とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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七巻の時点で百話超えそうな勢いですね。
……ハハッそんな馬鹿な……


86(黒猫日記 エピローグ)

 #月$日

 

 今日、トオルが帰ってきたら、トオルから美猴の匂いがした。

 美猴とは、先日のレーティングゲーム以来会っていないけど、帰りに会ったらしい。

 どういうつもりだろうかにゃー?

 『禍の団』――というよりも、オーフィスがトオルに会いたがってるのかもしれない。

 レーティングゲームの時の事も、真意は判らないし、少し警戒しとくかにゃ?

 一応、レーティングゲームで会った時は『禍の団』を抜けた私を、そう悪くは思ってなかったみたい。

 ま、私達って仲間意識も少しは有ったけど、基本的には自分たちの欲求を満たす為につるんでたしね。

 多分、私と美猴の立場が逆だったら、私も美猴を悪くは思ってないだろうし。

 でも、裏切ったことには変わりはない。それだけは、忘れないようにしよう。

 

 それにしても、レイナーレの機嫌が良いとご飯が豪勢だからいいにゃー。

 是非ともトオルには、これからもレイナーレを幸せにしてほしい。

 そうすれば、毎日豪勢なご飯を食べられるにゃー。

 あ、もちろん私も幸せにしてね、トオル? 

 

 

 

 #月い日

 

 魔王ルシファーが、トオルのお見舞いに来た。

 ……多分、トオルがどうしてるかの確認だと思う。

 トオルの能力は現魔王と同等――もしくは、それ以上だ。

 そんな存在を放っては置けないのだろう。『悪魔の駒』を与えて悪魔に転生させようとしたのかもしれないが、多分トオルは悪魔への転生を拒絶するだろうし。

 だって、トオルはどうしようもなく人間だもんね。

 人間として生きてるもんね。

 ――どれだけ規格外、次元違いの力を持ってても…自分は人間だって言うもんね。

 レーティングゲームはこりごりだ、って魔王様に言う人間なんてトオルくらいだよ? ルシファーも反応に困ってた。

 でも、そうだね。もうレーティングゲームは――トオルが危ない目に遭うのはこりごり。

 色々と言いたい事はあるんだろうけど、トオルは結局、あんまり何も言わなかった。

 レーティングゲームはもうしない、それと、この前の事は気にしてない。

 そう言ってた。

 優しいね。文句くらい言ってもいいんじゃないかな、って思うよ? だって、勝手に『悪魔の駒』に細工されて『神器』を使い辛くされてたんだから。

 ……ホント、トオルは優しいね。私は、ルシファーはちょっと嫌い。トオルを頼りきってる。トオルなら大丈夫だって信じてる。

 私達もそうだった。トオルなら大丈夫って信じてる。でも、それじゃ駄目だって気付いちゃった。

 信じたい。でも、トオルは人間なんだ、って…どれだけ強くても、人間なんだって――もう、忘れない。

 優しいのは良い事だと思うけど、優しすぎるのは駄目だよ?

 調子に乗っちゃうから。

 悪魔達も――私達も。

 トオルに頼りすぎちゃって、今回みたいなことになる。トオルが死んじゃう。

 それは、悪い事だから。トオルに頼り切って、悪い事は悪いんだって気付けなくなるにゃー。

 優しいトオルが好き。優しすぎるトオルが大好き。

 でも、優しいだけじゃ駄目なんだよ? ……だから、優しいトオルを、私達が守るから。

 トオルがずっと優しいままでいられるように。

 ……怖いトオルにならないように。

 

 あと、魔王の配下の英雄と握手してた。

 ベオウルフって有名だもんね。なんか、感動してた……そういう所は子供っぽくて、かわいいな。

 

 

 

 #月ろ日

 

 きもちわるい……。

 トオルに、呑み比べで負けた――普通にショックだ。

 これでも仙術を嗜んでて、自分の肉体を強化するのは得意なんだけどにゃー。ズルい? 勝てばいいのさ。

 今回は肝臓の働きなんかを活発にしたんだけど…それでも負けた。ショックだ。ショックすぎる。酔い潰れたトオルを看病したかったにゃー。

 ……さっきまで白音に看病されてた。まだきもちわるい。トオルに看病してほしかった…。こーいうときはさ、男の子が女の子を看病するものだと思うなぁ。黒歌さんは。トオル君は、本当に女心がまだまだ分かってないにゃー。

 まぁ、そう言う所も好きなんだけどね? だって、完璧な男の子って面白くないし?

