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閑話
稲垣真美の朝は早い。部隊全員の朝食の準備があるからだ。
だが、今日は違った。
「えっと、今日は何を作ろうかな・・・あれ?」
欠伸を噛み締め、眠い目を擦りつつ厨房に向かう稲垣だが、厨房に既に明かりがついていることに気付いた。
「こんな時間に誰が・・・」
訝しんで天幕の中を伺うと、中にはライーサと島岡がいた。どうやら朝食を作っているらしく、小気味よい包丁の音と鍋で煮込む音が聞こえていた。
「お?真美ちゃん、起きたか」
「あ!真美、おはよう!」
稲垣に気付いた島岡とライーサが声をかけた。稲垣は戸惑いながらも天幕に入った。
「おはようございます。今日はどうしたんですか?今日は私の当番ですけど・・・」
「あ、ああ。ちょっと早く目が覚めてよ。暇だったから先に準備しとこうと思ってよ」
「そ、そうだよ。さ、さぁ、真美は待ってていいから」
「そ、そうですか?じゃ、じゃあお言葉に甘えて・・・」
稲垣は疑問を抱きながらも、ライーサの言葉に甘えて当番を任せることにした。
時が経って正午。
「遅れちゃった・・・!早くお昼の準備をしないと・・・!」
訓練が長引いてしまった稲垣は急いで厨房に向かっていた。だが厨房に近づいた所でいい匂いが辺りに漂っていることに気付く。
「おう!真美ちゃん!今日は俺が作ってるよ!」
厨房に入ると、ロマーニャの炊事兵が昼食を作っていた。彼はいつも補佐をしてくれるので稲垣と仲が良かったりする。
「す、すみません!大丈夫でしたか?」
「真美ちゃんのレシピもあったし大丈夫だよ!さぁ、真美ちゃんも席に座って座って!」
「は、はい。ありがとうございます」
言われるがままに稲垣は昼食を受け取るとテーブルに座って食べた。自分の作る料理の味との違いが新鮮で、とても美味しかった。
「ごめんね。真美。付き合わせちゃって」
「いえ。大丈夫です!」
夜。稲垣と加東は基地に戻ってきた。稲垣は司令部に報告にいく加東に付き合ってトブルクに行っていたのだ。
「でも、夕食の準備が・・・」
「それは大丈夫よ。さぁ、行きましょう」
「え?は、はい・・・」
加東の言葉に首を捻りつつ、稲垣はトコトコと歩き始めた。そのまま食堂に行くと思っていたのだが、加東について行った先はマルセイユの天幕。
「あれ?なんでマルセイユさんの天幕なんですか?」
「いいからいいから。さ、中に入って」
「は、はい」
加東に促されるまま稲垣が中に入ると・・・。
パァン!パァン!
と、クラッカーが鳴り響き、そして・・・。
「「「真美(ちゃん)!!誕生日おめでとう!!!」」」
盛大な祝福の声が響いた。
2月14日 稲垣真美の誕生日だ。
マルセイユの天幕にはマルセイユ、ライーサ、マティルダ、神崎、島岡、そしてマイルズやシャーロットを始めとした陸戦
「え!?え!?」
突然の出来事に稲垣はただただ茫然とするばかり。
「驚いた?今日は真美の誕生日でしょ?だから、日頃の感謝の意味を込めてお祝いしようってね」
加東は悪戯に成功した子供のように笑うと稲垣を押してテーブルに座らせた。テーブルの上には豪勢な料理が並んでおり、一番目を引くものでは神崎がさばいたのであろう刺身の舟盛りもあった。
「あ!だから、皆さん今日は料理を変わってくれたんですか?」
「そうそう!いつも真美ちゃんに任せっぱなしだからな!」
稲垣の問いに、島岡が上機嫌に答えた。隣のライーサも嬉しそうに頷いている。
稲垣は周りを見た。
「さぁ、真美。今日は楽しもう!」
既にほろ酔い気味のマルセイユが叫ぶ。
「腕によりをかけた魚だ。美味いぞ」
板前姿の神崎が微笑みながら言った。
他の人たちも笑って稲垣を見ている。
皆が自分を祝ってくれる。それだけで稲垣は嬉しかった。
「・・・はい!皆さん、ありがとうございます!!!」
稲垣は向日葵が咲くように笑った。
バレンタインだと思った?バレンタインだとおもった?
残念!真美の誕生日なのだよ!
と、いうかこの時代にチョコを渡すバレンタインはない!
あと、私にもバレンタインのチョコはない(泣)