表主人公視点。
ではどうぞ。
『魔法の森をフラフラしていたけど……そういえば香霖さんと随分会ってない……ちょうどいいかも』
寺子屋の仕事が終わり、歩いて博麗神社に帰ろうとしていた道中に……香霖さん事【森近霖之助】さんが開いているお店【香霖堂】が目に入った。相変わらずド○ルドとカ○ネルは仲良く肩を組んでいる。
……最初で最後が一回だけだったからねぇ……その時は霧雨と一緒に来たんだっけ。それで先客として静雅達が去った後だったような気がする。
「……挨拶がてら入ろう」
そう思い、扉を開けて中に入ってみると――
『──むしろ幻想郷に流れてくるのはどうして時代遅れの物限定なんだ? たまには最新の物を流れてきても良いだろ?』
『僕にそんなことを言われてもね……幻想郷に流れてくるのが静雅君でいう時代遅れの物なのだから仕方ないだろう?』
『最新のやつでも時代の波に乗れないで去っていくケースもあるんだけどなぁ……一般の顧客に人気のない商品とか。そういう商品とか何気かなり便利な物もあるっていうのによ……』
『そうか……実は最近、新しく仕入れた物があるんだよ。それを見て詳しいことを教えてくれないかい?』
『モチ。どんと来い』
『君には毎回助かっているよ――おや? 君は……侠君じゃないか。魔理沙と一緒に来た時以来だね?』
──お店に入ると……店主である香霖さんが静雅と何か話していた。そして離している最中に気付いたのか、自分に話を振ってくる。香霖さんの指摘で気付いたのか、静雅も振り返って自分に話しかけてきた。
「お? 侠じゃん。ここで会うのは初めてだな。何か買い物か?」
「まぁ、挨拶がてらいろいろかな? 自分って白玉楼に送られたり、ご先祖様騒動があったり、守矢神社で家事をやっていたからあまり来れてなくてね……たまたま今回時間が空いたから寄ってみたんだよ。香霖さんも長い時間を空けてすいません」
「別にそれは構わないよ。現にしてここまで足を運んでくれたからね。それにしても……君には驚かせてくれるよ。まさかこの幻想郷を創った創造神の龍神が心の中にいるんだってね? しかも先祖返りらしいじゃないか。外来人である君が幻想郷の創造神の血が体の中を回っているんだ。すこし君の出生は少し共感したよ」
「霖之助って半妖だからな。それで侠と共感したんだろ?」
「まぁ、そうだね」
静雅の言葉に相槌をうつ香霖さん。
「ご先祖様が心の中、それで先祖返りでもある所為か人里では神様扱いにされていますからね。かなりの頻度で貢物をもらったりとか大変ですけど。香霖さん、もしご先祖様と会いたいなら変わりましょうか?」
「……本当に意識の交換ができるんだね……じゃあお願いしようかな? 幻想郷の創造神なんだ。挨拶しない方が失礼にあたるからね」
『「お? 我が表に出てもよいのか?」』
構いませんよ。
『「では主、体を借りるぞ――」』
意識を交換し──髪の毛と目の色が変わり……ご先祖様は香霖さんに話しかけた。
「ふむ。森近霖之助。我に対する礼儀を評価する──む?」
「? 龍神様、どうかなされたのですか?」
挨拶をしている途中で何故か言うのを中断したご先祖様。
……どうかなされたんですか?
『「……主。ここにはとんでないものが保管されておるようだ……体を借りて気付いたぞ」』
……とんでもないもの……?
そして確信に変えるためか、ご先祖様は香霖さんに問いかける。
「森近霖之助よ。ここには【剣】を保管しているようんだの? それには偽りはない……そのはず」
「……そうですね。確かに保管しています」
「その剣──草薙の剣ではないか?」
「⁉ そんな事もわかるんですか⁉」
ご先祖様の言葉に静雅は反応し、悩むようにして言う。
「草薙の剣……それって何かの話でヤマタノオロチを倒して、腹から出てきたと言われる……伝説の剣だろ!? それがここ香霖堂にあるのか!?」
「あるの……別名として天叢雲剣とも言われておるが。お主……それをどこで手に入れた?」
……何でそんな伝説上の剣がここにあるんですか!?
