幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 裏主人公の注意事項。しかし結果は……。
 最初は表主人公視点。
 では本編どうぞ。


四話 『宴会』①

『おー。やってるやってる』

 

 外に出来た料理を運んでいると──紅魔館御一行がいきなり現れた。静雅の能力を使ってきたんだろう。ちなみに時刻は太陽が沈んだ頃。吸血鬼であるレミリアとフランドールの行動時間のために来たんだろうね。

 

 静雅が感心そうにして呟いていたので自分は声をかける。

 

「静雅ーちょうどいいから手伝ってくれるー? 後配膳だけだから」

 

「よし──小悪魔行ってこい!」

 

「こぁっ!? わ、私ですか!? 侠さんは静雅さんを呼んでいますよ!?」

 

 静雅がこぁさんに丸投げした。ドンだけ手伝うのがいやなんだ。

 

 でもこぁさんはそんな静雅の無茶ぶりに対応して、何か話した後こちらにやってきて話しかけてくる。

 

「侠さん……無事だったんですね。無事に帰ってきてくれて良かったです」

 

「まぁ……難はなく過ごせたよ。じゃあ悪いけど手伝ってくれる?」

 

「はいっ! 任せてください!」

 

 元気よく自分の言葉に頷いてくれる。

 

 ……根が真面目な人って幻想郷では重要だと思うんだ。

 

 とりあえずこぁさんを台所に連れて行った。その後何故かこぁさんがいろんな人に話した後、こぁさんに話しかけられた人達は外に出て行った。

 

 ……どうしたんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

  〜side 静雅〜

 

「……これで侠と小悪魔を除けば全員か……?」

 

 小悪魔に頼んで侠以外の神社の中にいた人物を連れてきてもらった。小悪魔は侠と会話をし時間を稼いでくれるだろ。

 

 オレが確認できるのは小悪魔を除く紅魔館メンバー、霊夢、魔法使い二人、文、白玉楼の二人と八雲紫と……橙の傍にいる狐の妖怪は初めて見るな。オレはその人物に話しかける。

 

「お前さんとは面識が初めてだな。オレは本堂静雅だ」

 

「あぁ。紫様と橙から聞いているよ。私は八雲藍だ。以後よろしく頼む」

 

 オレと藍との自己紹介を終えたところで、レミリア嬢がオレに話しかけてくる。

 

「小悪魔と自称人間以外集めて何するつもり?」

 

「ちょっとな。小悪魔には先に話しておいたんだが──」

 

 オレはこの場にいる全員にこう話した。

 

 

 

 

 

「──侠には絶対酒を飲ませるな」

 

 

 

 

 

 話を切り出すと『何それ?』や『そうなの?』という様な色々な表情がうかがえる。

 

 まず最初に発言したのは……八雲紫。

 

「……それは振りかしら?」

 

「振りじゃねぇ。大真面目な話だ」

 

 オレは芸人じゃないんだぞ? 事の重要さはオレは知っているんだ。ふざけている場合じゃない。

 

 次に質問したのは霊夢。その後に魔理沙と続く。

 

「そもそも侠はお酒飲まないじゃない。前に誘ってみたけど断ったし」

 

「宴会じゃ酒は無礼講だ。しかも今日の主役はお前達だぜ? 異変解決した侠が飲まないと始まらないだろ」

 

「それでもだ。絶対酒を飲ませるな!」

 

 オレはのんきな奴らに釘を刺しておく。まぁ……最低限は大丈夫か? 侠は自ら酒を飲まないし、アリスには協力を頼んでいる。天牌人形もアリスの助けになってくれるはずだ。

 

 

 

 

 

 ──しかし、結論からいうと……オレの知らない奴が酒を飲ませてしまったことには変わりはなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

  〜side out〜

 

 静雅の説得を聞いたそれぞれ反応があった。

 

 彼を良く知る者、知らない者。侠の酒事情を知っている者。それぞれ──使命感を感じたり、飲ませたらどうなるか気になる者もいた。

 

 

 

 〜飲ませない〜

 

「(静雅があぁ言っているのよね……昨日言われた通り、飲ませない方が良いわね)」←アリス

 

「(侠さんはお酒を飲むと眠ってしまう……この場で色々聞きたいですから飲ませないように注意しましょう)」←妖夢

 

「(真面目な侠を飲ませてはいけないと言うことは伝わってきた……紫様がどうあれ、止めた方が良いだろうな)」←藍

 

「(人の嫌がることはしてはいけませんよね……)」←橙

 

 これに加え、天牌、この場にいない小悪魔、そして静雅。合計七人(?)。

 

 

 

 〜飲ませる〜

 

「(親友であるあいつがそこまで言うと……気になるわね。お酒を飲んだ侠の事)」←霊夢

 

「(宴会は酒があってこその宴会なんだぜ! そんな言い訳が通ると思うなよ!)」←魔理沙

 

「(それはもう飲ませるしかありませんよ! ここであまり知らない侠さんのネタを知る良い機会です!)」←文

 

