とある神器持ちの日記   作:ウメ種

78 / 195
どうしてD×Dの登場人物って、エロい人が多いんだろう?
書いててふと思った。
真面目な人少ないよね……今更か


76(主神日記)

 #月A日

 

 ようやっと、面白い事になってきた。

 舞台が動き始めた、とも言えるのかもしれない。

 冥界、天界、堕天使にテロリスト。我ら北欧の神々に、大陸の仏達。オリュンポスの神々と地の底の死神ども。

 それ以外にも、着々と動き出しておる。世界は、今や一触即発の状態だ。

 それに気付いてるのは、一体どれだけかは知らぬがな。

 最初に動いたのは冥界か。それともテロリストなのか――それもすぐに判るだろう。

 はてさて――その世界の中心で、あの小僧はどのように動くのだろうか?

 時間を操る人間。神の領分を土足で侵し、それをさも当然の様な顔をして受け入れていた人間。

 しかも、それすら本質ではないと来ておる。

 先日冥界で会った際には、儂には一定の敬意を払っているようではあったが。ちぐはぐで笑える敬語を使っていたし。

 よく判らない人間ではあるが、愉快な小僧だと言うのは理解できた。

 いずれ自分も巻き込まれるだろうが、あの小僧の行き着く未来は……判らないが故に興味がある。

 叶うならば、あのような小僧を勇者として手に入れたいところではある。

 

 

 

 #月B日

 

 どうにも、最近戦女神達が連れてくる勇者たちの質が悪い。

 ……戦争が無くなり、表面だけの平和、形だけの平穏、ぬるま湯の様な世界に浸っていては、強い魂など育つはずもないが。

 そういう意味では、テロリスト連中の方が我らとしては旨味があると言える。

 それが問題でもあるのだが。

 聖書に記された神は、面白い玩具を残したものだ。

 『神器』。人が持つ可能性。神や魔王すら滅ぼしうる力。

 それを、無理やりにでも進化させようとしている者達も居るから、島国の者達は面白い。

 あんなやり方では、世界から嫌われるだろう。まぁ、それを行っているのはテロリストだから、とも言えるのかもしれないが。

 覚醒へ至っておらぬ弱者を儂の様な強者へぶつけ、無理矢理に意識を変質させる。魂を磨き上げる。そして――『禁手』へと至らせる。

 最近は、そこに輪をかけてオーフィスまで動いておるときている。

 『神々の黄昏』も、どうやら笑える冗談ではなくなってきたようだ。

 相手はヴァン神族ではなく、テロリストなのだが。

 ……『禍の団』というのも、存外馬鹿の集まりではないのかもしれぬ。

 

 

 

 #月C日

 

 先日冥界に行ってから、御付の戦女神の様子がおかしい。というよりも、笑える。

 大方、良い勇者候補が見つかった、と思っているのだろう。

 まぁ、儂もあの小僧が勇者として来てくれたなら、労いの言葉くらいならかけてやってもいい。

 だが、アレは駄目だ。

 おそらく勇者という型に大人しく嵌っている者ではない。

 それに、あの男は女誑しだろうしな。

 儂も他人の女を手籠めにする趣味はあまりない。

 あの小僧が戦女神の勇者となったら、儂の楽しみが減ると言うものだ。

 ――そして、あの小僧は今や世界の中心だ。下手に手を出せば、『神々の黄昏』の引き金になりかねん。

 それも…面白いのかもしれんが。

 

 

 

 #月D日

 

 冥界の方の動きが目立ってきておる。

 隠す気が無いのか、隠しきれていないのか――どちらにしても、おそらく他の神々も気付いているはずだ。

 あの小僧――ノルニルの真似事をしておる人間。

 時間を操る能力は副産物でしかないだろう。

 それだけでも強力過ぎる能力ではあるが――アレの本質は、もっと異質なものだ。

 神話で語られる三女神が有名になり過ぎたのが問題なのかもしれぬが……だからこそ、あの小僧はまだ自由なのか。それとも、既に世界を創り変えておるのかもしれん。

 ロスヴァイセのヤツに説明してやったが、どれだけ理解できたか。

 アレは教科書通りにしか動けんのがなぁ……。器量も実力も申し分ないのだが、堅い所がいかん。勇者を落とすなら、もう少し女らしい所も無いとな。

 男でも出来れば少しは変わるのかの? 古今東西、女を変えるのは男。乙女を女にするのも男だしの。

 ――少しからかったらすぐに怒るし……それはそれで、乙なものなのじゃが。

 

 

 

 #月F日

 

 セラフォルーの嬢ちゃんが遊びに来た。というよりも、儂を誘いにじゃな。

 今度、ノルニルの真似事をしている小僧がレーティングゲームを行うらしい。

 しかも、その小僧を餌に、『禍の団』を誘き出す算段なのだとか。

 はてさて、あの小僧がそう簡単に悪魔どもの思い通りに動くだろうか?

