魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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生徒会・準備室のドアをノックする。

「入れ。」


オネスト
「普通科・初等部、
 オネスト・ディシュリオン、
 入ります。」



会長と馬鹿二人。

 

オネスト

「・・・失礼しました。」

 

 そのまま回れ右をし、

 

 扉を閉める。

 

会長

「ま、待ってくれ、

 頼むっ!!」

 

 瞬間移動でも

 

 取得してるのか?この会長は。

 

オネスト

「いえ、

 楽しそうに、

 “編み物”をしてらっしゃった会長の、

 お邪魔をしないように、

 一度改めてお伺いしようかと。」

 

会長

「いっ///いうなぁっ!!」

 

 若干、ギャップ萌えとか、思ったが、

 

 会長は許嫁がいるし、

 

 貴族同士だから、

 

 農村の俺には、高嶺の花だな。

 

オネスト

「では、

 来月の学際パンフレットを、

 早く作ってしまいましょうか。」

 

会長

「そ、そうだな、

 うん、

 直ぐに支度する。」

 

 一緒に机を動かしたり、

 

 ページ順に用紙を並べ、

 

 順番にとって、

 

 紐で纏めて、一冊にして行く。

 

 

ようやく、一クラス分が終わる。

 

オネスト

「・・・ふぅ。」

 

会長

「以外に、几帳面なんだな?」

 

オネスト

「そうですか?」

 

 きっちり折り目を付け、

 

 きっちり、同じ場所に穴を開け、

 

 蝶結びで、冊子のアクセントをつける。

 

 これのどこが?

 

会長

「ほら、

 私のなんか、

 所々、ズレていたり、

 結び目も、

 上手く結べていない。」

 

オネスト

「まぁ、言われてみれば。」

 

会長

「はぁ、

 なんで会長に選ばれたんだろうな。」

 

 その哀愁漂う可憐さと、

 

 不正を正し、

 

 凛としてそれに立ち向かう姿は、

 

 誰の目にも、頼もしく見えたんだろうよ、

 

 俺も、会長に一票入れたんだけどね。

 

オネスト

「一息、入れますか?」

 

会長

「うむ、そうしよう。」

 

 躊躇する事なく、

 

 生徒会・準備室にある、

 

 キッチンの火を入れる。

 

 このキッチン、

 

 コンロの下には、

 

 クリスタルティシューが埋まっており、

 

 学校所有のエーテルリアクタにより、

 

 周囲のエーテルを、収集、

 

 マナプール内で熱変換し、

 

 “調整の出来る炎を生み出している”

 

会長

「なんと、

 オネストは、

 キッチンを使えるのか?」

 

 ん?

 

 今、なんて言った?

 

オネスト

「えぇ、自炊しますから。」

 

会長

「ふむ、

 今度、教授願えないだろうか?

 爺やに、

 “お止め下さい”って、

 止められるのだ。」

 

オネスト

「調節に失敗して、

 天井でも、焦がしたんですか?」

 

会長

「うむ、

 “屋敷の半分が焼け焦げたな”」

 

ペガル

「うぃ~っす、

 会長、

 俺もパンフレットの手伝いに、

 回され・・・ました。」

 

オネスト

「タイミングが良いんだか、

 悪いんだか、良くわからんな。」

 

ペガル

「は?いや、オネスト、

 またコーヒーかよ、

 良く飲めるなぁ?

 俺は、

 紅茶を所望するぜ?」

 

オネスト

「会長は?」

 

会長

「え?

 あ、あぁ、

 済まない、私も紅茶だ、

 苦いのは好きになれん。」

 

オネスト

「そうですか、

 ペガル、

 コップを三つだ。」

 

ペガル

「あいよ~。」

 

 





これが、後の、

ファゼンディラ公国

三馬鹿伝説もとい、

“ファゼンディラ公国三騎士”の、

始まりだった。

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