魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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 大抵の国々は、

 エーテルリアクタを取得する為に、

 “一つのアルヴの民の隠里と交易、国交を持つ”

 ただ、ここ“サビオ大陸”では、事情が違う。

 一つの国に、

 複数のアルヴの民の隠里がある場合が多いのだ。




虚実と事実

 

ハルネキッヒ自治区・プレザケ砦

 

 対魔獣・対侵略迎撃用要塞建設が、

 

 着々と進んでいた。

 

フレデュリック

「・・・おぃ、シャサール、

 ここ、プレザケ砦だよな?」

 

シャサール

「どう見ても、要塞ですねぇ、

 出立以前の風景とかけ離れています、

 これはどういう事なのですか?

 ディサフィアンテ騎士団長。」

 

オネスト

「シャサール、

 これにはちょっとした、問題があってな、

 ディダットーラ帝国の、二つの隠里、

 “イッジオーネ”と、“シャルルア”の、

 “建築馬鹿同士”で、

 意気投合してな、

 ここ、プレザケ砦に、

 アルヴの民の避難民も受け入れている、

 今、俺のノートを見ながら、

 要塞砲を作ってる最中なんだ。」

 

フレデュリック

「イッジオーネと、シャルルアからもか、

 ったく、

 トラヴァエルの奴、

 なんて言って、協力させようとしたんだか。」

 

オネスト

「久しぶりですね、フレデュリック・グランツさん、

 アポストロ・オラーコロさん、

 ソイレ・トレル嬢、

 レパルド・フォーゲル嬢、

 綺麗になりましたね。」

 

レパルド・フォーゲル

「へぁっ!?

 わっ!?わたしがきれいっ!?」

 

ソイレ・トレル

「ばっ!?

 ばかなことはおっしゃらないでくださいませっ!?」

 

フレデュリック

「オネストっ!!

 貴様には絶対やらんぞっ!!」

 

オネスト

「そこは、まぁ、

 コンクォ次第ですね、

 今は、フレデュリックさん達の機体を、

 “現地改修”し始めたので、

 おそらく三日は、動けないでしょうけど。」

 

アポストロ

「へ?

 そんな資材に余裕なんて無かった筈なんだろ?」

 

オネスト

「表向きは、ですよ、

 情報は常に新鮮を求められるので、

 ペガルには、

 “月月火水木金金”で、休日返上させ、

 どんどん仕入れて貰っていますから。」

 

4人『黒い、黒いオーラが見える。』

 

オネスト

「キノセイデスヨ。」

 

シャサール

「団長、

 南のディダットーラ帝国は兎も角、

 東のヴァゥヴァイネン帝国の

 動きはどうなのでしょうか?」

 

オネスト

「つい、4日前に、

 無条件降伏セヨ、と、

 攻めて来てます、

 まぁ、家の国民が黙っている訳が無いので、

 “試製・農耕用フェメンターレ”で、

 見事、迎撃に成功、

 ヴァゥヴァイネン帝国の新型機を鹵獲、

 複数の捕虜も捕らえています。」

 

フレデュリック

「新型機だと?」

 

オネスト

「おそらく、ディダットーラ帝国の上、

 南の国が強奪したとされる、

 ティラントーを、

 ヴァゥヴァイネン帝国も掴んでいたのか、

 一枚噛んでいたのか、

 “ストランドタイプクリスタルティシュー”が、

 確認済みです、

 まぁ、自ずと持久力に難点がありそうな機体ですね。」

 

レパルド・フォーゲル

「あ、あの、

 オネ・・・おじ、

 団長さん!

 農耕用のフェメンターレって?」

 

ソイレ・トレル

「オネストさん!

 その農耕用シルエットナイト、

 気になりますっ!!」

 

オネスト

「・・・ハッ!?

 そ、それなら、

 ウィリディゥス・メリッタに任せるよ、

 メリッタさん、

 この二人に農耕用シルエットナイトの

 見学を許可してくれますか?」

 

ウィリディゥス・メリッタ

「ん~?

 二人共、

 “手を見せな”」

 

ソイレ・トレル

「え?」

 

レパルド・フォーゲル

「はい。」

 

ウィリディゥス

「・・・お前はこっち、

 アンタは、

 “乗せられない”

 悪いね。」

 

レパルド・フォーゲル

「えっ、どうして?」

 

ウィリディゥス

「団長、

 この子、しっかり守ってやんな、

 今後、一番辛い立場になるだろうよ。」

 

レパルド・フォーゲル

「ちょっ!?

