とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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PSPvita買っちゃった…
神様を喰わなくちゃ(使命感


81(メイド日記)

 

 #月Z日

 

 アーシアが幸せそうで良かった。

 本当に、そう思う。兵藤君には、ぜひアーシアを幸せにしてほしい。

 ……出来るなら、彼の女好きな性格も、少しは控えてもらえると、アーシアももっと安心できるのだろう、と思うが。

 どうして彼は、ああまで女性の胸ばかりを気にするのか……。

 グレモリー配下でいうと姫島朱乃、ゼノヴィア……それだけではなく、私や黒歌、グリゼルダ様にもそう言った視線を向けてくる。

 そういう事に興味がある年頃だとは思うが、がっつき過ぎてはちょっと…と思うものだ。

 まぁ、それが兵藤君らしい、と言われればそれまでなのだが。

 アーシアが良いなら、それでもいいが…やはり、こちらとしてはもう少し落ち着いてほしいと思う。アーシアの為にも。

 しかも、病み上がりでアレなのだから――溜息しか出ない。

 

 今日は体育祭だった。

 徹様は借り物競争に出られて、三位だった。

 もう少し頑張ってほしかったが、あまり目立つのも好かれないから、丁度良いくらいだったのかもしれない。

 結局、徹様が出場されたのはそれくらいだった。

 クラスの中でもあまり体力がある方ではないらしく、100メートル走のような目立つ種目には足が速いクラスメイトが出場していた。

 ……まぁ、徹様は能力はともかく、肉体的には普通の人間とそう変わらないので、あまり体力が無いのも判っている。

 判ってはいるが…やはり、もう少し目立ってほしい、と思うのは欲張りな願いなのだろうか?

 体育祭は楽しめたが、少し物足りないな、と思ってしまった。

 徹様……もっと頑張って下さるとよかったのに。

 ――病み上がりだからしょうがない、と言われるとそれまでなのだが。

 そう言う点では、黒歌は凄いな、と思う。

 その辺りは割り切って、体育祭を楽しんでいた。

 徹様や小猫を見て、声を上げて応援していたし。

 アーシアも、積極的になったもので、兵藤君にちゃんとアピールしていた。

 奥手、とも言える性格の彼女だが、ちゃんと好きな男の子には押しの一手な選択肢も選べるらしい。

 まぁ、あの子は妙に騙されやすい性格でもあるから、積極的になり過ぎるのも心配だが。 

 黒歌は今日も、あまり徹様から離れようとしなかった。

 やはり、先日のレーティングゲームの件を気にしているのだと思う。

 徹様の死――考えたくも無い。

 不死不滅の徹様。だが、最悪が重なれば、どうなるか判らない――徹様は、人間なのだから。

 その事を、今回の件では思い知らされた。

 もう――徹様が死ぬのはたくさんだ。

 たとえ蘇るのだとしても……それでも、心配してしまう。寿命が縮む思いをした。

 ――いや、絶対に蘇る保証などどこにも無いのだ。

 死んで、蘇らない。その恐怖は、きっとこれからもついて回る。

 楽しむべき体育祭の時に、そんな暗い事を考えていたら、黒歌に怒られたが。

 あの子は、人の機微に敏い。猫だからだろうか? かもしれない。

 

 体育祭が終わった後は、兵藤君の家で兵藤君の快復祝いも兼ねたパーティが行われた。私達も参加した。

 アーシアは、兵藤君の御両親にも愛されているようで、今日はアーシアの活躍を収めたビデオを沢山見せてもらった。

 なんでも、アーシアが兵藤君の家に来てから、沢山ビデオに撮っているらしい。

 まるで実の子のようにアーシアを愛せる兵藤君の御両親は、立派だと思う。

 ……病み上がりなのに、あまり相手をしてもらえない兵藤君は、少し可哀相だったが。

 まぁ、それも一つの御両親の愛なのかもしれない。

 

 それと、今まであまり気にしないようにしていたが、グリゼルダ様が徹様の御両親の事を気にされていた。

 もしかしたら、天界側が、徹様の御両親に何かしらの行動を起こすのだろうか? 

