幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 ……またか。
 最初は早苗視点。注意。
 では本編どうぞ。


六話 『守矢の巫女と……』

「──うーん……ここは……?」

 

 いつの間にかに眠っていた私……何故か自室の布団の中で眠っていました。あれ……? 確か私人里に行く道中で体調が悪くなって……そこから記憶がありません。でも──

 

「……あの時と同じ温もりを感じたのは気のせいでしょうか……?」

 

 過去に同じようなことが起こり、私はいつの間にか守矢神社にいた。その時に体温を奪われないように配慮されたのか──部屋の隅に掛かっている黒いコート。幻想入りする前までにお礼を言ってコートを返したかった。でも、手がかりが全然無くて結局、会えないまま幻想入りしてしまった。

 

「……本当に奇跡が起こって、その人が幻想入りしていないでしょうか──いえ、無いですよね……?」

 

 ……やっぱり、そんな都合が良すぎることはないですよね。わかっています……。

 

 上半身を起こして、当たりを見渡すと……近くに小さな土鍋と、サラダが置いてありました……あれ? 神奈子様と諏訪子様は料理が苦手なはずですが……?

 

 よく見たらお盆に何かが書かれたメモが置いてありました。私はそれを手に取り、読み取ってみると──

 

 

 

『冷めてたら言って欲しい。温め直す』

 

 

 

 ……? 誰の筆跡でしょうか? 神奈子様達じゃない筆跡ですね。

 

 私は土鍋のふたを開けてみると……親子丼みたいな小粥がそこにありました。私はスプーンですくって口に入れてみます。

 

「……おいしいです……」

 

 違った味付けでしたが……空腹も含めておいしく感じました。ゆっくりと食べていき……完食。きちんとサラダも食べました。

 

 ……本当にこれ誰が作ったんですか?

 

 その事について考えていますと──

 

『早苗ー? 起きてるー?』

 

「あ、諏訪子様! 大丈夫です! 起きています!」

 

 襖が開けられ、諏訪子様が部屋に入ってきました。諏訪子様は守矢神社の祟り神でもあります。容姿は小さく見えますが、とても強いんです!

 

 諏訪子様は私の傍に寄ると、両拳を腰に当てて少し怒っているような表情で話しかけてきました。

 

「ちゃんと体調が悪いんだったら休まなきゃダメだよー! 私達本当に心配したんだからね!」

 

「も、申し訳ありません……」

 

「本当に侠が通りかかってくれなかったらどうなってたか……」

 

「? あの、『きょう』って誰かの名前ですか?」

 

 諏訪子様から誰かの名前を言っていたことが気になり、私は聞いてみますと丁寧に答えてくれます。

 

「外来人の辰上侠っていうの。早苗も天狗の記事が気になって博麗神社に行ったことがあるでしょ? その時はいなかったみたいだけど」

 

「あぁ! 辰上さんですか! 本堂さんの親友で、同世代の外来人の方の!」

 

「そう。早苗が倒れていたから運んでもらったんだよ。ちなみに料理も作ってくれたのも侠だから」

 

「そ、そうだったんですか……後日、お礼を言わなくてはいけませんね」

 

「別に後日じゃなくてもいいと思うけど……でさ、すぐに雨に濡れた早苗を拭いて、寝かせたわけだけど……まだ汚れているところはあると思うから、さっと体を流して綺麗にしたら?」

 

 ……確かに、きちんと体を綺麗にして眠った方が良いですね。

 

「はい、そうします」

 

 私はバスタオルを持って私はお風呂場に向かいました……。

 

 

 

 

 

「……実は侠は早苗が完治するまで居候することになるんだけど、それは後で良いかな」

 

「──おーい諏訪子。早苗の様子はどうだ?」

 

「あ、神奈子。大丈夫大丈夫。随分回復してたよ。これも侠のおかげだね」

 

「なら良かった。ところで早苗がいないみたいだが……トイレか?」

 

