幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ゲームセンターにはお金を使うが、ギャンブルには費やさない。
 では本編どうぞ。


四話 『紅魔館の外来人について』

 藍さん達と別れて、石段まで来た時に翼を閉まっていたとき──

 

『霊夢も会えば分かるぜ! あいつの変なところとか!』

 

『嫌よめんどくさい。異変とか起こしていないんだし』

 

『ん〜……紅魔館の執事、ねぇ……』

 

 博麗神社に帰ると何やら話し声が聞こえてくる。縁側に座って話しているのは何やら訴えている霧雨、流している博麗、何か考えているマーガトロイドがいる。

 

「三人ともどうしたの? 何か人の話みたいだけど……」

 

「お、侠。ちょうど良かった。お前にもちょっと聞いてもらいたいんだぜ!」

 

 三人に話しかけたら真っ先に話しかけてきたのは霧雨。

 

「お前、紅魔館のことはどこまで知ってる?」

 

「紅魔館ねぇ……博麗に聞いた話だと、吸血鬼が住まう館ぐらいしか知らないけど。後最近外来人を雇ったことぐらいしか」

 

「そうだぜ! その外来人に私は会ってきたんだが……何か名前やら能力やら変なんだぜ!」

 

 名前や能力が変って……どういうこと?

 

「外見とかどうだった?」

 

「執事服を着ていた。それで髪にヘアピンをしていたんだ」

 

 外見を聞くと情報は男、それでヘアピン……ある親友を思い返したが──

 

「そいつ本人は本宮樹って言っていたんだ。パチュリーも樹って呼んでいたんだが……」

 

「本宮……樹? その名前は知らないなぁ……。それと、パなんとかって?」

 

 ──どうやら違うみたいだ。考え直して違う人について聞く。

 

 自分の疑問にマーガトロイドが答える。

 

「パチュリー・ノーレッジよ。紅魔館の地下にある図書館を管理している魔女よ。魔理沙はそこでいつも本を盗んでいるわ」

 

「……盗みは良くないよ?」

 

「失礼な。私はただ死ぬまで借りているだけだぜ……昨日は借りられなかったがな」

 

「いや、今回は未遂だけどそれ借りパクだから」

 

「……おまえ、樹と同じ事言うんだな。そいつも私の行動を借りパクと言っていたぜ。外界ではそんな言葉なのか?」

 

「まぁ、その場合はそういう風に言う場合が多いかな」

 

「で? その外来人の能力やらがどうしたのよ?」

 

 話が反れ始めていたので博麗が話を戻す。霧雨は口をゆっくりとしながら話始めた。

 

「……私が把握している限りだと三つぐらい能力を持っているぜ」

 

「三つ!? ただの外来人が能力を持って三つも!?」

 

 霧雨の言葉にマーガトロイドは驚きの声を上げる。そういえばだいたい一人一つの能力が多かったような気がする。

 

「まずあいつが言っていた【物質を見えなくする程度の能力】。それとこれは推測だが【移動させる程度の能力】。後は香霖曰くだと【物を元通りにする程度の能力】だぜ。ちなみに共通点は手をかざすぐらいだぜ」

 

「……最後はともかく、最初の二つは強大すぎない?」

 

「そりゃあそうだぜ! あいつの弾幕が見えなかったんだ! それで本を借りようとしたところを紫みたく強制的に移動させられたんだぜ!?」

 

「…………紫は何て外来人を連れてきているのよ…………」

 

 ……特別な事情でも無い限りは能力は一人一つが多数なはず。

 

 顎に手を付けながら自分は考える。この三つをまとめると……。

 

「……【物質情報を操る程度の能力】?」

 

「侠? あんた何言ってんのよ?」

 

 思わず声が出たが、それを博麗に聞かれる。

 

「いや、だってさ? どれも人も【物質】と定義して考えれば三つとも共通できるかなって? 物質の色を見えなくする、物質の場所を移動させる、物質を元通りにする。限定条件として必要か分からないけど手を使う。そうすれば三つのことをまとめたら【物質情報を操る程度の能力】に近いニュアンスで考えられるかなって思ったんだよ」

 

「「──!?」」

 

「へぇ……そう考えるとそうとらえることができるわね」

 

 自分の考えに魔法使い二人は驚き、博麗も感心したような声を出す。

 

「侠……お前って頭が良いのか!?」

 

「頭が良いかはともかく、これは仮説だけどね。これでもまだ情報は少ないくらいだから確信的とは言えない。今現在の情報をまとめるのならそうなるかな」

 

「あなた……魔力があったら魔法使いに向いているわよ。良くそんな風に情報をまとめたわね」

 

「そうかな? ……そういえば自分に魔力は無いのか──ん? そういえば自分は何の力を使って弾幕を出しているんだろう?」

 

「そりゃああれだろ? 霊夢みたいな霊力だろ?」

 

「妖怪の山の巫女の神力的なものは感じないしね。ましてや妖力なんて物は外来人にはないだろうし」

 

「(……実際に侠の力は妖力なんだけど、紫には口止めされているしねぇ……)」

 

