魔法でも、撃ちたいじゃん!   作:扶桑畝傍

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オネスト
「あ、
 コンクォ。」

コンクォ
「何かしら?」

オネスト
「家、来る?」

コンクォ
「は?」



一時帰郷と、休暇消化

 

ファゼンディラ公国

 

 半島先端・大穀倉地区

 

コンクォ

「・・・。」

(ここ、どこ?)

 

オネスト

「ん~、

 久し振りの実家は、

 空気がうめぇ~。」

 

コンクォ

「ねぇ?オネスト?」

 

オネスト

「ん~?」

 

コンクォ

「まさかとは思うけど、

 ここら辺一帯が、

 実家なんて、

 言うんじゃないでしょうね?」

 

オネスト

「麦の範囲は、

 半島先端の3分の2を占めてるけど、

 他にも、

 粉系統、種子系統、

 根菜類も、

 家の管轄だね。」

 

コンクォ

「・・・オネストって、

 家名“ディシュリオン”?」

 

オネスト

「おぅ、

 3男だ、

 兄貴二人は、

 病気で、小さい頃に、

 死んじまったけどな。」

 

 

 ディシュリオン家

 

 農耕大国ファゼンディラ公国では、

 

 最も古くから、

 

 農業に携わり、

 

 “貴族階級導入時、

  爵位を蹴っ飛ばした”

 

 “超有名一族で、平民”

 

 現在も、地位は平民。

 

 更に、穀倉地区の実質的管理者は、

 

 ディシュリオン家であり、

 

 古くても、40年程度の貴族が、

 

 太刀打ち出来ない力を持っており、

 

 下手に逆らえば、

 

 翌年から、その貴族が管理する地区は、

 

 大不作に陥る程。

 

 農耕に関しては、陛下ですら、

 

 頭を下げる事もあり、

 

 事務仕事をほっぽって、

 

 収穫の手伝いに来る理由の一つは、

 

 リャン・ダオ11世の、

 

 “乳母を務めた”

 

 オネストの母への恩返しも兼ねているそうだ。

 

コンクォ

「陛下の乳母っ!?

 どういう事よ、それっ!?」 

 

オネスト

「どうもこうも、

 あ、

 見えてきた、家だよ。」

 

コンクォ

「家・・・え?

 “普通の家”だ。」

 

オネスト

「悪いか?

 階級上、平民だし、

 耕作地帯の維持管理に、

 ぶっ飛ぶ値段が動いているんだぞ?

 贅沢なんてしてる暇がないよ、

 それこそ、

 “貴族”だけでいいだろうに。」

 

 

 深く息を吸って。

 

オネスト

「ただいまぁあああああっ!!」

 

コンクォ

(大きい声を出すって、

 言ってたけど、

 必要あるのかな?)

 

 

 

 

オネスト

「あ、貯水池の方だな、

 荷物はここに置いて、

 ついてきて?」

 

コンクォ

「え?

 大丈夫なの?」

 

オネスト

「大丈夫、大丈夫、

 この“箱”に、

 入れて置けば、

 大抵の事は大丈夫。」

 

 

 貯水池・水門

 

リャン・ダオ11世

「せぇっ!!のぉっ!!」

 

 潮風にさらされた水門は、

 

 錆付き、びくともしない。

 

リャン・ダオ11世

「くはぁ~・・・、

 やっぱり“油”が無けりゃ駄目かぁ。」

 

ハダス・ディシュリオン

「ダオ、残念だけど、

 今回の戦争で、

 油が去年の5倍に膨れ上がってるんだ、

 魚醤も高騰、

 最近は薄味で我慢してんだぞ?」

 

リャン・ダオ11世

「それはごめんって、

 ハルネキッヒ国の革命が無ければ、

 賠償金とか資源を、

 充てに出来た筈だったんだけど、

 家の部隊が、革命に関わってたから、

 請求する事も出来ず、

 資源も復興に使わなきゃいけない、

 大赤字も良い所だよ。」

 

ディンシア・ディシュリオン

「貴方?

 ダオをそこまでいじめないで頂戴?

 ダオだって、

 一生懸命やっているのだから。」

 

オネスト

「陛下、

 また脱走してここに来てたんですね?」

 

リャン・ダオ11世

「ん?ぁ、ヤベ、

 オネストじゃないか、

 どうしたんだ?」

(馬鹿っ!!怒らせるような事言うなよ!!)

 

オネスト

「母さん、

 陛下を甘やかさないで下さいね?

 “執政官達が迷惑してるんですよ?”」

 

チャキ

 

ディンシア

「だ~お~?」

 

リャン・ダオ11世

「ちょ!?

 ままままっ!?

 まってぇええっ!!」

 

ディンシア

「お仕事が終わってから来てるってのは、

 嘘だったのねぇえええっ!!」

 

リャン・ダオ11世

「オネストの裏切り者~っ!!」

 

ディンシア

「待たんか、ごら゛ぁああっ!!」

 

オネスト

「親父、

 母さん、元気そうで良かったよ。」

 

ハダス

「そう言うお前はなんだ?

 その子が、彼女とか言うのか?」

 

コンクォ

「かっ!?」

 

オネスト

「まだ、オーケー貰えてないよ、

 それに、

 立場上、部下に休暇も出さなきゃ、

 休日出勤手当も計算しなくちゃいけないから、

 大変なんだよ。」

 

コンクォ

「え?

 貴方、全部一人でやってたの?」

 

オネスト

「そりゃぁ、

 “ディサフィアンテ騎士団・団長”だからな?

 給与計算、資材費用、

 整備費用に、生産雇用にも、

 給金が必要だからな、

 それに、シルエットナイトの、

 維持管理費とか、

 施設使用料も、結構値切って、

 見返りに、色々融通してたりするんだぞ?

 算盤(そろばん)と、

 計算用エーテルリアクタ計算機も、

 (足し算用にエーテルリアクタ一基

  掛け算用は、タンデムリアクタ一基)

 イストゥリアさんに頼んで、

 造って貰ってなかったら、

 “卓上計算を延々と、

  紙に書いて、

  計算してる羽目になってただろうよ”」

 

コンクォ

「知らなかった、

 オネストが、

 真面目に団長の仕事してるなんて。」

 

オネスト

「ちょ、ひっで~なぁ~。」

 

ハダス

「団長?オネストが?」

 

コンクォ

「え?はぃ、

 知らなかったんですか?」

 

オネスト

「あぁ、

 “今日、初めて教えた”」

 

コンクォ

「えぇええええっ!?」

 

 


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