 ――面白い。

 また、ロスヴァイセのヤツでも連れて行ってやるとするか。

 あの小僧に興味があるようだし…あの小僧も、ロスヴァイセのヤツに興味があるようだしの。

 上手くいけば、更に面白くなるやもしれん。

 あの小僧はあまり欲しくないが、恩が売れるなら――それに、小僧の本質を確かめられるやもしれん。

 

 

 

 #月G日

 

 あの小僧の周囲も、中々に愉快な事になっているようだ。

 『旧72柱』の悪魔に喧嘩を売られ、買い、今はレーティングゲームに出す眷属を集めるのに躍起になっているのだとか。

 向う見ずな性格は、嫌いではない。

 まさか、眷属すら満足に揃えずに悪魔の喧嘩を買うとはの。今時珍しい小僧な事だ。

 堅物のロスヴァイセは、何を考えているのか、と溜息を吐いていたが。

 まったく……そういう“何も考えていない”のが良いのではないか。

 昔はそういう勇者も少なくはなかったのもだ。

 今では頭が良い、戦いが上手い、魅力がある――顔が良い。そんな勇者ばかりだ。

 偶には昔のような、馬鹿な勇者も必要だと言うのに。

 馬鹿は良い。好きではないが、嫌いでもない。

 少し頭が良い、小賢しい餓鬼よりも、馬鹿で仲間の為に命を賭けれる若造の方が貴重なものだ。

 さて――あの小僧は、どちらだろうか?

 小賢しく、能力を隠して自己の保身にはしるか?

 馬鹿を貫き、仲間の為に自身を危険に晒すか?

 

 

 

 #月H日

 

 後日、また冥界に行くことをロスヴァイセに伝えると、目に見えて喜んでおった。

 久方振りに見つけた勇者候補。おそらくアレの頭の中は、どうにかしてあの小僧を勧誘しよう、とでも考えておるのかもしれん。

 ……別に要らんのだがなぁ。

 個人的に興味はあるが、アレは手元に置いておけば面倒しか起こさぬ類の人間だ。

 組織の長としては、どうにも手に余る。

 手元に置いておくより、少し離れた場所から眺めておくのが妥当だろう。

 それに、あの小僧がたかが一戦女神に靡くとも思えん。

 傍にカラスと黒猫を侍らせて――羨ましい。両方とも随分と器量良しじゃったからな。片方分けてほしい。

 まぁ、儂が傍にカラスや黒猫を置いたら、それこそ問題なんじゃがな。

 

 

 

 #月I日

 

 しかし、冥界も随分と楽しい場所に変わったのもだ。

 昔は景色が綺麗なだけの、何も無い場所だったというのに、娯楽施設やレーティングゲームの会場なども揃ってきておる。

 そしてなにより、人間界の成長が早すぎる。

 娯楽という点から見れば、世界のどの国よりも進んでおるのやもしれん。

 ……端的に言うと、興味がある。是非とも行ってみたい。

 何やら日本には、おっぱいパブとやらもあるらしい。

 どうにかして、ロスヴァイセのヤツを撒かなければならんな…。

 

 

 

 #月J日

 

 あの小僧…随分と冥界の魔王どもに買われているようだ。

 それにカラスからも。

 まぁ、カラスの方は『神器』に興味がある、程度のようだが。

 カラス――堕天使は『神器』の開発、解明に精力的に動いておるからな…あの小僧ではなく、『神器』が欲しいと言ったところだろう。

 儂も同じ口だから、何も言えんがな。

 小僧本人にも多少興味はあるが――知りたいのは、あの小僧が持つ『神器』の正体。……名前だ。

 さて…アザゼル坊も知らないようだが、どうやって調べたものか。

 ま、色仕掛けという手段も悪くないのかもしれんが。

 ロスヴァイセの為にもなるであろうしな。

 どうにもアレは固くていかん。男を知って、少しは柔らかくなるのもいいかもしれん。

 

 

 

 #月K日

 

 カラスが元カラスを鍛えていた。

 まぁ、アザゼル坊が魔王の『女王』と共に小僧の『女王』を鍛えていたのだが。

 弱いな。弱すぎる。

 アレが小僧の『女王』か、というのが儂の意見だ。先日一度見たが、どれだけ戦えるのか見たのは初めてだった。

 だがしかし……戦女神に名を連ねているとはいえ、アレでは若いロスヴァイセにも劣ろう。

 光の槍を使う転生悪魔。珍しくはあるが、それだけだ。光の使い方も、戦い方も、まだまだ粗が目立った。

 まぁ、将来性はある……かもしれん。

 少し話したが、中々勤勉で、強くなろうとする意欲もあった。

 儂はともかく、ロスヴァイセにも敬意を払っている辺り、教育も行き届いていたようだ。

 主を立てる従者か…ウチのロスヴァイセも教育してもらいたいものだ。

 文句ばかり言いおって――少しも儂を自由にしてくれん。

 こんな退屈な場所ではなく、日本へ行って遊びたいものだ。

 女は、男のこういう所を理解してくれんから困る。

 

