とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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170話超えて、やっと騎士候補登場。

騎馬「提訴」

置田「提訴」

ゼノ「提訴」

最良のサーヴァント(笑)「弁護士を要求する」


171(メイド日記)

 G月A日

 

 オーフィス様と一緒に、食材の買い出しに出かけた。

 最近は、以前よりもずっと自分の考えを口にするようになった。

 良い事だと思う。

 食べたいものから、欲しいものまで。

 これからも、もっと変わっていくのだろう。徹様と、恋人同士になられたのだから。

 ――まぁ、その恋人関係も、随分と可愛らしいものだが。

 いつかは、相応の恋人となるのだろうか? なるのだろうな。

 その時が楽しみだ。

 

 

 

 G月B日

 

 今日は、徹様と黒歌がデートをしていた。

 デートと言って良いのかは怪しいが。スコルとハティも一緒だったし。

 黒歌だって、口では散歩だ何だと言っていたが、可愛い洋服を着ていたじゃないか。

 いつもの着物姿ではなく、初めて洋服を着て。

 判りやすい。本当に――。

 幸せになってほしい。黒歌には。

 今までが大変だったのだから、今からは……。

 白音や、オーフィス様、ロスヴァイセ様と一緒に。

 徹様も、最近は黒歌を気にしたり、オーフィス様達との関係も少しずつだが変わってきた。

 ――何事も無く、無事に今年を過ごしたいものだ。

 クリスマスも近い事だし。

 

 

 

 G月C日

 

 ロスヴァイセ様と一緒に、服を買いに行った。

 背も高いから、可愛い服はあまり合わないと思ったが、そういうモノも好みのようだ。

 ああいう所は、十台の女の子だなぁ、と。

 よく考えると、徹様と一つしかお年が変わらないのか。

 なんだろう――最初はもっと、凛々しい方だと思っていたんだが。

 年相応というか、可愛い所もあられる。

 先日の恋人騒動といい、やっと本当の姿を見せてもらえた、と思っていいのだろうか?

 まぁ、服装や家で過ごしている時は、だらけている時も多かったが。

 今日のように、徹様の眷属――家族の事をもっと知っていきたい。

 『女王』らしいだろうか? だと、嬉しく思う。

 

 

 

 G月D日

 

 徹様が楽しそうで、幸せそうで。

 そんな徹様を見ているだけで、私も幸せになれた。

 思い出せば、胸が暖かくなる。

 ヴァーリ様達には、どれだけ感謝をしてもし足りない。

 ――ありがとうございます。

 そう伝えた時の照れた顔は、多分ずっと忘れないだろう。

 徹様の友達に、最大の感謝を。

 これからも、仲良くしてください。楽しい日々を過ごしてください。

 それが一番、私は嬉しいです。

 

 

 

 G月E日

 

 白音が、明日の朝キッチンを使いたいと言ってきた。

 別に、私に断らなくてもいいのだが。

 ……学校から帰ってきた後、徹様に好きな食べ物とかを聞いていたし。

 判りやすいな、本当に。微笑ましい。

 応援したいが、ああいう事は自分一人でやった方が嬉しいだろうから、手助けはしない事にする。

 それに、白音の料理も凄く美味しいから。

 ――徹様? 褒めてあげて下さいね?

 いつも鈍感なご主人様。少し心配ですが、応援しています。

 白音を喜ばせてあげてください。お願いします。

 ……私も徹様を好きなのに、応援なんかしてる。

 不思議なものだ――普通なら、嫉妬の一つでもするはずなのに。

 

 『神の子を見張る者』の方でも、動きがあっている。

 『クリフォト』の隠れ家の襲撃。

 ――作戦目標は、殲滅。

 私達が知らない所で、沢山の命が失われている。

 ……徹様には知らせられない。

 あの方は、人の死を嫌がられるから。

 他人の為にも、敵の為にも、『力』を使ってしまうから。

 ユーグリッド様も、一度は私が消し飛ばしてしまった。

 けど、徹様が助けるために『力』を使っていた。

 冥界の一部を吹き飛ばした事もそう。

 私の力は――オーフィス様の『血』は強力過ぎる。

 使いこなせなければ、徹様の負担になってしまう。

 徹様を守りたいのに、私の力は徹様の負担でしかない。

 

 

 

 G月F日

 

 オーフィス様と一緒に、昼食を作った。

 味の方も、とても美味しかった。

 教えた通りに作り、変なアレンジを加えないからだろう。

 とても教え甲斐がある。

 徹様が卒業される前に、オーフィス様に徹様のお弁当を作ってもらおうか?

