魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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トクソリン峠

ディダットーラ帝国臨時関所

「伝令、
 また、
 ファゼンディラ公国の者です。」

フレデュリック・グランツ
「・・・余程切迫しているのだな、
 致し方あるまい、
 少人数での会談を望むと、
 伝えてくれ、
 再三に渡る非礼も詫びをしたいと。」

「はっ。」




猛熱の月

 

 丁度一年、

 

 全機種に通信機の搭載が完了し、

 

 農耕用シルエットナイトの

 

 ペーパープランは出来上がったのだが、

 

 海からの魔獣の襲来により、

 

 少なからずの被害が出てしまい、

 

 手つかずのままとなっていた。

 

オネスト

「え?

 デュラント公爵、

 俺も同席ですか?」

 

コンクォ

「なんで私もなのよ?」

 

デュラント公爵

「向こう方から、

 “物騒な武器を下げて欲しい”と、

 伝令が来てな、

 公爵の私と、

 師団長のオネスト、技術長のコンクォ、

 この3人で、

 双方の中間地点にて、

 会談を設けるそうだ。」

 

オネスト

「あははは・・・

 一様、脅しには使えましたね、アレ。」

 

ペガル

「あれだけ大きな大剣、

 誰もが目に入るだろうに。」

 

 勿論、この大剣、

 

 タンデムリアクタを搭載した、

 

 “切り裂く動作を回転にて上乗せする事が出来る”

 

 いわゆる、チェーンソーの馬鹿でかいヤツ。

 

 国内鉱山にて、

 

 クリスタルティシューに向かない鉱石を、

 

 超高温炉にて、融解、色々混ぜ込み、

 

 叩いて伸ばして、研磨して、

 

 デュファンス改の、両手持ち武器として、

 

 すでに5本、ロールアウトしている。

 

 一部の部隊長や、ナイトランナーに人気が出てしまい、

 

 専用の工廠が建設され、来月から、大量生産と、

 

 小型版の物も生産が始まる。

 

オネスト

「開始時刻は?」

 

デュラント公爵

「一応、明日(みょうにち)、

 日がでて、少し傾いてからと、

 言っていたが、

 オネスト?

 この時計には、驚かれたぞ?

 一つは渡して、

 7時に鳴るようにしておいたが、

 “正確な時を刻める魔道具が羨ましいと”」

 

オネスト

「あくまで、俺の体感秒数ですよ、

 ゼンマイと、

 イストゥリアさんのお弟子さんで、

 “エーテルリアクタの超小型化”に、

 挑戦し続けていた方が居たから、

 エーテルリアクタ搭載型懐中時計が出来たんです、

 あくまで、

 大雑把な時間と、体感秒なので、

 正確かどうかはわかりませんよ?

 しかし、明日ですか。」

 

デュラント公爵

「どうした?なにか問題があるのか?」

 

コンクォ

「・・・あ、もしかして、雨?」

 

オネスト

「あぁ、

 “春の雪解け”が終わると、

 次は、

 “猛熱の月”が来る、

 いきなり雲が立ち昇ったら、

 土砂降りなんて、ざらだからね、

 田畑には、恵みの雨であり、

 栄養を流されてしまう天敵でもあるから、

 水の管理が一番大変な季節でもある、

 これを乗り越えれば、

 “採量の時期”収穫が待ってる、

 ホントは、

 採量の時期が終わって、

 “白銀の時期”で、

 こっちに来たかったけどね。」

 

デュラント公爵

「仮設用テントを持って行こう、

 向こうにも、

 そう言う考えがあればいいのだが。」

 

 





 嫌な予感は当たってしまい、

 朝から猛烈な雨が降り出して、

 こちらから持参した、

 簡易テントの下で、

 会談を始める形となった。

 懐中時計は、

 しっかり7時に鳴って、

 ディダットーラ帝国陣営は、

 そのベルの音で、

 びっくりして起きたそうだ。


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