とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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白音さんは小サイズと大サイズがあります。
前回説明不足で、すみませんorz


156(白龍日記 エピローグ)

 @月O日

 

 リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。

 俺の父を騙し、そして、父を殺した。

 別段その事は、今となってはどうでもいい事だ。

 ただ、あの男の目的。それだけが、許せない。

 あの男が今回のルーマニアの件に関わっている事は判っていた。

 あの男は強い。

 ふざけた喋り方や道化を演じてはいるが、その実、誰よりも頭が回る。

 今日の戦いも――向こうが一枚上手だった。

 忌々しい。

 怒りに任せて戦い、翻弄され、これでは、あの男を討つなど夢のまた夢だ。

 ルシファーの名を持つ者。『明けの明星』を名乗るには、あまりにも狂った男。

 あの男が『真なる赤龍神帝』を狙っているというのも気に喰わない。

 

 ……俺も、あの男と同じなのだろうか。

 同じ『ルシファー』を名乗り、同じ目的を持つ。

 俺の夢は――あの男と同じなのか。

 

 

 

 @月P日

 

 兵藤一誠が、敵に『赤龍帝の篭手』を模された事を気にしていた。

 それに、強くもあった。

 確かに今の兵藤一誠よりも、使い手は強力だろう。

 だがそれだけだ。強いだけなら、すぐに限界に辿り着く。

 あまり興味は無い――兵藤一誠は、自分が弱いと思っているようだが、あいつは悪魔に転生してまだ一年も経っていない。

 そんな転生悪魔と『番外の悪魔』を比べるのも、変な話だろうに。

 名前は、何だったか……まぁ、覚える必要も無いだろう。

 

 それよりも、アルビオンとドライグが判り合ったからか、『白龍皇の光翼』に変化が起きた。

 『極覇龍』に赤が混じったとでも書くべきか。俺もアルビオンも、まだよく理解できていない。

 兵藤一誠とドライグの方にも変化があったらしい。

 アレは、リゼヴィムやアザゼルにも予想外の変化のようだ。

 美猴やレイナーレ、黒歌と軽く手合わせをしたが、今日は発現できなかった。

 何か発動の条件でもあるのだろうか。

 

 

 

 @月Q日

 

 ルーマニアの街の復興も、ひと段落ついた。

 リゼヴィムにオーフィスを模したリリスという女。

 それに量産型とはいえ『邪龍』の襲撃を受けて半壊した町も、ガレキの処理は大分で来た。

 人的被害もそう多くなかったのも幸いしたのだろう。

 やる事があるというのは、悪くない。

 嫌な事を考えずに済む。

 ……今は、休むよりも体を動かしたい。

 

 

 

 @月R日

 

 ヴァレリー・ツェペシュの『聖杯』の行方も分からなくなった。

 目を覚まさせるには、リゼヴィム達『クリフォト』が持ち去ったもう一つが必要なのだそうだ。

 吸血鬼はこれからどうなるのだろうか。

 身内に裏切り者が居て、祖国は半壊、カーミラ派はともかくツェペシュ派の『王』は怪我を負って養生中。

 その裏切り者も、『邪龍』に改造されてもう居ない。

 エルメンヒルデと名乗ったあの吸血鬼が、頭を悩ませるのもよく判る。

 今回の騒動で、吸血鬼はずいぶん減った。

 命の遣り取りをしているのだから当然なのだが――。

 

 

 

 @月S日

 

 日本へ戻ってきた。

 随分と長い間、日本を離れていた気がする。

 しばらくはアザゼルの住んでいる場所に厄介になる事になった。

 居候の身なので、美猴には食事を我慢してほしいものだ。

 徹の家のように好きに食べるので、アザゼルが困っていた。

 あの家は特殊なのだ。比べるとアザゼルに悪い。

 

 黒歌達は、もう徹の家で休んでいるだろうか?

 ――近い内に、またあの家に行こう。

 特に意味は無いのだろうが……。

 

 

 

 @月T日

 

 徹の家に行ったら、レイナーレ達が居た。

 まぁ、帰っているのだから当たり前なのだが。

 徹は学校に行っていたようで、不在だった。

 また後日窺う事にしよう。

 それにしても、レイナーレとルフェイは仲が良い。

 今日も料理を教わっていた。

 昨日はアザゼルが寿司など頼んでいたが、今日はルフェイが食事を用意してくれた。

 アザゼルが必要以上に喜んでいたが、何故だろうか?

