視点は表主人公。
では本編どうぞ。
ゆゆさんに部屋を案内してもらった後、色々説明を受けた。何故か一部の襖を開けてはいけないとか。何でか分からないけど家主の言うことは聞いた方が良いから聞かないことにした。
それで散歩がてら探索。庭には池もあり、ますます和風な屋敷何だなの感心する。和式万歳。
そしてお昼……にしては料理が多かったが、大体の料理は何故かゆゆさんのお腹に消えた。食べるスピードが速すぎる。まぁ、元々自分は大食漢(霊夢に悪いため、量は普通なんで遠慮をしていた)のため自分は食べるスピードを上げた。何故かそれに対抗してゆゆさんもスピードを上げる。魂魄が『お前客なんだから遠慮しろゴラァ』という視線を送ってきたような気がしたのできりの良いところでやめた。料理は全て魂魄が作った物らしい。大変だね。
そして数時間後……間取り図把握のために屋敷内を歩いていたとき……ゆゆさんが大量に積まれている団子を食べながら何かを見ている。
「何を見ているんですか?」
「あら、侠。つまらないものだけど見ていく?」
縁側で見ていたものは──何やら剣の修行だろうか? 魂魄が剣を振るっていた。
「──ハッ! ──フッ!」
かけ声と共に素振りをしたり、フォームの調整などをしている。体は小さいながらも一生懸命にやっているので好感はもてる。
……一時期剣術を義父さんから学んでいたのが懐かしい……。
そして第三者がいると気づいたのか、魂魄は剣を振るのを止め──まだ敵視している感じで自分に話しかけてきた。
「……何かようですか? 用が無いなら離れてください。気が散ります」
「え? そんなに? 自分がやっているときはそんなに気にしないけど?」
剣術を義父さんから学んでいたとき、静雅や陽花が話しかけてきたり静雅が乱入してきたり。今思えば楽しかったな。
自分の発言に興味を持ったのか、ゆゆさんが疑問を投げかけてくる。
「あら? その口ぶりだとあなたも剣を学んでいたという事かしら?」
「義父さんに学んでいました。それで槍術を使う親友がいたので良く武器有りだったり武器無しの組み手をやっていたりしていました」
自分の言った言葉をゆゆさんは整理して……ある考えを言葉に言う。
「じゃあ妖夢にも組み手をしてもらいましょ? その方が経験にもなるし、良いんじゃない?」
「なっ──」
魂魄は少し驚いて何かを言おうとしたか少し考え──
「──良いですね。やりましょう!」
魂魄はやる気に満ちた声で肯定した。てっきり断るかと思ったんだけど……?
「(これは名誉挽回のチャンス! 先ほどのやつとは違い、純粋な勝負! 私が勝てば幽々子様から少しでも一人前と認めてもらえるはず!)」
「え〜……ゆゆさん、やるんですか? 正直気乗りがしないんですが……」
「私の娯楽のためにもやってちょうだい♪」
……家主には逆らえないなぁ……。
そう言われたら仕方ないので、あることを尋ねた。
「ちなみに竹刀とかありますか?」
「あるわよ。ちなみに今回は武器有りでの組み手でやるの?」
「逆に女の子と素手で殴り合うのはどうかと思うんですけど……?」
「お、女の子──っ!?」
自分は当然の理由を告げたが、何故か魂魄は顔が少し赤くなる。変なことは言っていないはずなんだけど……?
