とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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相変わらずのロスヴァイセ回(笑)



161(戦乙女日記)

 P月A日

 

 学生は良いなぁ。

 今日で期末テストが終わったからと、あまり羽目を外さなければいいけど。

 ……私はテストの採点が終わらないと羽目も外せないのに。

 早く一人前になりたかったから、学生時代ってあまりイベントとか参加してなかったし。

 学生時代に戻りたいなぁ。

 クリスマスも近いし、なにか良い事があればいいな。

 

 あと、アザゼル先生から、最近魔法使いが誘拐されていると聞いた。

 攫われたのは有名な――それに、共通点を感じてしまった。

 私の考え過ぎだろうけど。

 それよりも、仕事を早く終わらせよう。

 

 

 

 P月B日

 

 兵藤君の家は、凄いですね。

 あの子、いつも家では沢山の女の人と一緒にお風呂に入っているのだとか。

 やっぱり悪魔は進んでるなぁ。

 それとも、今時の子はそれが当たり前なのだろうか。

 ……でも、意中の人に簡単に肌を晒すだなんて、自分を安売りしてるように見えないかな?

 私の考えが固すぎるとは思いたくないなぁ。

 

 テストの採点が忙しいのに、変な事で私を惑わさないでほしい。

 それに、今日も一人の魔法使いが誘拐されたそうだ。

 やっぱり知っている人だ。

 私が一方的にだが――。

 

 

 P月C日

 

 黒歌さんにも困ったものだ。

 兵藤君の家のお風呂に触発されたのか、徹君の入浴中に乱入しようとするなんて……。

 白音さんが気付かなかったら、どうなっていた事か。

 流石姉妹、考えてる事が同じだと言っていた。

 でも、考えている事が同じだとすると、白音さんも……。やっぱり姉妹だなぁ、と。

 前からだけど、オーフィスさんは黒歌さんの真似をする事が多いので、色々と自重してほしい。

 この家の風紀を乱さないで。

 

 アザゼル先生が言う通り、攫われている魔法使いは『666』の研究をしていた人たちばかりだ。

 吸血鬼達の騒動で出た『666』。

 私も学生時代にそれで論文を書いたから知っている。

 攫われた魔法使い達は、『666』の異説である『616』の研究者だ。

 

 

 

 P月D日

 

 徹君に心配されてしまった。

 そんなに顔に出ていただろうか?

 上手く誤魔化す事が出来たと思うが。

 それに、ソーナさんからレーティングゲームの学校の教師に誘われて、どうするか悩んでいる事も本当だ。

 嘘は言っていない。

 ――でも、心配してもらえるというのは、嬉しいな。

 

 

 

 P月E日

 

 ……お婆ちゃんから、手紙が来た。

 私ってこの前、徹君の事をどう説明したんだろう。

 彼氏を見に来ると書いてあったのには驚いた。

 どうしよう。

 困るだろうし、面倒な女だとか思われるかな?

 ――嫌がられるのは、嫌だな。

 とにかく。お風呂に入ってから、徹君に相談しよう。

 お婆ちゃんを落胆させたくないし。せめてフリだけでも。お願いしてみよう。

 

 

 

 P月F日

 

 流石に、学校でお弁当を渡すのは駄目かぁ…。

 ちょっと憧れてたんだけどな。教師と生徒の恋とか。

 ……まぁ、確かに現実だと無理があるけど。

 難しいなぁ。彼氏彼女の関係って。

 小説とか漫画だと、もっと簡単なのに。

 やっぱり、現実だと上手くいかないか。

 

 

 

 P月G日

 

 テストの採点が間に合ってよかった。

 ……徹君との関係に悩んで仕事が遅れたなんて、教師として駄目だし。

 本当に良かった。

 

 最近は訓練にも参加できていなかったので、久し振りに兵藤君達の訓練に参加させてもらった。

 冥界でも爆発力では有名なグレモリー眷属。兵藤君をはじめとして、皆が攻撃に特化しているように感じた。

 いや、実際はそんな事は無いのだが。全体的に高いレベルでまとまっている。

 だが、防御よりも攻撃に比重を置いているのは確かだろう。

 アザゼル先生も言っていたが、まだまだ伸び代はあるようだ。

 それに、私も。

 もっと強くならないといけない。今のままでは、このままレイナーレさん達に置いて行かれるだけだ。

 それに、白音さんの成長も早い。

 追いつかれないように努力しないと。

 

