$月W日
それにしても、私って結構酷いことしたのに、白音に泣かれちゃうなんて思わなかったにゃー。
これなら、もっと早く白音の前に顔を出しても良かったかな? うん。ちょっと後悔。
でも、白音から隠れてたからトオルと会えたから、何とも言えないね。うにゃん。
これからは、毎日こうやっていれると良いね? うん。そうできたら、きっと幸せだよね。
ねぇ、白音? これからは、白音とも一緒にいられるね。
ほんと、トオルには、感謝。どれだけ感謝してもし足りない。
温かいし、良い気持ちになれるし、抱きつき甲斐があるしにゃー。
不思議だね? 抱きしめてるだけで幸せになれるって、変な感じだよ。
夕食の後、レイナーレに小言を言われちゃったけどね? ぅなぁ。
少しくらい甘えたっていいじゃない。ねぇ? もうずっと、トオルに抱きついてなかったんだから。トオルの匂いを嗅いでなかったんだから。
泣き虫レイナーレ。そういうと怒られたけど。うん、ごめんなさい……。
何かレイナーレ、別れてた間に強くなったね……。
それにトオル……私が居ない間に、天使なんかとも仲良くなってるし。
グリゼルダってのと、紫藤イリナって転生天使。
天界側が人間を転生させて天使を作ってるなんて知らなかったにゃー。まぁ、興味が無かったから覚えてないだけかもしれないけど。
でも、天使の方は私の事を知ってたから、人間の頃にどっかで会った事があるかもしれない。
まぁ、覚えてないんだからそれほどの相手でもなかったんだろうけど。
大変だね、トオル。これで、冥界、天界、堕天使勢。三大勢力の全部と関わっちゃったね。……全然良い事じゃないけど。
これから大変だ。相変わらず平穏が遠いね、トオルは。
まぁ、でもさ……朝起きると、すぐ傍にトオルの寝顔があって、ちょっと背伸びをしたらキスが出来る距離で眠る。こういうのっていいね? 結構好きかもしれない、コレ。と言うか、好きだ。好きになった。今日から、トオルとは人型で寝る事にした。そう決めた。……しょうがないよね。好きなんだもん。本気だもん。
それとね、トオル? 一応、トオルの前で人型になるのって、別に初めてじゃないんだよ? 覚えてなかったみたいだけど……まぁ、そんな所もトオルらしいかな? 起きた時のリアクション、サイコーだったし。
でもいいね。起きた時に、私とは別の人の温もりでベッドがあったかくて、大好きな人の匂いがすぐ傍にあるのって。
朝から、今日も一日頑張ろう、って気持ちになれる。
だから、私の事を黒歌さんなんて、他人行儀な呼び方をしたことは、一応許してあげる。
次呼んだら、その頬っぺたを引っ掻いてあげるけど。
$月X日
色々と、ルシファーに喋った。どう書いたらいいかな?
『禍の団』の事。私が『禍の団』に所属した理由。今回の騒動の理由。えっと、それと…私が知ってる『禍の団』のメンバーに、オーフィスの事かな。喋ったのは。
私が知ってる連中って、隠れる気が無いんだよね。美猴とか、アーサーとか、ヴァーリとか。戦うのが三度のご飯と同じくらい好きな連中だから。私はご飯の方が好きだにゃー。
あとは、旧魔王派の連中か。それと、英雄派とか言われてる連中も居るらしいけど、そっちに興味は無かったから知らない。たしか『神滅具』持ちが居たらしいけど、名前はなんだったかな?
一応、知ってることを全部話したけど、まだ疑われてた。ま、そうだよね。
それはしょうがないにゃー。これからこれから。ま、気長に頑張りますかねー。
あと、白音にもっと喋りたいって言われちゃった。
うにゃー……お姉ちゃんも白音とお喋りしたいよ?