 先日のレーティングゲームの所為か、少し過敏に考えてしまう。

 ……そんな事は無い、とは思う。

 だがそれでも――徹様の能力は危険だと判断される可能性は、決して低くないと私達は考えている。

 小猫はリアス・グレモリーの配下でもあるが、信頼できる。黒歌の妹で――彼女も、徹様の配下だ。

 きっと徹様の危機には、動いてくれると思う。

 これから、徹様の周囲はどうなるのだろうか?

 下手に動きが無いだけに、不気味だ。

 

 今日は一日、平和だった。

 明日もこんな平和な一日だと良いな、と思う。

 レーティングゲームの件、徹様の『禁手』化。

 ……平和とは程遠い状況だが、それでも平和を願おう。徹様の為に。

 

 

 

 #月!日

 

 今日、徹様にご両親の事を伺った。

 『神器』は特別だが、普通の人間の徹様。

 そのご両親も、普通のサラリーマンらしい。

 だが、普通のサラリーマンは、こんなに長期出張を繰り返すものなのだろうか?

 私も黒歌も、普通のサラリーマンをどのようなものかはあまり知らないが、それでも少し変なのでは…?

 ――私達が来て、一人暮らしではなくなって、寂しくなくなった、と徹様は言って下さった。

 だが……何か、隠し事をされている?

 ふと、そう思ってしまった。疑ってしまった。……私は、従者失格だ。

 徹様の御両親が何者であれ、徹様の家族であるのは変わりない。

 それを疑うなど――。

 

 

 

 #月”日

 

 黒歌とグリゼルダ様から、少し腕をあげたと褒められた。

 ……それでも勝てないのだから、素直に喜べない。

 グレイフィア様やグリゼルダ様、黒歌に鍛えられ…アザゼル様やオーディン様に僅かながら教えを受けた。

 他にも、ゼノヴィアやベオウルフ様、小猫とも何度か手合わせをした。

 ――それでも、私はあまり強くなれていない。

 もっと強くならないといけない。

 徹様を御守りするために。徹様が死なずに済むように。

 才能が無いのは誰よりも…自分自身で理解している。

 その私が徹様の為に戦うのなら、黒歌の言う通り――努力で補うしかない。

 先はまだまだ長い……けど、早く強くなりたい。

 黒歌や小猫のように才能が有ったら…無い物ねだりをしてもしょうがないのだが、最近、ふとした時にそう考えてしまう。

 もし私に才能があったなら――どうなっていたのだろうか?

 もしかしたら、徹様と御会いできなかったかもしれないな…。

 そう考えると、才能が無くて良かった……のか?

 ……何とも複雑だ。

 才能が無いから徹様と出会えた。なのに、才能が無いことを悩んでいる。

 

 

 

 #月#日

 

 今日は、グレイフィア様が家に来られた。

 徹様が起きておられるのを喜んでくださった。

 ……そんなグレイフィア様を僅かとはいえ疑ってしまった自分が情けない。

 黒歌は目に見えて警戒していたが。

 悪魔――冥界側も、一枚岩ではない。

 徹様の事を考えて下さるグレイフィア様のような悪魔も居れば、徹様を危険視する悪魔もいるだろう。

 これからは、その悪意に気付けるようにならないといけない。

 ――黒歌はまだ納得していなかったが。

 本当に徹様が好きなんだな、と思う。好きだから、心から心配してる。

 そう言うと、顔を赤くして照れていた。

 ……怒っているより、そんな顔の方が黒歌には似合うと思う。そう言うと、余計に顔を赤くしていた。

 

 それと、今冥界で流行っている『おっぱいドラゴン』のグッズを置いて行かれた。

 今回の件のお詫びも兼ねているのかもしれない。正直、扱いに困るが……。

 せっかくの贈り物だが、子供向けのおもちゃでは…。

 ……しかも徹様も、小猫に子供服を渡そうとするし。

 サイズは確かに合うものもあったが…それはどうかと思う。

 黒歌は笑っていたが、小猫の気持ちも判るので、私としてはどうにも反応に困ってしまった。

 お菓子は今後、皆で食べて行こうと思う。

 スナック菓子を一袋、夕食の後に全員で食べたが、中々おいしかった。

 中にはトレーディングカードという、いくつか種類があって、集めるのを楽しむカードが入っていた。

 私はそう言うのは知らなかったが、男の子はこういうのを集めるのが好きらしい。徹様に教えていただいた。徹様が言われるなら、そう言うものなのだろう。私も小猫もよく判らなかったが。

 黒歌は判るらしく、徹様と話が合っていた。羨ましい…。

 

 しかし、ヒーロー物の特撮は子供が好きそうだが、名前はどうにかならなかったのだろうか?