 偶に女の子として扱ってくれるから、嬉しいもんね。

 そういう好きなのだ。私の好きは。

 それに、ずっと、一生――私が死ぬまで、トオルと一緒だもんね。

 今度酔っ払っちゃった時は、トオルに看病してもらおーっと。

 

 っていうか、レイナーレも負けてたと思うんだけど……私もレイナーレも、人間以上に身体は頑丈だ。

 そんな私達よりお酒に強いって、トオルって――。

 もしかして、『神器』を使った? ズルいなぁ。

 

 

 

 #月は日

 

 やー…酔って、部屋を間違えちゃった。ホントだよ? ぅにゃぁ。

 今日は久しぶりに、トオルのベッドで目が覚めちゃった。良い朝だった。

 やっぱり良いね。目が覚めて、一番初めにトオルの顔を見れるって。――最初に見るのがトオルの顔で、最初に聞くのがトオルの声で、最初に思考を占めるのがトオルの匂いで、最初に感じるのが……トオルの体温。

 ごめんね、レイナーレ?

 今日の訓練、張り切りすぎちゃった。まー…ね? 黒歌さんも、女の子なわけだしね。

 良い事があったら、調子が良すぎて暴走しちゃうときもあるんだにゃー……ホント、ごめんなさい。

 訓練が終わった後、何度も謝っちゃった。

 いや、流石に今日は、私もやり過ぎたと思ってる。反省してるんだよ?

 

 それと、夕食の後から白音がずっとついてくる。

 なんでも、トオルからベッドに潜り込んでこないように見張ってて、ってお願いされたらしい。

 ……そんな事より、白音もトオルのベッドで一緒に眠ればいいのに。

 良い夢見れるよ?

 それに、目が覚めて、一日の一番最初に――幸せを感じられる。

 呆れられた。

 妹が冷たいにゃー。

 

 

 

 #月に日

 

 魔王の『女王』が家のテレビを改造していった。

 これで冥界の電波も拾えるんだとさ。受信料は無料だとか。

 なんでも、休日の朝からは「おっぱいドラゴン」をやってるらしい。

 話のネタになるだろうし、今度見てみようと思うにゃー。……忘れなかったら。

 

 それにしても、流石に魔王の『女王』は強いにゃー。

 手加減されて互角だった。本気だったら負けてたにゃん。

 ……私ももっと強くならないとね。

 私も、レイナーレも、白音も。トオルを守れるくらい。強く。

 負けても、生きてれば良いんだ、って思ってたけど――悔しいのは嫌だにゃー。

 それに、最近また『禍の団』が動き始めてるみたい。

 旧魔王派はこの前トオルにやられたから、今度は英雄派。

 『禍の団』の派閥も色々あるからにゃー。オーフィス至上主義ってわけでもないし。

 英雄派と言うと……曹操だったか? 『神滅具』持ちの、英雄。

 ――強い、ね。私よりも。

 でも、トオルを戦わせたくない。もう……怖いトオルは嫌だ。

 

 

 

 #月ほ日

 

 今日はトオルとデートだったにゃー。

 まぁ、白音とレイナーレも一緒だったけど。

 美人二人と、可愛い妹と一緒にデートできるなんて、トオルは幸せ者だにゃー。

 トオルと出会えた私達も幸せなんだけどね? にゃん。

 ふふん。今日はトオルを格好良くしてみた。

 だって、いっつも似たような服で、全然種類を持ってないんだもんね。こんな時でもなかったらトオルはある物で我慢して、服なんか買わないし。

 レイナーレと白音と三人で、沢山選んじゃった。

 ……時間が掛かったのは悪いって思うけど、いい仕事が出来たと思うにゃー。

 それに、私達三人とも趣味が違ったからね。色んなトオルが楽しめる。

 

 あと、朝から「おっぱいドラゴン」を見たにゃー。

 面白いね、アレ。良く出来てると思うよ?

 名前と主題歌はアレだけど。あとヒロイン。

 スイッチ姫って、そのスイッチかー……同じ女として同情するにゃ、リアス・グレモリー。

 今代の赤龍帝は楽しそうだにゃー。

 でも、出来れば仲良くなりたくないね。私のおっぱいはトオルのだもん。うにゃん。

 

 

 

 #月へ日

 

 レイナーレが、気の流れを読めるようになった。

 といっても、なんとなく――感覚的にだけど。私の攻撃、避けられちゃった。ちょっとショック。

 後は、これから自分の意志で、意図して読めるようになるだけだ。

 そうすれば、戦場で敵味方の動きが判るようになるにゃ。あと、隠れてる敵の索敵とか。

 出来る事が、一気に増える。でも、今のレイナーレにはまだ難しい事だと思う。

 不器用だもんね。出来る事が増えたら、多分なんでもしようとして失敗する。

 今からレイナーレの失敗が目に浮かぶにゃー。

 まぁでも、それも良い経験なのかな?

 まず、気の流れが判るようになった。次は何をさせようかな?