 

 

 P月H日

 

 ……頑張ると誓った翌日にコレだ。

 いや、私は頑張った。うん。

 でも、私の頑張り以上に黒歌さんの欲望が強かっただけだ。

 ……どうなんだろう、それ。

 そんなに私の下手な恋路が面白いのか。黒猫め。

 良いじゃない。徹君と恋人同士の時間を楽しむより、仕事とか訓練の時間が忙しいのだから。

 デートとか、する暇ないし。

 笑われた。それはもう笑われた。

 そりゃ、初日にお弁当を渡しただけで、それ以外は進展無いですよ。

 私だって判ってますよ。

 ……私は黒歌さん達みたいに、恋愛とか慣れてないし。

 好きな人、徹君だ

 

 

 

 P月I日

 

 レイナーレさんも黒歌さんも、徹君の事が好きなはずなのに。

 どうして私の応援をしてくれるんだろう。

 ……年齢=彼氏いない歴の私になんかに負けないって、余裕があるのかな。

 そんなわけないか。

 あの二人は、本当に徹君の事が好きで、徹君の事を心配している。

 ああいうのをきっと、愛している、と言うんだろうな。

 敵わない、とは思いたくないな。

 

 好きな人を幸せにしたいと思う。

 それが出来ないなら、好きな人に幸せになってほしいと願う……か。

 難しいな、恋愛は。

 私もいつか、そんな風に思えるようになるのだろうか。

 

 

 

 P月J日

 

 ……お婆ちゃんが来ることを忘れていた。

 どうして私は、こんな大事な事を忘れていたのか。

 ――どうしよう。

 取り敢えず明日、デートに誘おう。

 キスすらした事が無いのに彼氏彼女だなんて、それこそおばあちゃんに何を言われるか……。

 というよりも、本当に私はお婆ちゃんにどんな説明をしたんだろう?

 お婆ちゃんと会うのが怖い。

 

 

 

 P月K日

 

 ルフェイさんと一緒に魔術の訓練をした。

 彼女は覚えが早い。天才肌だ。

 一つ覚えれば、応用で三つも四つも案を出す。

 将来はきっと、良い魔術師になるだろう。

 そんなルフェイさんを診て、レイナーレさんは自分を卑下していたが。

 でも、彼女も十分凄い。

 才能は無いが、努力を続けることが出来る。

 それはとても凄い事だと、気付いていない。

 才能が無いなら、誰もが簡単に諦める。

 自分に合う違う道をすぐに探す。

 でもレイナーレさんは、才能が無くても自分のモノに出来るように努力する。

 それは誰でも出来る事ではない。

 ……ルフェイさんの才能が、レイナーレさんの良い刺激になる事を願う。

 

 

 

 P月L日

 

 お婆ちゃん、今度冥界のアガレス領で行われる魔法使いの集会に参加するそうだ。

 教えてくれればいいのに。

 ……まぁ、孫だからって何でも簡単に教えられないか。

 最近は魔法使いが攫われる事件が多いから、気を付けてほしい。

 攫われてるのは多分、予想だけど『616』の研究者だろうけど。

 お婆ちゃんは『616』の研究はしていなかったから、たぶん大丈夫のはずだ。

 それでも、もし攫われて今まで高めてきた魔法を悪用されないように、魔法を封印する案をその集会で出すんだそうだ。

 ……判ってるけど、お婆ちゃんの魔法が見れなくなるのはイヤだな、

 

 お婆ちゃん、しばらく見ないうちに落ち着いたなぁ。

 故郷に居た頃は、もっと厳しい人だったのに。

 やっぱり、私が徹君の傍について、辛い目に遭ったのかな?

