魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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ハルネキッヒ国軍

「なんだ?
 あの音?」

「知らねぇよ、
 それよりも、
 相変わらず、戦闘食は不味いよなぁ。」

「あぁ、
 ファゼンディラ公国が、
 羨ましいぜ。」




夜襲

 

ペガル

「全機、法撃用意、

 機動砲撃戦、

 開始!!」

 

 ロータリーボールから繰り出される突進力は、

 

 従来機を比較にするのが、

 

 おこがましい程に、高速だった。

 

 

ガンガンガン!!

 

「敵襲~っ!!

 夜襲だぁっ!!」

 

 

アグストア(総指揮官)

「なに?!

 沿岸部隊が襲撃されただとっ!?」

 

「は、

 目下確認中ですが、

 シャウターレが反撃できず、

 半数が大破、

 数機が脱出に成功したと。」

 

アグストア(総指揮官)

「信じられん、

 敵の素性は?」

 

「残念ながら、

 まったくの未確認機、

 “ファゼンディラ公国の新型機”かと、

 思われます。」

 

誰かが走りこんで来る。

 

「緊急伝っ!!

 第1、第2、第3中隊に敵襲!!

 その圧倒的な速度に翻弄され、

 最早全滅間近ですっ!!」

 

アグストア(総指揮官)

「馬鹿なっ!?

 そんな余力が、

 奴らに残っている筈がっ!?」

 

また、一人、駆け込んで来る。

 

「我が本陣前に、敵小隊接近!!

 新型機ですっ!!」

 

 

ペガル

「全機続けぇっ!!

 その質量を持って、

 弾き飛ばせぇえっ!!」

 

 フェメンターレは、

 

 ロータリーボールにより、

 

 高速で移動し、

 

 その重装甲が持つ質量は、

 

 シャウターレに体当たりし、

 

 “四散させてしまう程の威力を保ちつつ”

 

 更に、

 

 腕部のライフリング加工を施された法撃杖で、

 

 次々と、シャウターレを、

 

 撃破して行った。

 

 

アグストア(総指揮官)

「・・・これが、

 先日まで200機は居た、

 我が方の現実なのか?」

 

 見るも無残なシャウターレが、

 

 見渡せる範囲、すべてに広がっていた。

 

 

デュラント公爵

「・・・なんと、むごい。」

 

 そう言わしめてしまう程に、

 

 フェメンターレは、

 

 衝撃を与えてしまった。

 

「で、伝令、

 ディサフィアンテ騎士団、本隊が到着、

 我が、グラソン砦守備隊は、

 首都にて、

 近代化改装と、完熟訓練を実地されたし、

 陛下からの勅命でありますっ!!」

 

 砦の前には、

 

 大盾を地面に突き刺し、

 

 腕部法撃杖を、

 

 ハルネキッヒ国軍に向けたまま、

 

 マナプールを、充填待機している、

 

 フェメンターレが20機、

 

 おびただしい傷を負いながらも、

 

 稼働状態である姿は、

 

 鬼神とも言える重厚感を放ち、

 

 朝日に照らしだされていた。

 

デュラント公爵

「わかった、

 ディサフィアンテ騎士団に、

 グラソン砦防衛任務を移管し、

 我が守備隊は、

 首都にて、

 新型機受領と、完熟訓練の為に、

 帰投する。」

 

 

グラソン砦・応接間

 

オネスト

「ふぅ。」

 

 ブラックコーヒーを一飲みし、

 

 作戦指示書を目に、

 

 眉間にしわが寄る。

 

オネスト

「深追い厳禁、

 これじゃぁ、

 新型機の詳細を敵国にさらけ出すも当然、

 陛下に大至急、

 “進軍許可”の申請を。」

 

「は、

 内容は?」

 

オネスト

「“宣戦布告もせず攻め込んで来た国に、

  慈悲は無い”

 あと、

 鹵獲した、シャウターレを、

 研究所へ、

 これを元に、

 機体の研究解析を頼めるか?」

 

「無限軌道輸送機なら、

 半日で研究所に到達出来ます。」

 

オネスト

「時間との勝負だ、

 使っていい、

 その足で、コンクォに手紙を渡してくれるか?」

 

「・・・出来ません。」

 

オネスト

「どうしてだ?」

 

コンクォ

「ここに、居るからよ。」

 

 


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