 そう考えてしまった。

 喜ばれるだろうか? 喜んでいただけるといいな。

 そうすれば、きっともっと、オーフィス様も――。

 

 白音の方も、お弁当は美味しいと言ってもらえたそうだ。

 良かった。

 ライバルなのに喜ぶなんて変、と言われたが。

 嬉しいのだからしょうがない。

 私は、徹様が好きだ。男性として、想っている。

 でも、黒歌も白音も――この家の皆も好きだ。

 皆が幸せになってほしい。皆で幸せになりたい。

 ――甘い考えなのだろうか?

 そうは思いたくない。

 

 

 

 G月G日

 

 アザゼル様から、最近教会関係者が狙われる事件が起きているから、気を付けるようにと言われた。

 教会だから無関係――と考えない方がいいのだろう。

 どんな形で巻き込まれるか判らない。

 徹様の敵は多い。

 味方になってくれる方もいるが、やはり敵の方が多い、と私も黒歌も思う。

 『禍の団』の残党――『クリフォト』に、各勢力の好戦派。

 神話体系の中にも、徹様を良く思っていない神が居るのだと。

 ――平和に、平穏に過ごしたいだけなのに。

 徹様は、戦いなど望んでいないのに。

 それでも私は、私達は……徹様の眷属だ。味方だ。

 リゼヴィムは徹様が絶対に平穏に至れないと言った。

 そんな事は無い。

 必ず徹様を幸せにしてみせる。

 それがどんな形であれ――徹様が幸せだと笑ってくれる日々に辿り着く。

 

 

 

 G月H日

 

 今日は、ミカエル様とガブリエル様が家に来た。

 ミカエル様は以前一度お会いしたが、ガブリエル様は初めてだった。

 とても綺麗な方だった。

 天界一の美女、という肩書も頷ける。

 グリゼルダ様の『キング』――信用してもいい、のだろうか?

 黒歌は警戒していた。多分、私も。

 態度には出ていなかったとは思うが……教会関係者が襲われていると聞いた後だ、嫌でも警戒してしまう。

 何故このタイミングなのか。

 グリゼルダ様は信用に足る方だ。

 でも、ミカエル様やガブリエル様の事は知らない。

 知らないから警戒してしまうのか。

 嫌な感覚だ。黒歌はいつも、こんな思いをしていたのか。

 ……改めて、私の親友を凄いと思った。

 

 

 

 G月I日

 

 ゼクラム・バアル。初代バアル家の『大王』が家に来た。

 先日のミカエル様達といい、きっと私達が知らない所で何かが動いているのだろう。

 そんな予感がする。

 天界のトップに、冥界『大王派』のトップ。

 クリスマスも近いのに――面倒事は勘弁してほしい。

 せめて、徹様だけは巻き込まないで、と願う。

 

 それに、嫌な目、だと思った。

 私達を見ていない――あの場に、自分と徹様しか居ない、という目。

 リアス・グレモリーも、兵藤君も、私も黒歌も見ていなかった。

 存在すらどうでもいい、という目。

 あの眼は、嫌いだ。

 それに、悪魔貴族以外は下僕だという考えも。

 全部が全部平等だとは思わない。優劣は確かに存在する。

 それでも――ああまで極端なの考えを持った方は初めてだった。

 グレイフィア様から、どんな時でも自己の感情は殺せと教えられたが――上手く出来ただろうか?

 

 

 

 G月J日

 

 アーシアが、新しいオカルト研究部の部長になった。

 今日は兵藤君の家でお祝いをするそうなので、明日、家に来てほしいと誘った。

 兵藤君――想い人からのお祝いには遠く及ばないだろうが、腕によりを掛けよう。

 徹様達には、明日まで秘密にしてほしいと言われた。

 自分の口で伝えたいから、と。

 明日が楽しみだ。

 

 アーシアは、毎日が楽しいだろうか?

 今が幸せだろうか?

