とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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黒歌さんは、初登場の時からブレが無いと思ってます。
まぁ、自分だけかもしれませんけど。


170(黒猫日記)

 G月A日

 

 もうすぐ今年も終わる。

 トオルと知り合ってから、今年一年はあっという間だったにゃぁ。

 学園の方も、冬休みがあるらしいから、これからはゆっくり過ごしたいね。

 ……私がこの家に来て、もう半年くらいかにゃ。

 夏休み。

 冥界でトオルとレイナーレに救われて。白音と一緒に暮らせるようになって。

 ほんと、あっという間。

 これからも、今まで見たいにあっという間に過ぎていくのかにゃ?

 嫌だなぁ。

 ――偶にならいいけど、私はもっとゆっくり日々を楽しみたい。

 危ない事なんか何も無い毎日を過ごしたい。

 

 

 

 G月B日

 

 ふふふ。トオルったら、今日は黒歌さんにメロメロだったにゃー。

 今日はトオルと一緒に散歩をした。

 邪魔な犬が二匹いたけど、まぁ、今日くらいは許してあげよう。

 今日の黒歌さんは機嫌が良いからねぇ。

 白音と一緒に選んだお洋服。初めてトオルに見せて上げた。

 いつもは着物だから、効果も覿面だったと思う。

 散歩の途中、チラチラ私のこと見てたし。視線が合おうとすると逸らしてたし。

 ……褒めてもらえなかったけどさ。そこは減点。

 トオルは相変わらず女心を判ってないから。

 それでも嬉しい。態度で判るから。

 ――トオルは可愛いな。

 それと、レイナーレには悪いことをしちゃったかな?

 

 

 

 G月C日

 

 赤龍帝ちんの家に遊びに行ったら、赤龍帝ちんがスケベなゲームをプレイさせられていた。

 ……あの家、遊びに行く度に訳が分からない状況になってるにゃー。

 オーフィス一人で遊びに行かせるのは危険かも。

 というか、グレモリー眷属って、赤龍帝ちんをどう思ってるんだろう?

 女性陣は好きじゃないの?

 なのになんで、好きな男にスケベなゲームを無理矢理プレイさせているのか。

 よく判らないにゃぁ、あの眷属は。

 アーシアからどうすればいいか、半泣きで相談された。

 私が聞きたい。

 昔から女好きみたいだったけど、もう斜め上どころか明後日の方向に行き過ぎだにゃ。

 あと、クリスマスプレゼントに自分自身とか、実際男はヒクから。

 そーいうのは、それとなくするのが良いんだと言っておいた。まぁ、私の持論だけど。

 

 白音にも教えてあげたら、真っ赤な顔をして怒られた。

 ……考えてたにゃ、絶対。

 

 

 

 G月D日

 

 トオルって、前からヴァーリ達と仲が良かったけど、最近はそこにサイラオーグって大男まで加わった。

 ちょっと嫉妬しちゃいそう。なんちゃって。

 男同士の友情っていうの? あのヴァーリが友達と遊ぶのって、なんだか新鮮。

 少し前は、強くなる事ばかり考えてたのににゃー。

 その変化に気付いてるのかな? 気付いてなかったら、少し可愛い。

 ルーマニアで、色々と昔の事を知っちゃったけど――友達が出来て良かったね。

 そう言ってあげた。

 ……嬉しそうに笑ってた。すっごく。

 あの笑顔を世の女どもに振り撒いたら、絶対女に不自由しないにゃ。うん。

 

 

 

 G月E日

 

 珍しく白音ちゃんが積極的にトオルに近寄っていた。

 食べ物の好みなんか聞いちゃって、どうする気なのかにゃー?

