幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 サブタイトルに『〜Ex side story〜』と表記されている話は次回への布石だと思ってください。要約するとフラグ回。
 視点は魔理沙。
 ではどうぞ。


『〜Ex side story〜』1

「──!? 何が起きたんだぜ!?」

 

 あの外来人に負けて、腹いせに本を借りようと(ここ重要)したとき、樹の手の照準が私に合った瞬間──紅魔館の門にいつの間にかいた。

 

「おかしいぜ……あいつの能力は【物質を見えなくする程度の能力】のはず。なのに何で門まで飛ばされるんだぜ……?」

 

「──魔理沙さん〜どいてくださいよ〜!」

 

 私の下から聞き覚えのある声が聞こえる。下を向くと紅魔館の居眠り門番、中国がいた。実際には中国って名前じゃないが。

 

 そういえばここに来るときブレイジングスターを使ってさっさと突破したんだった。それで気絶して、私がちょうど降ってきたと。

 

「すまん中国。今どく」

 

「だから中国じゃないですよ〜紅美鈴です〜!」

 

 私がどいていると立ち上がりそんなことを言ってくる。だがそんなことはどうでも良い。中国の名前よりも私は聞きたいことがある!

 

「中国、図書館にいた外来人って一体何なんだ?」

 

「だから中国って名前じゃなくて──え? 外来人ですか?」

 

「そうだ。本宮樹って奴なんだが、あいつの能力って【物質を見えなくする程度の能力】で合ってるよな? 何故かあいつの手が私に照準を合わせた瞬間、いつの間にかここに来たんだが?」

 

 あのひねくれた外来人について尋ねる。あいつは能力を偽っていたのだろうか?

 

 だが、何故か中国は不思議な顔をしながら答える。

 

「あの、すいません……本宮樹さんって誰ですか?」

 

「……は? 紅魔館で新しく雇った奴に決まってんだろ? 執事服を着た」

 

「執事服ならともかく、本宮樹さん何て外来人は雇っていませんよ?」

 

 ……どういうことなんだぜ!? 紅魔館の住人の中国が知らない!? でも、パチュリーは樹って呼んでいたよな……? 中国だけはぶられているとか?

 

 中国は私の言葉に応えようとする。

 

「あの、魔理沙さんが言いたい人って──さんじゃないですか? ────さん。数日ここで働いていますが? ちなみに──さんはそんな能力じゃありませんし」

 

 ……? おかしいな? 名前の部分が聞き取れなかったぜ。

 

「悪い……もう一度、フルネームで言ってくれないか?」

 

「? 魔理沙さんが会ったと思われる方は────さんですよ」

 

「……中国。ふざけているとマスパ喰らわすぞ?」

 

「ちょっ!? 何でそんなにキレ気味なんですか!? 私ちゃんと答えていますよ!?」

 

 ……中国の態度から見ても名前の部分だけ聞き取れなくしているわけじゃないらしい。

 

 …………何が一体どうなっているんだぜ?

 

 かくなる上は……香霖に聞いてみるか。一度もう仮にも会ったし、教えてくれるだろう。

 

 私は混乱している中国をおいて、香霖堂に向かった。

 

 

 

 

 

 少女移動中……

 

 

 

 

 

「香霖〜! ちょっくら聞きたいことがあるんだぜ〜!」

 

「……夜も近いのにどうしたんだい、魔理沙?」

 

 ドアを開け、椅子に座りながら……何かを耳に入れながら返事をする香霖。周りを見渡すと、いつも本を読んでいる朱鷺子はいないみたいだぜ。

 

 ……おっと、本題に入るとするか。

 

「今日、紅魔館に新しく雇った執事に会ったんだ」

 

「へぇ。どうだったんだい?」

 

「……性格がひねくれていて嫌な奴だったぜ」

 

「ん? そうなのかい? 彼は結構気さくで話しやすかったけどね……?」

 

 あの野郎……人によって態度がころころ変わるのか?

 

 後、絶対私がそいつとの弾幕ごっこで負けたことは言わない。侠には勝ったのに、同じ新参者の奴に負けたなんて言えないぜ……。

 

 さっさと聞きたいことを聞くか。

 

「そいつと会って私は帰ろうとしたんだが、そいつの名前をど忘れしちゃったんだぜ。ちょうどここを通ったから教えてくれないか?」

 

 香霖なら中国と違って変な風にはしないだろ。

 

 ──だけど。

 

「彼? 彼の名前は────君だよ」

 

「…………香霖もなのか!?」

 

「? そんな声を荒げてどうしたんだい? 彼の名前に何か変なことでも?」

 

 どういうことなんだぜ……っ!? 頼みの香霖も中国みたく名前の部分だけが聞き取れないぜ!?

 

 ……だ、だったら!

 

「あいつの能力はアレだよな? 【物質を見えなくする程度の能力】だよな?」

 

「? 違うと思うよ。彼の能力は【物を元通りにする程度の能力】じゃないのかい?」

 

 !? 何でここでまた食い違うんだぜ!? これでまだ【相手を移動させる程度の能力】だったらまだ納得はできたんだが!?

 

 香霖は耳に入れていた物を一度取り、見せてくる……確かこれって香霖が言っていた【MDプレイヤー】と【イヤホン】だったよな? 外界の音楽を聴くという物らしいが……。

 

 香霖はそれらの道具を見せながら説明し始める。

 

「実際彼にこのMDプレイヤーとイヤホン、さらには入っている電池というものを直してもらったんだよ。手をかざしたら一瞬のうちにこれらが直ったんだ」

 

「……そうなのか」

 

 どこかの腹ぺこ妖怪みたいな言い方になってしまったが……あいつって能力は三つも持っているのか!? 物質を見えなく、移動させる、そして物を元通りにする程度の能力。共通点は手を対象に合わせるぐらいだぜ……。

 

「…………また来るぜ」

 

「あ、あぁ……」

 

 少し弱々しくドアをを開け、香霖堂を出て行く。

 

 ……今夜から眠れそうにないぜ……。

 




 裏主人公の能力の仕込みが間に合い、魔理沙は本当の名前や能力を聞き取れないようになっています(メモ書きも同様で霞んで見える)。この【事象】については裏主人公と関わったことのある人物には何ともありません。裏主人公と関わりのない人物は聞き取ることが出来ない【事象】となっています。ゆかりんが話した通りに行動をしている。情報漏洩防止。
 次回は表主人公──その前に、現時点での主人公設定を投稿したいと思います。物語が進むごとに随時設定を追加する場合は新しく追加事項として作り直します。
 そして──本日の20時に投稿する予定の主人公設定に、とある作者様が企画した【挿絵グランプリ】に参加します! ヘタかも知れませんが、表主人公と裏主人公のイメージ図を載せます。興味のある方は見てみてください。保証はしませんが。
 ではまた。

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