「ううん。体の汚れを流す意味でお風呂場に行ったよ。さすがに女の子だから体は大切にしないとね」

 

「…………えっ? 諏訪子……今、風呂には侠が入っているんだが…………」

 

「…………えっ? 神奈子……それって本当…………?」

 

「もしかしたら鉢合わせするんじゃないか? お互い裸で──」

 

「止めに行かなくちゃっ!?」

 

 

 

 

 

「あれ? バスタオルがもう置かれていますね……神奈子様が用意してくださったんでしょうか? でも神奈子様の着替えは見あたりませんし……」

 

 お風呂場に着くと、もうバスタオルが置いてあり、電気も付いているようです。本当にありがとうございます……。

 

 私は寝間着を脱ぎ、下着も脱いで、扉に手を掛けて──

 

 

 

 

 

 

『(ガラッ)あれ……? 扉が勝手に開いて──』

 

 

 

 

 

「──え……?」

 

「……ん?」

 

 ──扉を開くと、目の前にいないはずの人が。髪の毛は肩に掛かるぐらいで、顔は整っていて──お湯が滴っている裸で股にある──大きな御柱。

 

「……(ピシャ)」

 

 目の前にいた人は扉を閉めました。

 

 そして──

 

 

 

 

 

「──きゃあああああああっ!?」

 

 

 

 

 遅れて、悲鳴を上げてしまいました……。

 

 

 

 

 

「今のは早苗の悲鳴……!」

 

「あ〜……遅かったね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

  〜side 侠〜

 

 ……何かのデジャヴを感じた後に、着替え直して居間にいる自分と八坂さんと洩矢さんと──寝間着を着直して、顔を赤く染め上げて謝ってくる東風谷。

 

「本当にごめんなさいっ! まさか誰かが先に入っているとは思わなかったんですよっ!?」

 

「あぁ、うん……お互い様だから別に良いよ……」

 

 当初の魂魄みたく斬られなかっただけでもまだマシだし。

 

 自分の言葉に反応したのか、八坂さんが問いかけてくる。

 

「早苗も不可抗力だったが……侠も見てしまったのか?」

 

「幸い、手で隠れていて見えませんでした。本当に」

 

「……動揺が全く見られないな……」

 

「え〜? お互い同世代なのにそんな興味がなさげ? 早苗はおっぱい大きい方なのに」

 

「諏訪子様っ!」

 

 洩矢さんは軽く人の情報を流して、さらに顔を赤くして怒っている。今回のことについて自分は意見する。

 

「過ぎ去ったことを気にしてもしょうが無いでしょう? お互い見たモノは忘れる。それが一番です」

 

「まぁ、それは妥当だな。今回はただの事故だった。それで終わりだ」

 

 自分の言葉に八坂さんが同調すると……何故か洩矢さんは東風谷に話を振り始めた。

 

「で、早苗──侠の御柱を見てどう思った?」

 

「凄く……大きいです──って何言わせるんですかぁっ!?」

 

「ケロケロケロ! 何か早苗の反応が面白くて! これぞ青春だねっ!」

 

「諏訪子様ぁあああっ!?」

 

「東風谷、急に立ち上がると──おっと」

 

 洩矢さんのからかいに、東風谷は怒りながら急に立ち上がって……倒れかけたのを素早く支えた。風邪を引いているというのに無茶をするから。

 

「あぅ……すいません……」

 

「とりあえず東風谷は体を洗い流してさっさと寝ること。風邪引いている最中なんだから。洩矢さんもからかわないように。東風谷は病人なんですし」

 

「はーい」

 

『「後は主の頑張り次第で未来が決まる。頑張るのだぞ」』

 

 ……こうして内容の濃い一日が終わった……。

 

 

 

 




 異性と風呂イベントが起こる事を強いられているんだ……!

 今回で表・第十二章は終了。次話から裏に移ります。

 ではまた。

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