とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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47(総督日記 エピローグ)

 凸月U日

 

 ヴァーリの奴が裏切った。

 まぁ、やっぱりか、と思わない事も無いがな。アイツ、力にばかり興味を示していたし。

 赤龍帝は女を、白龍皇は力を。本当に真逆だな、今代の二天龍は。まぁ、面白くはあるか……どんな成長をするか、想像も出来ん。

 それにしても、ヴァーリが裏切った責任、どうするかね? 前回のコカビエルの件もある。何かしらの行動をするのが筋ってヤツだろう。

 ……明日にでも、サーゼクスに相談してみるか。ミカエルの奴はもう天界に帰ったし。

 

 

 

 凸月V日

 

 明後日から、駒王学園の臨時教師として働くことになった。まぁ、臨時だ。形だけで良いだろう。

 本題はサーゼクスの妹の配下、未熟な『神器』使いたちの育成。そして護衛。

 まぁ、赤龍帝はこれからも狙われる可能性も高いし、妥当な所か。

 それに、上代徹に関われるので、俺も不満は無い。というよりも、助かる。

 天界の出方が判らない以上、半端な部下を駒王学園に送るのも問題かもしれんしな。俺が動けるなら、それが良い。自分の目であの人間を見極められる。

 しかしミカエルのヤツ、結局テロの後、上代徹に接触しなかったな。何を考えているのか……。

 興味が無い、という事は無いだろう。

 あれほどの『神器』使いだ、神が不在の天界は喉から手が出るほど欲しいはずだ。

 ……アイツの性格から、そう無茶はしないと思うが。

 

 

 

 凸月W日

 

 明日から学園に赴任するという事で、上代徹に事前に挨拶をしてきた。

 まぁ、特に礼儀なんぞ気にはしないが、これから友好な関係を築いていきたいので、挨拶くらいは、というヤツだ。

 ついでに、レイナーレの奴に見繕った手製の『人工神器』を一つ渡しておいた。

 『刹那の絶園』。瞬時に防御結界を展開できるヤツだ。これで、とりあえず身を守る事は出来るだろう。

 ……やっぱり、武器の方が良かっただろうか? だが、半端に力を持っても危険なだけだからな。

 地力がつくまでは、まずは身の安全だろう。まぁ、そっちはサーゼクスの方が何とかすると言っていたが。

 しかし、本当に、見れば見るほど普通の男だな。……あまり良い性格じゃなさそうだが。

 俺の『人工神器』とアイツの『神器』を交換したいとか言い出してたし。

 どうせそんな気など無いくせに。よく回る口だと思う。

 判ってても喰い付いちまう自分もどうかと思うがね。

 

 

 

 凸月%日

 

 今日から駒王学園の教師だ。まぁ、楽しめそうではあるな。

 赤龍帝に聖魔剣使い、聖剣使いに――上代徹だ。それ以外にも、面白い『神器』使いが多い。鍛えがいがある。

 まぁまずは、あのハーフヴァンパイアかね。全然安定してやがらねぇ。あれじゃ、周りが危険すぎるしな。

 それと、上代徹のレーティングゲームの教育。これもだ。

 俺も楽しみなんだよな、あの男のゲーム。

 『神器』はバグじみた規格外だが、レーティングゲームのルールでも適用されるのだろうか? 

 サーゼクスとしては、上代徹の名前を悪魔に知らしめる為のゲームだろうがね。

 どうやっても、あの男を悪魔に転生させたいのだろう。気持ちは判る。俺も欲しい。

 まぁ、本人はあまり乗り気じゃなさそうだったが。それもそうだろうな。いくら『神器』が強力無比でも、上代徹は人間だ。悪魔に興味は無いのだろう。時間を操っている時点で、永遠の命ってのにも興味があるのか疑わしい。

 俺の『人工神器』には興味を示してたな……なんか送るか?

