とある神器持ちの日記

46（エピローグ）

そして、この主人公である

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　凸月Ｕ日

　久しぶりに学園に行くと、クラスの連中から心配された。

　しかし、どうして俺がメイド好きという事になってるのだろうか？　レイナーレさんか？

　この前の授業参観の時にもメイド服だったし、十中八九そうだろう。

　アレは二年の兵藤の趣味だと言ってたけど、通じてると良いな、と思う。多分無理だろうなぁ。

　どうにかしないとなぁ。

　それと、支取とギャスパー君が心配してくれた。……普通に感動する。

　悪魔に心配されただけで感動する俺って…正しい反応だと思う。思いたい。

　しかし、どうして俺がギャスパー君を助けた事になってるのだろう？

　違うとちゃんと否定したけど、何処からそんな話になったのか…。

　またグレモリー達だろうか？　根拠は無いが、なんとなくそう思う。

　なんとなくであいつらを疑う俺もどうかと思うけど…。

　しかし、支取は本当に良い奴だ。快復祝いにジュースを奢ってくれたし。

　悪魔だけど、アイツとはいい友人になれると思う。是非ともそのままの支取でいてほしい。

　凸月Ｖ日

　いきなり、支取から謝られた。

　なんでも、アザゼルさん……様ってつけた方がいいのかな？　多分、レイナーレさんの上司だし。

　アザゼル様が明後日からこの学園に来るんだと。

　それと、俺に謝る理由が判らないけど…。

　しかし、俺なんかに謝る悪魔は、きっと支取くらいだろうな……書いてて悲しくなるな。やめよう。

　それにしても、アザゼル様って、教員の資格を持ってたのか。堕天使スゲェな。レイナーレさんは家事が出来るし、アザゼル様は教員だし。

　悪魔を見てみろ。友達がい……少ない魔王と、魔女っ娘と人の話を聞かない同級生だ。アーシアさんと塔城さん、支取は除く。

　悪魔は堕天使の爪の垢を煎じて飲むべきだと思う。言ったら殺されそうだけど。比喩抜きで。

　やっぱ、悪魔って怖いよな……。

　凸月Ｗ日

　アザゼル様が家に来た。なんでも、教員として赴任する前に、学園の悪魔とか『神器』持ちの人達に声を掛けて回ってるんだと。真面目だ…。スーツは着崩してきてたけど、アザゼル様の雰囲気と相まって、凄い似合ってた。ダンディだった。