 聞いたら、顔を真っ赤にしちゃってさ。

 もうすぐクリスマスだもんねー。

 女の子は積極的にもなりますか。にゃん。

 

 ……世の中、そんな感じで平和ならいいのにね。

 今日、『神の子を見張る者』の一部隊が『クリフォト』の隠れ家を襲った。

 作戦目的は『殲滅』。

 その隠れ家に居たのは末端の魔法使いとか何の情報も持たない兵士。

 隠れ家を一つ潰したにしては、何の情報も得られなかったってアザゼルが言ってた。

 今日からそうやって、隠れ家を一つずつ潰していくそうだ。

 ユーグリッド・ルキフグスも、姉と話す為に昔の仲間を売るなんてにゃ……。

 そんなんじゃ、今は話せても、喋れる情報が無くなったら信用を無くして話せなくなるっていうのに。

 馬鹿だにゃぁ……救いようがないほどに。

 グレイフィアは、そんな弟をどう見てるんだろう? ま、聞くだけ無意味な事か。

 

 トオルは平和だね。

 ヴァーリ達と一緒に、屋台巡りをして夕ご飯を食べれなかった。

 どんだけ食べてきてるのさ。せっかくレイナーレが美味しいご飯を作ってくれたのに。

 なんちゃって。

 ……私もレイナーレも、トオルには自由に、平和に過ごしてほしい。

 笑ってくれる事が一番嬉しいにゃ。

 

 

 

 G月F日

 

 白音ちゃんったら、あんなに頑張っちゃって。

 朝早くに起きてお弁当を作ってさ。

 学校で渡したのかにゃ? だろうなぁ。

 なんだかんだで、行くべき時は積極的に攻めるから、私の妹は。

 ま、判りやすいんだけどにゃー。

 表情を見たら、すぐ判る。美味しいって言ってもらえたようで、おねーちゃんも嬉しいよ。

 私も今度、お弁当でも作ってあげようかな?

 そろそろ、黒歌さんのおねーさんっぽい所も見せてあげたいし。

 

 

 

 G月G日

 

 最近、教会の役員が襲撃されているそうだ。

 狙われたのはヴァチカン本部だけじゃなくて、支部の重要人物とかも。

 ……アザゼルって、どうしてこういう難しい話を私やレイナーレに持ってくるかにゃあ。

 まぁ、レイナーレはトオルの『女王』だからだろうけど。

 私は――それなりには信頼されてるんだろうにゃぁ。トオルと一緒に、のんびりしたいんだけど。

 ま、レイナーレ一人に難しい事を考えさせるのも悪いしね。

 今はその信頼を受け取っておこう。

 何かあった時、トオルを守る為に。

 もうトオルを戦わせないで済むように。

 『D×D』や各勢力が動いてくれている。

 でも、巻き込まれる時は巻き込まれるものだって判ってるから。

 この前の、アウロス学園の時もそうだったし。

 

 

 

 G月H日

 

 天使が来た。というか、熾天使が二人も来た。

 ……天界のトップが二人、いきなりだ。

 疑うなというのが無理だにゃ。

 今まで、碌に関わって来なかった相手だし。

 アザゼルも、天界の話になると最近妙だしにゃー。

 怪しいんだよね、絶対。

 アザゼルは天界の話題になるとそこそこ話して話題を変えるし、天界はいきなりトップ二人が訪ねてくるし。

 話の内容は、「これからもよろしく」って感じだったんだけどにゃぁ。

 白音やロスヴァイセからも考え過ぎだって言われちゃった。

 ま、考え過ぎってだけならいいんだけどにゃ。

 それに、グリゼルダが妙な考えを……ってのも想像できないし。

 良くも悪くも真面目だし。その程度には信用してる。

 

 

 

 G月I日

 

 偉い人からの頼みだから断れなかったって言われてもさ、厄介事を持ってこないでほしいにゃぁ。

 初代バアル。冥界『大王派』のトップ。

 考え方がにゃぁ、と思う。

 多分あの男は、今のままならトオルと敵対しない。

 だから今日、トオルと接触してきたんだろう。

 冥界の貴族社会を未来永劫存続させる事。

 それが悪魔のすべき事であり、そのトップであるのは『大王』である、という考え。

 トオルの敵にはならないのかもしれないけど、面倒で厄介で嫌な相手だった。

 私もレイナーレも、見てすらいなかった。

 今なら、力だけならレイナーレを無視できないはずなのに――あの男の目にはトオルしか映っていなかった。

 紹介したリアス・グレモリーも、赤龍帝すらも。

 アレがトップで、貴族――嫌な奴だにゃ。

 