 しかし、上代徹ほどの『神器』使いに、半端なのを送るのもな……。

 『墮天龍の閃光槍』でも送るか? ファーブニルがどう言うかは判らんが。アイツ女好きだし、嫌がるだろうな。

 ま、その辺りはまだまだ先の事か。今はまず、あの吸血鬼だ。

 ……しかし、上代徹はレーティングゲームの事、ほとんど何も知らなかったし。

 何を教えたんだ、サーゼクス。普通に悩んでたぞ。しかも、配下の目処も立ってないようだった。

 あれ、夏休みまでに配下一式を揃えれるのか? 無理っぽかったぞ。

 

 

 

 凸月$日

 

 今日初めて、上代徹の『神器』を見た。アンティークのような銀の懐中時計だった。

 まぁ、聞くのと見るのは全然違うわな。

 雰囲気というか、なんていうか…ありゃヤベェ、って普通に思えるな、あの時計。

 放ってる力みたいなのは弱々しいのに、存在感みたいなのが半端ねぇ。

 しかも、当然のように『停止世界の邪眼』が停めた世界を歩いてやがるし。

 それだけでも、凄い事なんだがな……アイツ、自分の凄さを知ってるのか? ああいう規格外のデタラメ男は苦手だ。自分の価値を、全く理解してない。

 三大勢力が上代徹を中心に考えているのに、あの男は普通に生活してやがるし。

 『神器』が強力だと、あそこまで図太くなれるもんなのかねぇ。

 しかしあの吸血鬼、上代徹が傍に居る時は随分と落ち着いてたな。時間操作系の『神器』使い同士、やはり惹かれる所があるのかね。

 

 

 

 凸月X日

 

 レイナーレを、グレイフィアの奴が教育するそうだ。どんだけ英才教育だよ。あの下っ端が、最強の『女王』に鍛えられるのか……耐えれるだろうか?

 自信が無い。逃げ出すんじゃね?

 まぁ、上代徹の傍に居るというのなら、そのシゴキを生き抜くのは最低限だろうな。

 一応『人工神器』を一つ、渡しはしたが…マトモな勝負が出来るとは思えねぇな。

 ま、死なない事を祈っておこう。手加減もしてくれるだろう。

 

 

 

 凸月Y日

 

 レイナーレの様子を見に行ったら、割と元気だった。

 なんでも、相手はグレイフィアの奴じゃなくてベオウルフがやってるんだと。そりゃ良かった。

 どうやら、サーゼクスの『兵士』は手加減も上手なようだ。

 しかし、健気だねぇ。弱いくせに、必死に規格外のバグ男に付いて行こうとしてやがる。

 いつかお前は足手まとい、もしくは人質にでもなるかもしれないってのによ。

 そう言うと、そうならないように強くなりたいんだと。青春だねぇ。そんな話を聞くと、酒が美味くてたまらねぇ。

 これからどうなるかは知らんが、頑張ってほしいもんだ。

 ニヤニヤできる光景を、是非とも期待してる。

 ……だが、どうしてグレイフィアはレイナーレにあそこまで肩入れするのだろうか?

 サーゼクスに言われたからといって、熱心に鍛え過ぎだろう。

 相手は三流以下の下っ端堕天使だってのに。…まぁ、同じ堕天使としては嬉しい限りなのだが。

 

 

 

 凸月Z日

 

 レイナーレのヤツ、上代徹から離れないだろうな。まぁ、今更『神の子を見張る者』に戻れと言うのもアレだしな。戻っても、居場所が無いだろうし。

 ま、アイツがそれでいいなら、俺が何か言うのも筋違いだろう。一度滅んだのだ、二度目の生は上代徹の為に使うと良い。

 精々足掻け、レイナーレ。上代徹は、いまや世界の中心だ。

 その男の傍に居るという事は、お前が思っている以上に過酷だろうよ。

 『禍の団』も動きだし、あの男はオーフィスの『蛇』を飲んだカテレアにも手を出した。それがどうなるかなんて、今や誰にも判りゃしない。

 俺にも、サーゼクスにも……ミカエルなんざ、騒動を持ってくる可能性すらあるしな。

 

