魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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学際が滞りなく終わり、

定期テストと、

シルエットナイトに対する、

“自己の評価の発表”が、

迫りつつあった。





会合・魔改造・即実行っ!?

 

先生

「では、

 本日より、ひと月の間、

 わが国のシルエットナイト、

 デュファンスを、

 “自己の評価”と、

 改善点、考察などを、

 文書、もしくは、

 “模型”にて、

 発表して貰う。」

 

 生徒達から、

 

 悲鳴が巻き起こる。

 

 そうなのだ、

 

 普通科の名前だが、

 

 ナイトスミス並みの技量も、

 

 求められる事がある、

 

 そりゃそうだ、

 

 “自分が、

 乗るかもしれない機体”なのだから。

 

 

オネスト

「・・・ふむ。」

 

ペガル

「うぇ~・・・。」

 

会長

「うぬぅ~・・・。」

 

二人

『いや、会長?

 なにやってんすか?』

 

会長

「ん?

 いや、

 二人が知っての通り、

 工作が苦手でな、

 “編み物”なら、

 出来るのだが、

 模型が作れないのだ、

 一体、どうしたら良いと思う?」

 

オネスト

「ぇ~・・・。」

(はぁ、

 会長の評価を落とす事は、避けたいしなぁ、

 でも、

 編み物・・・ん?)

「会長、

 セーターを編んだ事は?」

 

会長

「セーター?

 あぁ、冬用に何度も手直ししているし、

 手袋も作れるぞ?」

 

オネスト

「ペガルは、

 何が駄目なんだ?」

 

ペガル

「模型は出来るんだけど、

 それを上手く説明出来なくてさ、

 模型は満点、文章は赤点で、

 プラマイゼロ、

 ギリギリ、進級は出来るってとこ。」

 

オネスト

「会長、クリスタルティシューで、

 編み物をしてください、

 それを、模型に組み込んで、

 それを操作するのはペガルで、どう?」

 

二人『は?』

 

オネスト

「進級出来なくても良いんなら、

 教えませんけど。」

 

二人『やろうっ!!』

 

 

 俺は、

 骨格から、作り直す方法で、

 文章と、デュファンスを、

 より強固に、

 “量産を視野”にいれ、

 ある機構も押し込んで、

 農機具は、

 “生前の記憶を引き出して”

 この世界の枠組みに押し込む。

 

 幸いにして

 アルヴの民には、

 物好きが居るので、

 この“同学年”に、

 そいつは居る。

 

オネスト

「コンクォ、

 ちょっと良いか?」

 

コンクォ

「なに?」

 

 入学式早々の、

 自己紹介で、大騒ぎされ、

 周囲の男子と喧嘩をし、

 “全員なぎ倒した彼女”は、

 何時も、ムスッと、している。

 

オネスト

「この“フレーム”だと、

 足に掛かる負担は、

 どれだけになりそうだ?」

 

 走り書きの“逆足構想”だ。

 

コンクォ

「・・・この、バネ?って?」

 

オネスト

「あぁ、それはこっち。」

 

 バネ用に確認できている金属で、

 “強度もあり、伸縮性もある”

 金属の割合は公表されている。

 

 これらを、大型化し、

 爆裂術式で、

 “ジャンプ”を試して見たいのだ。

 

コンクォ

「無理ね、

 今までのデュファンスで、

 考えなさいよ?

 フレームその物を開発なんて、

 “ナイトスミス”達を、

 侮辱する行為だわ。」

 

 

 ま、

 

 模型用エーテルリアクタは貰っているので、

 

 後は、術式とかなんだけど・・・。

 

オネスト

「だめだ、

 あったま痛い。」

 

 術式を銀線神経(シルバーナーヴ)に、

 

 書き込むのには、

 

 それを“理解”しなければ、

 

 書き込んでも、発動しなかったりする。

 

オネスト

「やっぱ、コンクォに頼むしかないよなぁ。」

 

 机に突っ伏し、

 

 教科書を読み直す。

 

ペガル

「ぉ~い、

 オネスト?

