魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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巨大な閃光と爆風、熱風

喉が焼け

瓦礫に埋もれ

痛かった



瓦礫の中で拾った命

 

オネスト

《お喋りは終わりにしようか》

 

法撃杖で牽制しつつ

蛇骨剣で装甲を引き剥がし

フレームに蹴り込み

“それでも動くジャッカルア”に

声を掛けた

 

モンゲル

「・・・聞いてって、

 いった、でしょ。」

 

オネスト

《あぁ、そうだったな》

 

法撃杖のマナ消費が

思ってたよりも多かったので

蛇骨剣を振り回すのは止めずに

小休止も兼ねて動きを抑制する

 

タゲル

「これだけ訴えてるのに

 どうしてっ!!」

 

オネスト

《攻撃を止めないってか?》

 

タゲル

「そうです!!

 私達は“亡命”を希望したいのです!!」

 

オネスト

《断る》

 

タゲル

「・・・理由、

 理由はっ!!」

 

オネスト

《そのナイトランナー、

 感染しているのだろう?

 なら、

 同乗している人間も疑うべきだ、

 国の疫病対策は、

 国境閉鎖と内部拡散防止の二択だからな》

 

ついに、右前足が引きちぎられる

 

オネスト

《倒れない、か、

 マギウスエンジンが

 随分しっかりしてるんだな

 家にも導入しよう》

 

バロン

「それは技術供与するならば、

 亡命を許可してくれると

 取って良いのかい?」

 

バロンも“力を使い過ぎたのか”

冷や汗と

今にも意識を持って行かれそうに言った

 

オネスト

《断る、

 家の農耕地区に襲撃して来た

 “ジャッカルア”で事足りる、

 宣戦布告前に行われた行為、

 謝罪ぐらいなら受け取ろうか》

 

 

コンクォ

「周辺エーテミスト収縮問題なし、

 広範囲“マナ欠乏対策開始”」

 

ペガル

《コンクォ!!

 後、どれだけ砦に

 引き付ければいいんだ!!》

 

コンクォ

「距離は十分よ!!

 後は充填完了まで粘って頂戴!!」

 

ペガル

《了解!!》

 

 

コンクォ

「オネスト!!

 後は充填完了まで粘るだけよ!!」

 

オネスト

《わかった、

 “マナ欠乏対策”は念入りにな》

 

コンクォ

「わかってるわ。」

 

 

右前脚、左後脚、

姿勢制御ようの尻尾?も引きちぎったが

 

オネスト

《まだ、動くのかよ》

(これは、アレか?

 チラ見した資料の

 “マギアハジャルの民”が、

 三人の内誰かが該当するって事か)

 

バロン

「・・・すまん、

 これ、いじょう、は、もたん、ぞ。」

 

タゲル

「お願いよっ!?

 攻撃を止めてっ!!

 私達を助けてよっ!!」

 

オネスト

《ナイトランナー、

 名前は?》

 

モンゲル

「スヴァラディクス・モンゲル。」

 

オネスト

《“見えているのか?”》

 

タゲル

「え?動きを止めた?」

 

モンゲル

「・・・ばれ、た、か。」

 

振り向くと

両目から血が流れだし

“口からも流れ出ていた”

 

タゲル

「モンゲルっ!?

 どうしてっ!?」

 

オネスト

《・・・怖いか?》

 

モンゲル

「し、って、ど、す、る、の?」

 

タゲル

「モンゲルっ!?

 もう変わってっ!?

 死んじゃうよっ!!」

 

オネスト

《助からんよ、

 家からも、犠牲者がでているからな》

 

モンゲル

「な、ん、だぁ・・・

 たす、から、ない・・・のか。」

 

タゲル

「ファゼンディラのナイトランナーっ!!

 貴方って人はぁぁああっ!!」

 

モンゲルを無理矢理どかし

操縦席に座る

 

動かそうにも

残るは頭部、右前脚、左後脚、胴体のみ

“今まで動けていたのが不思議だったのだ”

 

タゲル

「うごいてよぉっ!!」

 

モンゲル

「バロン、にい、さま、

 うご、ける?」

 

返事は無かった

 

オネスト

《どうやら、

 マギアハジャルの民は

 “連続して力を使い過ぎたようだな”》

 

タゲル

「バロン!?どうしたのっ!?」

 

モンゲル

「た、げ、る、

 つめ、たい、よ、

 ば、ろん、にぃさま、

 つめ、たいよぉ~・・・。」

 

タゲル

「なんでっ!?