だから、白音もトオルにくっつけばいいのににゃー。そうしたら、ずっと一緒に喋れるのに。
白音もまだまだだにゃー。
そんな事を話してたら、トオルから引き離されたけど。……レイナーレ、ホントに強くなったね。
うなー……。やっぱり嫉妬でしょ? 判りやすいにゃー、相変わらず。
そんな所も可愛いんだけど。
さて。それじゃ、今日もまたトオルと一緒に寝ようかにゃー。
やー……トオルって、あったかいんだよね。抱いて寝ると、ちょうどいい感じ。
それか、抱いてもらうと。……気持ち良いんだよね。それだけで、幸せになれるくらい。
$月Y日
白音が悩んでたから、ちょっと仙術のコツを教えてあげた。
なんでも、白音ってリアス・グレモリーの配下の中で、一番弱いんだって。
そんな事無い……と思いたい。
まぁ、面子が面子だからにゃー。赤龍帝に聖魔剣使い。デュランダル使いに『停止世界の邪眼』、『聖母の微笑』と『雷の巫女』。『王』は滅びの力を持つルシファーの妹だ。たしかに、仙術の一つも使えない白音じゃ厳しいかにゃー。私の妹なんだから、才能はあると思うけどね。
でも、これからは私が知っている技を、教えれるだけ教えてあげる。
取り敢えず、一番初歩の初歩を教えてあげた。気の練り方と、殴り方。まぁ、一日でなんてその程度だ。いや、一日でそれだけできる白音には、やっぱり才能があるんだろうけど。
レイナーレは、やっぱり仙術の才能は無いみたい。
白音よりも使えてなかった。というか、気が練れてなかった。多分、根本的に術と相性が悪いんだと思う。どちらかと言うと、レイナーレは魔法が合うんだろう。そっちは、私はあんまり得意じゃない。
とりあえず、レイナーレは光の槍をもっと使い込んで、戦いに慣れればいいんじゃないかな?
そういう戦い方は、多分私よりも良い師匠についてそうだし。
あと、アザゼルの『人工神器』も。色々と使い方もあるんじゃないかにゃー?
その後、レイナーレにお説教された。トオルのベッドに潜り込むな、だってさ。
やだよー。
$月Z日
いやぁ、良い仕事した気分? レイナーレってさ、絶対可愛いよね?
昨日の夜、トオルの部屋に行こうとしたら白音がトオルの眷属にしてもらうように頼んでたの。やー…我が妹ながら、いじらしい。
私を助けてくれたお礼だって。泣けるにゃー。
でもさ、白音もトオルの事、悪く思ってないよね? おねーちゃん、その辺り敏感だよ? まー、白音ならいいかな? うん。
これからは、白音もトオルの配下かー。……いいね。うん。凄くいい。
トオルは本当に、私の夢を簡単に叶えてくれるね? なんだか、ずっと頼って、縋っちゃいそう。
黒歌さん、そんなに弱くないんだよ? でもさ……トオルに縋っちゃう。あったかい気持ちを、沢山くれるから。
そのあと、その一部始終を一緒に覗いてたレイナーレが慰めてくれた。
ズルいよね。もう…。
ほんと、トオル達は、私が優しくしてほしい時に優しくしてくれる。そんな事されると、黒歌さんはもっと溺れちゃうにゃー。
だから、昨晩はレイナーレと一緒にトオルに甘えさせてもらったにゃー。具体的には、トオルを挟んで寝た。寝ただけなんだけどね。
レイナーレなんて、最初は止めようとしてたけど。私と一緒にトオルの部屋に入るとあっさりと諦めてた。こういうのを、ちょろいって言うのかにゃー? もっと抵抗しようよ、レイナーレ。というか、絶対トオルと一緒に寝る事に興味あったよね? 丸判りだにゃー。
まぁでも、黒歌さん的にはもっとサービスしたかったけど、流石にレイナーレに怒られた。
でも、そういうのは……やっぱり、他人の家じゃ嫌だ。最初だし? 好きな人の家、好きな人の部屋がいいにゃー。
こういう考えは、子供っぽいかな? でも、そういう甘い憧れもあるんだよ。お姉ちゃんだって、女の子なのだ。そういう砂糖菓子のように甘い夢も見たいのさー。
レイナーレは、トオルから求められれば、って言ってたけど。嘘吐け。レイナーレは私と一緒だ。同じだ。甘えさせる側じゃない。甘える側だ。どれだけ強がっても、どれだけ冷静を装っても……だ。判るよ? 同じだから。
昨晩だって…結局トオルの隣で、肩に顔を埋めて、私と同じように幸せに浸ってた。緊張してたのは最初だけで、すぐに安心しきって眠ってた。……女の子みたいな顔して。
レイナーレって、ホント……かわいい。ズルいくらい可愛い。
朝起きた時は、恥ずかしがって後悔してたみたいだけど。
あとは、今日はレーティングゲームの大会があった。
なんでも、トオルの知り合いが戦うらしい。ソーナ・シトリー。魔王レヴィアタンの妹だ。
まぁ、負けてたけど。頭は回るようだけど、手駒の質が違い過ぎたね。
……赤龍帝と『停止世界の邪眼』、『聖母の微笑』を落としたのには、正直驚いたけど。
さすが、トオルの知り合いだにゃー。知恵と努力で、才能を潰した感じ。レイナーレみたい。
レイナーレも才能が無いから、知恵と努力で私を倒したし。手加減してあげてたけどね?
