第六章始動。表主人公視点。
では本編どうぞ。
一話 『現れた剣士』
「スタイリッシュ着地!」
急に紫さんのスキマに落ちたものの、何とか着地して辺りを見渡し──視界に入ってきたのは長い階段。
「……これまた長い階段だ。しかし、ここはどこなんだろう……?」
階段の横を見ると──桜の木が生えている、今の季節だと咲いていないはずだけど……まだ桜が咲いている木がある。
さて……紫さんが危険な場所に放り投げるということはしなさそうだし……。
「気長に……階段を歩いて行こうか……」
疲れたら飛べばいいや。自分はとりあえず階段を上り始めた……。
〜白玉楼〜
「──! 幽々子様、侵入者です」
「あら? 誰だか分かる?」
「いえ……感じたことの無い気配です。なので現場に向かいます(しゅばっ!)」
「……行っちゃったわね。まだ話している途中なのだけど……紫が気に入っている子なら大丈夫でしょ♪」
三十分以上は立っただろうか。まだ終わりが見えてこない。
「もう飛んだ方が早い気がする……」
能力を使って飛ぼうか、と思った──その時。
「──!」
何かがこちらに来ている。そう感知した自分は階段だけど上半身を伏せた。伏せた瞬間、風を切る音が聞こえ、階段の下の方へ見てみると──
「……! 只者では無いみたいですね……!」
全体的に緑が多い服に、腰の後ろには二本の鞘があり、脇差しはまだおさめられている。髪はショートカット、リボンが付いた黒いカチューシャをしており、肌は青白い。そして、両手で長刀を構えている女子がいた。
……隣に何かふわふわしたものが浮いているけど。
「君……いきなり真剣でやったら死ぬじゃないか!」
「侵入者にそんなことを言われる筋合いはありません」
……紫さーん? あなた自分を殺すつもりですか?
でも……まずは情報を得るのを優先すべき。目の前の女の子に詳細を尋ねてみる。
「ここら辺が君の領域なのかい?」
「いいえ、違いますが……仕えている幽々子様のものです」
「いやいや、そもそもその人誰……?」
……紫さん、あなたどんな場所に送り出したんだ……。
「質問は終わりですか? ならば斬る──」
「待った。まずは話し合おう──」
「問答無用!」
話し合う気ないーっ!?
その女の子は剣を振るってこちらを斬ってくる。それに対して自分は難なく躱す。静雅との組み手が日々を生きている──ってそんな事を思っている場合じゃない!?
「だから、話を、聞いてよ!」
「私は、あなたと話す、事は、ありません!」
「じゃあ、一方的に、話すけど、紫さんって、知ってる!?」
自分の言葉にに剣を振ることを止めた。よし! 反応があった!
「……紫様を知っているんですか?」
「知ってる。凄い知ってる。紫さんからスキマでここに落とされたんだよ!」
自分の言葉に女の子は考える。そして──
「ならば──斬って真実を知るのみです!」
「そこおかしいっ!? 何で斬るという選択肢が出てくるの!?」
「祖父からの教えです。『真実は斬って知る』と!」
それ絶対意味が違う!? ダイレクトすぎる!?
「ちょっとどころかそれは意味を取り違えているから! 物理的に斬っても真実なんで出てこないから!」
「それは斬られたくない……つまりは嘘なんですね! 紫様の名前を使って斬られたくないなんて……卑怯者!」
何なのこの子!? 頭のねじが数本じゃ無くて数十本抜けているよ!?
その子は斬りつけるのを再開して大ぶりに斬ってくる──
「──この分からず屋め!」
「──!? なっ──」
相手が斬るスピードに合わせて白羽取りをして受け流し、蹴りで剣を握っていた手に攻撃。反撃を予想していたかったせいか痛みで女の子は剣を離す。それを利用して左手で柄を掴み……女子の剣を奪い取った。
「私の楼観剣がっ!? 人の剣を盗むとはどこまで卑怯者なんですかっ!?」
「丸腰相手に刀二本持っている君に言われたくないよ! こっちは無抵抗で話し合いで解決しようとしたのに君が斬りつけてくる方がよっぽど卑怯者だ!」
「私は卑怯者なんかじゃありません!」
喧嘩を売ってきたのは向こうなのに。何なのこの理不尽?
剣を奪われてか、腰にもう一本ある脇差しを抜き取り構える。
「しょうがありません……この白楼剣であなたを斬る!」
「……戦いをやめるという選択肢は無いんだね」
「あなたに楼観剣を扱えるとは思えませんが……行きます!」
女子は素早いスピードでこちらを斬りつけてくるが……剣を手に入れた今、防御という選択肢もある。自分は斬撃を躱す、防御するのを繰り返す……なかなかこの剣、いいな。
「くっ……何故攻撃してこないんですか!?」
何時まで経っても攻撃をし来ない自分に疑問の声を投げつける。
「……君とは戦うつもりは無い。できれば攻撃を止めて話を聞いてくれない?」
「ならここで大人しく斬られてください!」
「────」
──失せろ──
「──っ!? 今のは──!?」
「──辰上流抜刀術【武器流し】!」
自己流の気迫を相手に押しつけ──剣の峰で相手の剣の鍔と柄の間にいれて、武器を無理矢理剥がした。剥がされた脇差しは階段の上へと飛んでいき、刃が下になり階段の床に刺さる。
そして自分は剣先を女の子の喉元に突きつける。
「……話し合うつもりにはなったかい?」
「…………っ!」
女子はまだ自分のことを睨んでいる……少し涙目だけど。
これからどうするか考えていたとき──
『そこまでよ。剣を収めてちょうだい』
最後に出てきた人物はもちろんあの人。
妖夢はまっすぐな性格。だけれどまっすぐすぎて勘違いもしばしばのイメージ。作者的にはそう思ったり。
それとは関係ないんですが本編にてちょくちょく名前とか出ている表主人公の義理の妹【陽花】の絵も描いてみたので、ここにも載せておきます。活動報告と同じ絵なので無視しても構いません。もしかしたら活動報告をご覧になっていない方もいるかもしれませんので。愚作ですがどうぞ。
【挿絵表示】
ではまた。