とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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イリナとどっちにしようか迷って、こっちにした。
でも、イッセーを好きなキャラの日記というのも悪くなかったかな、と書きながら思ったり。
いつか書きたいね、イリナ日記も。

まだ、D×Dの新刊は読んでないや。うち、田舎だし
なんか感想をもらってたけど、気になるなぁ。
早く読みたいw


58(天使日記)

 凸月U日

 

 今日から日記を再開する。

 ……正直、未だ、信じられない事だが。

 我らが主がすでにお亡くなりになられているなど――。

 だが、受け入れなければならない。

 主がお亡くなりになってなお、世界は動いているのだから…私達が止まる訳にはいかない。

 

 

 

 凸月V日

 

 本日、ガブリエル様より『クィーン』のカードを賜った。

 悪魔どもが最近熱中している『レーティングゲーム』のシステムを元に創られた『御使い』のシステム。

 ミカエル様、ガブリエル様、ウリエル様、ラファエル様を含めたセラフメンバーをトランプに倣った配置に据え、エースからクィーンまでを『御使い』と称した配下にするというものらしい。

 エースからクィーンまでの十二名。そして、その十二の『御使い』を統べるキング。

 私は、ガブリエル様より『クィーン』の座を賜り、ガブリエル様の配下となった。大変名誉な事だ。今日から私は、転生天使となった。

 主がお亡くなりになり、信仰を向ける場所を失っていた私に、ガブリエル様は道を示して下さったのだ。

 いまだ、主を失くした悲しみは癒えないが、それでも前に進もうと思う。

 ガブリエル様の『クィーン』として。

 

 

 

 凸月W日

 

 主がお亡くなりになった事を知る者は、そう多くないそうだ。

 あまり多くの者に知られると、天界への信仰が薄れ、主が遺してくださった『システム』に不都合があるかららしい。

 少なくとも、私の周りでその事を知っている者は居ない。

 知らされたのは、それだけ私が信頼されている……と捉えていいのだろうか?

 少々複雑だが、そう考えようと思う。

 これから、私のように『主を失った悲しみを越えた者』を『御使い』として採用していくのだとガブリエル様は仰られた。

 なるほど、と思う。

 

 

 

 凸月Z日

 

 天界で最近、堕天する者や自害する者が多い。

 主の死を受け入れられず、絶望した者たちだ。

 これから天界はどうなるのだろうか?

 『御使い』のシステムにより、天使に転生する使徒も多いが、天使が増えると同時に天使が減っているのが現状だ。

 主よ、これも試練なのでしょうか?

 貴方様の死すらも、我ら天使に課せられた試練なのでしょうか?

 仲間の死や堕天を乗り越えてまで、生きる事が試練なのでしょうか?

 ……答えが帰ってこないと判っていても、それでも主へと祈りを捧げてしまう私は弱いのでしょうか?

 

 

 

 凸月三日

 

 ミカエル様、ガブリエル様より、勅命を賜った。

 『駒王協定』が成された地域に、天界スタッフの統括として赴くようにと、だ。その際のスタッフは、私に一任するとの事。地域の案内に、以前その地に住んでいたミカエル様の『エース』が同行してくれる事にはなっているが。

 あの地域には悪魔、堕天使は居るが、天界の使徒は居ない。悪魔と堕天使の少数の人材で十分機能しているらしいが、ミカエル様はそこに天界のスタッフも加え、より円滑な関係を結びたい考えのようだ。

 その統括に選ばれた事は、大変名誉な事である。

 大変名誉な事ではあるが……どうしよう?

