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#月A日
リアスの配下が、ストーカーの被害に遭っているらしい。
相手はアスタロト家の次期当主。ディアドラ・アスタロト……。
リアスの『僧侶』――アーシア・アルジェントが彼から求愛されているのは知っている。
『旧72柱』であるアスタロト家からの求婚ならば、喜びこそすれ、不満など……と思うが。
まぁ、リアスは身内に優しすぎる所がある。……地位ある悪魔ならば、受け入れなければならない事もあるだろうに。
子供だな、と思う。
だが、そういうわがままを通せるところが少し羨ましいし、リアスらしいとも思う。
自身の縁談は、レーティングゲームで解決したが…今度はどうやるのだろうか?
#月B日
先ほどお姉様から連絡があり、上代君のレーティングゲームの相手が、正式に決定した事を伝えられた。
相手はディオドラ・アスタロト。リアスの『僧侶』アーシア・アルジェントに求婚している男だ。
正直、どうして彼が上代君の相手になるのかが理解できない。
『旧72柱』アスタロト家の次期当主。冥界でも地位のある上級悪魔だ。
彼が人間に負けたとなると、冥界でも問題になるのは明白だ。
お姉様の話だと、魔王ルシファー様がその一戦を推したらしい。
……一体何を考えておられるのだろうか? 理解が出来ない。
レーティングゲーム初の、人間の『王』。しかもその最初の相手は、『旧72柱』に名を連ねる上級悪魔だ。
これでは、また上代君は目立ってしまうだろう。しかも、きっとあまり良くない方向に、だ。
溜息しか出ない。
……彼は今回の件を、どうやって乗り切るのだろうか?
私の友人は、どうにも私を困らせてばかりに様な気がする……。
それと、悩みの種はもう一つ。
夏休みにリアスとレーティングゲームを行った際、匙の『神器』――というよりも、肉体に変化があった。
アザゼル先生が言うには、赤龍帝の血――情報を得て、匙の『神器』が成長したらしい。
肉体をも変質させるほどの成長は、あの子にどんな影響を与えるか判らない。
……調べたいから一月ほど『神の子を見張る者』の実験室に貸してくれと言われたが、丁重に断っておいた。
あの子を実験動物にするつもりは無い。
ちなみに、私の次の相手はシーグヴァイラ・アガレスだ。
もう、負けは許されない。
次こそは勝たなければならない勝負だ。
匙や、皆も気合が入っている。それをどう運用し、勝利に繋げれるかは私次第だ。
#月C日
今日の放課後、上代君に次のレーティングゲームの件を伝えた。
困っていた。
……それはそうだろうな、と思う。
どれだけ特別な『神器』を持っていようと、彼は人間だ。
悪魔の事情を深く理解できるはずもない。
配下の目処はあるのか、と尋ねたが無いらしい。
どうするべきだろうか? 私から数人紹介してもいいが、それで良いモノだろうか?
上代君は、悪い意味で目立ってしまっている。
私が個人的に手を貸して、どこかで迷惑になってしまわないだろうか?
とりあえず、先日こちらに来た天使に相談してみるらしいが……天使が悪魔のゲームに手を貸してくれるだろうか?
……難しいだろうな。
どうにかして、私だとバレないように、手を貸せないものか…。
#月D日
体育祭――学生主体のイベントとはいえ、生徒会の仕事は多い。
テントの設置個所の確認、競技の順番の確認、出場者の確認にetcetc……
ある程度形にはなったが、まだまだ確認しなければならない事は多い。
だが、駒王学園3年。高校生活最後の体育祭だ。必ず成功させたいと思う。
匙や、配下の皆もがんばってくれている。私が弱音を吐くわけにはいかない。
#月E日
また、私の悩みの種が増えた。
ディオドラ・アスタロトだ……。
今日、いきなり学園――オカルト研究部の部室へ転移してきただけではなく、上代君へ宣戦布告をしていった。
いや――宣戦布告というよりも、喧嘩を売っていった、と言うべきか。
私はその場に居なかったが、その騒動の後、リアスが私に相談してきた。
……怖かったらしい。貴女はそれでも、グレモリー家の次期当主なのか、と言いたい。
まぁ、魔王様級の人が怒り、そのすぐ傍に居たのだから判らなくもないが。
上代君は怒ったまま帰ったらしいが……大丈夫なのだろうか? 色々と。
次のレーティングゲームやら、上代君の今後やら――。
あまり気が進まなかったが、お姉様に相談した。現魔王の妹とはいえ、私が出来る事は少ない。
まずは、お姉様にどうにかできないか聞いてみた。
任せて、との事だったが……時間が経つと、不安しかない。
#月F日
上代君から、配下の事で相談された。
相談されたが、私も次のレーティングゲームが近いので、私の配下を貸す事も出来なかった。
上代君には悪いが、紹介できるほど親しい悪魔も私は他に居ない。
リアスの次のレーティングゲームの時期は知らされていないが、そう遠くないはずだ。
しかも、私の相手がアガレスならば、彼女の相手はサイラオーグだろう。
若手最強の呼び声が高い、バアル家の次期当主。
そして、上代君の相手は『元72柱』、現魔王ベルゼブブ様を輩出したアスタロト。
正直、どちらの勝負も見てみたい。
……先ほど、お姉様から連絡があった。
今は、ローマへ赴いて、オリュンポスの神々の助力を仰いでいるらしい。
…………何をやってるのだろう、私の姉は。
明日には帰ると言っていたが、帰ってきて何をする気なのだろうか?