 その点だけは、グレイフィア様も嘆かれていた。

 なんでも、魔王ルシファーの一存で決まったらしい。ネーミングセンスがどうかと思う。

 それで大当たりしている辺り、本当に冥界には娯楽が少なかったんだな、と…思うしかない。

 珍しく、グレイフィア様が愚痴られていた。

 甘めのミルクコーヒーをお出しすると、喜んでいただけた。

 まぁ、この程度で恩返しが出来た、とも思わないが…少しはお役に立てただろうか? と思っておこう。

 

 

 

 #月$日

 

 これからも、徹様の元で励み、頑張っていこうと思う。

 徹様の配下で良かった――本当に、そう思えた。

 まだ……嬉しい。

 きっと、今日は良い夢を見れる。

 アーシアには本当に感謝だ。今日は、家に誘ってくれてありがとう――何度感謝しても、し足りない。

 

 黒歌と訓練が終わり、一緒に夕食の食材を買い出しに行った時、アーシアと会った。

 今までも偶に食材の買い出しの時に会っていたから別に驚くような事ではなかったが、今日はアーシアに兵藤君の家に誘われた。

 先日の冥界であった新人悪魔を集めての撮影――そういえば、徹様も呼ばれていたことを、アーシアに言われて思い出した。

 その時の映像が手に入ったらしく、一緒に見ないかと誘われたのだ。

 私としてはそうまで興味が無かったが、黒歌は徹様がどんなことを質問されたか気になったらしく、私も連れて観賞会に参加した。

 どうして黒歌は、自分の興味がある事には、あんなに全力を出すのだろう?

 家でも、あの調子でもっと家事を手伝ってほしい。

 いつも昼間はソファで寝てばかりなのだ。偶に学園に徹様や小猫の様子を見に行っているが。

 それで私よりも強いのだから、ズルいとしか言いようがない。

 

 兵藤君の家に行くと、リアス・グレモリーの部屋に案内された。

 そう言えば、アーシアだけではなく、リアス・グレモリーや姫島朱乃、ゼノヴィアとも同棲していたのだと、その時になって思い出した。

 アーシアの恋は、前途が多難だ…。

 まぁ、リアス・グレモリーとも良好な関係を築いているようなので、安心だが。

 兵藤君も元気そうで良かった。

 ……今日は、新しい服を勧められたが。

 そう言うのは、私や黒歌にではなく、アーシアにするといいのに。

 まぁ、流石に…あの子にナース服なんて勧めたら、私も黒歌も黙ってはいないが。

 確かに若いのだから、そう言う所もあるだろうが…高校生でナース服はどうかと思う。

 流石に、徹様も嫌がられるだろうから、丁重に断っておいた。

 あと、アーシアには絶対そういう事を言わないように、と釘も刺しておいた。

 ――本当に、最初に会った頃から何も変わらない兵藤君には驚かされる。

 あの性格は、もう諦めるしかないのだろうか?

 

 

 

 

 ……まぁ、そんな事が兵藤君の家ではあった。

 兵藤君の周りは相変わらずだった。

 

 そんな事を考えながら、鑑賞会は始まった。

 正直、そこまで期待していなかった。

 堅苦しい質問に、真面目に答えるだけ――徹様の性格なら、そんな映像だろうと思っていた。

 そんな考えは、良い意味でも、悪い意味でも裏切られた。

 リアス・グレモリー、サイラオーグ・バアル、ソーナ・シトリー、シーグヴァイラ・アガレスにディオドラ・アスタロト。

 近く、レーティングゲームが行われる新人悪魔たちへの質問。

 ソーナ・シトリーには色々とお世話になったので、ぜひとも頑張ってほしいと思う。

 徹様も期待されているのだし。

 彼女の目標は、あの時と変わらず、レーティングゲームに勝ち続けて、有名になったら冥界に学校を建てる、というものだった。

 本当に期待している。彼女なら、冥界をいい方向へ変えてくれるはずだ。

 他は……まぁ、頑張って、としか言いようがない。そんなものだ。

 リアス・グレモリーなどは冥界側から期待されているらしく、配下からも数人個別にインタビューされていた。

 赤龍帝である兵藤君もだ。

 

