△月AP日
今日は珍しく、レイナーレさんが寝坊していた。
こんなのはレイナーレさんが家に来た初めの頃以来なので、少し焦ってしまった。
疲れが溜まっているんだろう。家事は任せきりみたいな感じになってるし。昨日は訳が分からない婚約パーティに参加させられたし。
これはいけない……今度から、休日くらいは家事を手伝うべきだろう。
そう言ったら、家事は任せてほしいとお願いされた。
レイナーレさんがそんなに家事が好きとは思わなかった。最近は家の中が凄く綺麗だし、掃除好きなんだな。
あまり無理はしないでね、とだけは伝えておいた。取り敢えず、気付いたら掃除くらいはそれとなく手伝おうと思う。
心配だったので、今日の晩御飯は俺が作った。栄養があるもの、と考えて料理の本を睨みつけながら和食に挑戦してみた。
……それなりにできた、と思う。レイナーレさんには好評だった。
こんな事もあるし、少し料理も覚えようと思う。
△月AO日
姫島が何をトチ狂ったか、俺の事を上代様などと呼びやがった。
勘弁してほしい。本気で俺を潰しに来たか、この女……教室での周囲の目が痛かった。
その場でそれだけは勘弁してくれ、と頼み込んで、普通の上代君に戻った。同級生から上代様とか呼ばれたら、周囲の目が、俺を見る目がもう変態を見る目になるっての。
放課後には、姫島をどうにかしてくれとグレモリーにも頼み込んだ。多分、これで大丈夫だと思う。
姫島と遭遇する前に帰ったから、明日の登校が怖い。というか、俺何かしただろうか? 怒らせるような事はしてないと思う……思いたい。
帰ると、レイナーレさんが晩御飯の準備をしていた。
顔色も良いし、何か嬉しそうに感じた。良い事でもあったのだろうか?
聞いても、はい、としか教えてくれなかった。……気になる。
そう言えば、レイナーレさんも俺を様付で呼んでいるので別に畏まらなくてもいいと伝えたが、やんわりと拒否された。
メイド服で気にしてなかったが、改めて気にすると、少し恥ずかしい。
というか、友達を家に呼べない。
△月AI日
今日もレイナーレさんが寝坊した。
朝食の準備をしていると起きてきて、髪が凄い事になっていたのには笑ってしまった。
はい、ごめんなさい。俺が全面的に悪いです。朝食の間、レイナーレさんは無言だった。
学園へ行くと、また姫島に拉致られた。
そろそろ、俺も人権のような物を主張してもいいのではないだろうか?
なんでも、兵藤の左腕がヤバい事になっているらしく、俺にどうにかできないか、と。
お前らは俺を何だと思ってるんだ? 普通の人間に無茶を言わないでほしい。
そう言うと、魔王と一緒に居た事を指摘された。
サーゼクスさんか……あの人の所為で、なんか勘違いされてるっぽい。なので、俺は普通の人間だと訂正しておいた。
取り敢えず、無理なものは無理だとちゃんと断った。グレモリーもそう期待していなかったようであっさり引き下がった。
しかし兵藤の奴、何したんだ? 気になったが、深入りすると嫌な予感しかしないので、聞かない事にした。
姫島? 表面上は笑顔だった。内心は判らん。関わらないでおこう。
帰り際に、塔城さんに姫島の事は好きか嫌いかと聞かれた。嫌な予感しかしない。何だこの小悪魔。苦手はダメだと俺でも判るので、嫌いじゃないと答えておいた。本当は苦手です。
家に帰ると、ソファにレイナーレさんが寝ていた。
……女性の寝顔は見なかった事にして、部屋に引き篭もった。
夕食時に、レイナーレさんが慌てていた。寝顔? 見てませんよ。
△月AU日
せっかくの休日だけど、レイナーレさんの手伝いをした。
布団を干したり、掃除を一緒にしたり……疲れた。洗濯物はレイナーレさんの仕事である。異論は無い。
いつもこんな事をしてくれていたのかと思うと、本当に頭が下がる。
お礼を言うと、気にしなくていいとの事だが、それでももう一度お礼を言っておいた。
半日だけでグッタリしている俺の体力の無さが恨めしい。
気付いたら、ソファで寝てしまっていた……情けない。
レイナーレさんに笑われてしまった。
△月AY日
兵藤のボケが、昨日からグレモリーとも同棲を始めたらしい。爆発しろ。どうしてそれを俺に言う。嫌味か? 嫌味なのか?