……嫌な予感しかしない。
#月G日
次のレーティングゲーム……上代君のゲームに、セラフ、堕天使幹部、帝釈天の仏にオーディン様、オリュンポスの神が観戦に来るらしい。
……驚けばいいのだろうか? 私は呆れたが。
私の姉は、何をしているのだろうか? なんでも、機密事項らしいが。
機密事項の内容は教えてもらえなかったが、それでも……やり過ぎなのでは、と思うのだが。
というよりも、上代君……今度会ったら謝ろうと思う。
私がお姉様なんかに相談したから、なんだか凄い事になったかもしれない……。
#月I日
上代君の次のゲームでは、天使の『御使い』という新しい技術の試しと言う事で、天使を配下に加えての勝負になるらしい。
上代君は天使の知り合いも居るので、配下に紫藤イリナとこの地区へ来ている天界スタッフを統括するグリゼルダさんが配下に加わるらしい。
彼女たちは、『悪魔の駒』では『騎士』に当るのだろうか?
これで、あとは『兵士』が揃えば、形だけは駒が揃った事になる。
即席のパーティだ。連携など組めるのだろうか?
不安要素は多い。
上代君とレイナーレ……黒歌と塔城小猫は、まだ付き合いがそれなりだから大丈夫かもしれない。
だが、悪魔と天使。水と油だ。
その事を上代君に聞いたが、心配してくれてありがとう、らしい。
まったく……困った友人だ。
こちらが心配しているのに、勇気づけられた気がする。
まぁ、上代君なら大丈夫――根拠は無いが、そう信じようと思う。
#月J日
冥界で今度、若手悪魔を集めて、特集を組んだテレビがあるらしい。
それに招待されたが、そこに書かれた名前を見て驚いた。
上代徹。
悪魔でもない人間が冥界のテレビ番組に呼ばれるのは稀だ。
悪魔側にとって益のある行動をした人間、将来的に悪魔へ転生する人間なら呼ばれても不思議ではないが――上代君は、悪魔に転生するのだろうか?
まぁ、駒王学園を狙った神話級の堕天使を退け、『駒王協定』の会談の場を守り抜いた実績もある。
呼ばれても不思議ではないか…。というよりも、上級悪魔である私やリアスよりも、彼の実績の方が高いのではないだろうか?
それに、今度はアスタロト家の次期当主とのレーティングゲームだ。
……学園での彼の生活を見ていると、信じられないが。
本当に、普通とは真逆な人生を送っている。そう思う。
学園での彼は、本当に普通の人間なのに……。
悪魔と関わる上代君。普通に生活している上代君。
どちらが本当の上代君なのだろう?
私としては――普通に生活している上代君の方が『らしい』と思うのだけれど。
#月K日
テレビ出演の件で、上代君から相談された。
まぁ、相談と言うよりも、私も出演するのか、と聞かれたのだが。
どうやら、テレビに出演するのは初めてのようで、緊張しているようだった。
少し意外だった。ルシファー様をさん付けで呼ぶような彼だが、テレビは苦手らしい。
自分はオマケだと言っていたが、逆だろう。
きっと、今回のメインは上代君だ。
魔王ルシファー様から『悪魔の駒』を渡され、魔王レヴィアタンから『僧侶』の駒を渡された人間なのだから。
けど、その事よりもテレビ出演に緊張している姿は、少し可笑しかった。
変に誇張されず…緊張している方が、上代君らしいと思う。
匙も初めてのテレビ出演と言う事で緊張していた。
可愛いな、と思う。普段は一生懸命に頑張っているのに、こんな所はどこか子供っぽい。
いつも通りの貴方で大丈夫ですよ、と言うと少しは緊張が和らいでいるようだった。
どこか手の掛かる下級生の男の子。龍の『神器』を持っている匙も、いつか『王』としてレーティングゲームに参加するだろう。
そう思うと、少し寂しくある。
弟が成長するのを見守るというのは、こういう事なのだろうか…?