 美猴は「女の料理が嬉しいんだろ」と言っていたが。

 まぁ、喜んでもらえたなら、ルフェイも嬉しいだろう。

 

 

 

 

 @月U日

 

 『クリフォト』に対抗する手段として、アザゼルが色々と動き回っている。

 相変わらず、忙しいものだ。

 ルフェイの料理で癒されれば、と思う。

 

 それと、今日町を歩いていたら、徹と黒歌の妹がデートをしていた。

 声を掛けようとしたら美猴に止められたが。

 まぁ、楽しんでいる時間を邪魔するのも無粋か。

 黒歌の妹――小猫と言えば、黒歌のように仙術を嗜んでいたと記憶している。

 ルーマニアでは、周囲の『気』を集めて急速に成長する術を会得していた。

 邪霊のような形無いモノには、黒歌以上に特化していると言っていたか。

 今日は小さい姿だった。

 近い内に、一度手合わせをしてみたいものだ。

 

 

 

 @月V日

 

 冥界、天界、『神の子を見張る者』から、若手の実力者が集められているようだ。

 そのためにアザゼルも動き回っているようで、今日は帰って来ないそうだ。

 忙しく動き過ぎて、体調を崩さなければいいが。

 まぁ、徹をほぼ毎日相手にしているのだから、この程度大丈夫だろう。

 美猴に呆れられたが。

 そうだろうか? まぁ、心配はしている。一応は。

 この程度なら軽く乗り越える、と信頼もしている。

 

 

 

 @月W日

 

 美猴が行方をくらませた。まぁ、そのうち戻ってくるだろう。

 というよりも、初代殿との追い駆けっこを楽しんでいるのかもしれない。

 無事に帰ってくる事を祈ろう。

 それにしても、アルビオンがルフェイの趣味にも、随分と寛容になった。

 ドライグと判り合えたのが、随分と心に余裕を与えているようだ。

 これからは「おっぱいドラゴン」とかいう番組にも、そう簡単には反応しないだろう。

 だからといって、一緒に見ようとは思わないが。

 何が面白いのだろう。

 

 

 

 @月X日

 

 久しぶりに、徹と会った。

 やはりあの家は居心地が良い。落ち着くというか。

 オーフィスも、最近は料理を手伝うのだと自分から言っていた。

 微笑ましいものだ。

 若輩の俺が言うのもアレだろうが、良い成長をしているな、あの家で。

 

 今日は気分が良い。

 相談できる相手が居るというのは、存外悪く無いモノだな。

 美猴達も仲間だが、あまり弱い所を見せたくない。

 ――そう言うのも、妙な物なのだろうが。

 俺も、変なプライドを持ったものだと思う。

 

 リゼヴィム。

 俺もお前も、グレートレッドを狙っている。

 目的という意味では、同じなのだろう。

 ああ、確かに。徹の言うとおりだ。

 目的は同じ、だが、目標は違う。

 俺は、グレートレッドを打倒し、『真なる白龍神皇』を目指す。

 赤だけではなく、白も『真なる龍』を名乗れることを証明する。

 グレートレッドを利用して世界を混乱させるあの男とは違う。

 ――俺は、それを証明しよう。

 

 

 

 @月Y日

 

 徹が食事に招待してくれた。

 何の事は無い、俺が落ち込んでいたから、元気づけに誘ってくれたそうだ。

 心配してもらうというのも、悪い気分ではないな。

 ……いや、素直に嬉しかったと書いておこう。

 口にするには、俺の性格が邪魔をしてしまうから。

 いつかこの恩を返したいと思っている。心から。

 

 しかし、心に余裕を持つのも大事か。

 徹や美猴だけではなく、アルビオンからも女を傍に置けと言われてしまった。

 俺の所為で『ケツ龍皇』の名があるのだとも言われた。そんなモノなのだろうか。

 まぁ確かに、あの称号は俺も不本意ではあるが。

 顔が良いと言われたが、あまり気にした事が無いのでよく判らない。

 今度誰かに相談してみるのもいいかもしれないな。

 

 

 

 @月Z日

 

 初代孫悟空殿との訓練は為になる。

 まだまだ俺に不足している物が多いと実感させられる。

 今日は俺達のほかに、レイナーレも訓練に参加した。

 初代殿が徹の所から連れてきていた。ほとんど拉致のような状態みたいだが。

 

 今日は有意義な訓練が出来たと思う。

 レイナーレも、まだ技術も何もかも粗削りだが、徹の『女王』に相応しい強さだろう。

 オーフィスの魔力はまだ全然使えていなかったが、初代殿に言わせれば使えなくて当たり前なのだとか。

 その辺りは、使い手本人の技量というよりも、肉体的に使えないと言っていた。

 『無限の龍神』の魔力なのだから、僅かに使うだけでも危険なのだと。

 初代殿がそう言うなら、そうなのだろう。

 いつか、完全にその技術、魔力を使いこなせるようになったレイナーレと仕合たいものだ。

 俺も美猴も、レイナーレならば初代殿が言う『当たり前』を覆せると予想しているのが面白かった。

 ――さて、彼女は俺達の期待に応えてくれるだろうか?