トオルとレイナーレは応援してたけど、私は白音の応援をしちゃった。ごめんね?
それにしても、トオルって北欧側にも目を付けられてたんだね。
流石の黒歌さんも、それは知らなかったにゃー。
まぁ、今回は変なちょっかいは掛けてこなかったけど。挨拶だけだった。
不気味だにゃー。オーディンって言えば、北欧の最上神。どんな形でトオルに関わってくるか、想像もつかない。
……ほんと、トオルって平穏とか普通とかと縁遠いよね。
一番簡単そうな『普通の幸せ』が、一番遠いね……。
まぁ、そんな事はどうでもいいんだにゃー。
問題は、オーディンの付添いの戦女神だ。
銀髪の。美人の女。
……トオルってば、見惚れちゃってさ。私やレイナーレが居るって言うのにさ!
$月!日
久し振りに帰ってきたトオルの家は、全然変わってなかった。
暖かさも、匂いも……なにもかも。帰ってきた、って気がした。
トオルと一緒に、同じソファに座ると、昔に戻れた気がした。…戻ってきたんだって、実感できた。
それと、トオルに白音の事を相談した。
妹と、一緒に暮らしたい、って。
トオルって、白音の本名は知らなかったみたいで、白音の事を白音さんなんて他人行儀に呼んでた。
駄目だよトオル? 白音は私の妹。私の家族。
そんな他人行儀な呼び方だと、仲良くなれないよ? もっと親しみを込めて、呼び捨てとかで良いんじゃないかな? たぶん、白音も喜ぶと思うにゃー。
まぁ、呼び方は白音に聞いてから決める事になった。別に、白音で良いのに。きっと喜ぶのに。
でも、姉妹なんだし、暮らせばいいんじゃないかな、と言ってくれた。
あとは、白音が冥界から戻ってきてから、トオルを説得しよう。
にゃー。
$月”日
グリゼルダって天使が、天界のスタッフを紹介しに来た。
というか、隣の家に住んでたのか……転生天使。普通に驚いた。近くに越してきたにゃー……。近すぎないかにゃ?
それはさておき。
天界って、冥界や堕天使側よりも、トオルに近いんだと感じた。こんなに近くに天使を置くなんて、どう考えてもトオルを狙ってる。
それだけ、トオルを必要としてる、って事かにゃ? 強力な『神器』使いとしてか…それとも、それ以上に大切なのかもしれない。
その辺りは、今後の出方しだいかにゃー。まだ判んないや。
取り敢えず、あんまり信用しない方が良いと思う。
$月#日
トオルに撫でてもらったり、リビングでゴロゴロしたり。そんな一日だった。
うにゃー……やっぱり、トオルの手は大きくてあったかいねぇ。
でも、ちょっと気が緩みすぎちゃったかな? 撫でてもらってる途中で、人型になっちゃった。失敗したにゃー。
撫でてもらえる時間、終わっちゃったし。でも、トオルが顔を赤くしてた。
あれって、私を意識してくれてたのかな? そうなのかな?
ちょっと、期待していいのかな?
いっつも猫扱いされてるけど、トオル、私の事……女として見てくれてたりする?
……だと、嬉しいな。
それと、お風呂には一緒に入ってくれなかった。いつもは猫扱いする癖に。
レイナーレにも怒られた。嫉妬? 嫉妬かにゃ?