 生きてるか~?」

 

オネスト

「頭がヤバい。」

 

ペガル

「つ、遂に馬鹿になったのか?」

 

会長

「ペガル程では無かろうに。」

 

 ガハァッ!?

 

オネスト

「あれ?会長、

 どうかしましたか?」

 

会長

「どうかしましたか?では無い、

 試作のクリスタルティシューセーターが、

 出来たのだ、

 見てくれるか?」

 

 はやっ!?

 

 模型に着せてみる。

 

オネスト

「・・・う~ん。」

 

会長

「う~む。」

 

ペガル

「うぬぬぬ・・・。」

 

 動かない。

 

コンクォ

「なにしてんのよ?

 そことそこ、

 シルバーナーヴが、繋がって無いし、

 エーテルリアクタの、

 吸排気も逆よ、

 壊す気なの?」

 

3人『おぉっ!!助かったっ!!』

 

コンクォ

「・・・って、

 ホントに、逆足なんだ、

 へぇ~・・・成程、

 ここと・・・っ、これで、

 うんうん、

 オネスト、だっけ?

 さっきはごめんなさい。」

 

オネスト

「え?別にいいよ、

 コンクォから見て、

 どうすれば、

 ちゃんと動作すると思う?」

 

コンクォ

「任せなさい、

 “術式”は、全部やってあげるから、

 貴女達は、

 文章とか、色々準備なさい、

 “お父様にもお願いして”

 実機を借りてくるから。」

 

3人『はぃ?』

 

 

 魔法学校の隣には、

 

 デュファンス格納庫が併設されており、

 

 隣の宿舎は、

 

 国境防衛隊の修理も担っている。

 

オネスト

「・・・マジか。」

 

ペガル

「うへ~。」

 

会長

「なんと・・・。」

 

コンクォ

「ふふん♪どう?」

 

 僅か二日で、

 

 実機を改良、

 

 もとい魔改造しやがった。

 

イストゥリア

「娘の頼みだ、

 廃棄寸前の機体程度、

 朝飯前だよ。」

 

 フレームは、そぅ、

 

 アーキテクト001、

 

 ただ、骨格の中には、

 

 クリスタルプレートが仕込んであり、

 

 マナ切れ対策をしてある。

 

 その機体には、

 

 巨大機織り機で作られた、

 

 クリスタルティシューセーターと、

 

 “逆足・ジャンプユニット”が、

 

 異色を放っていた。

 

 

オネスト

「で、

 なんで俺が乗せられてんの?」

 

コンクォ

「え?

 貴方が発端なんだから、

 実機試験もやんなさいよ、

 この100年での、

 新たな発展の一歩を、

 貴方にやらせてあげるんだから、

 感謝なさい?」

 

 装甲は無い、

 

 あくまで、試験、

 

 クリスタルティシューセーターと、

 

 逆足、ジャンプユニットの、

 

 “動作試験”なのだ。

 

オネスト

「まさか、

 この操縦席も、

 採用されるなんてな。」

 

 硬質ガラスを、胸部に埋め込み、

 

 中からは見えて、

 

 外からは見えないガラス。

 

 そして、頭部のモノアイ部分からの映像は、

 

 やや上方に映し出される。

 

オネスト

「やりますか、

 エーテルリアクタ、起動開始、

 全術式、

 ・・・強制ロード。」

 

 コンクォが、

 

 理解できないなら、

 

 叩きこんであげると、

 

 片手間で作ったヘルメットから、

 

 大量の術式と、動作方法が、

 

 及第点しか取れない、

 

 俺の頭に、叩きこまれる。

 

コンクォ

「あ、

 お父様?

 ちゃんとリミッター、

 掛けていますよね?」

 

イストゥリア

「ん?

 普段からリミッターなんて、

 使って無いんだが?」

 

ペガル

「ちょっ!?」

 

会長

「いかんっ!?

