ストライクウィッチーズ 一匹の狼   作:長靴伯爵

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第七話更新です。

最後辺りは、日常シーン(?)的な物を書いてみました。

感想、アドバイス、ミスの指摘などよろしくお願いします。




第七話 

第七話

 

 

 

 

 

 神崎は戦っていた。敵は黒い影。右手には扶桑刀「炎羅(えんら)」、左手には九九式機関銃。周りを取り巻く敵に弾丸をバラ撒きながら、神崎は近くの敵の一人に接近し、炎羅(えんら)を振るおうとするも、背後からの急襲や、複数による牽制射撃により果たせないでいた。そして、逆にこちらが不利となる。

 

『フフフ・・・』

 

『クスクス・・・』

 

『アハハ・・・』

 

「クッ!?」

 

 敵は笑いながらも、正確に神崎の両手を撃ち抜いていき、攻撃能力を奪っていく。そして、ジワジワと嬲っていくように、浅手の傷を負わせ神崎を追い詰めていった。

 

「畜生が!!」

 

 神崎は叫び、一斉に炎を放った。数十筋の炎が襲いかかり、敵に直撃。鼓膜が破けそうな凄まじい爆発が起こった。

 

「これで・・・ツッ!?」

 

 爆煙が晴れると、神崎は驚愕した。あれほどの炎が命中したにも関わらず、敵は全員健在だったからだ。だが、敵を覆っていた黒い影が無くなり、敵の正体が見えた。

 

 

 

敵は魔女(ウィッチ)だった。

 

 

 

『フフフ・・・』

 

『クスクス・・・』

 

『アハハ・・・』

 

 魔女(ウィッチ)達は神崎を嘲笑いながら、自身が持つ武器を構える。

 

「・・・チッ!」

 

 神崎は再び炎を放とうとした。が、魔女(ウィッチ)達がいち早く動いた。散開し、様々な方向から神崎に狙いをつけ、銃撃を始めた。

 

「クソッ!!」

 

 たまらず、神崎は逃げた。自分の持つ力を全て用い、弾幕を避け、全速力で逃げようとする。しかし、魔女(ウィッチ)達はそれを許さなかった。既に数人が神崎の逃げ道を塞ぐように先回りしており、背後からも多数が追いすがって来ていた。果たして、神崎は追いつかれ、魔女(ウィッチ)達が持つ剣に刀にナイフに貫かれた。

 

「・・・ガハッ」

 

 体に数多の刀剣を生やした神崎が、静かに落下し始める。

 

『フフフ・・・』

 

『クスクス・・・』

 

『アハハ・・・』

 

 その神崎を魔女(ウィッチ)達は笑いながら眺めていた。神崎は消えていく意識の中で、一つの言葉が響いた。

 

 

 

『一匹狼はいらない』

 

 

 

 神崎は目を覚ました。

 統合戦闘航空団「アフリカ」基地。その中の神崎と島岡に割り当てられた天幕。そして、そのベッドの上。時刻は夜の12時頃だった。体を起こしてみると、自分の体がじっとりと汗で濡れていることが分かる。神崎は一つ溜息をついて外に出た。

 アフリカの夜は疑いたくなるほど冷える。昼の暑さが嘘のように消え失せ、代わりにピンと張り詰めたような寒さが、砂漠を支配していた。

 魔法使い(ウィザード)として軍に在籍してから、神崎はあのような夢を見続けていた。

 

「・・・へっくし」

 

 体が冷え、神崎は一つくしゃみをした。ブルっと体を震わせると、ベッドに戻っていった。

 

 

 

 神崎がベッドに戻ったちょうどその時。隊長用天幕では加東が書類仕事に励んでいた。片付ける書類は山程あり、彼女は黙々とペンを走らせる。

 

「・・・ふぅ」

 

 ひと段落ついて机の上にペンを転がした時、来客があった。

 

「ケイ。いるか?」

 

「あら?マルセイユ?」

 

 天幕の扉を開けて入ってきたのはマルセイユ。手にはワインの瓶と二つのグラス。

 

「どうだ、一杯?」

 

「そうね。ひと段落ついたし、いいわよ」

 

 マルセイユは近くにあった椅子を引きずってくると、机にグラスを置きワインを注いだ。二人は軽く乾杯すると、しばしワインを楽しむ。

 

「あら、美味しい」

 

