魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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 警鐘が鳴り響く

 ゴードン・グランディストーレの

 亡骸が見つかったのだ。




伝える為に

 

ゼルエラ

「総員に告ぐっ!!

 奴ら脱走兵は、

 我が叔父、ゴードン・グランディストーレを、

 その手で刺殺し、

 挙句の果てに

 ジャッカルアを他国へ売り渡そうとしている、

 逆族である!!

 全軍を持って、脱走兵を捕らえるか、殺せっ!!」

 

 

モンゲル

「・・・っ、

 うぁ゛~ぁああっ!!」

 

タゲル

「泣くなっ!!

 今は走るのっ!!」

 

「駄目だ、

 専用ハンガーは封鎖されてる。」

 

「なら、ジャッカルアを奪うしかない。」

 

タゲル

「完熟訓練をした事なんてないけど、

 モンゲルっ!!

 貴女、操作手引書は読んでいたわねっ!!」

 

モンゲル

「ぅうう~・・・ぁああぁっ。」

 

「見捨てよう、

 俺達6人だけでもファゼンディラ公国に行こう。」

 

 頬に赤く腫れが広がる。

 

タゲル

「立てぇっ!!

 ゴードン様になんて言われたのっ!!

 私達は、“伝えなきゃならないの”

 この国が危険だと、

 “人間すら凶器にする”カースドベイトが在る事をっ!!」

 

「不味い、近衛兵だっ!!」

 

「ちっ、雷撃投槍っ!!」

 

 

「居たぞっ!!」

 

「副指令に、旅団長までも・・・、

 これも、カースドベイトのせいなのかっ!!」

 

 

ハルガダータ予備倉庫

 

「いてて・・・ついてないぜ。」

 

「お前のついてないは、

 いつも当たるからなぁ、たまったもんじゃないよ。」

 

「しかし、近衛兵の目、

 “赤く光ってたな”

 アレが、人間にも通用するカースドベイトか、

 トンでも無い物を、誰かが造っちまったのか。」

 

「その面(ツラ)、

 拝んでおきたかったな。」

 

「あぁ、それで魔獣の群れに放り込んでしまいたいよ。」

 

タゲル

「・・・傷はどうだ?」

 

「幸い、毒矢ではない用です、

 “溝”が無い物ですから、

 ここ、ズメェイ砦は、

 貴族の療養所でしたから、

 毒物はかなり厳しく検査されている筈です。」

 

タゲル

「では、

 お前達はハルガダータを奪い、

 私と、モンゲルはジャッカルアを奪う、

 ハルガダータは、武装状態と、

 式典用装備を一部持って行くぞ。」

 

「え?あれ、めっちゃ重いんですよ?

 ただでさえ邪魔扱いのアレをですか?」

 

タゲル

「盾代わりに使うだけだ、

 いくらカースドベイトに掛かっている者でも、

 “初代国王を模(かたど)った”、面を、

 攻撃するとは思い難い、

 まぁ、撃って来たら容赦なく捨てる、

 それに、投げつければ、

 投石並みの衝撃は与えられるだろう、

 なんとしてでも、

 ファゼンディラ公国に向かわねば。」

 

モンゲル

「・・・え?

 “ゴードン様?”」

 

タゲル

「そんなっ!?

 脳天は貫いた筈っ!!」

 

 

???

「ふふ~↑ふふ↓、

 そう簡単には、退場サセマセンヨ~、

 傀儡人形として、

 肉体が朽ちて無くなるまで、

 私のオモチャなんですカラ~。」

 

 




 
 ゆらゆらとうごめくその死体は、

 紛れもなく事切れている筈のゴードン。

 時折、

 かくん、かくん、

 “糸”に吊り上げられているように、

 かくん、かくん、と、

 確実に迫って来る。


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