とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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あんまりベタベタしてないなぁ
どっかで、ベタベタしてる白猫さんと黒猫さんを書きたいナ


147(白猫日記 エピローグ)

 !月Z日

 

 まだ、気を抜いたら手が震える。

 怖かった。ギャー君達と一緒に攫われて、どうなるんだろうと思った。

 連中の狙いがレイヴェルだと判っていて、一般の生徒を庇って……。

 徹先輩達が助けに来てくれなかったら――。

 姉様たちみんなにも、心配を掛けてしまった。

 

 でも、と思う。

 不謹慎だと判っているし、あの時はそんな余裕が無かった。

 助けられて泣いてしまった。徹先輩に抱きついてしまった。

 ……忘れたい。恥ずかしい。

 けど――嬉しかった。

 それに、ドサクサ紛れだったけど、名前を呼んでもらえた。

 塔城小猫。部長から貰った名前。

 この名前も大切な名前。だけど、白音。この名前も、大切な名前。

 大事な人に呼んでもらいたい、大切な名前。

 今日、徹先輩に呼んでもらえた。……嬉しい。凄く。

 

 

 

 !月/日

 

 徹先輩が、また倒れた。

 私の所為だ。皆はそんな事は無いと言ってくれたけど、私が攫われて、徹先輩に無理をさせた所為だ。

 ……私はあの時、どうすべきだったんだろう。

 レイヴェルを、一般の生徒を見捨てるべきだったのか。

 そんな事は無いと思う。皆が、よくやったと言ってくれた。

 でも、その所為で徹先輩は倒れた。

 皆が徹先輩は大丈夫だと言う。でも、徹先輩の優しさに甘えたくない。

 徹先輩が大切だから、好きだから――甘えるのではなく、隣に立ちたい。

 

 

 

 !月!日

 

 徹先輩が目を覚ました。今日、学校が終わったらすぐ帰った。

 部活をサボってしまった……明日、皆に謝らないと。

 いつも通り元気で、笑顔で、心配してた私達にごめんと言っていた先輩。ありがとうと言っていた先輩。

 心配したのは本当。でも、徹先輩は何も悪くない。

 今度は、周りも、自分の身も守ると決めた。

 もう、徹先輩に無理をさせたくないから。

 ――好きな人に、無理をしてほしくないから。

 姉様に話すと、撫でてもらえた。優しくしてくれた。

 私は、徹先輩が好き。でも、姉様も徹先輩が好き。

 初恋は、難しい――。

 まだ、どうすればいいか判らない。徹先輩と、姉様と、レイナーレ。

 でも、好きで……助けてもらえて、もっと好きになった。

 

 

 

 !月”日

 

 徹先輩って、支取会長と仲が良い。

 見ていてそう思うし、偶にそう言う噂も耳にする。

 でも家では普通にしてるから、噂が間違っているのだろう。

 勘だけど…多分間違っていない。姉様も気にしてないし。

 姉様の事だから、徹先輩に特別な人が居たら気にするだろうし。

 でも――徹先輩と、もっと話したいな。

 家でも、学校でも。姉様達みたいに、会長みたいに。

 わがままかな?

 

 

 

 !月#日

 

 ちゃん付けは子供っぽいと思うのは、私が子供だからかな?

 でもやっぱり、妹とか年下じゃなくて、ちゃんと女の子として見て欲しい。

 わがままなんだろうな。

 さん付けも他人行儀みたいで少し嫌だけど、ちゃん付けよりはいい。

 それに、ちょっと大人っぽい。

 

 これからは、塔城さんではなく白音さん。

 うん。少し、近づけたかな?

 でも、姉様は呼び捨てだし、私も呼び捨てにしてほしいなぁ。

 

 

 

 !月AA日

 

 冥界で、グレイフィア様が疑われている。

 『禍の団』に、グレイフィア様の弟が所属しているから。

 徹先輩も、私達の誰も疑ってないけど…テロリストに身内が居ると、疑われるんだろう。

 姉様は、徹先輩がルシファー様に頼んで見逃してもらえたけど、あの後も色々と問題があった。

 上級悪魔に目を付けられて、レーティングゲームをしたり。

 それに、グレイフィア様はルシファー様の奥様でもあるので、姉様よりもっと難しい立場なんだろう。

 

 

 

 !月AB日

 

 ベオウルフ様と炎駒様が家に来た。

 グレイフィア様の言伝を持って。レイナーレに伝言を持って。

 色々と複雑だ。

 『女王』として、レイナーレは私が誘拐された時、徹先輩を巻き込むべきではなかった。止めるべきだったと言われた。

 『禍の団』の狙いは、徹先輩。

 イッセー先輩と『邪龍』の戦いも狙いの一つだろうが、一番の狙いは徹先輩の無力化だと言っていた。

 世界を混乱させるのに一番邪魔なのは、徹先輩だから。

 徹先輩は強いけど、情報を集められれば弱点を見つけられるかもしれない。

 そうならないように――『女王』は、配下は、徹先輩の情報を集められないように、徹先輩を守らなければならない、と。

 

 レイナーレは強くなった。今では私じゃ絶対に勝てない。力を手に入れた。

 でも、それは戦う力で、守る強さじゃない。

 ベオウルフ様たちはそう言っていた。

 これから、レイナーレには守る力を学べと言っていた。

 ――レイナーレは、もう追いつけないくらい、ずっと先を歩いている。

 負けたくないな。

 私も、徹先輩の隣に並びたいから。

 

 

 

 !月AC日

 

 姉様が笑っているが、あまり気にしない。

 私は怒っているのだ。

 また、塔城さんと呼ばれた。

 徹先輩は悪くないと思う。

 短気な私が悪いのだ。

 名前を呼んでもらえなかっただけ。それだけで怒ってる私が悪い。

 ……こういう所が、子供っぽいんだろうなぁ。

 大人っぽいって、どんなだろう?