少し複雑だ。
#月L日
上代君と一緒に笑っている余裕は、私には無い。
上代君がアスタロトとの勝負に負けないと言うように、私も次のアガレスとの勝負に勝たなければならない。
私の夢の為に――上代君にも応援してもらっているのだ、もう躓いている暇は無いのだ。
体育祭の準備に、次のレーティングゲーム。
上代君の心配をしている余裕など無かった。
私達は、まだまだ弱い。だが、弱いと言う事は、まだまだ強くなれるという事だ。
……頑張ろう。友達に応援してもらった夢を叶えるために。
#月M日
兵藤君が、冥界で大人気だった。
なんでも私達とのレーティングゲームで……あの、屈辱の一戦で、人気が出たらしい。
『おっぱいドラゴン』として。
正直に言うと、凄く複雑だ。どうしようもないほどに複雑だ。
冥界の子供たちが喜んでいる、というのは喜ばしい事だ。良い事だと思う。
だが、それが私達の一戦――しかも、負けた勝負だと言うのは、敗軍の将としては喜べない。
……もう、負けないようにしよう。必ず勝つ意志。それを持ち続けよう。
今日はテレビ収録の日だった。
前回の勝負でオーディン様に賞賛していただいた匙、そして私は個別にインタビューされた。
まぁ、次の勝負の抱負とどういう勝負になるかと言う予想。
匙の方も同じような内容だったらしい。
インタビューが終わって控室に行くと、上代君が悶えていた。
何かあったが聞くと、あまり答えたくないと言っていたが…インタビューで、何と答えたのだろうか?
……まぁ、どうせ明日にはテレビで放送されるので、それを見ればいいだけだが。
しかし、上代君の反応から察するに、よほど大仰な事を言ったのだろうか?
それとも、恥ずかしい……身の丈に合わない、格好良い事でも言ったのか?
どちらにせよ、恥ずかしそうにしていた上代君は、面白かった。
今日のインタビューの事が放送されたら、匙にお願いして録画してもらおう思う。
匙も面白そうで、乗り気だった。
私のインタビューの内容を教えると、上代君は少しだけ話してくれたけど。
私は、夢を叶えるために勝つ。それは、夏休みに実家で上代君に教えた通りだ。この生き方を、変えるつもりは無い。私は、私の夢の為に進む。
上代君は、今回のレーティングゲームに――大層な想いは無い、と言っていた。
夢も無くて――ただ、アスタロトに勝って、レイナーレと黒歌への悪口を撤回させるだけ、と。それで精一杯だと。
……その答えは、とても上代君らしい、と思う。思い出すだけで、少し笑ってしまう。
とても強い『神器』を持っていて、魔王様も認めている人間。
けど、彼が戦うのは身内の為。身内が貶された事を撤回させる為。
上代君がレーティングゲームに乗り気で不安だったが、結局本質は変わらないか。
それでいい、と思う。
上代君は上代君のまま、普通に生きて、生活するのが似合っている。
彼のレーティングゲームや戦いは……興味は凄くあるが、あまり似合わない。
#月N日
明日は、上代君の初のレーティングゲームの日だ。
観戦しに行こうと思っている。匙を誘うと、喜んでいた。
上代君は、どんな戦いを見せてくれるだろうか?
いずれ戦う事になるかもしれない相手だ、楽しませてもらおうと思う。
匙も、とても気合が入っていた。1時間前にでも、待ってます、と。そんなに早く会場へ行っても、退屈だろうに。遠足の前日に興奮している小学生のようで、可愛らしかった。
上代君は勝てるだろうか?
元堕天使、上代君のメイドのレイナーレ。
元テロリスト、SS級の指名手配されていた猫魈、黒歌。
その妹で、リアスの『戦車』でもある塔城小猫。
天界から来た熾天使ミカエルの『エース』紫藤イリナと、ガブリエルの『クィーン』グリゼルダ。
数は少ないが、質は並の上級悪魔の眷属よりも強力だと思う。
……互角。もしくは、上代君が少し上か。
勝ってほしいと思う。人間だが、上代君は友人だから……私は、友人を応援しよう。
例えそれに、どれほどの意味も無いのだとしても。
身内の為に怒った彼が、身内の為に勝てるように応援しよう。
そう言う甘い人は、嫌いじゃない。
セラフォルー様が頑張った理由の裏側。(総督日記話
ちなみに、多分本筋的には書かなくてもよかった話。
でも書いた。
会長が好きだから。
どれだけ否定され、感想が減ろうが、これだけは譲れない(キリッ
……スイマセンorz
おとなしく主神日記書くべきだったと反省していますorz
しかし、感想欄の『神器』の能力予想が熱い…
判りやすすぎましたかね?
次は誰にも予想できないような凄いのを一発ぶちかまして――(ぇ