 モンゲルっ!?

 どうしてこうなったのっ!?」

 

オネスト

《魔石シリーズの主人公、

 死んだって言っただろ?》

 

タゲル

「どうして貴方が知っているのっ!?」

 

オネスト

《なんの触媒も無しに

 “その力”を使えば、

 消費するのは周辺エーテルと、

 自身の命だ

 そんな事も知らずに

 力を使わせて居たのか》

 

コンクォ

《オネスト、充填完了、

 撃てる(蹴れる)わよ》

 

オネスト

《了解、

 全機退避!!

 これより暴爆法撃砲を撃つ、

 広域マナ欠乏対策用意!!》

 

号令と同時に全機がヒガンバナに帰還する

 

タゲル

「一体、なにをするのっ!?」

 

オネスト

《・・・スヴァラディクス・モンゲル

 何か遺言はあるか?》

 

タゲル

「貴方ねぇっ!?」

 

モンゲル

「・・・ばろん、にぃさまと、

 けっこん、したかったなぁ・・・。」

 

オネスト

《・・・スヴァラディクス・モンゲル

 貴女は、バロンと、

 永遠の愛を誓いますか?》

 

モンゲル

「っ~・・・はぃ。」

 

オネスト

《バロン、

 貴方はスヴァラディクス・モンゲルと、

 永遠の愛を誓いますか?》

 

はい

 

モンゲル

「・・・う、れぇ、しぃ。」

 

オネスト

《本日吉日、二人は、

 神の名の元に、

 夫婦と認められました、

 どうか末永くお幸せに》

 

モンゲル

「・・・あ・・・り、が、と、

 なまえ、しら、ない、

 ナイトランナーさん。」

 

寄り添うように、倒れ込み

二人は眠る様に息を止めた

 

タゲル

「ぁ、あぁああっ!?

 そんなっ!?

 ソンナっ!?

 ナンデ!?

 イヤヨ!?

 認メナイ!!認メナイィイッ!!」

 

オネスト

《二人の門出に、

 無粋だぞ、感染者》

 

頭部を掴み

操縦席をこじ開ける

 

タゲル

「あ゛ぁ゛あ゛ぁっ!!」

 

オネスト

《・・・せめて、

 一瞬で終わらせてやるよ》

 

飛び掛かって来た彼女を

“機体のアーム”で掴む

 

タゲル

「ひっ!?」

 

 

ヒガンバナに降り立つヘクソカズラ

 

コンクォ

《いつでも》

 

オネスト

《おぅ》

 

アルティメット・ナイト・シュートっ!!

 

何処かの機体で

“整備士泣かせの蹴り込みモーション”で

巨大な球体と化したエーテルの塊を

蹴り込んだ

 

 

ズメェイ砦

 

???

「なんなのっ!?

 あの球体はっ!?」

 

「報告っ!!

 我軍ハ総崩レ!!

 対抗手段ガモウアリマセンっ!!」

 

 

気を失った?

 

ここ、どこ?

 

目は・・・あ、両方見える

 

身体中痛い

 

魔糸・・・だせない

 

声・・・

 

???

「・・・ぁ゛。」

 

「駄目ですよ、

 まだまだ治り始めたばかりなんですから。」

 

白い服の人?

 

オネスト

「どうだ?

 唯一の生き残りだ

 それに女性だ、

 暴漢に襲われた形跡もある、

 可能な限り傷も治療してくれ。」

 

「わかっています、総師団長、

 私も女ですから

 カウンセリングも心得てます、

 安心してお任せ下さい。」

 

総師団長?この人が?

 

オネスト

「ん?手?

 大丈夫だ、生きてる、

 助かった命だ、

 大事にしろよ?」

 

助かった?手、握り返してくれた

 

そっか・・・

助かったんだ・・・

生きてるんだ・・・

 

オネスト

「・・・暫く、手は握ってても?」

 

「10分だけです、

 着替えをするのでそれまでには

 出てってくださいね?」

 

オネスト

「・・・奥さんに殺されるから、

 直ぐに出る。」

 

あ、離されちゃった

てか、奥さん?

ぁ~、既婚者かぁ~

側室とか持たないのかな?

 

「・・・止めといた方が良いですよ?」

 

男性が出てった後、教えてくれた

 

奥さん、

身長152cmの小さな奥さんだって

 

・・・でも、いいかな?

もぅ、どこか田舎に暮らしたい・・・

どこでもいいから

あの戦争から

戦場から離れて暮らしたい・・・

 

 


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