 

 

 凸月=日

 

 しかし、本当に赤龍帝は女好きだな。リアス・グレモリーの乳を追っかけて、聖剣使いの尻を追っかけて、バラキエルの娘の乳を追っかける。お前にはそれしかないのか。

 まぁ、その性欲が力になってるってのが笑えるが。どんだけスケベなんだよ、今代の赤龍帝は。

 吸血鬼の方は、ヤル気はあるが相変わらず『神器』を上手く使えねぇ。

 聖魔剣使いは、単純に使い手の地力不足だな。まぁ、あの歳であれだけ動けりゃ十分なんだろうがな。

 聖剣使いの方もだ。うーむ、こう考えると、まだまだ伸び代があって楽しいな。リアス・グレモリーの配下は。

 

 

 

 凸月ー日

 

 今日は、珍しく上代徹がギャスパーの様子を見に来ていた。

 それに気を良くしたのか、今日はいつもより調子が良かった。

 上代徹が傍に居るからか、使い手の調子が良いからか……何ともよく判らん関係だな、アイツらも。

 吸血鬼の外見が外見なだけに、何とも微笑ましかったが。男同士なんだよな、あれでも。

 堕天使の総督として、それなりに色々な事に耐性はあるが、アレは結構微妙だ。

 

 

 

 凸月三日

 

 なんか今度、赤龍帝の家をリフォームするんだと。何でそれを俺に相談した、サーゼクス。

 まぁ、良いと思うが。好きにすると良い。お前の妹の配下の家だしな。先行投資って感じで良いんじゃね?

 でも、そこで何で上代徹の家もリフォームしようとした? 顔見知りではあるが、殆ど赤の他人だろ。それに、俺に相談するような事じゃねぇだろ。

 やめとけやめとけ。いきなり好意の押し付けは、嫌われるだけだって。

 アイツの感覚は結構庶民だし。神経は図太いみたいだが。

 ただでさえ『悪魔の駒』とレーティングゲームの件で警戒されてるんだからな。

 取り敢えず俺の方は、レイナーレにもういくつか『人工神器』を送るかね。グレイフィアに鍛えられて、少しはマシになっただろうし。余裕があるなら、夏休みに俺が直々に鍛えてやってもいい。それに、『人工神器』を使ったレポートを提出してくれると、実験する手間も省けるしな。

 上代徹の傍に堕天使が居るというのは、思いのほか便利だ。まぁ、俺の功績じゃないんだがね。

 

 

 

 凸月☆日

 

 結局、こちらから接触しない限り、レイナーレは俺に関わらないようだ。

 同じ堕天使。総督と下っ端という関係だとそれもどうかと思うが、まぁいいさ。堕天使としてではなく、上代徹の配下として生きるという事か。

 それもいいさ。上代徹と共に生きればいい。

 役に立てるかどうかは微妙だろうが、お前がソレを望み、上代徹が拒まないならそれも良いだろう。

 それに、どうしてかグレイフィアの奴もお前を買ってるようだしな。鍛えてもらえ。俺も、それとなく気に掛けておいてやる。

 しかし、上代徹の傍には、今は堕天使一人か。

 悪魔と天使はどうするのかね? 黙ってねぇんだろうな。というか、全く動かないミカエルが不気味でならねぇ。何を考えているんだか。

 駒王学園の夏休みに、冥界で若手悪魔の会合もある。また騒がしくなるんだろうな。

 退屈せずに済みそうだ。

 しかし、上代徹の配下は揃うのだろうか? 今の調子では、無理だと思うが…。

 まぁ、セラフォルーの妹も気に掛けているようだし、何とかなるだろう。

 それに、勝手に巻き込んだのはサーゼクスだ。最悪、あの男が何とかするだろう。

 ま、人間がゲームに参加したくない、と言えばそれまでだろうけどな。

 

 

 




主人公の明日はどっちだ?


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