そういう話(謎
１月１日
今日は『破壊神シヴァ』と会ってきた。
年末からこっち、全然休みがねえ……。
俺の考えるシナリオ――トライヘキサの復活、そしてグレートレッド敗北。
もしそれが達成されそうになったら手を貸してもらうという言質を取れたのは大きい。
アイツ、ドラゴンが好きだからなあ。
グレートレッドになにかあったらどうなるか……考えたくもねえ。
トライヘキサも想像できないくらい最悪だが、上代徹はそれに輪を掛けて最悪だ。
アイツとトライヘキサが戦ったらどうなるか想像も出来ねえ。
神話が吹き飛ぶ程度なら御の字かもしれないな、って最近は思うね。
それにしても、死相が出ている、か。
そんなの、アイツと関わるようになってから常に感じてるっての。
ああ、今日も胃薬が美味い。
１月２日
取り敢えず、年末の事をオーディンの爺にも報告しておいた。
一応、アイツも神話の長、戦神の一柱だからな。
しっかし、あの爺も色々と伝手があるんだろうな。
上代徹と黒歌が死んだ事、レイナーレがグングニルを使いこなしている事、ちゃんと知ってやがったし。
まったく、腹の探り合いは面倒臭え。
敵か味方かは分からんが、上代徹が関わるならあの爺も関わってくるだろうし、迂闊に無視も出来ねえ。
取り敢えず情報をいくつか吐き出して話をしたが、それとなくはぐらかされた感じだ。
まあ、あの調子なら今すぐ手を出したり裏切ったりはしないだろう。
あの爺にとっても、上代徹は面白い存在だろうしな。
１月３日
今頃、イッセーたちは京都だったかに旅行に行ってるんだよな。
羨ましい。
海外旅行？
嬉しくないし、有難味も全くない。
ケータイに、メールでサーゼクスが家族写真を送ってきた。ムカついたので削除してやった。
１月４日
久しぶりに『神の子を見張る者』の本拠地へ戻った。
実家のような安心感というべきか。
腹一杯飯を食って、酒を飲んで、寝る。
ただそれだけに幸せを感じている。
……シェムハザに腹パンしたのも幸せを感じる要因の一つだろう。
あの野郎、上代徹関係の問題、全部おれに丸投げしやがって。
今年からもっとこき使ってやる。
１月５日
マンションに戻ったら、ヴァーリ達がおせち料理を用意してくれていた。
……不覚にも泣きそうになってしまった。
ちくしょう。
『神の子を見張る者』より、こいつらの方が優しく見えてきやがる。
これも上代徹の影響なのかね。
オーフィスの奴も随分とおとなしくなりやがったし……今年はどうなる事やら。
ま、この調子でオーフィスが女らしくなってくれたら楽なんだがね。
惚れた男に縛られるドラゴン――そうなると、上代徹にべったりってなるのか。
……今更か。
胃が痛い。
Ｈ月Ａ日
イッセーたちが真面目に部活動をしていた。
まあ、それだけだ。
今日から新学期だが、だからといって真新しい事も無い。
マンションに帰ると、ルフェイが晩飯を用意してくれていた。
胃に優しい料理ばかりだった。
……子供に心配される俺って……。
Ｈ月Ｂ日
今日は、年始の事をサーゼクスへ伝えに行った。
あと、狙ったかのようにセラフォルーの奴も居やがった。
アイツ、真面目な時は真面目なんだよなあ。
シヴァの事やら話し終わると、いつもの調子に戻っちまったけど。
上代徹とソーナ・シトリーねえ。
まあ、イッセーじゃねえが、アイツの周りも女ばっかりだからなあ。
部屋に連れ込むくらいしないと進展なんかしないだろ。
Ｈ月Ｃ日
ゼノヴィアの奴が生徒会長に立候補するそうだ。
そして、それをイッセーたちが応援していた。
青春してるねえ。
……こう書くと、俺が年取った爺さんみたいな気がしてきた。
最近そう思う事が多い。
ずっと裏方に徹しているからだろうか。
心はまだまだ若いと思ってたんだがなあ……隠居してえ。
Ｈ月Ｄ日
どうやら、ミカエルの奴が町に来たみたいだ。
顔は見せに来なかったが雰囲気で分かる。
こっちに来なかったって事は、上代徹の方だろう。
隣が駒王町での活動拠点だしな。
グリゼルダたちの様子を見に来たってのは、言い訳として十分過ぎる。
さて、何を話した事やら……まあ、どこも水面下で動くよな、そりゃあ。
アイツの父親が父親だし、ミカエルは特にご執心だろう。
Ｈ月Ｅ日
昼休み、オーフィスが学園に来た。
スコルとハティを連れて。
俺は見慣れたが、やっぱり気の弱い下級悪魔なんかは心底怯えていた。
吠えられたら魂まで消えちまいそうな悪魔もこの学園には居るのだ。
放課後、オカ研に来た上代徹に押し付けてやった。
