幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 作者はノーマル。
 再び三人称視点。
 ではどうぞ。


三話 『外界での親友』

「ふぅ……こんな物ですかね」

 

 パチュリーの使い魔である小悪魔は主人に頼まれて本の整理をしていた。

 

「すこし埃を被っていますね……埃を払って──? あれは……?」

 

 小悪魔は床にある物を見つけた。液晶と呼ばれる物が付いており、色は白。二つ折りで外界の道具で言う──

 

「確か……【携帯電話】でしたっけ? 静雅さんが持っていたのと同じですし」

 

 幻想郷には無い物の一つ、携帯電話。小悪魔の記憶だと同じ持っている物通しで間接的に会話できる物だと言われている。一度パチュリーがどんな仕組みだか分解しようとしたが、静雅は拒んでいた。

 

 ……実はと言うとある天狗は持っているのだが。

 

「……もしかしたら落としたのかもしれませんね。だったら拾って渡しておきましょう」

 

 そう善意的に思い、小悪魔は携帯を拾う。ちょうど二つ折りの部分に爪が入り──

 

「あ、開いちゃっ──」

 

 開いた瞬間、待ち受け画像で二人の少年が出てくる。一人の少年は彼女も知っている本堂静雅だ。もう一人の方の腕を伸ばして肩に腕を乗せながら気さくに笑っている。

 

 小悪魔は本堂静雅も見たが、気になったのはもう一人の少年だった。

 

 その少年は雰囲気で迷惑そうにしているが、何となく優しい感じの表情をしている。無理矢理付き合わされたのかもしれない。けど、どこか嬉しそう。大人しそうな表情にも読み取れる。

 

「…………」

 

 小悪魔はその少年をじっと見る。以前に個人的に読んだ恋愛小説で自分の想像した人物と一致する。パチュリーからは【大人しくて優しいタイプの異性が好み】と分析されているが、あながち間違いではない。

 

「(……外界でこんな人がいるんだ……)」

 

 穴が開くほど見ていたが、数十秒後に急に画面が暗くなって見えなくなってしまった。

 

「あ!? 見られなくなっちゃいました!? もしかして壊したちゃったんでしょうか……!? うぅ……どうしましょう……これを静雅さん見られてしまったら──」

 

「──ろうそくを垂らされてSMプレイをされてしまう!?」

 

「はぅ……どうしま──って静雅さん!? いつの間に!? というよりろうそくって何ですかっ!?」

 

 小悪魔の背後から知っている声が聞こえてくる。小悪魔の予想通り持ち主の本堂静雅である。片手に何やらファイルなのを持っているが。

 

「安心しろ。いくらSっけのあるオレでもそんなことはしない。しかし携帯そこにあったんだな。おそらく魔理沙と戦っていたときに落としたんだろうが……見つけてくれてありがとな。ただ……内容を見るのをいただけないな。今回は待ち受け画面だけ見ていたから良かったが。ちなみにそれは壊れていないぞ? 何もしないで一定時間がたつと暗くなるんだ」

 

「そ、そうだったんですか……。それと、勝手に見てすみませんでした」

 

「何、待ち受け画面のオレの親友を見てても何も怒らんさ」

 

「……外界のお友達なんですか?」

 

 静雅の言葉に小悪魔は携帯を返しながら聞く。

 

「あぁ。外界の一番のお友達だ。小悪魔が見ていたのは辰上侠っていってな? オレが幼い頃の親友なんだ。ここで例えるならレミリア嬢とパチュリーの関係を持っている」

 

「へぇ……そうなんですかぁ」

 

「侠は万能タイプでな? 勉強も運動、家事スキルもあって頼りがいのある奴だ。ただ、余り社交的ではない。一定の人達だけ関係を持つんだ。それは家族なり、ここでいう寺子屋の勉学を学ぶ場所で数人しかな」

 

「……? 侠さんは社交的じゃないんですか? 優しそうな雰囲気をしていたのに?」

 

 小悪魔はそれは以外だった。勝手な考えだが、静雅と友達関係に当たる人は皆明るい性格だと思ってた。行動的な静雅。静動的な親友。一見馬が合わなそうだ。

 

「……ま、いろいろあるんだ。侠なりには侠なりの理由がある。だが、侠と仲良くなれば色々と尽くしてくれたり助けたりしてくれるぞ?」

 

「……仲の良い方だけそうしてくれるんですか?」

 

「道中に困っている奴がいたとしては別だが……一定以上の仲じゃないと本当に興味が無い……ここだけの話なんだが……侠は無意識的かもしれんが、年上の雰囲気のする女性が好みなんだ。まぁ外見的に見て年上の奴がな。まぁ、家族的妹ポジションがいた影響かもしれないがな」

 

「……?」

 

 急に話題が変わったので小悪魔はついていけない。一体何を言いたいのか。

 

 そして、静雅は言葉をつなげた。

 

「特に──小悪魔は外見的好みに入っていると思うぞ?」

 

「こ、こぁああっ!?」

 

 ──急な静雅の発言に小悪魔は変な声を上げ、顔を赤らめた。

 

 静雅は根拠を続いて言う。

 

「これはオレなりに考えたことだが……まず、スーツを着ている時点で【できる女】と年上の雰囲気を出している。そして誰にでも優しい言葉遣い。これもいいな。そして何よりもセクハラ発言で悪いが──スタイルが良いこともプラスとして入っている」

 

「──」

 

「すまないな……だが、小悪魔がちょうど気にかけた男なんだろ? 侠も実際にいたら小悪魔のことを優しくしてくれると思うぞ。種族とかは関係なくな。あいつは無意味な差別やらは嫌いだから問題ない」

 

「そ、そうでしょうか……こんな私でも仲良く、なれるでしょうか……?」

 

