+月O日
今日も『虹龍』の卵がある所へ行くと、兵藤やアーシアさんと一緒に知らないドラゴンが居た。
見た目は人間と変わらなかったけど、人型にもなれるらしい。
いや、本当。
ドラゴンって、どこまで凄いんだろう。
ちなみに、名前はクロウ・クルワッハさん。
アーシアさんからバナナを貰って食べていた。
それだけ。無口な人だったなあ。……ドラゴンだけど。
+月P日
オーフィスちゃんと一緒にバナナを食べた。
昨日、クロウ・クルワッハさんが食べているのを見て食べたくなったそうだ。
学校帰り、晩御飯前に二人で食べたのでレイナーレさんから怒られてしまった……。
ちゃんと晩御飯も残さず食べたけど、やっぱり夕食前に間食は駄目だ。
今度から気を付けようと思う。
でも、オーフィスちゃんからお願いされると、どうしても断り辛いのだ。
黒歌やロスヴァイセさんに言うと、教育に悪いからと怒られた。
……気を付けます。
+月Q日
今日からしばらく、オーフィスちゃんは兵藤の家にお泊りなのだそうだ。
どうやら『虹龍』の卵が気になるようで、近い方の兵藤宅でしばらく過ごすらしい。
けど、教えてくれた黒歌の雰囲気が少し暗かったのが気になった。
何かあったのかな?
聞いても何でもないっていうし。
黒歌って、なんだかんだで結構感情が顔に出るから分かり易い。
言うと、皆から笑われていた。
それで少しは気が晴れたのかいつもの調子に戻ったみたいだし……やっぱり黒歌は、明るい方が良い。
俺も、気持ちが明るくなるし。
+月R日
しばらくは『虹龍』の卵の傍に行かないようにと、アザゼル先生から止められた。
ちなみに、今日はアザゼル先生が補習の先生だった事を記しておく。
まあ、授業ってわけじゃないけど。
何かあったら色々とよくしてくれるけど、今日みたいにずっと一緒に居たのは初めてのような気がする。
先生は兵藤達ともよく一緒に居るのでオーフィスちゃんの事を聞いてみたら、気にするなと言われた。
あと、少しは娘離れしたらどうだ、とも。
そんなつもりは無かったけど、俺って気にし過ぎてたりするのかな?
……思春期とか来ると、そういうのは嫌がられるとか何とか。
それはそれで、うーん。
家に帰ってから、ずっと悩んでいる。今日は寝れるかな。
+月S日
兵藤から怒られた。というか、絡まれた。
いや、両親が事故に巻き込まれたそうで、気が立っていたらしい。
グレモリーから説明された。
そういう時は、やっぱり頭が働かないんだろうな。
まあ、あまり気にしていないと言っておいた。
命には別条がないそうなので、今度お見舞いに何か果物でも贈ろうかと思う。
オーフィスちゃんがお世話になっているし。
ただ、オーフィスちゃんに会いに行ったけど、会えなかった。
兵藤があの調子だし、何も無ければいいけど。
……それにしても、兵藤の両親の話を聞いて思い出したけど。
うちの両親は何をしているのか。
最近、音沙汰が無い……まあ、便りが無いのは元気な証拠と思っておこう。
+月T日
今日は補習が休みだった。
平日なんだけどね。自由登校だから休日ってわけじゃないけどね。
というか、俺の補習状況を把握しているアザゼル先生、マジ凄い。
でも、ロスヴァイセさんと白音さんから、家から出るなとまで言われていたけどね。
レイナーレさんと黒歌は居ないし。
最近様子が変だったし。
何かあったんだろうなあ……教えてもらえないのは、結構悲しい。
レイナーレさんに黒歌、オーフィスちゃん。
三人が居ない家は、凄く広く感じる。
こういうのが寂しいって気持ちなんだろうな。
いつか、みんなこの家を出ていくのかな。
何となく、そんな事を考えてしまった。
+月U日
スコルとハティの相手をしていたら、クロウ・クルワッハさんが遊びに来た。
住所は、兵藤達から聞いたらしい。
