幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 最近まで【瀟洒(しょうしゃ)】が読めなかったのは内緒。
 表主人公視点に戻ります。
 では本編どうぞ。


『Stage4 〜完全で瀟洒な従者〜』

「……至る所で変な音が聞こえる」

 

 ……おそらく博麗達が誰かと戦闘しているのだろう。もしかして誰かが執事と戦っているのかな……?

 

「まぁ……今は進むのみ──」

 

 目の前を走っていたら──数本ナイフがこちらに向かって飛んできた!?

 

「おっとっ!?」

 

 急にナイフが出てくるとは思わなかったため、転がり避けた。

 

 ……ナイフって殺すつもりなのか?

 

『……! ただのネズミではないようですね……!』

 

 体勢を立て直しているとき、急に目の前に誰かが現れる。その人は──メイドだった。そして何となく少し疲れているように見える。原因はもちろんあの二人か……。

 

「あ〜……ご愁傷様……」

 

「……? あの二人のこと知っているのかしら?」

 

「まぁ、はい……無理矢理突破したようですいません」

 

「……謝るなんて変な人ね」

 

 心配したのに変な人扱いされた。

 

 しかし、そのメイドは自分に話しかけてくる。

 

「無理矢理突破してきたあの二人はともかく──あなたはここに何の用かしら? 見かけただの外来人の服装をしているけど……迷い込んだの?」

 

 ……今度はこの人と戦うことになるのかなぁ? どっちみち戦うと思うけど……いっか。言っちゃって。

 

「ちょっとこの現象について聞きたいことが──」

 

「──なら敵ね」

 

 はい、戦闘始まりましたー。メイドはこちらに向かってナイフを多く投げてくる。

 

 

 

 

 

 そして自分──俺は投げナイフを躱しながら──数本つかみ相手へ投げ返す。

 

 

 

 

 

「──まさかっ!?」

 

 メイドはまたナイフを投げて、こっちが投げ返したナイフを相殺。カランカランと音を立てて床に落ちたり、壁に刺さる。

 

「ナイフを掴んで投げ返す……!?」

 

「はぁ……ナイフなんか投げてくるから命の危機を感じるじゃねぇか。円球の弾幕を出して攻撃とかしないのか?」

 

「……私の弾幕がナイフ。そういう弾幕よりナイフを投げる方が得意なのよ」

 

「そうか……どうするかな……」

 

「(急に人が変わったような反応……ただの外来人じゃない……?)」

 

 ナイフは……致命傷になり得る凶器だ。しかも投げナイフの扱いがうまい……最近のメイドはここまで出来ないといけないのか?

 

 ……やることは一つなんだが、仕方ない。

 

「──さっさと突破させてもらうぞ!」

 

 俺は両手から多数の弾幕を放つ。それに対してメイドはナイフを投げて相殺したり、躱したりしている。

 

 ……見かけ上はそんなナイフは持っていないように見える。どこからこんな多数のナイフが出てくる……?

 

「あなたをお嬢様、執事に会わすわけにはいかないわ──」

 

 メイドはスペルカードを取り出して宣言。

 

「──幻在【クロックコープス】!」

 

 そう宣言すると、ナイフが前から飛んでくる。これなら問題ない──

 

「──!? ナイフが急に現れた!?」

 

 いつの間にか無かったところからまたナイフが現れた!? おかしい。さっきまでは前方のナイフだけで、メイドは他のナイフを投げていなかったはず!

 

「さぁ、避けきれるかしら?」

 

「ちぃっ!」

 

 それは相当手強い……! 再び剣のスペルを宣言。

 

「武符【リトルセイバー】!」

 

 赤い弾幕で出来た西洋の剣を柄から出現させて、ナイフをはじく。そのうちのナイフは勢いよくはじかれたりして床に数本刺さる。

 

 そして、時間が来たのか、ナイフの弾幕が止んだ……ようやくスペルブレイクだ。

 

「どこかの手品師かお前は? どこからナイフが出てきた?」

 

「あら。私は種なしの手品が一番得意なのよ?」

 

「手品師を通り越してマジシャンか……?」

 

「褒め言葉として受け取っておくわ。でも……次はどうかしら──」

 

 次のスペルカードを取り出し、宣言してくる。

 

「──メイド秘技【操りドール】」

 

 宣言すると、多数のナイフがこちらに飛んでくる。宣言した分はこちらに飛んでくるが──

 

「っ!? 今度は周りにナイフ!? さっきまでなかっただろ!?」

 

 前方からと同時に、左右後方といったところからナイフが飛んできている。剣でなるべくはじくが、同時に直撃はしないが、攻撃がかする。

 

 おかしい……ここまでメイドはどのくらいナイフを投げた!? いくら何でも底がつきるはず──?