 

 

 #月L日

 

 しかし、魔王の嫁も良い女だ。

 魔王に小僧に……『女王』は自分の女を見せる地位なのだろうか? まぁ、そんな事は無かろうが。

 娯楽を与えられぬ身としては、退屈凌ぎにそこそこ強い『女王』と弱い『女王』の勝負を遠くから眺めるしかなかった。

 まぁ、今度のレーティングゲームには『禍の団』も関わってくるだろうから、その対策も考えねばならんのだが…そんなものは、向かってきた者を我が自慢の槍で消し飛ばせばいい。

 現魔王級、もしくは『禁手』に至った『神器使い』でも現れれば少しは楽しめるだろうが…儂だけではなく、帝釈天どもやオリュンポスの連中も来ているのだ、それこそ敵の奪い合いになるだろう。

 『禍の団』には上級悪魔も多いようだが、その程度がどれだけ束になろうが、儂レベルになると塵芥も同然だからのぅ。

 無駄な時間を使うより、少しでも退屈を紛らわせられる美女同士の戦いを見た方が目の保養になるものだ。

 なので、あまりに負け続きな弱い『女王』に、退屈を紛らわせてくれた礼に一つ戦い方を教えてやった。

 今はまだ使えない知識だろうが、いずれ役に立つだろう。

 小僧の『女王』であるなら、有能なメイドであるだけでは足らん。戦う力も必要だ。『王』を勝たせる力が必要だ。

 どう足掻いても、小僧は力が必要な世界の中心にいるのだ。精々感謝するがいい、小僧。

 もしかしたらお前の『女王』――大化けするやもしれぬぞ?

 

 ――アザゼル坊が育てておった女を横から手だしして育てるのも、中々乙なものよな。

 しかしあの小僧、女の趣味は悪くないな。

 

 

 

 #月M日

 

 さて、明日は退屈で…少しだけ楽しみなレーティングゲームの日だ。

 あの小僧は、悪魔相手にどう立ち回るのだろうか?

 全力で潰すか? 適度に戦って、相手を立てるか? それとも負けて、目立たぬか?

 はてさて――小僧は自身の『女王』と『僧侶』を貶されて、どの選択を選ぶかの?

 そもそも、戦うのは人間と悪魔だ、勝ち負けで考えるなら悪魔が勝つのが当たり前だろう。

 ……だからこそ、少しだけ楽しみなのだが。

 ロスヴァイセの予想では、『旧72柱』のアスタロトが勝つと言っていた。

 まぁ、そうだろうな。大方の予想はそうだろう。普通に戦ったなら、勝負にもなるまい。相手はゲームになれた上級悪魔、小僧側はゲーム初心者の寄せ集めだ。個々の実力差は小僧が上かもしれぬが、ゲームというのは実力以上に慣れと言うのも重要なものだ。

 配下の質はともかく、『王』の質は悪魔が上だ。。

 今日、新人悪魔を集めてインタビューが行われていたが、あの小僧には戦う雰囲気というものがまるでなかった。

 普段通り――というには、少しばかり緊張していたが。アレは人前に出るのに慣れていないのだろう。

 明日は今日以上に注目される。その中で実力が出し切れるのか? 緊張して実力を出し切れず、負ける期待の新人も多い。それはどこも同じだろう。

 だが、あの小僧には『神器』がある。

 おそらく最悪と称して良い『神器』が。

 だから明日は、退屈なのだ。

 勝敗はともかく――勝負にはなるまい。

 アレはこの世界のルールに違反しておる。ゲームなど成り立つものではない。

 さて……小僧。お前は明日、どこまで見せてくれる? 楽しみにしておるぞ。

 

 

 

 ロスヴァイセに小僧の『神器』の能力を聞かれたが――儂に頼らず、自身の目で見極めてみよというのだ。

 それに……答えようがない。

 儂は、その答えを知らないのだから。

 弱者を受け止め、テロリストを受け入れた器は――まぁ、認めよう。

 だから明日は、力を見せてみよ。

 

 

 

 

 




そろそろ折り返し地点……かな?
俺――七巻まで書き終わったら、番外編でサタンレンジャーを書くんだ……。


それだけが、今の心の支え(ぇ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。