 ほんと、トオルって厄介な奴に好かれるよね。

 オーディンとか、リゼヴィムとか、初代バアルとか。

 冥界の魔王達とか、熾天使達とか、海外の神々とか。

 ……トオルらしいんだろうけどにゃ。

 黒歌さんは心配しすぎて倒れそうだよ? まったく。

 

 

 

 G月J日

 

 トオルって、ドラゴンが好きだよね。

 格好良いからとか、可愛いからとか言ってたけど。

 アーシアが少し顔を赤くして、困ってた。

 まぁ、アーシアに言った訳じゃないんだろうけどにゃ。だろうけど、面と向かって可愛いとか言ったら勘違いしちゃうよ?

 ホント、トオルって鈍感。

 男の子、だにゃぁ。

 そう言った時のトオルの顔、ちょっと可愛かった。

 でも、最近ドラゴンばっかり構ってて、ペットの猫には優しくして無いんじゃないかにゃ?

 そんなだと、黒歌さんは拗ねちゃうよ? なんちゃって。

 ……傍に居れるだけで、前は満足してたのにね?

 今は、構ってくれないと拗ねちゃいそう。

 構ってほしくて、トオルに迷惑を掛けちゃうかも?

 ――迷惑は、掛けたくないな。

 

 私って意外と、嫉妬深かったりするのかにゃ?

 それとも、構ってちゃんなのか。

 

 

 

 G月K日

 

 アーシアは頑張ってるよね。

 女好きの赤龍帝ちんを一途に想って、真っ直ぐで、優しくて。

 どーしてあんな良い子じゃなくて、リアス・グレモリーを選んだのか。

 まぁ、赤龍帝ちんの趣味って言われたらそれまでだけど、さ。

 すぐ傍にこんな優良物件があるのに、勿体無い。

 

 今日は、アーシアがオカ研部長就任という事で、お祝いをした。

 トオルも喜んでいた。

 トオル、アーシアのこと気に入ってるから。

 白音はグレモリー眷属から外れたけど、部活動は続けてるし。

 これからも、ウチの白音をよろしくお願いします、と言っておいた。

 白音ちゃんから怒られた。

 それも楽しい思い出だ。

 ――楽しかったなぁ、今日は。

 

 

 

 G月L日

 

 八重垣、という神剣使いに襲われた。

 神剣『天叢雲剣』に『邪龍』八岐大蛇を宿したという神剣を使う剣士。

 ……危なかったにゃぁ。

 私は標的じゃないとかで、見逃してもらえた。

 なんかバアルやら紫藤の家系が関わってるらしいけど、勘弁してほしい。

 紫藤って、確か天使にいたはずだ。天界関係の問題かにゃ?

 明日にでもアザゼルに聞いてみようと思う。流石に、馬鹿正直に天界に聞くのもどうかと思うし。

 この前ミカエルとガブリエルが訪ねてきたのも――邪推し過ぎかにゃ。

 ――それにしても。

 神剣というには、どうにも狂い過ぎだにゃ、あの剣。

 特性は『毒』だし、見てるだけでその禍々しさが感じられた。

 

 トオルと白音は明日から冬休みだっていうし。

 厄介事は、もう少し内緒かにゃん?

 ……レイナーレとロスヴァイセに怪しまれてたけど、まずは明日だ。

 それにしてもオーフィスちゃん?

 この前の恋人宣言といい、いきなり積極的過ぎないかにゃ?

 まったく――おねーさんもびっくりだにゃぁ。

 平和だね。良い事だと思うよ? 本当に、心から。

 

 

 

 G月M日

 

 紫藤イリナという天使の父親が危篤状態のようだ。私が襲われた神剣使いの毒で。

 あと数日で命を失うと言われても、どうしようもない。

 正直、見た事も無い濃度の猛毒だった。

 私が持っている薬の知識じゃ、どうしようもなかった。

 天界の解毒法に賭けるという話だが、助かるかどうかは五分五分以下のようだ。

 トオルなら――と言われたが、私は反対だ。

 残酷かにゃ?