 熾天使様からの勅命を断る事なんてできない。そんな事をしたら、どうなることか……。

 今まで手出ししていなかった地域……つまり、地域のスタッフがゼロの場所へ統括として赴く。

 悪魔、堕天使との連携など無いに等しい。それどころか、天界のスタッフも今から集める事になるので、スタッフとの連携も無い。

 左遷、とは言わないが……栄転とも言えない。そんな微妙な異動だ。

 名誉な事なのだ。うん。……名誉な事だと言うのは、判っている。

 

 

 

 $月A日

 

 なんとか、スタッフ……私の部下を揃える所まで漕ぎつけた。

 ミカエル様、ガブリエル様だけでなく、ウリエル様、ラファエル様にも御迷惑をお掛けしてしまった。

 だが、熾天使の皆様方の『御使い』をお借りする事が出来たのは行幸だった。

 あとは、駒王学園がある地域へ赴く日程だが……こちらは、いまだ悪魔側の担当者――魔王ルシファーと話し合いの最中らしい。

 そちらは、ミカエル様に任せるしかないのでどうしようもない。

 しかし、こうなってくると、駒王学園がある地域の統括として働くことになるのが現実味を帯びてきた。

 名誉な仕事…最初はどうなるかと思ったが、何とかなるものだな、と思う。

 この調子で、これからの仕事も上手くいってくれればいいのだが…。

 

 

 

 $月B日

 

 駒王学園の周辺で、私達が住む場所が決まったらしい。

 ミカエル様が御気にされている人間、上代徹様のお隣の家らしい。

 ……嫌な予感しかしない。

 上代徹様。『駒王協定』が結ばれる際、『禍の団』の襲撃を受けた――その際、最も戦果を挙げた人間。死者どころか、怪我人すら出さずに場を収めたのだとか。それも、敵味方両陣営に。とても慈悲深い方だと、会った事も無い人間だと言うのに思ってしまう。

 時間を操る『神器使い』だと聞いている。熾天使様、魔王、堕天使総督……私などでは足元にも及ばない方達すらブーストできるほどの使い手、とも。

 そんな人間の隣の家など、何かあるに決まっている。一度御会いしたくはあったが、出来ればこんな形で御会いしたくなかった。

 ……本当に、嫌な予感しかしない。

 

 

 

 $月C日

 

 私達の仕事は、地域との密着。そして、悪魔、堕天使との連携の基礎作り。さらに、上代徹様と親交を深める事。

 ……ガブリエル様から前二つの使命を賜ったが、ミカエル様は最後三つ目に重点を置かれていた。

 上代徹様。ミカエル様から親交を深めるように言われるなど、どれほどの人間なのだろうか?

 以前から興味はあったが、それが深まった気がする。

 どうしてミカエル様が気にされるのか――会えば判るだろうか?

 

 

 

 $月D日

 

 ミカエル様の『エース』紫藤イリナ。中々に愉快な性格のようだ。ミカエル様の『御使い』を名乗るなら、もう少しそれなりの振舞い方があるだろうに。

 他の天使たちも言っていたが、もう少し落ち着くべきだと思う。

 彼女が私の現地でのパートナーの一人なのだが、出来ればもう少しお淑やかにしてほしい。

 ミカエル様が気に掛ける人間、上代徹様。彼に、天使とはどういうものなのか、と誤解されたくない。

 ……一応昼間に言いはしたが、伝わったかどうか…。

 

 

 

 $月F日

 

 ガブリエル様とは別に、ミカエル様からも直々に勅命を賜った。

 ミカエル様は勅命ではなく、ただのお願い、と言われていたが……。

 上代徹。ミカエル様が御気に掛けられている人間。

 時間を操り、悪魔と親交を持ち、堕天使を傍に置いているのだとか。

 彼――徹様には、次代の『神』になる器があるかもしれない、という事だった。

 正直、ミカエル様の御言葉でも、到底信じられない事だ。

 強力な『神器』を持っているとはいえ、ただの人間か我らの『聖書に記された神』の座に収まるなど……。

 信じられないし、信じたくない。

 そもそも、『主』は戦争の大本。旧魔王とともに消滅したからこそ、三すくみの状態は解消され、『駒王協定』は――和平は成った。戦争は消えた。

 だというのに、戦争を求めていないミカエル様が『戦争の大本』を求めるのはどういう事だろうか?