 私は一度、その幸せを奪おうとした。……いや、奪った。

 それを許してくれたのがアーシアだ。

 許される喜びを教えてくれたのがアーシアだ。

 だから――幸せになってほしい。心からそう思う。

 アーシア。もう一人の私の親友。

 これからも頑張って。私は全力で、貴女を応援する。

 

 

 

 G月K日

 

 今日は久しぶりに、アーシアが泊まりに来ている。

 楽しい時間だった。

 沢山、今までの事を話した。

 初めて会った時の事から、今日までの事を。

 兵藤君の事を、オカルト研究部の事を、学校の事を、家の事を……私達の事を。

 懐かしい事も、私達が知らなかった事も、アーシアが知らない事も、沢山話した。

 兵藤君の趣味とか、好みとか、どう誘惑すれば――は黒歌が悪乗りしていたが。

 ロスヴァイセ様と白音も興味を持っていたし。……やっぱり黒歌は凄いなぁ、と思った。

 オーフィス様には、とても聞かせられなかったけど。申し訳ないが、耳を塞がせてもらった。

 楽しかった――今日は、良い夢が見れそうだ。

 徹様は、もう眠られているだろうか?

 どんな夢を見られているか……願わくば、幸せな夢を。

 私は幸せです。私達は、幸せです。

 ですから――徹様も、幸せになってください。心から、そう願っています。

 

 

 

 G月L日

 

 兵藤君の『紅い龍』と私の『龍の槍』。

 どちらが強いのか、という話になった。

 『夢幻の因子』を開放した紅い龍と、『無限の血』で創られた槍。

 そもそも、私はまだ自分の力を使いこなせていない。

 そういう意味では、兵藤君と同じ土俵にすら立っていない。

 まだまだ学ぶ事、鍛える事、他にも沢山……足らない事が多い。

 私はもっと努力をしないと。

 そうしなければ、胸を張って徹様の『女王』なのだと、言えないから。

 『D×D』の皆から、努力し過ぎだと言われたが。

 それでも足らないのだ。

 私は――最高の『王』の『女王』なのだから。

 

 今日で、駒王学園の二学期は終わり。

 明日からは冬休みだ、と徹様と白音は喜んでいた。

 オーフィス様も、徹様と一緒に居られる時間が増えたからと、喜ばれていた。

 私は、皆を守りたい。

 守られるのではなく、守りたい。

 

 

 

 G月M日

 

 黒歌が昨日、教会を襲っていた神剣使いに襲われたそうだ。

 大事には至らなかったが、心配させないでほしい。

 ……もっと、私を頼ってほしい。

 心配させたくなかったと言っていたが、心配する。

 私達は――黒歌を心配するから。 

 バカ。本当に……優しすぎる。

 私は皆を守りたいから強くなる努力をしている。

 黒歌やグレイフィア様、アーシアやロスヴァイセ様にアザゼル様。オーフィス様、グリゼルダ様。他にも沢山の人達――そして、トオル様

 私は、沢山の人に支えられて、今日まで生きてきた。

 そして、その人たちに恩を返したい、力になりたいし、助けたいし、守りたい。

 その中には、黒歌も入ってる。――私は、黒歌も守りたい。

 その事に気付いてほしい。助けられてばかりだったから、助けたい。

 そう思っている人が居る事に、気付いてほしい。

 

 それにしても、紫藤トウジ。それに、八重垣 正臣。

 悪魔と聖職者の恋、か。

 それを粛清した側とされた側。

 当時、この地を管理していたバアル家と聖職者に恨みを持つ復讐者。

 なんとも――根が深い。

 それに、同じ立場なら、と考えてしまう。

 判ってしまう。その憎しみが。

 多分、黒歌も。いや、私たち全員が。

 種族違いの恋。それは、他人事ではないから。

 三大勢力が和解する前、徹様と出逢う前なら、私達もその想いを禁忌として受け止めていたから。

 ……この問題を、どう終わらせるのだろうか。グレモリーの一族は。バアル家は。天界は。

 

 

 

 G月N日

 

 黒歌は私を、お人好しだと言った。

 その自覚はある。

 徹様とクリスマスを過ごす。……黒歌と一緒に。

 普通は、意中の相手と二人きりで過ごすものなのだろう。

 私もそう思うし、黒歌もそう思っているはずだ。

 でも私は――黒歌を誘った。一緒がいいと言ってしまった。

 その結果、今度のクリスマスは徹様と黒歌の三人で過ごす事になった。

 

