幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 お久しぶりのキャラ。
 みょん視点。
 では本編どうぞ。


四話 『人里での買い出しで』

 次の日の午後。私と侠さんが人里で食材を調達する日。無事に侠さんの傷は完治しました。買い物袋を数枚持って白玉楼から出て飛んでいこうとしたとき、侠さんがこう話しかけてきます。

 

「悪いんだけど……できれば五分間飛んだ後に一分の休憩、人里に入る前の数百メートルは歩いて行っていいかな?」

 

「? それはどうしてですか?」

 

「ちょっと自分の飛び方に諸事情があってね……あまり人里の人達に飛び方を見られるわけにはいかないんだ」

 

 そう言った侠さんの飛び方が……龍の翼を出して飛んでいた。

 

 侠さん……あなたは何者何ですか? それに氷精の能力もある……まさか能力を二つ持っているのですか?

 

 聞いたところ侠さんも分からないらしく、侠さん自身がわからないならば聞くのは止めておこうと思いました。

 

 そして数十分後……人里に到着しました。

 

 侠さんは懐かしそうに呟きます。

 

「……ほぼ一週間ぶりかな? 人里に来るのは」

 

「……すいません。幽々子様も行動範囲を大きくしていただいたら良かったのですが……」

 

「ん〜……過ぎ去ったことはしょうがないよ。さっさとすましちゃおう」

 

 侠さんは気にしたようなそぶりを見せないで私の行動を促す。私も侠さんの隣に立って歩き始めました。

 

 ……ちなみに侠さんの服装は【がくせいふく】というものらしいですが……紫様が新しいものを持ってきてくれました。全体的に黒い服で、赤いネクタイという……紳士的な服装でしょうか? 身だしなみが良い服装です。

 

 幽々子様が指示されたものを次々と買っていき、私、侠さん、そして半霊にも持たせる。持っている重量の割合は侠さんの方が重いのですが──

 

『この場合は女の子はあまり持つものじゃないよ。重い物は自分が持つから』

 

 ……おそらく、彼のような人が紳士というのでしょう。言われて恥ずかしい反面、嬉しい気持ちがあったり。

 

 買い物をしている途中で、侠さんは思い出したように私に話しかけてきました。

 

「魂魄。ちょっと寺子屋に行っても良いかな?」

 

「? 寺子屋にですか?」

 

「ちょっと慧音さんに挨拶をしておこうと思ってね。せっかく人里に来たし。良い?」

 

「はい。全然構いませんよ」

 

「ん。ありがとう」

 

 特に断る理由はないので私は侠さんに着いていって寺子屋に行きました。

 

 そして私達は寺子屋に着き、侠さんは声をかけながら扉をノックする。ざわつきが聞こえないとなると生徒達はいないのかもしれない。

 

「慧音さーん、いますかーっ?」

 

『……ん? その声……もしかして侠かっ!?』

 

『お、何々? 侠が来たのか?』

 

 寺子屋から二人の声が聞こえてくる。そして扉が開き……帽子を被った、全体的に青い服装で凜々しく見える人が出てきました。侠さんはその人に挨拶をします。

 

「お久しぶりです。慧音さん」

 

「……変わらない様子で何よりだ。現在、白玉楼にいると君の友達の静雅から聞いたが……?」

 

「白玉楼での食材の買い出しの手伝いを。一週間ほど寺子屋に行けなくてすいません」

 

「いや、ちゃんとこの目で侠を見られたからいい。だが、侠を待っている生徒がいるからなるべく早く戻って来いよ? 特にチルノ達は侠と遊びたがっているのだから」

 

「善処します」

 

 ……人里の守護者と知り合いなのですね、侠さんは。

 

 そして慧音さんの後ろからもう一人出てきます。

 

「お、侠だ。久しぶりじゃん」

 

「あ、妹紅。確かに久しぶり」

 

「慧音から聞いたときビックリしたよ。お前が異変解決して、何故か慧音の助手がお前の友人になっているって。私はその友人に会ったことないけど」

 

「確かにこの間に色々あったからね……そういえば何だかんだ妹紅とは最近会ってなかったような気がする……」

 

「……ま、お互いの予定が重ならなかったんだろ。そうなら仕方ない」

 

 もう一人は藤原妹紅さん。慧音さんと一番仲の良い人だ。

 

 でも……この人は永遠亭の一部の人と同じ不老不死の蓬莱人。侠さんはその事知っているのでしょうか……?

 

 その二人は私の存在に気づいたのか、慧音さんが話しかけてくる。

 

「おや、白玉楼の庭師の……妖夢か。どうだ? 侠の様子は?」

 

「あ、いえ。とても良い人です」

 

「……慧音さん。本人を目の前にそういう評価を求めるのはちょっと……」

 

「何。別に侠はやましいことはしていないんだろう? だったら良いじゃないか」

 

 少し笑いながら私達に尋ねる慧音さん。

 

 ……すいません。逆に私がやましいことをしてしまいました……。

 

 その慧音さんの発言を聞いてか、何故か妹紅さんはにやけながら慧音さんに話しかけてくる。

 

「何だよ慧音ー? そういう慧音は侠の事を押し倒したじゃんか〜?」

 

「なっ!? それは事故だと言っているだろう!? 妹紅にもちゃんと事情を説明はしたぞっ!?」

 

 ……えっ!? まさか慧音さんも!? 肝心の侠さんは少し苦笑いしていますし……!? 事故とはいえ、侠さんを押し倒し……!?

 

 その事で焦っているような表情を見せている慧音さんに妹紅さんは話を続けようとしましたが──

 

「それに前に慧音言ってたじゃん。侠の友人の授業はためにはなるけど、教え方は侠の方が好きだって。それも含めて人として侠の方が好きって──」

 

「ふんっ!(ドコォッ)」

 

 ……頭突きとは思えない音がした頭突きを慧音さんは妹紅さんにしました。妹紅さんは床にひれ伏しました。

 

 ……そんな状況を侠さんは見て一言。

 

「……からかったとはいえ、少しやり過ぎじゃありません?」

 

「……そうだな。反省はしている」

 

 そう言いながら慧音さんは妹紅さんを担ぐように持ち上げる。どうやら気絶しているらしい。

 

 慧音さんは少しいつもより小さい声で侠さんに話しかけてくる。

 

「……妹紅の冗談だからな? あくまで侠の教え方が好きなんだ」

 

「了解しました。きちんと冗談ということは理解していています」

 

「そ、それならばいいんだ……(少し動揺しても良いじゃないか)」

 

 それでも侠さん達は苦笑いをしながらも──楽しそうに会話をしていました。

 

 ですが──

 

「(……っ? 何故か胸がちくりと……?)」

 

 ──何故かお二人が楽しそうに会話をしていると、胸にとげが押しつけられているように痛みみたいなものがします。

 

 ……何ででしょう? この痛み……?

 

 少しして、お二人の会話が終わり挨拶をしてその場を離れました。

 

「さ、続きをしようか。魂魄」

 

「……は、はい」

 

 何ででしょうか? 侠さんと私の距離感は……? 近いようで遠いような気がします……。

 

 

 




 文字数が少ないなと思いつつ、次は少し多めにしてみる。というより裏とリンクします。

 次で表の章は終わりです。

 ではまた。

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