　それと、レイナーレさんにアザゼル様特製の『人工神器』というのを渡していた。腕輪だった。

　なんか、綺麗な宝石がついて、装飾も美しい腕輪だ。格好良い……俺の『神器』と交換してほしい。

　言ったら「いくらでもくれてやる」と言ってくれたけど。……『神器』の出し方が判らなくて断ったよ。泣きたい。

　出せませんと言えず、やっぱりいいですと断った俺を笑え。それとアザゼル様、がっつき過ぎです。

　腕輪は綺麗だった。アクセサリとしても使えると思う。レイナーレさんによく似合ってた。

　マジでほしい。腕輪。俺、よくグレモリー達に巻き込まれるし。役に立つ『神器』がほしい。

　必要ともいえるレベルだ。悪魔に巻き込まれて、いつ死ぬかわかったもんじゃない。

　勘弁してほしい。悪魔は自重しろ。魔王様はもう少し社交性を持て。

　……そう言えたら、俺って格好良いんだろうな。

　良い人だな、アザゼル様。部下のケアも万全じゃないか。

　明日からはアザゼル先生だ。

　そういえば、また黒歌が帰って来ないなぁ。

　今度はどこに行ったのだろうか？　事故とか怪我とかしてないと良いけど。

　そう言うと、レイナーレさんも寂しそうにしてた。

　早く帰ってこいよー。

　凸月％日

　なんかアザゼル先生、オカ研の顧問になってた。マジでだ。堕天使が悪魔の部活の顧問っていいのかな？

　まぁ、俺が何か言えるわけでもないけどさ。

　あと、レーティングゲームの詳しい説明をしてもらった。本当に助かります、アザゼル先生。

　グレイフィアさんに一度説明してもらったけど、俺の頭じゃ一度の説明じゃ覚えきれなかったのだ。

　また今度、判らない事があったら聞きに行こう。本当にいい人だ、堕天使って。人じゃないけど。流石レイナーレさんの上司。

　それと、早く配下を増やせとも言われた。

　……何でも、俺のゲームを見たい人が多いんだと。なんで？

　俺ってただの人間ですよ？

　きっと瞬殺されますよ？

　死なないルールらしいけど。俺は人間だし、間違いが起こらないとも限らない。

　しかし、サーゼクスさんの友達だからって言われても困る……あの人の友達って命懸けだな。勘弁してほしい。

　今更サーゼクスさんに『悪魔の駒』って返せないよな…『女王』の駒はレイナーレさんにあげちゃったし。返してくださいとも言えない。喜んでたし。

　……困った。

　凸月＄日

　ギャスパー君がグレモリー達を停めてた。便利というか、やはりチートだな、彼の『神器』。俺のと交換してほしい。……無理か。俺のって壊れてるし。

　せめて、動く時計が『神器』なら、まだ格好良いのに。デザインは悪くないし。ネジを巻く所も無いしなぁ。

　というか、また勝手にポケットに入ってたし。何なのコレ？

　凸月Ｘ日

　俺って天才かもしれん。

　この前、炎駒さんという、喋る馬…龍？　麒麟だったっけ。……麒麟は馬なんだろうか？

　まぁ、喋る炎駒さんだ。

　アレって悪魔になったから喋るんだろう？　なら、黒歌に『悪魔の駒』を使ったら黒歌も喋るのではないだろうか？

　……俺って天才かもしれん。

　今度試そう。

　決して、配下が居ないのにレーティングゲームの準備だけは進んでるから、現実逃避をしてるわけじゃない。断じて違う。……レイナーレさんと二人でどうしろと？

　もしくは、レイナーレさんと黒歌。片方は猫である。……勝てる気がしない。

　魔王様は俺に死ねと言ってるのだろうか？

　……友達ってなんだろう。俺の勘違いなのかな？　実は嫌われてる？

　凸月＃日

　久しぶりにグレイフィアさんと会った。今日は炎駒さんは居なかった。…ちょっとショックだ。鬣を触りたかった。

　なんでも、レイナーレさんを鍛えに来たんだと。……熱血系家政婦？

　雰囲気的には、グレイフィアさんはクールだと思ってた。どうやら激情家らしい。

　一緒に来てたベオウルフさんが言うには、なんでもサーゼクスさんとはそれはもう、凄い恋をしてたらしい。どんな恋だろう？　気になる。どうして悪魔さんは、大事な所を口にしないのか……凄く気になる。