「(……何故か自称人間の運命が見えなくなっているのよね……前に言った通り静雅の能力で何かされているわね……まぁ、私の実力で飲ませてみよう)」←レミリア

 

「(静雅からの情報で侠の外見的好みは私も入っている……優しく諭せばきっと飲んでくれるはずね。それにまだ役者はそろっていないし……いざという時は──)」←紫

 

「(飲ませた方が宴会が面白くなるじゃない♪)」←幽々子

 

 飲ませる側、合計六人。

 

 

 

 〜傍観〜

 

「(……静雅の言う通りにすべきだと思うけど……お嬢様の言うことには逆らえないわね)」←咲夜

 

「(静雅さんが能力で侵入者を防ぐようにしてくれたおかげで私も宴会に参加出来たのですから、楽しみたいですねぇ……)」←美鈴

 

「(……飲ませたら飲ませたでその時は対処をしましょう……)」←パチュリー

 

「(お外で食べたりするの楽しそう♪)」←フランドール

 

 場合によってはどちらかの意見に移動する人物達、合計四名。

 

 

 

 ──そして……ある意味どうでも良い戦いが始まった……。

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれの思惑が交差する中、宴会は始まり進んだ。侠の右隣に静雅がいてお酒を飲んでいるが、侠は食べ物を食べている。

 

「静雅……幻想郷だからってお酒を飲むのはどうかと思うよ?」

 

「仕事仲間と飲んでいたしな。オレが一番年下で飲まさざるを得なかったからな。しかもうまい」

 

「ま、程々にしておいてよ? 飲み過ぎるとどっちみち健康に悪いんだし」

 

 そう二人が話していたとき──お酒を持った霊夢と魔理沙がやってきた。

 

「侠〜しばらく私の元にいなかったんだからお酌ぐらいしなさいよ〜」

 

「その後私な! 同じ異変解決者同士飲みあおうぜ!」

 

 ……どうやらこの二人は手を組んだらしい。霊夢は侠に酒瓶を持たせ、猪口(ちょこ)を霊夢は持って促す。魔理沙は順番待ちで酒を飲みながら待とうとしたが──

 

「釣れないことを言うなよ魔理沙。侠を待っている間オレが酌してやるからよ!」

 

「お? 気が利くな。それじゃ頼むぜ!」

 

 待っている間暇になってしまうのも事実。魔理沙は静雅の申し入れを受け入れた。

 

 魔理沙の相手を静雅がしている間に侠は霊夢の猪口にお酒を注ぎ、注がれたお酒を霊夢は飲む。飲み終えた霊夢は持っていた猪口を侠に持たせようとしたが、侠は断ろうとする。

 

「ちょ、博麗? 自分にお酒はダメだってば」

 

「何よ〜? 私が善意でお酌してあげるのに飲めないって言うの〜?」

 

「普段断っても『仕方ないわね』っていつも言うのに……もしかして珍しくもう酔ってる?」

 

「酔ってないわよ〜。ほら、侠も飲みなさい!」

 

 ……そんな霊夢を見てか、侠は控え気味にこう言う。

 

「博麗……間接キスになっちゃうけどいいの?」

 

「…………ふぇ?」

 

 侠が聞いてみると霊夢は間の抜けた顔になり……顔をさらに赤くして案の定軽くだが侠は殴られた。

 

「きゅ、急に何言うのよ!? べべ別に私は気にしないし──」

 

「言葉で分かるから。無理しなくていいから」

 

「じゃあ私が探してくるからちょっと待ってなさい!」

 

 少し顔を赤くしながら霊夢はこの場を去って行く。。律儀に猪口を探しに行ったのかも知れない

 

「(……一体どうしたんだろう? 普段お酒なんて勧めないのに)」

 

 一応、侠は待っている魔理沙の方を見ていると──

 

「──Zzz」

 

「よし……敵対勢力を削った」

 

 ……どういうわけか魔理沙は眠っていた。もしかすると静雅が能力で何かやったのかもしれないと侠は考える。その考えをもとに、親友に尋ねた。

 

「静雅……霧雨一体どうしたの?」

 

「邪なことを考えていたから少しの間眠ってもらっただけだ。侠に酒を飲ませようとしていたからな」

 

「……何で急に?」

 

「宴会だから浮かれてるんだろ」

 

「(……自分に飲ませてもただ二日間眠るだけだよね?)」

 

『おーい、静雅。そっちの自称人間を連れてこっちに来なさい』

 

 どこからか侠達を呼ぶ声がしたので二人は振り返ると……呼んだのはレミリアで紅魔館組だ。静雅もその声に反応する。

 

「レミリア嬢が呼んでいるな。侠、ちょっくら付き合ってくれ」

 

「あ、うん。わかったよ」

 

 侠は静雅に着いていき、紅魔館の人々がいるところへと向かった……。

 

 

 




 次回は紅魔館組とプラスαの人物と過ごします。

 ではまた。

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