「当たり前だ。なかなかの上物を持ってきたからな」

 

 ワインを味わう加東だが、目は一枚の書類から離れなかった。

 

「何を見てるんだ?」

 

「ああ。これよ」

 

 加東が差し出した書類にマルセイユが目を通した。

 

「私たちの運用計画書か」

 

「そう。あなたとライーサと真美は問題ないんだけど、玄太郎と信介がね・・・」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

「ないこともないわ」

 

 そう言って加東は一口ワインを飲んだ。

 

「玄太郎は新人だけど単機、二番機だとあなたに追随できるぐらい腕はいいわ。しかも固有魔法もなかなか。でも、長機となると、途端にひどくなる」

 

「ふむ」

 

 マルセイユがワインを眺めながら相槌を打つ。

 

「信介も腕がいいわ。もともと彼には哨戒任務主体で動いてもらうつもりだったんだけど、それがもったいなくなるぐらい」

 

「まぁ、マッダレーナ砦でも私とライーサを援護出来てたしな」

 

「なら、そういう使い方もできるんじゃないかって。ただ、彼が乗っているのは普通の戦闘機だし、航空魔女(ウィッチ)と組ませるのは難しいかなって」

 

「ふむ。二人の運用は悩みどころだな」

 

 マルセイユは顎を触り、考える仕草をする。更に、加東は続けた。

 

「後はどの位私たちと打ち解けてるかよね。信介は問題ないけど玄太郎がね・・・」

 

「確かに。シンスケはノリがいいし、親しみやすい雰囲気だからな。扶桑の男では珍しいのか?」

 

「そうね。一概には言えないけど」

 

「ゲンタローは?」

 

「問題はそっちね。信介がああな分、孤立気味になってる。無愛想ってわけじゃないけど・・・ね」

 

「そうだな。あいつは階級をつけて呼ぶしな」

 

 マルセイユは神崎の言動を思い浮かべ、暫し考え込んだ。そしてぱっと何か思いついて言った。

 

「なら、思い悩む我らが隊長ケイの為に、私が一肌脱ごう!」

 

「な、なによ。いきなり・・・」

 

 胡散臭そうな目になる加東に、マルセイユがニヤニヤしながら言った。

 

「それはな・・・」

 

 

 

 

 

 日が昇れば相変わらず暑いアフリカ。稲垣が作った朝食を食べた後、加東、マルセイユ、ライーサ、稲垣、神崎、島岡は今日の出撃のブリーフィングを行っていた。

 

「今日の出撃だけど・・・マルセイユと玄太郎が組んでね」

 

「分かった」

 

「・・・なぜ?」

 

 加東の発言に、マルセイユが楽しそうに了承し、神崎が理由を尋ねた。

 

「なんだ。私と組むのは不満か?」

 

「そうじゃありませんが・・・」

 

 マルセイユに詰め寄られる神崎。そんな二人を見て、少し笑いながら加東が言った。

 

「別に深い意味はないわよ。色々な組み合わせを試そうと思っただけ」

 

「シン・・・島岡は?」

 

 暇そうに座っている島岡を見て、神崎は言った。

 

「零戦をオーバーホールするからって休み。今日は釣りだぜ。ハッハッハ」

 

 ヘラヘラという島岡。そこで加東がパンパンっと手を叩き、皆の注目を集め言った。

 

「はいはい。じゃあ、マルセイユと玄太郎は30分後に出撃だから準備しといてね。じゃあ、解散!」

 

 バラバラと動き始める面々。

 

「神崎さん」

 

 神崎も自分のユニットの方へ行こうとするが、そこでライーサに声をかけられた。

 

「今日はティナの背中をお願いします」

 

「・・・努力はする」

 

 いつもマルセイユの二番機を自負しているライーサは、自分以外が二番機になるのは心配なのだろう。心配そうな声音に、神崎の返事も真剣になる。その返事で安心したのか、ライーサは微笑むと稲垣の方へ歩いていった。

 

「さて、今日は楽しくなりそうだな。なぁ、ゲンタロー?」

 

「・・・そうですか?」

 

 マルセイユの目線がギラリと鷲のそれになる。神崎は若干後ずさった。

 

 

 

 

 

「なぁ、ゲンタロー。お前の背はどのくらいだ?」

 

「好きな食べ物は?」

 

「趣味はなんだ?」

 

