人や二人が増えたところで変わりがないわよ。いつ帰れるかはわからないけども、それまではここで暮らしていいから」

「……じゃあ、よろしくお願いします」

 

 少し悩んだが、断ったところで住むところがないために結局紫の家で居候するしかなかった。

 そして、元の世界に戻れるまでの間、なのはは紫の家で暮らすこととなった――


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