 聞いても笑ってばかりだったし。徹君が一言言ってくれたおかげで、随分楽になったとは言ってたけど。

 楽になったって事は、肩身が狭い思いをしたのかもしれない。

 相手は、北欧神話の主神なのだから。

 私は昔から親不孝者だからな……溜息ばかり出てる。

 

 でも、色恋話が好きなのは相変わらずだったな……。

 私と徹君が男女の仲だなんて……まだ無いし。

 これから先、あるかも判らないし――あってもまだずっと先だし。

 私だって興味があるけど、そういうのって結婚してからだって思うし。

 

 

 

 P月M日

 

 昨日の事を忘れるように訓練してしまった。

 というよりも、ヴァーリさんが強すぎて、思っていた以上に訓練に熱が入った。

 最強の『白龍皇』とアザゼル先生が推すだけの事はある。

 やはり、格上との訓練は得るものが多い。

 

 それと、黒歌さんがどっちの妹が上か、という事で魔王レヴィアタン様と勝負をしていた。

 ……白音さんが可哀相だった。

 だって、あんな大声で黒歌さん曰く「白音の良い所」を叫ばれたらなぁ。

 支取さんが居なくて良かった。

 多分、訓練所に居た皆が聞いてたと思う。

 可哀相過ぎる。顔を真っ赤にしてたし。

 ちなみに勝ったのは、レヴィアタン様だった。

 商品は徹君とのデート券。しかも本人たちじゃなくて二人の妹が。

 黒歌さんが白音さんに怒られていたが、自業自得だろう。

 

 訓練の後は、グリゼルダさんに捕まって、服を買いに行った。

 正直、今まで実用性重視でしかなかったから、気疲れした買い物だった。

 ……押しが強いと思った。

 疲れた……。

 徹君は、気に入ってくれるだろうか? それだけが心配だ。

 

 

 

 P月N月

 

 折角、いろいろ考えて徹君とデートしたのに邪魔が入った。

 黒歌さんとかグリゼルダさんとか、皆に色々教えてもらったのに……。

 化粧をして、普段着ないような綺麗な服を着て――それなのに、邪魔が入った。

 ユーグリット・ルキフグス。

 グレイフィアさんの弟で、彼女が冥界からあらぬ疑いを掛けられる原因となった男。

 よりによって、私を勧誘しに来るなんて。

 でも、これで判った。

 魔法使いを攫っていた理由。私の前に現れた理由。

 『クリフォト』は『666』の封印を解く方法を探している。

 23枚の封印。その全部を解く方法を。

 

 折角の楽しいデートのはずだったのに、もう色々と台無しだった。

 徹君の前で馴れ馴れしいし、髪に触ってくるし、優しい言葉ばかりを投げ掛けてくるし、徹君の事はバケモノ呼ばわりだし。

 まぁ、周囲の一般人を巻き込もうとして、次の瞬間には魔力を根こそぎ奪われればそうも言いたくなるかもしれないけど。

 ……印象としては、礼儀がなってない。

 あれでグレイフィアさんの弟かと思うと、なんだかなぁ、という気分になった。

 ああいう男は信用できない。なんかこう……生理的に。

 家に帰って相談したらオーフィスさん以外は皆「気持ち悪い」的な事を言っていた。

 私も同意見だ。

 それに、私の情報を得るために、北欧の友人の記憶を覗いたと言っていた。

 攫ったのだろう。

 ……そんな事をして、私が勧誘に乗るだなんて思っているのだろうか?

  

 

 

 P月O月

 

 …………。

 徹君が、髪を梳いてくれた。触ってくれた。

 嬉しい。

 昨日、ユーグリットから触られたのを、気にしてくれていたのだろうか。

 嫉妬――とまでは思わないが、少しは私の事を意識してくれたのかな?

 綺麗だ、と褒めてくれた。髪を。

 それだけでいいです。今は。 

 それだけで十分です。

 

 まぁ、でも。

 ああいう時は、私だけにしてほしいな。

 レイナーレさんも一緒だと、どうしても相手を意識してしまうし。

 綺麗で長い黒髪。本当に、羨ましい。

 ……徹君は、女性の扱いが上手なのか下手なのか。

 女は、いつも自分一人だけを見て欲しいものだ。

 

 

 

 徹君のばーか

 

 

 

 

 




どこかでオーディンの爺ちゃんを出したいですね。
十七巻で出てくるかな、って思ってたら出てこなかったからなぁ。
自分、堕天使の次に爺ちゃん達が好きなんで(ぇ

堕天使好きですよ? 優遇してるじゃん

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