魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

36 / 55

トクソリン峠

「静かだな?」

「あぁ、首都から新型機、
 ディストリオーネって言う、
 やべぇ新型機がここに配備されるから、
 到着の明日を待つんだとよ。」

「ん?誰だ、こんな夜中に、
 偵察の交代にしちゃぁ、
 シルエットナイトを使わないだろ?」

「あれじゃねぇか?
 例のナーゲルタイラントの
 生き残りでも出たんじゃねぇの?」

「しゃれになんねぇよ、それ。」




新月に吠えるは黒狼

 

フレデュリック・グランツ

「シャサール、

 どうなってんだ?こりゃぁ?」

 

シャサール

《余分な通信は控えて下さい、

 各機は、

 この“足跡”を、踏んで来て下さい、

 これが一番大事なのです》

 

レパルド・フォーゲル

《はぁ~ぃ》

 

ソイレ・トレル

《うぅ、眠たいです、姉さん》

 

アポストロ

《ソイレ、頑張んな》

 

フレデュリック・グランツ

「・・・シャサール、巡回のメィディウム隊だ、

 このままだと、進路が被るぞ?」

 

シャサール

《安心して下さい、

 “アレがこの隠密行動の要ですから”》

 

 

「あれ?

 フレデュリックの機体だ、

 お~い、フレデュリック、

 夜間偵察かなんかか~?」

 

シャサール

《普通に接して下さい、

 魔獣目撃の情報の元、夜間偵察だと》

 

フレデュリック・グランツ

「おぅ、

 どっかの馬鹿が、野ションしてたら、

 魔獣を見たとかほざきやがってよ、

 仕方ねぇから、

 俺らが出向いてんだよ。」

 

シャサール

《同行を求めて下さい》

 

フレデュリック・グランツ

「どうだ?肩慣らしに一緒に魔獣討伐いくか?」

 

「そうだな、小遣い稼ぎにはなるだろうし、

 分隊の必要はあるのか?」

 

シャサール

《全員で行きましょう》

 

フレデュリック・グランツ

「いや、全員で行こう、

 一人でおっ死ぬのだけはごめんだからな。」

 

「ははっ!ちげぇねえな!おっしゃ、

 お前ら着いて来い!」

 

 

フレデュリック・グランツ

《どうするんだ?》

 

シャサール

《このまま彼らと真っすぐ進んで海へ》

 

フレデュリック・グランツ

「なんでも、海から上がって来た魔獣らしくてよ、

 そいつ、

 したまんまシルエットナイトに乗りやがって、

 今、操縦席を洗ってるんだとよww」

 

「ぶはっ!?

 マジかよそれww」

 

フレデュリック・グランツ

「あぁ、

 おっと、海が見えて来たな。」

 

シャサール

《総員、合図と同時にしゃがんで下さい》

 

 

「それらしい痕跡は・・・おっと、

 確かに何かが引きずった跡があるな、

 おい、

 この引きずった跡」ごふっ!?

 

 姿が見えない機体が、

 

 メィディウム改の操縦席のみを、

 

 “沸騰させ”ナイトランナーを絶命させた。

 

フレデュリック・グランツ

「・・・殺したのか。」

 

シャサール

《・・・彼らは“帝国兵士”です、

 戦場、魔獣討伐で、戦死は当たり前です》

 

アポストロ

《・・・随分酷いやり方だね》

 

シャサール

《ディサフィアンテ騎士団、団長曰く、

 “戦争に卑怯も正義も在ったもんじゃない”と、

 言っていましたよ》

 

レパルド・フォーゲル

《え?》

 

ソイレ・トレル

《それって、

 オネストさんの事ですか?》

 

シャサール

《まもなく、我々の母艦が浮上します、

 速やかに機体を乗せて下さい、

 後ろには、貴方達に賛同し、着いて来た同志が、

 控えているのですから》

 

 





リッカルド
「グランツ、
 お前には色々言ったけど、
 俺も、一緒に行きたかった、
 だがな、
 “持ちすぎる力は”
 国を亡ぼすんだ、
 だから、
 “先に行って待っているぞ”」



「トクソリン峠に巨大な火の手が上がっています!!」

フレデュリック・グランツ
「なにっ!?」

シャサール
「リッカルド氏からの手紙です、
 トクソリン峠に火の手が上がってから、
 グランツさんに渡してくれと、
 言われておりましたので。」

フレデュリック・グランツ
「シャサールっ!!」

シャサール
「怒るなら、
 黙っていたリッカルドさんを、
 怒りに行って下さい、
 我々黒狼騎士団は、
 “リッカルド・ミゲル”から、
 依頼を受け、あなた方を、
 帝国から脱出の手助けと、
 その後の人権保障、
 生活の補助を頼まれています、
 時間です、
 水密扉を閉めます、
 出発です。」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。