そう言うと、違うと即答された。嘘吐きだ。レイナーレは嘘吐きだ。
大体、レイナーレだってこの前、トオルと一緒にお風呂に入ったじゃないか。贔屓だ。差別だ。
背中を流しただけ? そんなの認められるかー! にゃ。
$月$日
トオルから、どうしてここまで私が懐いてるのか、って聞かれた。
そういえば、言ってなかったにゃー。
トオルはね? 私が優しくしてほしい時に優しくしてくれた人。
寂しくて、寒くて、冷たくて――独りだった私を、撫でてくれた人。
居場所をくれた。帰る場所をくれた。家をくれた。家族をくれた。友達をくれた。
――そのぬくもりで、あたためてくれた。
だから好きになった。大好きになった。
そして、命を救ってくれた。
それが、私がトオルを慕う理由。
トオルにとっては「それくらい」。野良猫に手を伸ばしたくらいの理由。
でも、私には命を捧げられる理由なんだよ。
好きだよ、トオル? 大好き。
あー……思い出すだけで恥ずかしい。
私は大罪人の黒猫。黒歌だ。
キス一つで顔を赤くして、生娘みたいにときめいて……。
はぁ。こんなの、黒歌さんのキャラじゃないにゃー。
……でも、悪くないね。うん。悪くない。
きっとまだ、トオルの中では、黒歌は猫でしかないんだろうけど。
夕食の時の反応で、そう感じた。私はまだ、トオルの中ではただの飼い猫の変化でしかないのだ。
でも、それでいい。
今はまだ、それでいい。
それも含めて、これからの楽しみだ。
まだまだ、黒歌さんの恋愛は続いていくんだ。完結なんて程遠い。だから、それでいい。
終わらない。ずっと続いていく。
飼い猫としてじゃない。黒歌として、女として見てもらう。まずは、そこからだ。
そして……私に恋をしてもらう。愛してもらう。好きだと言ってもらう。
私からじゃない。トオルから好きって言ってもらって、抱き締めてもらって、愛してもらう。
私の恋愛は、大変だにゃー。でも、難しい恋って、頑張れるよね? 障害が多い方が燃えるというか?
諦める? 諦めないよ。
だって、本気で、本当に、好きなんだもん。大好き。好きで、好きで、大好きで――愛してる。
ありがとう、レイナーレ。私を止めてくれて。連れ戻してくれて。
レイナーレは、私の『女王』だ。私を救ってくれた、友達だ。
トオルの為、レイナーレの為……私は生きるよ。
$月%日
レイナーレが、リビングでトオルに毛繕いをしてもらってた。
というか、昨日は私がトオルにベタベタしちゃったから、今日はレイナーレの番。……本人は、また最初は嫌がってたけど。
吹っ切れると、結構大胆だったけど。正面から「毛繕いしてください」だって。顔を赤くしちゃってさ。可愛いにゃー。
それにしても…翼の毛繕い。いいにゃー。私も堕天使の羽が欲しいにゃー。悪魔の翼って、羽が無いから駄目だにゃー。
……今度、私もトオルに毛並みを整えてもらおう。ブラッシングしてもらおう。
それにしても、レイナーレの表情が……ねぇ?
気付いてないつもり? それとも、気付いてて隠してる?
幸せそうな顔。羨ましく思えるくらい、穏やかな顔。
――やっぱり、いいにゃー。レイナーレの事も、私は好きみたい。
一緒に幸せになりたいな、って思えるくらい。好きだ。
$月&日
レイナーレが、私に勝てなくて溜息を吐いてた。
やー……流石に、本気で負けたくないよ?
『女王』様には、まだまだ満足して貰ったら困るんだにゃー。
私程度じゃまだまだだ。トオルの『女王』なら、もっと高みを目指してもらわないと困る。
才能が無い? だからどうだというのか。才能程度、地力と努力で超えてもらおう。
それくらいしてもらわないと、トオルの『女王』は大変だと思うにゃー。
魔王に堕天使総督、熾天使に北欧の主神。
トオルが平穏に至るには、障害が多いんだし。
$月’日
ディオドラ・アスタロトって悪魔が、レイナーレの友達に接触したらしい。
誰だったかにゃー? どっかで聞いたような気がする名前だけど、思い出せない。
まぁ、思い出せないって事は、その程度の相手でしかないんだろうけど。
気になるにゃー。こう……喉に小骨が刺さったような感じ?
……ま、明日には忘れてるかにゃー? しょせん、ただの上級悪魔だし。
そんな雑魚より、どうやってレイナーレの妨害を掻い潜って、トオルと一緒に寝るか、だ。
大事な事だ。凄く、大事な事だ。
昨日は結局、ベッドまでは辿り着けたけど、レイナーレに気付かれてベッドから追い出されたし。
レイナーレも一緒に寝ればいいのに。
恥ずかしがり屋だにゃー、レイナーレは。
ディオドラさんの明日はどっちだ!?
六巻を早く書きたいね。
今まで書いてない視点も、いろいろ書きたいし。
オーフィス書きたいし。
オーフィス出したいし。
……しかし、問題はオーフィスの日記だ。
片言だからなぁ……文章量がどうなるか。…赤龍日記の二の舞じゃね?