それに察してかゆゆさんは魂魄にご機嫌そうに話しかける。
「あらあら♪ 女の子だから殴りたくないんですって♪ 彼ってば紳士ね♪」
「──っ! だからなんだというのですか幽々子様! 勝負に性別だの関係ありません! ……私は竹刀を取ってきます!」
少し反抗した後、少し怒った様子で行ってしまった。
「ゆゆさん……余りからかわない方が良いんじゃありませんか?」
「からかうから妖夢は面白いのよ」
……この人、Sだ。
それでもゆゆさんは言葉を繋げる。
「あの子ったら剣の修行に打ち込んでばかりいたから女の子扱いされるのに慣れていないのよ。幻想郷は男っ気も少ないし。このまま妖夢に女の子とはどういうのか教えてあげて欲しいくらいよ」
「……遠回しに魂魄と異性として付き合えって言っていません?」
「あら? じゃあ妖夢と婚約してくれる?」
「自分はその気は全くありませんし、本人の意思を尊重してあげてください。自分って嫌われているじゃないですか」
そんな易々言うものではないし……。
…………。
「嫌われているというよりはあれじゃない? あなたをライバルとして見ているか。剣術で負けかけたことがあの子のプライドを刺激したんでしょう」
「あの剣術の打ち込みから見ても相当時間をかけていると分かりますよ。嫌われている理由の一つとしては楼観剣じゃないですか? 知らない他人に楼観剣を使われてたことに怒りを感じている」
「ま、それもあるでしょうね」
ゆゆさんはそう言いながらどこからかわからないけど扇子を取り出し、口元を隠して話を続ける。
「人間は短命。長くても百年ほどで命を落とす。けど、その短い限られた時間の所為か成長が早い。あなたはまだ数十年ぐらいしか生きていないけど……それなりに得たことが多いんでしょう? そうじゃないと異変だなんて解決できないもの」
「……新聞を読んだんですか?」
「紫から聞いたわ。どういう方法で解決したであれ、吸血鬼に勝てる人間なんて中々いないわよ?」
……霊夢や霧雨は勝ったことはあるらしいけど? 静雅も能力でやったら勝てそうだし。でも……少ないのは確かだ。
「生きている中でいろんなものを学びなさい。そして学んだものを生きている者へと教える。それが生きている者の宿命よ」
「……そうですね」
そういえば……ゆゆさんは亡霊って言ってたけど元は人間なのかな? 亡霊として今を生きているけど……『生きて』いるときに何かあって亡霊になったのだろうか……。
ゆゆさんは満足したように扇子をしまい。そのまま──
「あなたがここで面白いことをするのを期待しましょう」
──何故かこちらに向かって手を自分の頭の後ろを包むように両手で掴み──顔をゆゆさんの胸に押しつけられた──ゑ? この人何をやっているの!?
「──っ!? 〜〜〜〜っ!」
「あぁん……おっぱいの中で喋らないでちょうだい……くすぐったいわ」
「──っ!(バンバンっ!)」
「それは止めてくれっていうことかしら? だ〜め。これはあなたがここに来てくれた感謝と期待の気持ちなのだから大人しく──」
「──幽々子様っ!? 何をされているんですかっ!?」
意味不明な行動に床を叩いて抗議したが聞き入れてもらえない所に……竹刀を持ってきたであろう魂魄が怒気のこもった声で叫んでいるのが聞こえる。
魂魄に尋ねてきたことをゆゆさんは答える。
「何って……パフパフ? 女性のおっぱいの中に顔を入れるのが男の夢って(紫が)言っていたから叶えてあげようかと」
「────っ!?(バンバンバンバンっ!)」
そんなことは一言も言っていないし大事な主語を声を意図的に小さくしているし! 何か良いにおいがしてゆゆさんは胸が結構大きいし──ってそんなことはどうでもいい! 床を叩いて抗議するも無視されているし!
そのままゆゆさんの思い通りか魂魄は誤解を始めたが──
「ふ、不潔です! 破廉恥です! 何であなたもそんな不埒なことを幽々子様に頼んでいるんですか!?」
「彼、おっぱいが大きいのが好みみたいよ?」
ゆゆさんそう言った瞬間──シン……と音が沈んだ。
「…………」
「あら? 急に床を叩く音が聞こえなくなったわね?」
……中身重視な自分だけど、二割ほどは外見で占めている。出来れば希望でスタイルがいい人が良いな〜ぐらいなんだけど……何でゆゆさんが自分の性的思考を知っているんだろう!?
それを肯定と受け取ったのか……重い言葉で魂魄が話しかけてくる。
「……幽々子様。そいつを離してください。斬り捨てられません……」
「ん〜じゃあ、侠。頑張って♪」
ゆゆさんが拘束を解いた後、自分は猛抗議する。
「いや、その前に誤解を解いてくださいよっ!? 自分は一言もそんなことを夢だなんて言っていませんし!」
「じゃあ妖夢。一言だけ注意しておくわ」
「……何でしょうか?」
魂魄に対して何を言うのだろう──
「斬りつけるんじゃ無くて叩き切りなさい。一応組み手での得物は竹刀なんだからね」
「わかりました。竹刀で叩き切ります!」
「武器の配慮はありがたいですが自分の求めていたことと違うんですけどっ!?」
そこは普通話し合いによる和解じゃないんですかねっ!?
魂魄は自分に竹刀を持つように促すと距離を取った後、構えてこう宣言する。
「体に一回でも竹刀に触れると負けです! では──行きます!」
最初は落ち着かないまま組み手が始まり、自分は魂魄の動きに対応した……。
明かされた表主人公の外見的好み。本当に誰得なんだ……?
どうでもいい伏線の回収:本編の文の取材回を思い出せばわかります。察しのつく人はさらにわかるかも……?
ではまた。