 

 

 

 !月AD日

 

 アザゼル先生が居ない事を、徹先輩が気にしていた。

 徹先輩は、よくアザゼル先生の事を気にしてる。

 頼りにしてる。

 実際、頼りになるんだと思う。部室では、イッセー先輩とエッチな話を偶にしてるけど。

 堕天使の元総督だし。

 今はルーマニアで吸血鬼の問題解決の為に、部長と一緒に動いている。

 元気にしてるだろうか?

 

 レイナーレが悩んでいる。

 私よりずっと強いのに、どうやって前に進むか悩んでる。

 『女王』に必要な事とは何だろうか?

 グレイフィア様がレイナーレに求めているものは、何だろう。

 私も、姉様から仙術を習ってるけど、今のままでいいのだろうか?

 難しい――強くなるのって。

 力だけじゃない強さって、どんな事を指すのだろう。

 

 

 

 !月AE日

 

 白龍皇のヴァーリさん達が遊びに来た。

 元『禍の団』でイッセー先輩のライバルだけど、徹先輩の友達だ。

 美猴さんとルフェイさん達も、冥界の魔獣騒動以来だけど、みんな元気だった。

 徹先輩が喜んでる所を見ると、私も嬉しくなった。

 

 今日は、遅くまで美猴さんの冒険譚を聞いているようだ。

 まだ話し声が聞こえる。

 仲が良いな。私も一緒に話したい。

 でも、話せる事が無いか……今度、旅行に行きたいな。

 皆で行きたいし――徹先輩と、二人っきりでも行きたい。

 

 

 

 !月AF日

 

 徹先輩とヴァーリさんは仲が良い。

 あと、アルビオンが不憫でならない。

 イッセー先輩の「おっぱいドラゴン」も悪いとは言わないけど、もう少し優しくしてほしい。

 でも、そのお蔭でアルビオンも徹先輩に心を開いていると思うと、少し複雑だ。

 

 ヴァーリさんと美猴さんに、強さとは何か聞いてみた。

 戦う力であり、どんな時でも折れない力だと言っていた。

 それも多分、一つの強さの形なんだろう。

 レイナーレは、その両方を持っている。でも、違う強さを求められている。

 

 

 

 !月AG日

 

 料理。料理か……。 

 私もある程度は出来るけど、レイナーレやルフェイさんのような本格的なモノは作れない。

 やっぱり、作れた方が良いのかな? いいと思う。私なら、好きな人には美味しい料理を食べてほしい。

 でも、料理の勉強をする時間も無い。

 学園で勉強して、家では仙術の勉強をして……どうにかしたいな。

 

 

 

 !月AH日

 

 今日は、徹先輩とレイナーレは息抜きにイッセー先輩の家に行った。

 私は行けなかった。

 行きたかったけど、姉様から止められた。

 ……判ってるけど。

 最近、レイナーレが悩んで、落ち込んでいたから。

 イッセー先輩の家から帰ってきてから、以前の、元気なレイナーレだったから。

 やっぱり、徹先輩にとって、レイナーレは特別なのかな?

 負けたくないな。やっぱり。

 徹先輩の一番になりたい。

 

 

 

 !月AI日

 

 イッセー先輩は、ヴァーリさんに何を教えているのか。

 いや、この場合だとアーシア先輩が、か。

 エロゲって……アレだよね。姉様にも聞いたけど。

 スケベなゲーム。

 男の人って、ああいうのが好きなのかな?

 徹先輩も、好きなのかな?

 姉様は男の甲斐性って言ってたけど。男の甲斐性って、スケベな事?

 私にはまだ、よく判らない。

 

 

 

 

 !月AJ日

 

 徹先輩も凄いけど、ルフェイさんも凄い。

 神喰狼に抱きついてた。

 毛がモフモフしてて気持ち良いと言ってたけど、普通は抱き付けない。

 噛まれたら、魂ごと消滅してしまう牙を持ってるし。

 でも、レイナーレはあまり心配してないし、姉様の心配はまた別の理由だし。

 

 私が気にし過ぎなのだろうか?

 

 

 

 !月AK日

 

 ヴァーリさんが、アザゼル先生に呼ばれてルーマニアへ旅立った。

 また必ずこの家に遊びに来ると言っていたので、無事に帰ってきてくれるだろう。

 姉様は笑顔で見送っていた。

 信頼してるのだろう。

 部長たちは元気だろうか?

 早く帰ってきてくれるといいな。

 

 




誰か、私の十七巻を知らんかね?
十七巻が消失したんだが……買いなおすかね

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