 ミカエル様は、主が遺した『システム』を安定させるため、と言われていたが…。

 新魔王が悪魔に居るように、天界も新しい神を必要とする時が来たのだろうか?

 ……どうやら、予想以上に今回の使命は重要なようだ。気を引き締めないといけない。

 

 

 

 $月H日

 

 明日から、ついに地上に降りて新しい仕事へ就く事になる。

 主の死を知らされた時は絶望したが、ガブリエル様の『クィーン』として新しい道を進めた事は大きい。

 悪魔、堕天使との繋がりをより強固なものにする。

 そして、新しい神となるかもしれない方への接触。

 私に課せられた使命はとても大きく、重い。

 部下となる皆は、熾天使様方からの仕事がまだあるらしく、駒王学園の夏休みの半ばまでは天界に居る事になっている。

 しばらくは、私と紫藤イリナの二人だけで、向こうに行くことになる。

 紫藤イリナ――落ち着きのない彼女が、どうか問題を起こさないように……。

 主よ、どうか彼女を見守り下さいませ…。

 

 

 

 $月I日

 

 今日、上代徹さんと御会いしました。様付は苦手らしいので、徹さんからのご要望で、さん付けで呼ぶことになった。メイドの堕天使は様付だったが。こちらはよく教育されているようだ。

 紫藤イリナによると、日本では引っ越しの際には近所の方に『引っ越し蕎麦』なるものを贈るのが一般的らしいので、それに倣い、御蕎麦を用意した。

 ちなみに、御蕎麦はお値段が張る物を、紫藤イリナに用意してもらった。

 徹さんには気に入ってもらえたようで、喜ばれていた。

 天界の現状、私達の立場、そして、私と紫藤イリナが『御使い』である事を伝えた。

 その辺りの事にはあまり驚いておられなかった。主の死を知り、受け入れられているのだから、ある程度の予想がついていたのかもしれない。

 その後は、ミカエル様より徹さんにお渡しするようにと言われていた『御使い』のカードをお渡しした。

 未だ信用を得られていない身では、天使に転生してもらう事など難しいだろうが、信頼を築くのはこれからだ。

 まずはその一歩を踏み出せたと思う。

 問題は明日からだ。

 天界スタッフが揃っていない今、私達がする事は、徹さんとの信頼を築き、深める事。

 紫藤イリナはあまり乗り気ではないようだったが。

 彼女は、徹さんよりも魔王ルシファーの妹、リアス・グレモリーの配下である赤龍帝が気になるようだ…。

 彼はもう悪魔なのだから、あまり深入りしないように、と言っておいた。

 どこまで私の言葉を聞いてくれるかは判らないが。

 

 

 

 $日J日

 

 紫藤イリナが徹さんの御手を煩わせていた。

 ……あの子はどうして、もっと天使らしい振る舞いが出来ないのか。

 これから信頼を築かなければならない相手に迷惑を掛けるなど……。

 何処か、昔のゼノヴィアを思い出させる部下だ。

 そういえば、紫藤イリナは以前、ゼノヴィアと共に行動していた時期があったはずだ。

 だからだろうか?

 これから、よく教育しなければならない。

 

 

 

 $月K日

 

 とりあえず、今日は紫藤イリナに新居の掃除と家事を任せてみた。

 ……まぁ、それなりだった。これから、教育のし甲斐がある。楽しみだ。

 

 

 しかし、徹さんは話しやすい人だと思う。聞き上手、というのだろうか?