 おっと。だんだん会話がずれている。

 

「これからその外来人についてどうするんだい?」

 

「これからと言ってもな……あいつの意味不明なことが多いんだ。中国と香霖があいつの名前を言ったとき変だったんだよな……名前を聞き取れなかった」

 

「名前を聞き取れない……名前も物質として扱うのかしら?」

 

「それは自分にも分からないなぁ……」

 

 

 

 

 

「──多分、そいつも異変を起こすんじゃないのかしら」

 

 

 

 

 

 どうするか話し合っていたとき、急に博麗がそう言い出した。

 

「博麗? それはどうして?」

 

「勘よ」

 

 え……勘って……それって一番当てにならないんじゃ──

 

「霊夢の勘か。じゃあしょうがないな」

 

「これから異変が起きるのね……外来人が起こす異変って……」

 

「……何故博麗の勘に納得しているの?」

 

 どうして霧雨とマーガトロイドが頷いているのかわからない。

 

「霊夢の勘は当たるからな。こりゃあもう異変が起こるのは確実だぜ」

 

「いっそ、霊夢の勘も能力の一種じゃないかと私は思うわよ……」

 

「別にそんなんじゃないわよ。何となくそう思うだけよ」

 

 ……宝くじの○ト6をやったら簡単に当たるぐらいのレベル!?

 

 外界だと凄い大儲けが出来るんじゃないかと考えていたとき、霧雨は改めて博麗に尋ねる。

 

「じゃあ霊夢? これからその外来人を退治しに行くか?」

 

「まだ異変が起こっていないじゃない。今から行ってもレミリア達がギャーギャーうるさいわよ」

 

「今は様子見って事ね。どんな異変を起こすか分からないけど」

 

 う〜ん……何か異変が起こるって方向に進んでいるなぁ……。

 

 まぁ、とりあえず今は情報を整理しよう。

 

「じゃあその外来人は紅魔館の執事をやっている本宮樹(仮)について情報を整理しよう。現在考えられる能力は【物質情報を操る程度の能力】。しかしこれは確定的ではない。そういえば霧雨は弾幕を見たって言っていたね。そうなるとその本宮と弾幕ごっこをしたって事だよね? 霧雨から見て実力はどうだった?」

 

「…………言わなくちゃ、駄目か?」

 

 霧雨に聞くが、何故かいつものように声が覇気が無い。

 

「あった方がもしも異変を起こして、その張本人だとしたら異変解決者でもある二人と情報を共有し合った方が良いんじゃない?」

 

「…………そうかもしれないが──」

 

「さっさと吐きなさい魔理沙。いつも異変の時は誰が黒幕か分からないまま解決しに行っているけど、今回の犯人と思われる奴を知っているのは魔理沙だけなのよ? だからさっさと吐け」

 

 博麗は促すようしているけど……あまり女子に吐けって言って欲しくないなぁ。

 

 霧雨はようやく腹を割ったように話始める。

 

「……負けたんだ」

 

「「……えっ」」

 

「……あんたが?」

 

「そうだ! 負けたんだぜ! 確かに油断したせいはあったかもしれない! だがある意味私は手加減されて負けたんだ!」

 

 異変解決者である……霧雨が負けた? そんなに強いの?

 

 マーガトロイドは霧雨に尋ねる。

 

「魔理沙……どういうことよ? 仮にもあなたはこの幻想郷での実力者よ? それで手加減されたって……?」

 

「あいつ……被弾回数はお互い五回だったんだが、スペルカードの枚数のことであいつは二枚、私については何枚でも使って良いという舐められたハンデでだ! しかも結局的には私は一発も当てられずに完封負けしたんだ……。スペルカードは私は一枚だけ使ったんだが、樹も一枚だけ使って私のスペルを無効化したんだぜ……」

 

「魔理沙……まだ知っていることがあるのなら話しなさい」

 

 少し真剣な表情で博麗は霧雨に聞く。同じ異変解決者がそうなっていることに興味を示したんだろう。外来人、本宮樹は何者かを。

 

 その後の情報は挑発をしてくること。香霖さんが作った対弾幕の槍を使ってくること。使ってきたスペルカードの効果は重力を五倍にして動けなくする効果のスペルだということ。

 重力のスペルに関して博麗は影響を受けないらしい。【空を飛ぶ程度の能力】で重力に縛られないからだという。

 

「……それなりに弾幕ごっこはできるみたいね……侠とは違って」

 

「ん〜……引き合いで自分を出されても……」

 

 単に自分は余り戦いたくないだけだ。

 

 霧雨は話し終えたようなので締めくくる。

 

「とりあえず、私が知っている情報はここまでだぜ」

 

「そう。こんな時文がいれば情報がさらに集まるんだけど──」

 

 

 

 

 

『ここで私の力が必要になってくるんですね分かります!』

 

 

 

 

 

 急に誰かがその場に風のように現れてそう言った……。

 




 次回は新聞記者が登場としか言いようがない。
 霊夢の勘って本編でも書かれていますが、好きなところにマークする宝くじに対して大儲けしそうですよね。宝くじ販売会社涙目。
 ではまた。

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