 

 途中で違和感を覚えた──さっきはじいて床に刺さったナイフ、壁に刺さったナイフがどこにいった?

 

 ナイフが無限だとしたら──床に多数散らばっているはず。それなのに……ない。

 

 はじいて今度は刺さらないように注意しながら、刺さっていたところを思い出し、見てみると──無くなっている。

 

「…………」

 

「さっきから黙ってどうしたの? ここに来るまでに結構力を使ってだんだん無くなってきたのかしら?」

 

 頭の中で理論を展開──壁や床に刺さったナイフ──急に現れるナイフ──消えるナイフ──そして、最初のメイドの登場の仕方。

 

 ……考えが正しければ、このメイド……。

 

 そうと考えれば……証明するか!

 

 俺はナイフを躱す際──五本のナイフを掴み、見当違いの方向へ投げ、壁や床……さらにはメイドに刺さるように投げたが、躱されてしまい床に刺さる。

 

「……最初みたいなナイフ投げのコントロールはどうしたの?」

 

「こんな弾幕の中正確に投げられるか!」

 

 メイドは様子を怪しんだが、それっぽい返事を返す。そしてメイドからナイフが放たれ、急にまたナイフが現れる──その前に外見が余り変化しない程度に龍化する能力を足につかい(ズボンと靴で隠れるのでばれない)、速力を強化してメイドの場所まで急加速をする!

 

「なっ……!?」

 

 俺はメイドに斬りかかろうとしたが──予想通りにメイドが消えてナイフが現れるのに対応して剣でナイフをはたき落とした。

 

 そして、攻撃が止み、スペルブレイク。

 

「ふぅ……危なかったですね。今の速さで攻撃をもらったらひとたまりも無かったわ」

 

 背後から声が聞こえるので振り返る。何ともないようなメイドが立っている。

 

 俺が振り返るのを確認すると、メイドは話を続ける。

 

「しかし……今の急加速は何なの? 魔理沙と同等か速かったけど……人間が足で出せる速さじゃないわね? それがあなたの能力?」

 

「さぁ? 自分の能力は不便だからよく分からないな。それよりもお前の能力が便利そうだな──【時】に関する能力は」

 

「──!?」

 

 表情は冷静かも知れないが、俺の指摘で少し動揺したように見える……やっぱりそうか。

 

「不思議だったんだ。本当にマジシャンのように無限に出てくるナイフ。そしてお前の瞬間移動。種なしとか言われたら能力を考えつくが、ナイフを投げられている間は全然分からなくて混乱していた。だが──あることに気づいた。床や壁に刺さっていたナイフがなくなっていた。まるでいつの間にか回収したように。そして──改めて投げ返したナイフの内三本がなくなっている」

 

「──! そのための投げ返したナイフ!?」

 

「おそらく、そのうちの三本はちょうど俺がお前に斬りかかったときに回収したんだろう。お前以外の時を止めて。どこまでのことが可能か知らないが、スペルカード、そしてさっきの不自然な回避……おそらく、生き物に対しては止まっている間攻撃が出来ないというルールがあるんだろう。出来たら簡単に俺は今頃やられているはずだからな。時を止めている内に俺の周りでナイフを投げ、さらには投げたナイフの時まで止める。そして自分は攻撃の当たりにくい位置に移動して能力の解除……時は動き出したと言うことだろうな。ナイフに注目して回避している俺は相手が動いているとは気づきにくかった。だが、さっき……おそらく普通に回避は間に合わなかったから、何とか能力で止めることが出来たから、止まっている間移動して回避。そしてナイフの回収もしてナイフの配置。そして攻撃にいたる。こんなものだろ」