 このままでは、

 本当に馬鹿になってしまうぞっ!!」

 

 

オネスト

「動くぞ。」

 

 めちゃくちゃ痛いが、

 

 足を動かす。

 

コンクォ

「嘘、理解できたの?」

 

イストゥリア

「信じられん、

 徒人(あだびと)でありながら、

 術式を理解しきったのか?」

 

 ずしん

 

 ずしん

 

 逆足故に、一歩は狭い、

 

 だけど。

 

オネスト

「すげぇ、

 動いてる。」

 

 各部に変な振動も無く、

 

 腕も、手も、頭も、

 

 思った通りに動作する。

 

オネスト

「屋外演習場で走るよ、

 道を開けてくれ。」

 

 演習場には、

 

 デュファンスの練習機と、

 

 演習機が数機居た。

 

 この逆足、

 

 ある構造を足に付けていた。

 

オネスト

「悪路走破用、

 回転球(ロータリーボール)、

 リフトアップ。」

 

 慌てて皆が追いかけて来る。

 

コンクォ

「ちょっとっ!!

 待ちなさいってばっ!!」

 

オネスト

「ロータリーボール、

 回転上昇開始。」

 

 左手の操縦桿の脇に、

 

 スロットルレバーがあり、

 

 少しずつ、上げて行く。

 

 周りの演習機が、

 

 追いかけて来る。

 

オネスト

「回転異常無し、

 すげぇ、

 試すなら、

 “全開”だよなっ!!」

 

 一気に、ロータリーボールの、

 

 回転数を最大にする。

 

 一瞬、上半身がのけぞるが、

 

 姿勢制御がうまく働いて、

 

 前かがみの姿勢で安定する。

 

オネスト

「消費マナは・・・

 クリスタルティシューセーターから、

 使ってるから、

 メインマナプールの消費は、

 ほとんどない、

 すげぇ!!滅茶苦茶すげぇよっ!!」

 

 そのまま、姿勢を傾け、

 

 ターン、反転、さらに傾けて、

 

 ドリフトも出来た。

 

オネスト

「うし、

 って・・・うわぁ~。」

 

 ただ、ロータリーボールの難点は、

 

 地面を抉って回転する為、

 

 土を固めただけの演習場には、

 

 向かない事だ。

 

オネスト

「ぁ~、

 誰か叫んでる、

 怒られるだろーなぁ~。」

 

 なら、

 

 怒られるのを承知の上で。

 

オネスト

「ジャンプユニット、

 使って見ますか!」

 

 ロータリーボールを格納し、

 

 逆足の裏にある、バネ、

 

 爆裂術式噴射口に、

 

 マナを流し始める。

 

オネスト

「バネだけで、

 ジャンプ出来るのかな?」

 

 ひとまず、

 

 バネのみで、

 

 ジャンプしてみる。

 

オネスト

「うひぃっ!?」

 

 機体は、

 

 いとも簡単跳ね上がり、

 

 6階建ての校舎を、

 

 飛び越える高さを叩き出した。

 

ズドォオン!!

 

 重音と共に脚部がギシギシと唸り、

 

 バネが再びセッティングされる。

 

ガチン!!

 

オネスト

「バネは問題なさそうだけど・・・。」

 

 バネだけで、

 

 校舎6階分、

 

 ざっと、20mは、飛び上がった事になる。

 

オネスト

「ジャンプユニット、

 や、止めとこう。」

 

 結局、ジャンプユニットのテストは、

 

 柔らかい地面の上でやる事となり、

 

 兼用テストは、

 

 また別の日に回され、

 

 俺はしこたま怒られて、

 

 デュファンスで、

 

 延々と演習場の地ならしをさせられた。

 

 

 





??
「シルエットナイトが、
 飛んだ?」

??
「はい、
 演習場で、
 居合わせたものは、
 “魔法でもみてるのかと”
 衝撃が広がっております。」

??
「面白い、
 そやつと、面会したいものだ、
 我が国に、
 そやつが居た事を、
 宝にせねば。」


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