魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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《各隊、複眼を撃破急げっ!!》

「くそっ!!
 当たれ当たれぇっ!!」

《マナ残量危険域、
 これ以上は法撃出来ない!!》

「誰でもいい!!剣を投げろっ!!」




雷鬼降臨

 

 軋む機体も悪く無い

 

オネスト

(って、アホか、

 腕が使えない以上、

 法撃も使えない、

 カートリッジは、腰に2個残っている、

 でも交換出来ない、

 そうだっ!!)

「4番機!!

 “武器庫”から、

 マナの供給を受けて、

 爆雷を

 “キングに投げ込んでくれ”」

 

《はぁっ!?

 正気ですかっ!?》

 

オネスト

「急げっ!!

 腕がそろそろ限界だ!!

 他の機体にも協力を仰ぎ、

 爆雷を投げ込むんだっ!!」

 

 

エリュブシン

「これが、その爆雷か。」

 

「はい、

 エリュブシン師団長、

 私の機体で、飛び上がるので、

 エリュブシン師団長が、

 キングに投げ込んで下さい。」

 

エリュブシン

「しかし、それは貴殿がやった方が良いのでは?」

 

「私の機体は、

 既に、マナ残量が危険域なのです、

 ジャンプ一回毎に、

 マナ供給を受けねば、

 動けなくなってしまいます、

 なので、

 投げる動作が出来ないのです、

 そこで、メィディウム改を抱えたまま、

 飛び上がる事で、

 投げる動作を不要とし、

 ここにある20発の爆雷を、

 投げ込むのです。」

 

 フェメンターの膝の上で足を支え、

 

 腰の部分を、フェメンターレの腕で固定、

 

 その姿勢のままジャンプを繰り返す。

 

 そこに、個体を殲滅し終えた機体が合流、

 

 なんとも奇妙な光景が生まれたが、

 

 確実にキングの甲殻装甲は、

 

 破壊され、その中身が見えて来る。

 

エリュブシン

「これが最後だ!!

 くらえぇっ!!」

 

 

フレデュリック

「一番機、二番機、

 また、肩を貸してくれるな?」

 

《当然です、

 ショットガンと、パイルバンカー、

 合計十二発、

 ぶち込んでやりましょう》

 

《どうせなら、

 足が届かない背中に乗りつけるか?》

 

フレデュリック

「いや、

 足を全て破壊しよう、

 ここから逃がさない為にも。」

 

《一発も仕損じ出来ませんよ?》

 

フレデュリック

「それが出来なくて、

 何がナイトランナーか?」

 

《ふっ、それもそうですね》

 

《んじゃ、行きますか》

 

 

 脚部にまで悲鳴が込み上げる。

 

オネスト

「コンクォ、

 どうなんだ?」

 

 返事は無い、

 

 小声で様々な術式と、

 

 再構成を呟いている。

 

オネスト

(ジャンプ出来ても一回かそこら、

 タンデムリアクタ二個の供給は、

 伊達じゃないけど、

 機体の維持にドカ食いしている、

 マナ切れが先か、

 腕部がもげるか、

 脚部が砕けるか)

「ったく、

 分の悪い賭けは、

 するもんじゃないね。」

 

フレデュリック

《王様の上にお邪魔するぞぉっ!!》

 

オネスト

「なっ!?」

 

 モノアイ頭部で、キングの上を見上げる。

 

 二機のフェメンターレと、

 

 メィディウム改が、

 

 主単眼目掛け走って行く。

 

 気が付けば、

 

 周りの足は砕け、

 

 この支えてる一本で踏ん張っていた。

 

フレデュリック

《喰らえっ!!》

 

 しかし、その一撃は、通らず、

 

 三機とも振り落とされる。

 

 “キングは瞼を閉じたのだ”

 

オネスト

「コンクォっ!!」

 

コンクォ

「出来たっ!!

 オネストっ!!

 “ライトニングホーン”

 使えるわよ!!

 ただし、

 一回こっきりだけどねっ!!」

 

オネスト

「待ってたぜっ!!

 飛べっ!!

 フェメンターレっ!!

 最強の一撃をくれてやるぞっ!!」

 

 

 バネと、ジャンプから繰り出される高度は、

 

 優に500mは超える。

 

オネスト

「ライトニングホーン、起動っ!!」

 

 頭部に搭載した角が、

 

 青白く光り出し、

 

 機体の4倍は伸びて行く。

 

オネスト

「一頭絶撃っ!!

 往生しろやぁあああっ!!」

 

 

 その一刀は、

 

 キングもろとも、後方のクイーンを両断し、

 

 ナーゲルタイラントの群れは、

 

 ここに討伐を完了した。

 





 ほぼ全ての機体が修理、

 改良せざるを得なくなった、

 ディサフィアンテ騎士団は、

 一度ファゼンディラ公国に帰投する。

 道中、新生デュファンス改率いる、

 ファゼンディラ公国正規軍が、

 ハルネキッヒ自治区、

 ディダットーラ帝国の防衛の為に、

 進出して行くのを、

 推進機が2基まで減った、

 グラーフ・ヒンメルから、

 オネスト・ディシュリオンは、

 眺めていた。

 眠ったまま、

 起きて来ない、

 コンクォ・チェルカス・トゥーラを、

 抱えながら。


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