 私はトオル様と一緒に幸せになりたい。それが、どんな形になろうとも。

 『女王』としてか、家族としてか……想い人としてか。

 そして、黒歌にも。

 流石にこの家の皆で過ごすとなるといつもと変わらないので、白音達は誘えなかった。

 それに、徹様も……断られなかったという事は、私や黒歌の事を、そう悪く想っていないという事だろうから。

 クリスマス。

 恋人たちが過ごす聖夜。

 ――期待して良いのだろうか。

 それとも……。

 でも、どんな結末であれ、私は受け入れよう。

 徹様がどちらを選んでも、あるいはどちらも選ばれなくても……私はその結末を受け入れよう。

 徹様の想いを祝福しよう。

 けど、願わくば――

 

 

 

 G月O日

 

 明日は、クリスマスだ。

 徹様は、どういうプランを立てているのだろうか?

 期待している――明日の事を考えると、気持ちが落ち着かない。

 こんなに楽しみなクリスマスは、きっと初めてだ。

 明日、着る服も選んだ。準備は終わらせている。

 ――まるで、遠足前の子供のよう。

 明日が楽しみで、眠れない。眠るのが怖い。

 この幸せが夢ではありませんように……。

 

 

 

 G月P日

 

 黒歌が――死んだ。

 いや、正しくは、死んではいない。ただ、眠っていて、目を覚まさない。

 徹様も、倒れられたままだ。

 どうしてこうなったのか……今日は――

 

 

 

 G月Q日

 

 リゼヴィム。あの男が徹様を殺そうとしたのを、黒歌が庇った。

 天界でデートをしていた時に『クリフォト』からの襲撃があり、混乱した一瞬の隙を突かれて。

 私は……何も出来なかった。

 徹様はリゼヴィムに裏切られた八重垣様を助けて倒れ、黒歌は倒れた徹様を庇って……。

 私は、『邪龍』の相手で精一杯で、何も出来なくて、見ている事しか……戦う事しか、倒す事しかできなかった。

 私も、封印されそうになった。曹操が助けてくれなかったら、私も殺されていただろう……。

 オーフィス様達は天界から隔離されていて無事だった――合流出来たのは、騒動が終わった後だった。

 

 心配ないと言われた。

 黒歌は殺されたショックで目を覚まさないだけだ、と。

 肉体が生きている事を魂が認識したら、目を覚ますとアザゼル様から言われた。

 徹様も――力の使い過ぎで倒れるのはいつもの事だ、と。

 ――そんな問題ではない。

 違う。

 徹様が絶対に目を覚ますなんて保証は、無い。

 このまま目を覚まさないかもしれない。

 目を覚ましても――今日の事を覚えているか判らない。

 今回の件で、徹様はまた無茶をした。

 八重垣様と黒歌、そして八岐大蛇の蘇生。

 天界が受けたダメージのほとんども回復してしまった。

 これだけの偉業だ――どれほどの負担が徹様にかかったか。

 今日の口付けも、告白も――想いも、夢も。

 全部が消えてしまったら……。

 

 

 

 G月R日

 

 皆に助けられた。叩き伏せられ、何度も勝負をして負けた。

 全力でぶつかれる相手が居るというのは、こういう時には本当に――助かる。

 嫌な事を、全部吐き出せた。

 私の八つ当たりを、全力で受け止めてくれた。

 曹操、八重垣様、サイラオーグ様、ヴァーリ様――本当に、ありがとうございます。

 ですが、無理矢理訓練場に連れ出されると驚きます。

 女性の扱いがなっていませんね、本当に――ありがとうございます。

 そして、私の事を腑抜けだとも言われた。

 ……理解している。

 徹様も、黒歌も目を覚まさない。

 ――クリスマスは、もう終わってしまった。

 徹様、黒歌。早く目を覚まして。二人が居ないと、この家は寂しいです。

 白音もロスヴァイセ様も泣いています。

 オーフィス様もスコルとハティも、寂しそうです。

 だから、早く目を覚ましてください。

 私も――辛いです。

 

 また、デートをしましょう。

 まだ、告白の答えを聞いていませんから。

 忘れていたら、また告白します。何度でも。何度でも。

 好きです。大好きです。……愛しています、徹様。

 信じています。目を覚ますと。

 私は、『女王』ですから。

 

 




そこまで鬱展開ではありません。

八重垣さんは生存。八岐大蛇様も生存。
何もおかしなことは無いな。
なんか、本編で出番が『少ない』人たちが何か言ってるような気がしないでもないけど。

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