 戦い方はグレイフィアや堕天使の総督が教えてるから、私が教えるまでも無いし。

 こういうのを考えるのも楽しいにゃ。

 白音とレイナーレ。教える側。先生っていうのも良いね。

 今度、眼鏡でもつけてみようかな?

 

 

 

 #月と日

 

 なんでも、もうすぐ修学旅行があるんだって。

 まぁ、トオルは三年だし、白音は一年だからあんまり関係無いみたいだけど。

 来年は白音か。お土産頼まないとなぁ。

 それにしても、トオルは外国が怖いんだって。笑っちゃうね。最近は、連休で外国に遊びに行く人ばっかりなのにさ。

 しかも、英語があんまり得意じゃないんだって。

 ふふ――今度、教えてあげようかな?

 眼鏡とスーツでも着てさ。喜んでくれるかな?

 

 

 

 #月ち日

 

 トオルが『禍の団』に会ったと言ってた。帰り道で遭遇したみたい。

 でも、何もしなかったってどういう事だろう?

 名前を聞いただけ、か。ちょっかいを出そうとしたけど、トオルから逃げたのかな?

 ……レイナーレの特訓にも付き合いたいけど、トオルの方も心配だにゃー。私の知らない所でまた無茶しちゃいそうだし。

 難しいにゃ。自分で何でもできるだなんて思ってないけど、何とかしたいとは思う。

 レイナーレとも話したけど、しばらくは白音がトオルの傍に付く事になった。

 学園でも一緒だしね。

 

 それと、今日トオルが『神器』を見せてくれた。

 綺麗な銀の懐中時計。話には聞いていたけど、本当に綺麗だった。でも、特別強い力は感じなかった。

 それがトオルの『神器』。良く思い出すと、刻んでる時間は合ってなかった気がする。まぁ、些細な事か。

 ――時計の形をしているから、時間を操る。そう思ってしまう。

 どうなんだろう? 時計だから時間、という訳でもない。

 時間は世界を現す概念の一つだ。言い換えるなら、世界を操るとも取れる。それは大袈裟すぎかにゃ?

 それとも、トオルは四次元的な能力が使えるのか。もしくは現実を改変してるのか。時間、ってだけでも色々思い付くもんだね。

 だって、加速、減速、巻き戻し、停止に歴史や過去の改変。もしかしたら未来予知も時間に関係してるかもしれない。

 トオルの『神器』の能力って、そのどれかなのか、それ以外なのか、そのどれもなのか……。

 絶対戦いたくないね。勝てる気がしない。

 トオルに聞いても、ただの時計だっていうし。

 しかも、『赤龍帝の篭手』の方が格好良いとかいってた。

 『赤龍帝の篭手』は確かに強力だけど、攻撃力に特化した『神滅具』でしかない。

 そういう意味では、トオルの『神器』の方が何万倍も万能性があると思うけどにゃー。ちょっとトオルの感覚はズレてると思うよ?

 そういえば、トオルの『神器』は凄く強力なのに『神滅具』に数えられてない。

 それも不思議だ。

 魔王や堕天使、天使達はトオルの『神器』の能力の凶悪さは知ってる筈だ。

 なのに、『神滅具』に数えないは変じゃないかにゃ?

 ……うーん。なんだか嫌な感じ。

 

 でも、トオルには『赤龍帝の篭手』より、銀時計の方が似合ってるよ?

 大人っぽくて格好良い。

 剣とか似合わないよ?

 トオルに、戦いは似合わないからね。

 

 

 

 #月ぬ日

 

 夕方に、グレイフィアが「おっぱいドラゴン」のDVDを持ってきてくれた。

 それをトオルと一緒に見た。白音は部活で居なかったから、二人で。

 レイナーレはあんまり興味が無いみたい。ま、それが普通の反応だと思うけどにゃー。

 今日は、晩御飯までトオルと一緒にそのDVDを見てた。

 えへへ……トオルの膝の上で。

 しかも、テレビを見てる間妙にモジモジしたりして、動いてるの。

 あれってさ……私を意識してくれてたのかな?

 猫としてじゃなくて、女として私を意識してくれたのかな?

 ……だと嬉しい。

 一歩……ううん。半歩でもいい。前進出来てると良いな。

 

 

 




時間を操るってだけでも、いろいろと出来ることは多いですね。
七巻を早く書きたいですね。
きっと、感想欄にはロキ様への熱いメッセージが溢れるんだろうなぁ(チラッ

なんででしょうね?
原作だと黒歌は妖艶なお姉さんキャラ(?)なのに、この作品だと可愛い黒猫さんなんだ。
皆さんは綺麗なお姉さんと可愛い黒猫さん、どっちが好きですか?

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