「なんで酒を飲まないんだ?」

 

「シンスケとはどういう関係なんだ?」

 

「お前の剣貸してくれ」

 

「なぁ、ゲンタロー。なぁなぁなぁ。」

 

 

 

「・・・(イラッ)」

 

 哨戒が始まってすぐ、マルセイユは神崎の周りをちょろちょろと飛びながら質問攻めにした。最初は無視をしていた神崎だが、あまりのしつこさに我慢しきれなくなった。

 

「中尉」

 

「ん?」

 

「今は哨戒任務中のはずですが?」

 

「そうだな」

 

「任務に集中すべきでは?」

 

「私はいつも集中しているぞ」

 

「なら、無駄話はいいですね」

 

「いや、これは戦闘隊長として部下を掌握するための重要な任務だ」

 

「・・・(イラッ)」

 

 マルセイユの屁理屈にイラつきながらも、神崎は諦めて質問に答えることにした。

 

「・・・背は170程、好きな食べ物は羊羹、趣味は釣りと・・・、酒はまだ未成年なので飲みません、シンとは・・・」

 

「これ、借りるぞ」

 

「ちょッ、何するんですか!?」

 

 神崎が答えている途中で飽きたのか、マルセイユはひょいと神崎の腰にあった炎羅(えんら)をかっさらっていった。

 

「お?見た目より重いんだな」

 

 炎羅(えんら)を鞘ごと振り回すマルセイユ。その様子を内心ハラハラしながら見る神崎。

 

「気をつけてください。結構危ないですから・・・」

 

「んお?」

 

 神崎の忠告を無視し、マルセイユはあっさりと刃を抜いた。

 

「・・・中尉」

 

「ほお、綺麗だな」

 

 炎羅(えんら)の刀身の刃紋を眺め、マルセイユは言った。その真剣な目に神崎は何も言えなくなる。

 

「扶桑刀は、こんなにも綺麗なのか?」

 

「・・・この刀は特別です」

 

「ほう?」

 

 この言葉に、マルセイユは催促の視線を送った。神崎は喋りだす。

 

「この刀は自分の実家の神社に祀られていた御神体の一つです」

 

「ジンジャ?ゴシンタイ?」

 

「教会・・・みたいなものです。御神体とは、神様が宿ている物。おそらく、この刀が作られたのは少なくとも500年以上前です」

 

「そんなに古いのか!?」

 

 びっくりした表情で改めて炎羅(えんら)を見るマルセイユ。そして、おもむろに鞘に戻すと神崎に返した。

 

「とても大切なものらしい。返そう」

 

「助かります」

 

 炎羅(えんら)を受け取り、腰に戻す神崎。その様子を、マルセイユは興味深そうに見ていた。

 

「・・・何か?」

 

「いや。刀を持つ扶桑魔女(ウィッチ)もカッコよかったが、魔法使い(ウィザード)もなかなか様になるものだな」

 

「・・・そうですか」

 

「まぁ、私ほどではないがな」

 

「・・・」

 

 そう言い放ち、マルセイユは哨戒任務に集中し始めた。神崎も一つ溜息をついて、二番機の位置についた。

 

「見つけた。敵だ」

 

「こちらも確認。ヒエラクスが15」

 

 ヒエラクスは航空魔女(ウィッチ)に比べ、速度も旋回性能も劣る。問題は数で押してくるところだけだった。

 

「よし、行くぞ」

 

「了解」

 

 神崎は無線で加東に連絡を取った。

 

「敵発見。小型飛行型ヒエラクス15。これより攻撃を開始します」

 

『了解。無理はしないようにね』

 

 加東の了承を得て、二人は攻撃を開始した。

 

「突っ込むぞ。ついてこい!」

 

「了解」

 

 二人は突撃をかけた。こちらに気づいたヒエラクスは一斉に射撃を開始するが、マルセイユは華麗に避ける。神崎もそれに続いた。

 

「そこだ!」

 

 ヒエラクスの一群と交差した瞬間、マルセイユは敵弾を躱しつつ一連射を放った。そしてすぐさま反転し、後方から再び一連射。マルセイユの放った弾丸を浴び、続けざまに2体のヒエラクスが爆散した。一方、神崎はマルセイユの機動について行くのが精一杯で銃撃する余裕などなかった。

 

「もう一度、反復攻撃を仕掛けるぞ」

 