……いや、いいんだけどさ、別に。いまさらだし。
ただ。一応、名前くらいしか知らない人なんだから、あまり住所とかは教えないでほしいなあ、とか思った。
そのクロウ・クルワッハさん。
『虹龍』の卵の事をどう思っているか聞かれた。スコルとハティの散歩を一緒にしながら。
あと、オーフィスちゃんの事を。
どうって聞かれても困る。
ドラゴンは凄く強くて大きな存在だけど、卵の時は誰からも守ってもらわないといけない存在だ。
強いドラゴンが弱い時。
誰だって、そんな時は守ってあげたいと思うもんだ。
オーフィスちゃんもそう。
小さくて幼いから、守ってあげたいと思う。
あの子が望むなら、一緒に居てあげたいと思う。
ずっとこの家に居てくれていいと思う。
どう思っているのか。
多分、家族っていうのはそういう関係なんじゃないかな。
守ってあげたい。一緒に居てあげたい。そして、居てほしいと思う事。
……アザゼル先生から娘離れしろと言われた事を思い出した。
どうやらそれだけを聞きたかったようだ。
散歩の途中で帰っていった。
中々に謎な人だな、クロウ・クルワッハさん。ドラゴンだけど。
+月V日
レイナーレさんと黒歌が、オーフィスちゃんを連れて帰ってきてくれた。
というか、一人増えていたけど。
リリスちゃん。オーフィスちゃんの分身体とかなんとか。
力が分かれた存在とか説明されたけど、まあ姉妹みたいな感じだと思っておく事にした。
数日だけど、一緒に居ない時間というのはかなり寂しかった。
あと……レイナーレさんが倒れてしまった。
なんでも、兵藤達と一緒に、荒事に巻き込まれてしまったのだとか。
二人は俺を守ってくれたんだし、その荒事に巻き込まれないよう頑張ってくれたんだと思う。
でも――なんというか、心配だよ。
嬉しいより、悲しいという気持ちがある。
+月W日
今日もレイナーレさんは目を覚まさない。
補習は休んだ。
学校より、レイナーレさんが大切だった。
……俺が倒れた時も、皆はこんな気持ちだったのかな?
心配だし、目を覚まさないんじゃないかって思うと怖くなってしまう。
オーフィスちゃんや黒歌から謝られたけど、そうじゃないと思う。
俺はレイナーレさんが好きだし、黒歌もオーフィスちゃんも。白音さんやロスヴァイセさんも、皆が好きだ。
だから、なんていうか。
――みんなで元気に過ごしていきたいと思った。
俺は、それだけでいい。
+月X日
レイナーレさんは凄いな、と改めて思った。
家の掃除に食事の用意、掃除、洗濯。
何でも一人でこなしてる。
……知っていたけど、改めてそう思ったんだ。
今日もレイナーレさんは目を覚まさない。
皆で交代しながら、看病をしている。
声を聞きたい。
今日は、ずっとそう思っていたような気がする。
+月Y日
黒歌から、俺と一緒に居るようになってからずっと心配していたと言われた。
初めて会った時から、今日まで。
倒れている時も、倒れていない時も。
いつ目を覚ますか、とか。
いつまた倒れてしまうか、とか。
ずっと心配しているって。
……ごめんと謝ると怒られた。
黒歌も、皆で元気に過ごしていきたいんだって。
俺と同じ事を考えてくれている。
凄く嬉しかった。
レイナーレさんは、今の関係を……この家での生活をどう思ってくれているのだろう。
黒歌に聞いたら、レイナーレさんから直接聞けと言われてしまった。
それはそうだ。
+月Z日
レイナーレさんが目を覚ました。
病み上がりなので、しばらくは家事を皆で手伝うことにした。
今日はずっと休んでいてもらった。
というか、これからは本当、もっとレイナーレさんの負担を減らそうと思う。
本人は自分の仕事だって言っていたけど、……手伝いたいんだ。
リゼヴィム爺ちゃん?
……そこに主人公さんがおるじゃろ?