 しょうがない。……トオルが『力』を使ったら、また記憶を無くすかもしれない。

 ――怖い。

 忘れられるのが。失くすのが。

 人一人の命が消えるより、トオルの中から『私』が消えてしまうのが……怖い。

 アザゼルは、私の選択は正しいと言った。

 トオルの『力』は安易に頼って良いものではない、と。

 違う。

 ――私は、トオルの為じゃなくて、私の為に断っただけだ。

 

 昨日の男の狙いは、復讐。

 上級悪魔との恋に堕ちた聖職者の末路。

 確かに少し前までは悪魔と聖職者の恋なんて禁忌中の禁忌だった。

 天使と悪魔と堕天使が席を同じくするなんて、考えられなかった事だ。

 その結果が、あの神剣使い。

 悪魔と天使から粛清され生き残った復讐者。

 その関係者が、バアルと天界、紫藤。

 ……なんだかにゃぁ。

 この問題の解決がどんな形であれ……八重垣という男が納得できる結末で終わってほしい。

 私は、人間に恋をしている。好きで、大好きで、愛している人が居る。

 だからかなぁ……。悪魔と聖職者の恋。悪魔と人間の恋。

 その結末の復讐。理解できる、と思ってしまった。

 

 まぁ、巻き込まれたら事だし、皆に今回の事は話した。

 巻き込まれるとしたら、天使のロスヴァイセか、悪魔の私と白音だろうけど。

 トオルには、内緒にした。

 巻き込まれそうだったから。自分から。

 

 

 

 G月N日

 

 レイナーレって……なんだかなぁ。

 折角のクリスマス、トオルと二人っきりになれるチャンスだったのにさ。

 私なんか、気にしなくて良かったのに。

 ……バカだよねぇ、レイナーレ。

 そんな所が好きなんだけど。気に入っていて、嫌いになれない。

 私は、レイナーレなら、トオルと恋人同士、相思相愛になっても良いと思う。祝福できる。

 いや、誰だって良い――トオルを本当に幸せにしてくれる人なら、祝福する。

 でもやっぱり、私にとってレイナーレは特別だ。

 レイナーレには幸せになってほしい。出来るなら、トオルと一緒に。

 それは、私の幸せでもあるから。

 レイナーレが幸せなら、私も幸せになれると思うから。

 トオルが幸せなら、その傍に居られるだけで私も幸せだから。

 きっとレイナーレは、私とトオルが結ばれても祝福してくれる。

 だから……そんなレイナーレだから、と思ってしまう。

 もっと、周りの事じゃなくて自分の事にも目を向けなきゃ駄目だよ、レイナーレ。

 それに……そんなに余裕を見せてたら、ホントにとっちゃうよ? なんちゃって。

 

 

 

 G月O日

 

 色々と世界は動いてるみたいだけど、トオルの周りは平和だねぇ。

 明日のクリスマスは、どこに誘ってくれるのかな? 黒歌さんは楽しみだにゃ。

 楽しみで、まだ目が冴えてる。もう少し、眠れそうにない。

 

 私に居場所をくれたトオル。

 レイナーレと出逢えた、白音と一緒に暮らせるようになった。

 ロスヴァイセやオーフィスと仲良くなれた。

 ……あの駄犬とも、まぁ、それなりに上手くやれている。

 ありがとう。

 明日、どんな形になっても――きっと私は幸せです。

 私もレイナーレも、笑顔で明日の結末を受け入れられると思う。

 クリスマスは特別だ。

 恋人たちにとっても、女の子にとっても。

 そんな日に、特定の人じゃなくて二人を誘うトオルは……ほんとに、ダメだにゃぁ。

 ――そんなトオルだから、好きになっちゃったんだけど。

 

 

 

 明日が過ぎたら、またいつもの黒歌さんに戻るから。

 クリスマスが終わるまでは、トオルが好きな、一人の女で居たい。

 ……クリスマスが終わるまでは。

 クリスマスが終わったら――また、トオルを守る為に頑張るから。

 

 

 

 

 

 

 

(白紙

 

 

 

 

 




白紙はここまで。
次回からは……

黒歌さんはヒロイン。異論は認める。
徹君は主人公(笑)。異論は認める。

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