教会のクーデターの事を言っていたが、多分それが昨日ミカエルが上代徹に会った理由だろう。
あの家にも悪魔は居るし、恩を売ったつもりか、それともただ単に繋がりが欲しかっただけか。
まあ、後者だろうな。
そういうヤツだ、ミカエルは。
とりあえず、上代徹にはオーフィスを学校に来させるなと言っておいた。
一応、俺も教師なのだ。教師らしい事くらい言ってもいいだろう。
Ｈ月Ｆ日
最近、ヴァーリの奴が大人しい。
大人しいといっても『Ｄ×Ｄ』の訓練では相変わらず暴れているし、イッセーとは特に激しく殴り合っている。
けど、なんというか。
のんびりとした雰囲気が自然に出せるようになってきたような気がする。
アイツも随分と変わったもんだ。
ルフェイがよく、ヴァーリの奴にお菓子を作っている所を見掛ける。
美猴と一緒にお菓子をつまみ食いをしたら怒られた。
……俺、元だが堕天使の総督だったんだがなあ。
Ｈ月Ｇ日
八重垣の奴が、八岐大蛇と一緒に散歩していた。
……この町はいつからドラゴンやら神話の獣やらが散歩するようになったのだろう。
オーディンの爺が上代徹にスコルとハティを押し付けてからか。
あのクソ爺。
そんな事を考えながら帰ってきた。
ヴァーリに聞いたら、八重垣はよく夕方散歩しているそうだ。
偶に付き合うのだと言っていた。
仲いいのな、お前ら。
Ｈ月Ｈ日
ロスヴァイセと一緒に、校内に張られている選挙ポスターに違反が無いか見て回った。
……なんで教師らしい事をしているんだろうな。
ロスヴァイセに聞いたが、レイナーレと黒歌は上代徹と良好な関係を築いているようだ。
いい事だ。
ま、なんだかんだで平穏とは一番遠い所に居る奴だ。
幸せになれるなら、幸せになってほしい。
なにより、アイツが幸せなら俺達も幸せになれる。
アイツが不幸なら、俺達もそれに巻き込まれる。
……早く卒業してほしいもんだ。
そういえば、アイツの進路って何だったか。
明日確認しておこう。
Ｈ月Ｉ日
日記を読み返して思い出した。
上代徹の進路を調べるのを忘れていた。
教会でクーデターを起こした連中がこっちに来たのだ。
まあ来るかもしれない、というよりも来るだろうとは思っていたので驚きは無いが。
ただ、上代徹の事をすっかり忘れてしまっていた。
明日調べよう。
あの様子だと上代徹が巻き込まれる可能性は少なそうだったので少し気が楽だ。
まあ、向こうから勝手にかかわってくる……のはレイナーレにでも釘を刺しておこう。
それと、グリゼルダ達に見張らせて、ヴァーリも付けて……ああ、やる事が多い。
イッセーたちが勝てるかよりも、クリフォトが関わってくるかよりも、上代徹が巻き込まれないかが心配だ。
曹操の時みたいに、単体で世界を壊しそうなバケモノを馬鹿みたいに大量に出されても困るからな。
Ｈ月Ｊ日
ミカエルが、通信で昨日の連中の事を教えてくれた。
エクスカリバー、聖剣の使い手。
教会でも屈指の戦士。
ただ、『禍の団』やら『クリフォト』と戦ってきたアイツらなら、勝ち目は十分ある。
それは向こうも分かっているはずだ。
若いからこその力、ってやつだ。
その辺りをどう考えているのか――ま、戦えばわかるか。
問題はクリフォトの連中だが……横やりを入れてくれるのも悪くない。
イッセーたちは強くならなければいけないからな。
実戦に勝る経験なんざ、そうそうない。
Ｈ月Ｋ日
今日は教師の仕事をサボって、上代徹の家に行くとレイナーレが家の掃除をしていた。
メイド服だからっていうのもあるが、リゼヴィムの腕を吹き飛ばした奴が雑巾を絞っているっていうのも凄い光景だな。
その真似をしている『無限の龍神』っていうのは、見るヤツがみたら卒倒ものだろう。
俺はもう慣れたぜ。
クーデター組の事を伝えて、上代徹を守るように言っておいた。
今のレイナーレなら、きちんと上代徹を守れるだろう。ついでに、隣の家に住んでいるグリゼルダにも伝えておいた。
まあ、シスターの方は保険だけどな。
あと、丁度良く上代徹がオカ研に顔を出したので、関わらないよう、強く言っておいた。
それと、ヴァーリの奴にも。
明日は――はあ、やる事が多い。
Ｈ月Ｌ日
今日もオーフィスがオカ研に来た。
……もう慣れたぜ？
…………今日は、スコルとハティだけじゃなくて八岐大蛇まで一緒だったけどな。
上代徹と一緒に帰っていった。
今日も酒が美味い。
ルフェイも、最近は酒のツマミを上手に作れるようになってきている。
いい事だ。
美猴と一緒に、晩飯を食いながらの酒が美味い。
昨日は更新できなくてごめんなさい。