今回の話は表主人公視点以外の状況です。パチュリーを倒して表主人公が移動している間に起こっていた出来事。
一応三人称視点。最初は会話文だけですが。
では本編どうぞ。
〜図書館〜
「……侠さん、本当に幻想郷にいたんですね……。今でも信じられないです……」
「ナ〜?」
「えっと……五徳さんで良いんですか?」
「ナッ」
「言葉はちゃんと分かるんですね……(どうして【五徳】を頭に乗せているのでしょう?)」
「……Zzz」
「体を丸めて寝始めましたね……侠さん、かぁ……本当に、優しい方でした……」
『──静雅の親友までこの幻想郷にいるとは思わなかったわ』
「はい──パチュリー様!? お体は大丈夫なんですか!?」
「ちょっと気絶したけどね。今は問題ないわ」
「そうですか……良かったです……」
「けど……辰上侠だったかしら? アレが本物だとしても……何故妖力があるのかしら?」
「……侠さんは人間のはずですよ? 外界で過ごしていたんですし……」
「半妖だとしてもあの妖力の大きさはおかしいわね。純粋な妖怪が持っているような妖力だった」
「……それは一体何故なんでしょう?」
「さぁね。あのスキマ妖怪がやることは理解不能だから。まぁ、考えられるとしたら、この異変は仕組まれていたかもね」
「え……っ!?」
「言っておくけど途中から話を聞いていたわ。あの辰上侠はスキマ妖怪が送り出したものでしょ? そして異変の犯人は知っている。だけど、本名と能力は分かっていないようだった」
「それは静雅さんが自分の情報を漏らさないようにしていたからですよね?」
「そう、そこが問題なのよ。そして昨日、突発的な異変を静雅は提案した……本当のことを言うなら、レミィ達の関係を修復できたらそれで終わりで良いはず。そして魔理沙に偽名と偽った能力を伝える……これは間違いなく霊夢にも情報が届いているはず。そして、【居候をしていると思われている辰上侠まで】。本名をもし伝えたとしたら、昨日の時点でもう来ているはずなのよ。本堂静雅という親友が紅魔館にいるということのために。辰上侠が請け負った言葉で『執事の起こした異変は辰上侠しか解決できない』。八雲紫は今回起こした犯人のことを知っていた。けど、【何で名前まで教えてくれなかった? スキマ妖怪はそういう情報を手に入れるのは簡単なはずなのにね】」
「──まさかっ!?」
「推測の域だけど……この異変は八雲紫が関わっているに違いない。異変自体は静雅がやったかもしれない。けど、それを命令したのは八雲紫だとしたら? そして辰上侠に伝わらないように偽名などの偽情報を流すように促したのが八雲紫だとしたら?」
「何でそのようなことを……!?」
「……考えられるとしたら一つ──」
「──どういう意図でそのようにしたのか分からないけど、静雅と辰上侠を戦わせようとしている。お互いそんな風になるとは知らないようにね」
〜廊下〜
「さっさとそこをどきなさい!」
「まだです……! まだやられるわけにはいきません!」
「──霊符【夢想封印】!」
「きゃぁあっ!?(ピチューン)」
〜そして──ロビー〜
「──星符【ドラゴンメテオ】!」
「──夜王【ドラキュラクレイドル】!」
【普通の魔法使い】の霧雨魔理沙と紅魔館の主のレミリア・スカーレット。二人の弾幕がぶつかり合う。お互いに拮抗し合ったが──
「弾幕は──パワーだぜっ!」
「──ぐふっ!?(ピチューン)」
わずかに魔理沙のスペルが力を上回った。そのことがレミリアのスペルカードを打ち破り、スペルブレイク。
「よしっ! 私の勝ちだぜ!」
「……運命通りね」
「何だ? 負け惜しみか?」
「いいえ。認めているだけよ。このスペルカード勝負はあなたの勝ち。ただそれだけだけど」
レミリアは【運命を操る程度の能力】を持っている。だが、彼女はスペルカード戦では能力は使わない。しかし、この言葉に魔理沙は違和感を感じる。