 徹さんのような方と話すのは随分と久しぶりだったので、楽しい時間を過ごせた。

 上司である熾天使様方から使命を賜る。部下からの報告を受ける。部下に命令する。

 それ以外の会話は久しぶりだ。中々に有意義な時間だった。

 それにしても、ミカエル様が御気にされているとはいえ、徹さんも男の方だな、と思う。

 ガブリエル様の御話をする時は、よく集中して聞かれていたような気がした。

 是非とも一度お会いしたい、とも。

 嘘を吐かない方は好きだが、欲望に忠実な方はどうか、とも思う。

 まぁでも、年頃の男の子なら、しょうがないか。

 ……年頃の男の子は、傍にメイドを侍らしたりしないだろうけど。

 

 

 

 $月L日

 

 徹さんの立場は、正直微妙だ。

 天界、冥界、『神の子を見張る者』……その全てが、徹さんの動向を気にしていると言っても過言ではない。

 特に、動きが目立つのは冥界だ。徹さんに最初に接触した勢力。

 だからか、一番徹さんに近いと言える。よく騒動に巻き込んでいるようだし。調べるとよく判る。

 その事を話すと、徹さんは苦笑していた。

 巻き込まれる以外に害は無い、と。その巻き込まれる事こそが害ではないのだろうか?

 そうは思ったが、徹さんは自分より周りの人を気にしてあげて、と言っていた。

 そう自然に言える人は、良い人だと思う。

 やはり、この人は慈悲深い人なのかもしれない。

 まだ会ったばかりで、繋がりは殆ど無いが――『駒王協定』の時といい、今日の言葉といい。

 優しい人だと思う。

 ミカエル様が気をかけられるのも、少し判った気がした。

 

 

 しかし、紫藤イリナには困ったものだ。

 楽をしようと、気付かれないように手を抜いている。

 ……気付かれていないと思っている辺りが、どうしようもない。

 さて、明日はどうやって教育してやろうか。

 

 

 

 $月M日

 

 魔王セラフォルー・レヴィアタン。

 ガブリエル様を敵視する、魔界の王の一人。

 まぁ、その理由は私的なモノだが。女の嫉妬とは見苦しい。

 

 しかし、魔王レヴィアタンの妹と徹さんは、それなりの付き合いがあるようだ。

 その名前が出ると、徹さんは冥界行きを快く受け入れていた。

 堕天使のメイドは、その言葉に従い外出の準備を進めるし……。

 天界に報告する暇も無く、私達も冥界行きを決めるしかなかった。

 正規ルートで冥界入りするのは初めてだから、中々に貴重な体験だった。

 それにしても、流石は魔王と言ったところか。

 ミカエル様から徹さんへ贈られた『御使い』のカードの存在に気付いていた。

 あと、ガブリエル様の『クィーン』だと言う事で、絡まれた。これだから、悪魔は嫌いだ。

 もっとスマートに事を運べばいいのに。

 

 案内されたのは、魔王レヴィアタンの家だった。

 ……いきなり天使を家に案内するなんて、あの魔王はどうかしていると思う。

 しかも、妹の方は姉とは比べ物にならないほどに常識人だった。

 騙して連れてきた徹さんに頭を下げて謝っていた。

 ちょっと私の中の悪魔観が変わりそうな光景だ。紫藤イリナも驚いていた。

 しかし、本当に徹さんは悪魔とは親しい仲なのだな、と思い知らされた

 魔王が家に招き、その妹と親しげに話す。

 普通の人間ではありえない光景だ。

 

 宛がわれた部屋は、堕天使のメイドと一緒に複数人用の客室だった。明らかに扱いが違う。

 堕天使の方は気にしていなかったが。持ってきた荷物をすぐに整えていたし。

 こういう事に慣れているようだった。よく教育されたメイドだと思う。

 私達の分までお茶を淹れてくれたし。

 そのあと、この状況について三人で話した。

 メイドが言うには、そう警戒する必要は無いとの事だった。

 魔王レヴィアタンはともかく、その妹と徹さんはそれほど不仲ではないらしい。

 まぁ、家に呼ばれてる時点でそうだろうが。

 

 ……ミカエル様。徹さんと付き合っていくのは、大変難しいようです。

 

 




丁寧語キャラにしようとして失敗したorz
仕事で疲れた頭じゃ、気にしてても途中で言葉が荒く? なってたヨ…。

キャラクターに個性を付けようと考えるのも、難しい…

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