 

 俺の言葉に少し表情が険しくなるメイド。おそらくどれくらいまで合っているのか分からないが、それなりに証明が当たっていたのだろう。

 

「(……コントロールが悪かったように見せて目印にする、そして私に同時に攻撃をするという伏線……!? さらには急加速して行動を焦られて能力を使わざるを得ない状況に追い込んだのも伏線!? そして使ったことによって確実な答えを導いた……!?)」

 

「さて、おおよその種は分かったんだ……それを元に作戦も立てられる。後はお前が反応できないぐらいの早さで決着を付けるのみ!」

 

「(何より……この人は頭が良く、それを実行できる運動能力もある! 勘に頼らない、ちゃんとした根拠がある考えを持って行動する霊夢ね……)」

 

 俺がそう宣言すると、メイドは違うスペルカードを取り出した。

 

「種が分かったからといって、倒せるとは思わない事ね──幻符【殺人ドール】!」

 

 宣言し終わると、メイドの周りを回転しているナイフが多数出てくる。そして、こちら一斉に飛んできた。

「いきなり能力をあまり介さない形のスペルになったな……だが、甘い!」

 

 距離は離れているが、龍化して運動能力を強化した足で移動。その中で俺は躱したり、剣でナイフをはじいて近づいていく!

 

「!? そんなのはただの自殺行為よ!?」

 

 攻撃も実際かすっている。だが、当たらなければ問題ない!

 

 全て避けきった後。また新しいナイフが飛んでくる。どんどん近づいているせいか、躱す隙間がなくなってきている──だからこそ! あのスペルを使う!

 

 俺はポケットからスペルを取り出し、宣言!

 

「防符【リフレクション】!」

 

 宣言し、赤いぼやけを纏う。そしてナイフが体に当たり──当たった分だけ、メイドに撥ね返す!

 

「っ!? 撥ね返すスペル!?」

 

 メイドは能力を使うより、目の前の危機を体の防衛反応である反射で、かするが回避した……動揺によって導かれたミスだ。そこは能力で回避すべきだったことをしなかった。

 

「辰上流抜刀術──」

 

「しまっ──」

 

「──【一刀一閃】!」

 

 隙が出来たところを家系流剣術で──超スピードでの居合い切りで斬りつけた!

 

「きゃっ!?(ピチューン)」

 

 斬りつけ、メイドのスペルカードはスペルブレイクされた。

 

 そして一気に力が抜けたせいか、メイドは片膝をついた。その後、自分の赤いぼやけは消えて一先ずはスペルブレイク。同時に足の龍化も解いた。

 

 ……弾幕で出来た刃だから外傷で血が出るということはない。ちゃんとそこは気を配っている。ちゃんとした弾幕ごっこだからそういう心配は元々無いんだが。

 

 ……そして【自分】は剣をメイドさんに向けて、話しかける。

 

「勝負は付いたみたいだけど……まだ異変は終わっていないからね。君からでもいい。この異変を終わらせるように執事に頼んでくれない?」

 

「……させません……!」

 

 メイドさんはそういうと体が消えて、どこかに行った……はぁ。まだ終わらないのかな? とりあえず剣を柄だけにしてベルトに通す穴に収める。

 

「……おもいっきり【こっちの素】を出しちゃったし、気を引き締めなくちゃいけないのかな……? そういえばここの主って吸血鬼だっけ……? 龍化しないと危ない気がするな……」

 

 自分はとりあえず先を目指した走り出した……。

 




 Stage4終了。何気表主人公は咲夜の名前を知らないのでメイド呼び。

 表主人公の【素】……お久しぶり。そして……お気づきだろうか? 異変に入ってから初めて龍化を使用したのを……。

 次回はStage5──と言いたいところですが、現在霊夢はレミリアと、魔理沙は裏主人公と戦っていますので『Side Story』②を載せる予定です。

 ……書き溜めが進んだため、本日の20時にもきちんと投稿します。というよりゲームの時間や動画サイトを見る時間を削ったら結構書き溜めが溜まってた。モチベーションで週3にする一週間があるかも。

 ではまた。

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