「(何だ……? レミリアはこんな潔く負けを認める奴だったか……?)」
「直に霊夢も私を倒して執事を倒しに来るでしょう──」
「その前に私がその執事を倒すけどな。霊夢よりも先に」
「──あら? まだ言葉は続いているわ──」
レミリアは一度言葉を句切り、宣言する。
「──執事にあなた達は勝つことが出来ない。これは私が操った運命ではない。既に決められている運命なのよ」
「……既に運命が決められている? 面白い冗談を言うようになったな」
意味深な言い方に、敗北宣言を受けた魔理沙は怪訝な表情を浮かべる。それでもなお、レミリアは話を続ける。
「ではこれから起こる運命でも言いましょうか──霧雨魔理沙、お前は執事に触れるはおろか、弾幕を当てることすら出来ない」
挙げ句の果てには攻撃が当たらないと言われてしまった。しかし、当の本人は鼻を鳴らしたが……。
「…………はっ! 誰かそんなことを信じるか──」
『ところがどっこい、その気になれば足場を動かないでお前さんを倒すことが出来る』
急に魔理沙の背後から聞こえてくる声。魔理沙は反射的にその場から離れる。
無論、そこに居たのは──
「──でたな! 異変の首謀者!」
「呼ばれて出てきてやったぞ。レミリア嬢……会場作りすまないな」
「気にすることはないわ。もうこれは運命で決まっていた。お前は魔理沙と遊んでいるといい。直に霊夢が来るでしょう。まずは運命通りに私は霊夢と戦ってくるわ。執事、運命通りにしなさい」
「了解した」
この日食を起こした犯人の執事。執事はレミリアと親しそうに会話をすると、彼女は飛行してどこかに向かった。
魔理沙は改めて執事に向き直り、怒りを含めた声で話しかける。
「とんだ舐めた野郎だな……! 動かないで私を倒せるって!?」
「事実だ。そして──さっさと尻尾を巻いて逃げろ。勝てない勝負で勝負をしてもお前さんは勝てない。博麗の巫女と同様に。醜態を見せる前に逃げると良い」
「誰が──逃げるかよ! 恋符──」
いち早く魔理沙はスペルカードの宣言。
「──【マスタースパーク】!」
彼女の代名詞と言われるまでになったスペル。太いビームが避けなかった静雅を包み込んだ。
「へっ! いくら何でもこの攻撃でそれなりにダメージを──」
『人はそれをフラグという』
魔理沙のスペルを浴びても……執事は立っている。何事もなかったかのように。彼の執事服すら何も影響がないように見える。
「──っ!? 何だぜ!?」
「これがフラン嬢の言っていた魔理沙の恋符【マスタースパーク】か。確かにパワーはありそうだ。あくまでパワーだけだが」
彼は拳を顎に着けながら考察する。だが、魔理沙は今の現象に混乱。
「(……どういうことなんだぜ!? あいつは確かに私の攻撃を避けなくて当たったはず! 当たったはずなんだ! それを何だ!? まるで──)」
「──攻撃なんて最初から当たっていないみたいにか?」
「──っ!? お前、人の心を!?」
「別にオレは読んでいない。お前さんの表情は本当にわかりやすいからそれで読み取っただけだ。そうだな……種明かしでもするか──」
そして、残酷な一言を魔理沙に突きつける。
「──今のオレは一切の攻撃を受け付けない」
「なっ……そんなこと出来るはずがないぜ!?」
「だったらさまざまな攻撃を撃ち込んでみると良い。それで真実が分かるはず。まぁ、オレは立っているだけだと暇だからオレも弾幕やスペルを使うがな!」
「……おもしれぇじゃないか! お前に私は勝つ!」
そして──結果は運命通りになる道筋を辿った──
地味に伏線回収。パッチェさんは頭が良い。当たり前だけど。
そして……裏主人公登場。何だ……このカリスマもどきは? どうしてこうなった? そして案の定のチート能力である。今回の場合は【攻撃を受け付けない】事象と設定されている。ガチ過ぎるだろこれ。
そして土曜日以外の投稿……頑張らないと。
次回は表主人公の視点に戻ります。
ではまた。