アーシアさんだけじゃなくてグレモリーも一緒だとか……そのうち、姫島とか塔城さんにも手を出しそうだ。
まぁ、姫島も塔城さんもしっかりしてそうだし大丈夫だろうけど。
丁度会ったついでに、サーゼクスさんが兵藤の事はあまり悪く思ってなかった事を伝えておいた。
なんか、すっごい喜んでた。判りやすい奴。
家に帰ると、久し振りにグレイフィアさんが来ていた。
何やらレイナーレさんと話していたようで、レイナーレさんがぐったりしていた。
よく判らないが、挨拶だけして帰っていった。
何事かあったのだろうか? レイナーレさんも教えてくれなかった。
△月AT日
寝坊してしまい、レイナーレさんに起こされた。
怒ってるかな、とも思ったが機嫌が良いようでよかった。
それと、姫島の機嫌が妙に良かった。相変わらず、感情の起伏が激しい奴だ。
触らぬ神に祟りなし。
帰りに、レイナーレさんとアーシアさんを見かけた。レイナーレさんはメイド服姿ではなく私服だった。ちょっと新鮮だった。
スーパーで食材を一緒に買って、荷物持ちをして帰った。
晩御飯はアーシアさんと一緒に作ったハンバーグだった。凄く美味かった。
それと、最近の兵藤家の生活をアーシアさんが教えてくれた。というか、半分以上は愚痴だったような気がするが気のせいだ。
取り敢えず兵藤、お前は馬に蹴られて死ね。
どうしたら兵藤ともっと仲良くなれるか聞かれたが、そもそも俺も恋愛経験は無い。
レイナーレさんも微妙な顔で笑っていた。ですよねー。
グレモリーがエロ方面で攻めるなら、アーシアさんは兵藤に優しくしてあげれば良いと思うよ。
結婚するならエロい人より優しい人だと思うし。
そう言うと、顔を真っ赤にしていた。うむ、可愛い。
まぁ、兵藤が結婚まで考えてるとは思えないけど。でも、アーシアさんの良さは優しさだと思う。
レイナーレさんも頷いていた。本当、仲が良いよな、この二人。仲が良いのは良い事だ。
△月AR日
昨日寝坊したからか、今朝はレイナーレさんが起こしに来た。
着替えを見られた……死にたい。
まぁ、逆じゃなくてよかったと思っておこう。逆だったら、レイナーレさんが出ていくだろうし。気を付けよう。
レイナーレさんもあまり気にしてなかったようだし、忘れよう。
△月AE日
今日もレイナーレさんが寝坊した。
心配だったので部屋に起こしに行くと、ぐっすりと眠っていた。や、ちゃんとノックしたよ?
あまり物が無い……まぁ、俺の家だから物を買わないだけなんだろうけど。
でも、女の子の部屋に入ったのは初めてなので、貴重な体験でした。
あまりにぐっすり寝ていたので、起こさなかったけど。
朝食の用意だけして学園へ行った。でも、枕元にチェスの駒を置くと失くすから、今度注意した方が良いだろうか?
家に帰ると、平謝りされた。気にしなくてもいいと言うと落ち着いてくれたけど。
最近、どっちかが寝坊をしてるような気がするので、気を付けようという話になった。
はい、スミマセン……。
もう少し書いたら次は三巻ですね
空気の極みな木場君の出番!!