 そして――徹様。

 徹様は、一番最後。しかも、ごく僅かな時間だった。

 魔王から『悪魔の駒』を渡された人間。魔王が認めた人間。

 だが、冥界からしたら、人間が何故悪魔のゲームに参加するのか、と思うのだろう。

 判らなくもない。

 ……徹様に出逢う前の私も、きっと似たようなものだった。

 人間を、見下していた。

 でも――それを差し引いても、質問の内容は酷い物だった。

 というよりも、明らかに私と黒歌の所為だ。

 ディオドラにも言われた――弱い『女王』と元テロリストの『僧侶』。

 どうしてそんなモノを手元に置いているのか…内容としては、そんなモノだ。

 私が弱いせいで――。

 レーティングゲームの前に、そんな事で徹様に不快な思いをさせてしまっていたのかと思うと、胸が苦しくなる。

 やはり、私は強くならないといけない。

 いつか――力を示し、徹様に相応しい『女王』にならなければならない。

 徹様を御守りするために。

 戦場でも――公の場でも。

 でも……そんな悪意のインタビューに、徹様ははっきりと答えられていた。

 私の事を強い、と。そんな私を、信頼し――尊敬しているとまで、言って下さった。

 私は強くない。そんな事、この場の誰も……私ですら、判っている。

 しかも私は、徹様を傷付け、殺した事もある。信頼されるなど――尊敬されるなど……。

 良かった、と。ただ、そう思えた。

 ――良かった。徹様と出会えて、徹様の配下となって……良かった、と。

 今は、その気持ちでいっぱいだ。

 黒歌なんて、帰り道で泣いていた。

 声に出したわけじゃない。

 でも、帰り道、嬉しそうに笑いながら、幸せだと言いながら、泣いていた。

 徹様は、黒歌の事も、ちゃんと答えて下さっていた。

 面倒を見る、と。黒歌が死ぬまで――ずっと、と。

 聞いた後は顔を真っ赤にして、照れていた。

 帰り道、私と小猫と黒歌の三人になると、思い出して照れて――自然と、涙を流していた。

 良かったわね、というと、うん、と泣き笑いの顔で応えてくれた黒歌は――本当に綺麗だった。

 

 映像の中で小猫の事は質問されていなかったので、徹様は小猫の事には触れていなかった。

 その事で、小猫は少し拗ねていたようだ。

 いつか、小猫も徹様の配下として周りから見てもらえるといいな、と思う。

 そうすればきっと――私達は皆、幸せになれる。

 いつかきっと、平和で、平穏で、普通の毎日の中で、幸せな日常を過ごしていける。

 ……そうですよね、徹様?

 

 

 

 #月$日

 

 今日、徹様が『禍の団』の白龍皇ヴァーリと孫悟空の美猴と会ったらしい。

 なんでも、帰り道に偶然会ったのだとか。

 ……『禍の団』と偶然会うなど…まぁ、徹様がそう言われるのなら、何も言えなかったが。

 先日のレーティングゲームの事を忘れられているからか……少し、心配だ。

 『禍の団』の長であるオーフィスは、徹様を殺している。

 もしかしたら――徹様を止めてくれたのかも…しれないが。

 今は、どこまで信用していいのか判らない。

 白龍皇と孫悟空はアーシアを助けてくれた。

 だが、冥界で会った聖剣使い…アーサーは、黒歌を斬った。

 ――まぁ、私がどのように悩もうが、徹様の御考えに従うだけだが。

 

 




話数も増えちゃったし、そろそろ黒猫か黒龍か書きたいね。
それと、堕天使日記も補完しないと……。
天使日記は次巻にもちこしかなぁ。
そのままズルズル行きそうな気がしないでもないけど。

それと、明日と明後日は、外国に行ってきますw
といっても、お隣の韓国なんだけどね
ヒャッホー…女の人となんだぜ?




……仕事の上司だけどなorz

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