ものすごい驚愕を受けた後……控えめな声で香霖さんは答えた。
「龍神様……それに静雅君も……このことは内密にしてくれませんか?」
「構わぬ」
「了解した」
「……ここでは【霧雨の剣】としているますが……魔理沙がどこからか拾ってきて、それを買い取ったんです。無論、魔理沙には本当の事は教えていませんが……」
「……何? 拾った? それでお主が真実を隠して買い取ったと?」
「はい……本当の事です」
「何故伝説の剣がそこらの落ちているのか疑問だがの……嘘偽りはないの」
「魔理沙半端ないな……」
……どうしてその草薙の剣がこの幻想郷に落ちていて、霧雨が拾えたのだろうか……?
言葉を繋げるように香霖さんは話を続ける。
「僕の能力で草薙の剣という事がわかりまして……その事を魔理沙に話したとすれば、譲ることがないとわかって……彼女にはクズものとして買い取りました。それはやっぱり……自分の物にしておきたいと思いまして。だからといって悪用する気は全然ありませんし、鑑賞用として保管しています」
「……ある意味、その方が正解だったの。魔理沙はまだ精神的には幼い方。草薙の剣は強大な宝具と言ってもおかしくないからの。お主が持っていれば安心だろうて」
「……心遣い、感謝します」
「何が何だかわからないが、香霖堂にはすごいものがあるとわかった」
静雅、それは正解だと思う。
『「……ある意味三種の神器の一つがこの幻想郷にあると知ったら満足だの……時代が進めば新しい発見もある。主、体を返すぞ」』
そう心の中で言うと……自分の髪の毛と目が元に戻り、自分は一言。
「……幻想郷に実物がある事に驚きですよ……」
「ん? どうやら戻った……のかな? 今は侠君かい?」
「はい。そうです」
「しかし……まさか龍神様に見抜かれるとは思わなかったよ。裏にある草薙の剣が見抜かれるとは思わなかったが……」
「まぁ創造神ですし。そういう事もわかるんじゃないでしょうか?」
「……覚り妖怪みたく隠し事はできないね」
覚り妖怪……確か心を読む妖怪だったけ?
話が終わったのを確信した静雅は話を香霖さんに振る。
「もしよかったら見せてもらっても構わないか? 一目見ておきたい」
「見るだけなら全然構わないよ。それに……裏には非売品の外界の道具もあるからね。もしよろしければ君たち二人の意見を聞きたい」
「よし! 侠、見に行くぞ!」
「伝説上の物だからねぇ……うん。見よう」
この後自分達は草薙の剣を見せてもらい、その後に他の外界の道具の使い方を香霖さんに教えていた……。
男キャラだけでも新鮮だなと思ったり。
それとは別に……以前の『人形使いの嫉妬?』における静雅の問題についてわかった方はいますでしょうか? もしもちゃんとした根拠の元で正解者がいたとしたら──次章と関連した『Back story』の一話を配布しようかなと思ったり。この『Back story』はこの『幻想世界に誘われて』が完結してからの裏話で「実はこんな話がありましたよー」的な話です。ぶっちゃけこの物語の完結後に掲載予定ですが。しかし……この『Back story』の内容を踏まえてこの先の章を読んでいくと、ある事を頭に入れながら読むことが出来たりするかもしれません。もしも『人形使いの嫉妬?』であった問題についてわかった方はメッセージにて。感想欄では書かないでください。どういう答えあれスルーします。『Back story』の配布については正解者のみ、私がタイミングを判断してメッセージにて送ります。
期限については……次章の共通章の終わりで掲載予定の『表主人公の義妹』である特別番外編の終わりまで。ちなみに三話に分割しての投稿予定です。
……文字数が38949文字あるので。流石に一話でこの文字数は多いので。もう少し推敲する際増えるかもしれませんが。
ではまた。