私は、
疲れ、眠っていた。
揺れる機体。
目の前には、魔獣の足。
無理やりスクリプト構成をして、
オネストの、
ライトニングホーンで、
ナーゲルタイラントを倒した。
それで安心しちゃって、
寝ちゃったんだっけ。
▽
夢を見た。
水田の真ん中にある、
小さな家で、
おじいちゃんになったオネストと、
二人きり。
ごめんな、ごめんな、
その日のオネストは、
ずっと謝ってた。
夢の中で、
目を閉じて、
また、開くと、
沢山の人が“黒い服”を着て、
泣いていた。
ぇ?
木の棺に、
ガリガリに痩せた、
おじいちゃんのオネストが、
眠るように、収まってた。
私は、
“泣きじゃくる私を見ていた”
なんで?
ここに居る私は、ダレ?
▽
また、場面が変わる。
また、ナーゲルタイラントの足だ。
嫌、いや、
なんで?
“何度も見なきゃいけないの?”
▽
オネスト
「コンクォ、
泣いてるのか。」
眠っているコンクォの、
涙を拭ってあげる。
オネスト
「おきろ~、
まだ死んでねえぞ~。」
ほっぺたをツンツンしながら、
寝言で、
死んじゃった、なんて言われちゃ、
たまったもんじゃない。
▽
何度目だろう、
繰り返し、繰り返し、
ずっと“見ている”
泣いている“私”を、
何度も、何度も。
コンクォ
(いやっ!?
なんで何回もこんな夢を見るのっ!?)
こうなるってわかってるのに、
仇人を好きなんだ?
コンクォ
(わ、た、し?)
あんな100年も
生きられない生き物なんて、
必要あるの?
コンクォ
(そんな事絶対ないっ!!)
絶対?ウソ、
だって、貴女、
“14歳の時に、好きな人いたじゃない”
▽
オネスト
「・・・コンクォ。」
そっと、手を握る。
▽
コンクォ
(片思いだったのっ!!
それに、違う国の人だったし、
それに、それに)
そうね、魔獣とではなく、
盗賊に襲われて、死んじゃったものね。
コンクォ
(いうなっ!!)
仇人だもんね?
殺した相手、
片思いしてた仇人と、同族だもんね。
コンクォ
(いわないでっ!!)
“片思いの人を殺した同族”を、
好きになるなんて、
苦しいだけでしょ?
▽
オネスト
「うなされてる、
さて、はて、
“やり方としては”べたなんだろうけど。」
コンクォの身体を抱え起こす。
▽
嫌な思い出だけでしょ?
毎日毎日、エーテルリアクタを、
沢山作ってくれって、
戦争の為に造りたくないって、
貴女、毎日言ってたじゃない。
コンクォ
(・・・)
“殴るなよ?”
ちっ、アタシは、貴女、
貴女なの、
なんで、あの仇人が好きなのよ?
コンクォ
(ふぇっ!?私、本当に好きなのっ!?)
貴女ねぇ、私は、貴女だって、
さんざん言ってるんだけど?
コンクォ
(・・・ぁ~)
まったく、
しばらくは、大人しくしてあげる、
でも、仇人と、結ばれるって、
アルヴの民の歴史上、
“悲惨な結果しか”産み出せないのよ?
コンクォ
(・・・オネストなら、大丈夫)
どこから、そんな自信が溢れるのよ?
私は、貴女なのに、
理解出来ないわ。
コンクォ
(小さくて可愛いって、
言ってくれたもんっ!!)
・・・一度、幼女趣味って言葉、
調べてみなさい。
コンクォ
(なんで?)
貴女の為によ。
▽
小さな唇に、
一瞬だけ、口づけをする。
オネスト
「起きてたら、
殴られるよな。」
コンクォ
「に゛ゃ゛~~~っ!?」
オネスト
「え゛っ!?
コンクォ起き」バチーンっ!!
コンクォ
「バカ~っ!!」
(起きてる時にしなさいよっ!!)