 まぁ今は。強くなるよりも、『強さ』を探しているようだが。

 

 

 

 @月!日

 

 海外の神話体系の方で、『クリフォト』への対応が分かれているそうだ。

 俺達に愚痴を言われても、マトモな返事など出来ないのだがな。

 アザゼルが言うには、天界の方でも交渉をしているそうだが。

 オーディンやゼウスの方でも、他の神話体系に忠言をしているそうだ。

 ゼウスはともかく、オーディンが動かない事にアザゼルは警戒していた。

 俺としては、オーディンは動かないだろうと読んでいる。

 ――アレは、徹を巻き込む気だろう。

 自分達や他の神話体系ではなく、徹を『クリフォト』にぶつける。

 ある意味で、あの主神とリゼヴィムは良く似ている。

 目的の為なら、世界すら天秤に載せるだろう。アイツ等は。

 

 

 

 @月”日

 

 『クリフォト』を含む対テロ集団として『D×D』という組織が作られた。

 リアス・グレモリー、ソーナ・シトリー、サイラオーグ・バアル、シーグヴァイラ・アガレス。

 『若手四王』に俺達、それに天界の『神滅具』使いのデュリオ・ジェズアルド。

 堕天使の『神滅具』使い幾瀬鳶雄。

 ウーロン、ヴリトラ、ファーブニル。

 随分と豪華なメンバーだ。

 アザゼルも、このメンバーならトオルに頼らないでも戦えると言っていた。

 まぁそれも、俺達がもっと強くならなければならないのだが。

 相手は『邪龍』を使役する集団だ。

 『神滅具』使いや龍王が集まったからと、油断はできない。

 

 ――強くなろう。今まで以上に。

 友が平穏な人間生活を望んでいるのなら。それを叶えたいと思う。

 サイラオーグとは気が合いそうだ。そう思った。

 

 

 

 @月#日

 

 白音と呼んでいいとの事なので、今日から白音と呼ぶことにする。

 その白音が、兵藤一誠――というよりも、グレモリーの眷属から外れる事になった。

 確かに徹の眷属でもあるし、彼女が関わるとなれば『D×D』の行動に徹も関わってくるかもしれない。

 徹を関わらせたくないアザゼルとしては、特に外すべきだと考えていたのだろう。

 白音も、グレモリー眷属に思い入れがあるようだったが、アザゼルに説得されていた。

 ――徹を巻き込まないため、か。

 アザゼルの思惑はどうであれ、少しは平穏に近づけただろうか?

 まだまだ難しいだろうな。

 ……お前はいつも荒事の中心にいるからな、徹。

 俺は戦う事が好きだが、そんな俺ではなく戦いが嫌いなお前が荒事の中心にいるというのも、変な話だな。

 

 

 

 @月$日

 

 アザゼルが、徹に癒しが欲しいと言ったら、オーフィスを勧められたと愚痴を言っていた。

 本当に悪いと思うが、全員で笑わせてもらった。

 美猴ではないが、本当に次は、スコルとハティを勧められるかもしれないな。

 ああ、あんなに笑ったのは、随分と久しぶりのような気がする。

 だが確かに、オーフィスと一緒に居ると和めると思うがな。

 徹の家でのオーフィスをアザゼルは知らないようだ。

 今度徹の家に行くように勧めてみたが、断られた。忙しいそうだ。

 あの家でのオーフィスを見たら、きっとアザゼルも癒されるだろうに。

 ――オーフィスは変わったよ。

 徹が変えた。そして、これからもっと変わる。

 俺達では話を聞き、退屈を紛らわせる事しかできなかった。

 それを、徹は簡単に変えてしまった。

 ああ――そんなだから、いつも徹は荒事の中心にいるのか。

 良い事をしているのだろうが……本当にままならないな、徹。

 




原作小説を読んでると、かなりキャラが変わってるよなぁ、と思った。
特にヴァーリチーム。
日記には出てないけど、ちゃんとアーサーさんも思い出してあげてください…。

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