 顔を赤くして伏せながら呟く小悪魔。しかし、静雅には聞こえていたようで。

 

「仲良くなれるか気になるということは……脈はあるんだな?」

 

「こぁっ!? えええええと、そんな、私ははパチュリー様のつつつ使い魔ですし、れれれ恋愛事なんて──」

 

「──あなた達、図書館では静かにしなさい」

 

 二人の会話に呆れたように割り込んでくる声。こちらに向かって浮いて飛んでいるのはその主は図書館の管理人でもあり、小悪魔の主であるパチュリー。

 

「す、すいませんパチュリーさ──」

 

「お、パチュリー。聞いてくださいよ姉さん。小悪魔はこの男に興味を持ったみたいですぜ?」

 

「静雅さぁんっ!?」

 

 小悪魔の驚きの声はともかく、どこかの子分みたいな口調で携帯の待つ受け画像を開いて、パチュリーに見せる静雅。

 

「別に私は姉さんじゃないわよ……ん? 何となくだけど、小悪魔の理想に近い外見ね。けどヘタレそう」

 

「ところがどっこい、やるときにはやる男な親友なんだ。普段はおっとりして真面目だが、本気を出すと男らしくなる」

 

「それで小悪魔はこの男に興味を持ったと……」

 

「ぱ、パチュリー様〜……」

 

 そしてまた画像に写っている侠を見て、パチュリーは一言。

 

 

 

「私はこぁが誰かと恋愛しても構わないわよ。ただ──小悪魔と人間のハーフは気になるところね」

 

 

 

 ──先が行きすぎている爆弾発言をして。

 

 

 

「こぁああああっ!?」

 

「すげぇっ!? ある意味予想外だ!」

 

「だって気になるじゃない? 近辺に妖怪と人間のハーフがいて、冥界には幽霊と人間のハーフがいるのよ? それだったら小悪魔と人間のハーフを見てみたいわね」

 

「そそそそんな……いきなり子供だなんて──」

 

「──冗談よ」

 

「「…………」」

 

「…………何よ? 二人して変な顔して」

 

「パッチェさんの冗談は分かりにくいぞ……」

 

「うぅ……パチュリー様もからかうんですかぁ……」

 

「これでもユーモアを効かせた方なのだけど……それと静雅。変な呼び方は止めなさい」

 

 ある意味二人は度肝を抜かれたであろう。

 

 パチュリーは話題を変え話しかけてくる。

 

「それはそうと……静雅。あなたの能力ならその男をここに呼べるんじゃないの? スキマ妖怪みたいなこともできるんだし」

 

 パチュリーは小悪魔のためにそう提案してみたが、静雅は手を横に振る。

 

「いや、無理だ。オレの力は世界を繋ぐことはできない。できてたら好き勝手に幻想郷に来たり外界へ戻ったりしているさ。だからオレが幻想郷にいて、外界にいるであろう侠を呼ぶことはできない。まだここにいるのなら話しは別なんだがな。まぁそれでもオレの知っている場所じゃないと呼び出せないしな」

 

 静雅は数日の内に能力を把握してきたのだろう。能力の制限で、外界には干渉できないらしい。

 

 それを聞いてしまった小悪魔はいうと。

 

「そう……なんですか……(しょぼーん)」

 

「「(頭と背中の羽根が寂しそうになった……)」」

 

 二人から見ても少し落ち込んでいると分かるぐらいだった。

 

 ──実際には辰上侠は幻想郷にいるのだが、この時は知らなかった。

 

 話題を切り替えるようにパチュリーは静雅にあることを話しかける。

 

「こんな所で雑談しているようだけど……静雅。私はてっきりもうレミィの所へ向かっていったのかと思ったけど?」

 

「その途中で携帯を持った小悪魔に遭遇したからな。しょうがない」

 

「しょうがないじゃないわよ……ちゃんと妹様について教えてあげたのだから、レミィを説得してくるのなら説得してきなさい。後、そのファイルは置いて行きなさい。全くレミィと関係ない物でしょう」

 

「まぁ、そうだけどな。とりあえず自室にこれを送るとして行ってくる。ここ数日間しかたっていない下克上的な物を」

 

「えっ!? 静雅さん!? それはどういう──」

 

 小悪魔は問いかけようとしたが、静雅の体がぶれて消えた。能力でレミリアの居場所まで行ったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 ──姉妹仲を、改善するために。

 

 

 

 

 

 

 

 

「パチュリー様……静雅さんはどうしたいんですか? 下克上とか言っていましたけど……?」

 

「正しくは下克上ではないけどね。本心を聞いてくるだけよ。妹様についての」

 

「本心……?」

 

「妹様は不安なのよ。レミィと会ったとき表面上は明るくしているのかもしれないけど、内心はどうなっているか知らない。本当に自分は生きている意味があるのか、どうして地下に軟禁されているのかをね。静雅がその話題を持ちかけたときはビックリしたわよ。多分、昨日会ったときに妹様は本心を静雅に言ったのかもしれないけど」

 

「会って間もないですよ妹様と静雅さんは? どうして妹様は静雅さんに本心を言ったと分かるんですか?」

 

「こぁ……彼の今の種族は──人の心を荒らす神──荒人神よ。妹様の本心だって能力と合わせれば本心を聞き出すことだって不可能じゃないわ」

 

「……不思議に説得力がありますね」

 

「自分でも不思議に思うわよ──(? 今、妹様の姿が見えたような──)」

 

「? パチュリー様?」

 

「こぁ……私達も行くわよ」

 

「…………えっ?」

 




 表主人公が知らない内にフラグが立ったよ! やったね!
 ここでの姉妹仲はすれ違いが有り、その事にフランは不安に感じています。
 ではまた。

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