 いきなり味方を落とされたヒエラクスは明らかに動きを乱している。それを見て取ったマルセイユは素早く指示を飛ばした。

 

「了解」

 

「次はちゃんと撃てよ?」

 

「・・・」

 

 釘を刺され、押し黙る神崎。それを楽しそうに見たマルセイユは、再び敵に向かってスピードを上げた。

 

「行くぞ!」

 

「了解・・・!」

 

 連携が取れてない動きで、こちらを攻撃するヒエラクス。が、そんなものなどマルセイユにとっては何の障害でもなく、難なく回避して射撃位置に入った。

 

「右の奴を狙え!」

 

「ッ・・・!」

 

 今度は、ほぼ同時に二人は射撃を開始した。交差し終わると反転し、再び射撃。マルセイユが軽々とこなす機動に神崎は歯を食いしばってついていく。結果、この1往復で二人は計4体のヒエラクスを落とした。

 

「・・・ふぅ」

 

 なんとかマルセイユに機動についていき一息つく神崎だが、当のマルセイユは特に疲れた様子もなく、ヒエラクスを見ていた。

 

「敵は撤退を始めたな。我々も戻ろう」

 

 味方の4割を失った敵は慌てて逃げているようだった。その様子を確認し、神崎は無線を入れた。

 

「敵の撤退を確認。これよりRTB(基地へ帰還する)

 

『了解。待ってるわ』

 

 加東に報告を入れ、二人は帰路についた。

 

 

 

 

 

 二人が滑走路に降り立ち、ユニットをそれぞれのケージに固定すると、タオルを持った加東が出迎えた。

 

「お疲れ様」

 

「・・・ありがとうございます」

 

 タオルを受け取った神崎は、顔に垂れた汗を拭う。その様子を見ながら加東は神崎に尋ねた。

 

「どうだった?マルセイユの二番機は?」

 

「・・・きつかったです」

 

「そう?次も大丈夫?」

 

「はい」

 

 すぐに相変わらずのポーカーフェイスで頷く神崎を見て、加東は心の中では嘆息しながらも、表面上は微笑みながら離れていった。

 

 

 

「で、どうだった?」

 

「多分、真面目すぎるだけだろう。あんな感じの奴は、私の前の部隊にもいたしな」

 

 加東からタオルを受け取りながら、マルセイユは言った。マルセイユが加東に提案したのは、自分が哨戒にかこつけて神崎と接近し、色々と聞き出してしまおうというものだった。

 

「堅物ってわけでもなさそうだしな。慣れ、じゃないか?」

 

 マルセイユは、おさげで馬鹿力の五月蝿い上官を思いだしながら言った。

 

「そう・・・」

 

 加東はチラッと整備兵と話している神崎を見た。

 

「まぁ、まだ機会はあるしな。もっとよく分かるだろう」

 

「そうね。じゃあ、デブリーフィングするから私の天幕に来てね。玄太郎と一緒に」

 

「え~」

 

「え~、じゃない。分かった?」

 

了解(ヤヴォール)・・・」

 

 不承不承といった感じのマルセイユの返事を聞き、加東は天幕を出て行った。

 

 

 

 

 

「ただいま帰ってきました!!」

 

「島岡さん!?何ですかこの大量のお魚!?」

 

「一人で釣ったんですか!?」

 

 夕方、島岡は大量の魚を積んだキューベルワーゲンに乗って帰ってきた。荷台の沢山の生け簀に入れられた、まだ生きている無数の魚を見て、稲垣とライーサが驚きの声あげる。

 

「ケイさん、見てください!スゴイですよ!」

 

 テンションの高い稲垣が、大振りのアジを持ち上げながら、加東に手を振る。

 

「そんなに釣ったの?」

 

「まぁ、いつも通りですかね。」

 

 運転席から降りた島岡が、こともなしげに言う。キューベルワーゲンの周りには沢山の兵士が集まり、それぞれ歓声をあげていた。

 

「でも、こんなに沢山のお魚どうするの?」

 

「刺身、煮物、塩焼き、干物、なんでもできるじゃないすか」

 

「そんなに作る時間あると思う?」

 

 近くで会話を聞いていた稲垣が申し訳なさそうに口を開いた。

 

「私、あんまりお魚の調理は上手くなくて・・・」

 

 部隊の料理長である稲垣のこの言葉に、加東の表情も曇る。

 