 一体なんなのですかっ!?」

 

ソイレ・トレル

「レパルド?口調が変だよ?」

 

レパルド・フォーゲル

「答えて下さい!!

 ウィリディゥス・メリッタさんっ!!」

 

ウィリディゥス

「・・・あんた、

 “貴族の娘だろう?”

 それに、

 マメや、タコが残って居る、

 “人を殺す為に鍛錬した跡だ”

 そんな子を、

 “人を生かす為のシルエットナイト”には、

 乗せられないね、

 “清算が終わるまでは絶対にね”」

 

ソイレ・トレル

「え?だって、レパルドは、

 私達と同じ孤児院に・・・。」

 

フレデュリック

「ソイレ、それは。」

 

アポストロ

「グランツ、あんた、

 知ってたんだね?

 どうして今まで黙ってたんだい?」

 

フレデュリック

「アポストロ、

 知ったのは、つい先週だ、

 元々、ミゲルに調べて貰ってたんだ、

 二人の両親が生きているのかを、

 まぁ、

 ソイレは、本当に普通の家族で、

 “口減らしの為”

 レパルドは、

 “ディダットーラ帝国・穏健派代表の孫娘”

 しかも、

 “腹違い”って言うお荷物付だった、

 ミゲルの資料に、

 “フォーゲル家の裏事情も載っていたからな”

 レパルドを、隠すしか無かったんだろうよ、

 それに、

 フォーゲル家の長男なる野郎が、

 ファナティクア・バガーチェの

 副官として着任予定だったから、

 侵攻軍に居るのは、間違いないだろう。」

 

レパルド

「っ!」

 

オネスト

「おっと、

 逃げないでくれ、レパルド嬢、

 ここに居て貰わねば、

 “母君からの頼み事を裏切ってしまう”」

 

レパルド

「母様になにがあったのっ!?」

 

コンクォ

「・・・知ってどうするの?」

 

レパルド

「コンクォ姉さまっ!?」

 

オネスト

「もぅ改修終わったのか?」

 

コンクォ

「そんなわけないでしょ?

 スクリプト構成が終わったから、

 骨組み強化、装甲取り付けぐらい、

 私のチームで出来るから、

 休憩がてら、こっちに来たら、

 この惨状って事。」

 

オネスト

「そうか、

 ソイレ嬢、

 レパルド嬢を、悪く言わないでくれ、

 これに関しては、

 キミ一人もがいても解決できない事柄なんだ。」

 

ソイレ

「・・・貴族、なんだ、レパルド。」

 

レパルド

「ソイレ・・・ごめんなさい!!

 ごめんなさい!!ごめんなさい!!

 ごめんなさい!!

 許してなんて言わないからっ!!

 貴女まで離れてしまったら、

 私はっ!!私は・・・私は、

 また、ひとりぼっちになってしまう。」

 

ソイレ

「ざんねん、ひとりぼっちには成れないし、

 させないから、

 私、

 レパルド・フォーゲルの友達だもん、

 私が泣いてた時、

 涙を拭ってくれた女の子は、

 レパルド・フォーゲルだもん、

 貴女はだれ?

 “貴族?”違うわよね?

 レパルド・フォーゲル、

 私の友人、

 ソイレ・トレルの、

 大切な友人、親友なんだもの。」

 

 





オネスト
(あの~、
 俺、動けないんですけど?)

コンクォ
(我慢なさい)

アポストロ
(ん?おっ!?おぃっ!?)

フレデュリック
「ちょっ!?
 ソイレ!?レパルド!?」

レパルド
「好き、ソイレ、
 貴女を愛してるわ。」

ソイレ
「ふふっ、
 先に言われちゃったわね、
 私も好きよ、
 レパルド、愛してるわ。」

オネスト
(・・・だから、俺、動けない)

コンクォ
「二人共、
 とりあえず、
 私の旦那を離してくれないかしら?」

二人『え?ケッコンしてたのっ!?』

オネスト
「・・・おぅ。」

コンクォ
「うん、ほら、
 “エンゲージリング”
 オネストが、御揃いで、
 造ってくれたの。」

二人『オネストさん!!私達のも造って下さいっ!!』

オネスト
「ぇ~・・・。」
(フレデュリックが、
 なんか崩壊してる・・・)


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