　しかし、ベオウルフって、どっかで聞いたぞ。映画になってたはずだ。……他人の空似だと信じたい。

　もし本物なら、今度会った時にサインを貰おうと思う。

　今晩は、本当に久しぶりに一人だ。寂しい。晩御飯はグレイフィアさんが用意してくれたけど。

　……魔王様のメイドはマジで凄い。

　寂しかったので、呪いのチラシでギャスパー君を呼んで一緒に晩御飯を食べた。

　なんだろう…弟とか居たら、こんな感じなのかもしれないな、と思う。妹じゃない。

　女装してるけど、彼は男だ。

　……アレで女の子だったら、俺は神様を崇拝する。家に神棚を作ってもいい。神社の賽銭にお札様を入れてもいい。

　男の子だけど。

　食事中に頬に掛かった髪を掻き上げるとかズルいと思うんだ。男の子だよね？

　凸月Ｙ日

　黒歌が帰って来ない。大丈夫なのかな？　心配だ。本当に事故とかに遭ってないだろうな…。それは無いと思いたいけど。

　このまま帰って来なかったら、普通に悲しいんだが……。

　うーむ。何がいけなかったんだろう？　まぁ、猫の気紛れと言ったらそれまでだけど。

　それにしても、レイナーレさんと丸一日会わないのってアレだね。ちょっと寂しい。

　一人暮らしをしてたから、慣れてる筈なんだけどね。

　やー……ねー？

　暇だったので、『悪魔の駒』を磨いてしまった……俺、これからどうなるんだろ？　不安だ。主に悪魔関係で。レーティングゲームなんて無理です。

　どーすっかねぇ。

　ここまで来ると、本当にレイナーレさん頼りなんだけど。男なのに情けない。

　凸月Ｚ日

　レイナーレさんが帰ってきた。寂しかったので普通に嬉しい。

　お帰りなさいと言うと、ただいまと言ってくれた。いつも逆なので、新鮮だった。

　というか、レイナーレさんが居ないと、ご飯の準備すら出来ない俺って……胃袋を握られるとはこの事か。

　いつかレイナーレさんもアザゼル先生の所に帰るのかな？　寂しくなるなぁ。

　凸月＝日

　なんか、支取がまたお姉さんにやられたらしい。溜息を吐いていた。

　もうすぐ夏休みなのに大変だな…この前ジュースを奢ってもらったので、今回は俺がジュースを奢って愚痴を聞いた。

　なんでも、夏休みに実家に帰ってレーティングゲームをするんだと。人生初の。

　頑張ってほしいものだ。応援してる。本気で。マジで。支取には頑張ってほしいものだ。数少ない、悪魔の常識人だし。

　……そう言うと怒られた。他人事じゃないらしい。はいそうですね。

　でも俺、配下って『女王』だけだし。早く増やしたいものだ。

　せめて、夏休みまでに『騎士』と『戦車』くらいは揃えた方が良いと言われた。

　なんでも、その二つはレーティングゲームで前衛の要らしい。まぁそうだね。

　……アテがないのにどうしろと。

　凸月ー日

　ギャスパー君の様子を見にオカ研に行くと、アザゼル先生も居た。

　そう言えば顧問だったなー、と。しかし、ギャスパー君である。

　相変わらずグレモリー達を器用に停めてるなぁ、と思う。

　随分と『神器』の扱いも上達したのではなかろうか？　そう言うと喜んでいた。

　……正直、彼が女の子なら、世界の半分は幸せになると思う。男の子だけど。詐欺だよね。

　その後、支取に生徒会室に呼ばれた。

　夏休みの予定を聞かれた。

　なんでも、セラフォルーさんが俺を呼んでるんだってさ。マジ勘弁。丁重にお断りすると、支取も「それがいいです」と同意してくれた。支取の中で、セラフォルーさんってどんな感じなんだろう？　俺は魔女っ娘だと思ってる。魔王じゃない。

　そのあと、生徒会室でお茶を御馳走になって帰った。

　しかし、俺って匙君に何かしたか？　何か睨まれてたんだけど……。謎だ。

　凸月三日

　ここ数日、匙君の視線が怖い。

　支取に相談すると、なんでも俺をライバルみたいに思ってるらしい。なんで？

　俺って普通の人間なんだけど…そういうと、支取に笑われた。酷い。

　しかし、支取も笑うんだな、と思った。堅物の生徒会長で通ってるし。そう言うと怒られた。ごもっとも。本人にいう事じゃないな。

　その後、セラフォルーさんの愚痴と、夏休みどうしようかと相談された。俺としては、どうしようもないと思うけど。応援してるぞ、支取。お前は悪魔に染まってくれるなよ。もう悪魔だけど。

　今日も黒歌は帰って来なかった……。

　凸月☆日

　レイナーレさんって、いつまで家に居るんだろう？　そう思って聞いてみた。アザゼル先生も居るし、堕天使の家……家があるか知らないけど、そんな所に帰るのかって聞いた。

　聞くと、帰りたくないんだと。

　そうなんだ。なんか堕天使の方で何かあったのかな？　それか、グレモリー達に負けたから、帰り辛いとか。

　まぁ、でも、居てくれるのは正直嬉しい。助かる。何より、会話が出来るし。

　とりあえず、レイナーレさんの好きなだけ居ていいよ、という事になった。

　部屋も余ってるし、親父たちが帰ってくる気配も無いし。どんだけ仕事好きだよ。息子の心配してんのか不安になる。

　早く黒歌にも帰ってきてほしいもんだ。それとも野良に帰ったのかな？　そういうと、レイナーレさんは寂しそうにしてた。そんな事はないと言ってくれた。…失言だと思う。俺のアホ。

　ま、いつでも戻って来れるようにしとこうか、という話をした。

　それと、帰ってきたら『僧侶』の駒を黒歌に使おう。俺の野望の為に。

　なんで『僧侶』かというと、頭が良いから。それだけ。

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シリアスのシの字も無い主人公が大好きです。
書きやすいし。