「これじゃ腐らしてしまいそうね・・・」

 

「いや、大丈夫っすよ」

 

 島岡の表情は明るい。何か手があるようだ。

 

「ん、なにか・・・」

 

「ケイ大尉。報告書、書き終わりました」

 

 加東が島岡に更に尋ねようとした時、神崎がやってきた。手には書き終えたばかりの報告書を持っている。

 

「ああ。お疲れ様。後ででもよかったのに」

 

「いえ・・・。シン、どの位釣ってきた?」

 

 神崎は加東に報告書を渡すと、島岡に尋ねた。

 

「まぁ、いつも通りだな」

 

「じゃあ、そんなに時間はかからないな」

 

「おう。よろしく頼むわ」

 

「ちょっと、二人で何の話を進めてるのよ」

 

「いえ、別に大したことでは・・・。稲垣軍曹」

 

「はい。なんですか?」

 

「調理場と包丁を借りたいんだが・・・」

 

「え?別に構いませんけど・・・」

 

「よかった。じゃあ、シン。魚を持ってこいよ」

 

「はいよ」

 

そう言ってスタスタと神崎は去っていった。心なしか足取りが軽いように見える。

 

「ねぇ、まさか・・・」

 

「まぁ、楽しみにしていてくださいよ」

 

 心配そうな加東に、島岡は楽しそうに告げて魚を取りに行った。

 

 

 

「旨い!旨いぞ!!」

 

「ホント、久しぶりにお刺身を食べたわ」

 

「味が染みて、美味しいです!」

 

「あまり魚は食べないけど、これは美味しいですね」

 

「旨いな」

 

 マルセイユが、加東が、稲垣が、ライーサが、マティルダが、それぞれ魚料理を口に入れ、感嘆の声をあげる。

 

「ですよね。やっぱ、魚は旨いっすよね!」

 

 島岡がまるで自分が褒められているように喜ぶ。加東は、綺麗に盛り付けられたお造りをつつき、唸る。

 

「ああ、最高。まさか、玄太郎がこんなに料理が上手なんてね」

 

 加東が料理場に目線を向かると、そこには頭にねじりハチマキをつけ、板前姿となった神崎がいた。

 

「・・・いえ。魚だけです」

 

 相変わらずのポーカーフェイスの神崎。口を開きながらも、見事な手さばきで、次々と魚をさばいていった。調理場の周りには加東達だけでなく、一般の兵士達も神崎の魚料理に舌鼓を打っていた。

 

「玄太郎って料理上手いの?」

 

「普通すね」

 

 加東の問に、島岡は煮魚をつつきながら答える。

 

「ただ、魚に関しては俺が大量に釣ってくるんで、自然と上手くなったんすよ」

 

「へ~」

 

「釣った直後に、ゲンの炎で焼いて食ったりしてましたし」

 

「なんかすごそうね」

 

 神崎が片手で魚を釣り、片手で魚を焼く姿を想像し、少し吹き出してしまう加東。

 

「出来たぞ」

「あ、はい!今行きます」

 

 神崎の声を聞いて、パタパタと料理を取りに行く稲垣。加東はその様子を見つつ、また一切れ刺身を食べた。

 

「本当に美味しいわね。これを肴にしてお酒飲みたいわ」

 

「お?酒か?」

 

 酒と聞いて飛びつくマルセイユ。

 

「こう熱燗でクイッと・・・」

 

「なんかおっさん臭いぞ。ケイ」

 

「おっさん臭いって何!?」

 

 ぎゃあぎゃあと騒ぎ始める面々。そこに、稲垣と共に料理を持って神崎が来た。

 

「随分と楽しそうだな」

 

「お前の料理のおかげだな」

 

 そういって島岡は、机に置いてあった加東のカメラを拝借し、騒いでいる魔女達をパシャリと撮った。

 




マティルダのことをすかっり忘れていたのは俺だけじゃないはず・・・。
・・・・。
ごめんよ!マティルダ!!

ちなみに私は白身魚が好きです。

追記
ヒロインの一次選考的なものをしました。このキャラじゃ話が作れないと思ったのを外しました。
何人かをあげると・・・ルッキーニ、リーネ、ハルトマン、ペリーヌ、マティルダ、真美、ですかね。
シャーリーとサーニャが微妙な所です。後一回ぐらい選考してから、最終的に決めたいと思います。

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