魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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オネスト
「いつ、ここに?」

コンクォ
「さっきの補給部隊に便乗して来たの。」

「では、
 鹵獲機の輸送と、陛下へ、
 侵攻要請をしてまいります。」

オネスト
「・・・頼んだ。」




グラソン砦・侵攻準備

 

 二人きりになった途端、

 

 抱き着かれ、泣かれてしまった。

 

オネスト

「コンクォ、

 どうして泣いているんだ?」

 

コンクォ

「貴方が泣かないから、

 泣いているのよっ!!」

 

オネスト

「・・・ノートは、

 見てくれたか?」

 

コンクォ

「だから、

 ここまで来たのよ!!」

 

 

 あの日

 

 そのまま貴方は出発してしまった、

 

 それから、

 

 貴方が書いたノートを読んだわ。

 

コンクォ

「こんばいん?

 ぱわーろーだー?

 こううんき?

 なんなのこれっ!?」

 

 

コンクォ

「水田の作り方とか、

 “コメ”って、なにっ!?

 ファゼンディラ公国に

 そんな作物はなかったわよねっ!?」

 

オネスト

「ぁあ、そっちか、

 米に関しては、

 フレメヴィーラ王国・さらにその先の国を経由して、

 随分遠方にあったんだよ、

 苗に関しては、

 “学校の裏の畑で育てて貰っている”

 しかも、

 植えるに適した時期は、

 “次の春、雪解けが始まる季節だ”

 だからこそ、

 早く戦争終結と、

 農耕に適したシルエットナイトを、

 造って欲しかったんだ、

 ただ、

 雨に濡れても動けるが、

 “半身を水没させると”

 さすがに動けなくなる、

 耐水、防水型のシルエットナイトが、

 必要不可欠なんだ。」

 

コンクォ

「なるほど、

 そ、それと、ね。」

 

 あ、思い出したように顔が赤くなってやがる。

 

コンクォ

「徒人との混血は、

 難しいと思う、の。」

 

オネスト

「でも、

 陛下は1000年前の枝分かれだって、

 言ってたじゃないか。」

 

コンクォ

「だから、

 それきりなのよ、

 “アルヴの民”と、徒人は、

 生きている時間が違い過ぎるから。」

 

オネスト

「1000年前は、

 有ったんだ?その交配技術。」

 

コンクォ

「こっ!?

 ちょっ!?

 ど、ストレートに言わないで頂戴///」

 

オネスト

「え?

 いや、

 コンクォって、

 可愛いし、

 ちっさいし、

 独り占めしたいし、

 軽く聞こえるだろうけど、

 俺は、

 コンクォが好きなんだよ。」

 

コンクォ

「ばっ!?」

 

 彼女からの渾身の一撃を喰らい、

 

 扉を突き破り、

 

 そのまま階段を転げ落ちる俺って、

 

 どーなんだろ。

 

オネスト

「ごほっ・・・ごほ、

 いってぇ~・・・。」

 

パタパタと階段を駆け下りる音がする。

 

 

コンクォ

「だっ!?大丈夫っ!?」

 

オネスト

「咄嗟に、身体強化の魔法を使ったよ、

 じゃなかったら、

 頭を強く打って、

 そのままお陀仏だったね。」

 

コンクォ

「いやっ!?

 死んじゃいやっ!!」

 

うは~・・・可愛い~。

 

オネスト

「・・・それじゃぁ、

 50年ぐらいは、

 夫婦として、

 一緒に暮らして貰えますか?」

 

コンクォ

「ふっ!?」

 

 あ、これはヤバっ!!

 

 仰向けのまま腹に強打され、

 

 その勢いで、床が抜け落ち、

 

 下の格納庫まで落っこちる。

 

オネスト

「ぐほぅっ!?」

 

 ま、しっかりとコンクォを抱えて落ちたので、

 

 もろに一撃が入りますよ。

 

ペガル

「おいおい、

 大丈夫なのかよ、

 隊長さん?」

 

プラタ

「痴話喧嘩なら、

 他所でやって下さい隊長。」

 

隊員達『そぅそぅ。』

 

オネスト

「お前ら、

 この戦争終わっても、

 こき使ってやるから、

 覚悟しとけよ・・・。」

 

 


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