とある神器持ちの日記   作:ウメ種

132 / 195
125(無限日記)

 

 ?月?-3日

 

 カミシロトオルと会った。『次元の狭間』を迷っていた。

 少し面白い。

 我やドライグと会うと、喜んでいた。

 変。

 少し嬉しい。そう思った。

 よく判らない。

 嬉しかったのか、どうなのか。でも、多分嬉しかった。そう思う。

 判らない。

 今代のドライグの再生が終わったら、帰る事になった。

 我の力は力でしかない。グレートレッドみたいに再生には向いていない。

 だから、ドライグの再生にはグレートレッドが必要。

 そういうと、理解してくれた。我を撫でてくれた。

 その後、すぐに寝てしまった。

 疲れていたようだ。

 英雄相手に暴れたのだから、それもしょうがないと思う……少し、楽しい。

 『次元の狭間』に居るのに、独りではない。静寂ではない。

 グレートレッドが居る。ドライグが居る。カミシロトオルが居る。

 ……退屈ではない静寂。

 我が望んだモノ? 我の願望? 我の夢?

 ――判らない。

 でも、悪くない。

 

 グレートレッド、カミシロトオルの事を知っていた。

 カミシロトオルの『神器』を知っていた。

 教えてくれなかった。でも、知っていると教えてくれた。

 我とグレートレッドだけの会話。秘密。

 カミシロトオルの秘密。

 ――グレートレッドが喜んでいた。そんなグレートレッド、初めて。

 

 

 

 ?月?-4日

 

 カミシロトオルに『次元の狭間』の事を説明した。

 我が生まれた場所。

 説明した。

 我、カミシロトオルの事を詳しく知らない。

 だから、我の事をカミシロトオルに説明した。

 よく判らない。説明したかった。だから説明した。

 『次元の狭間』には何も無い。

 極偶に異世界から何かが流れ着くが、それも我には意味の無い物ばかりだ。

 興味を惹くようなものは何も無い。

 だから、我はここで永遠の静寂に浸りながら眠りたかった。永遠に。

 それが、我が静寂を望んだ理由。

 グレートレッドと戦う理由。

 今は、戦う理由がない。

 我、静寂を望んでいない? 判らない。

 『次元の狭間』に帰ってきた。

 でも、我は静寂よりもカミシロトオルを選んでいる。

 ……判らない。我、どうしたい?

 この世界に、我は何を望んでいる?

 判らない。

 ただ、カミシロトオルが、帰ろうと言った。

 帰ったら美味しい物を食べようと言った。教えてくれると言った。

 多分、我は嬉しい。喜んでいる。

 ――『次元の狭間』とカミシロトオルの家。我、どっちを選ぶ?

 

 

 

 ?月?-5日

 

 カミシロトオルと見た『次元の狭間』の景色は、相変わらず何も無かった。

 だが、カミシロトオルと歩いた時間は、独りではなかった。

 不思議。よく判らない。

 独りではないのは、悪くないと思った。

 いつかの想像――カミシロトオルと『次元の狭間』へ、という想像。

 悪くない。

 でも、何も無い。

 美味しい食事も、ヴァーリ達も、黒歌達も、何も無い。

 意味が無い。

 ……ここには、何も無い。

 

 カミシロトオル、グレートレッドに興味を示している。

 大きさを計ってた。

 触ったりしていた。

 ……我には興味を示さない。何故?

 我、カミシロトオルに興味を持っている。

 カミシロトオル、我に興味を示さない。

 何故?

 ……我、何が足りない?

 ドライグが、グレートレッドの事をカミシロトオルに説明していた。

 我の事も説明したい。

 我に興味を持ってほしい? 判らない。

 でも、カミシロトオル、我に興味を示さない。

 判らない。

 カミシロトオルが我に興味を示さない。

 カミシロトオルはグレートレッドに興味を示している。

 どうしてその事を気にするのかも判らない。

 我、我が判らない。

 

 

 

 ?月?-6日

 

 ドライグ、今代の赤龍帝の事を話してくれた。

 カミシロトオルに話して聞かせていた。

 この前我に聞かせてくれた事、あの時は教えてくれなかった事も話してくれた。

 悪くない時間だった。

 今代の赤龍帝、変わっている。

 戦いではなく、『覇』ではなく、決着ではなく、女を求めている。

 沢山の女を求めている。

 ハーレム、よく判らない。

 でも、傍に沢山の女を侍らせたいというのは判った。

 それも力になる? 強さになる? 面白い。

 我、カミシロトオルを侍らせる。そうすれば、もっと強くなれる?

 カミシロトオル、沢山の女を傍に置いている。

 レイナーレ、黒歌、白音、北欧の戦乙女。

 それが、カミシロトオルの強さの秘密? 我も侍らせる? もっと強くなる?

 よく判らない。

 でも、面白い。

 

 

 

 ?月?-7日

 

 カミシロトオル、『神器』の事をガラクタだと言っていた。

 不思議。

 時間を操る神の器。

 破格の能力だと思う。僅かだが、我にも効果がある。

 おそらく、グレートレッドにも。

 それ、ガラクタといった。

 カミシロトオル、『神器』が嫌い?

 戦いが嫌いなカミシロトオル。

 争いの種になる『神器』が嫌い?

 強いのに戦いが嫌い。変だと思う。

 強い力は争いを呼ぶ。力を持っていたら、戦いからは離れられない。

 我はそれを知っている。

 我とグレートレッドがそう。誰もが我たちを狙っている。

 ドライグとアルビオンもそう。

 永遠に戦いの渦中からは離れられない。

 それでも、カミシロトオルは戦いを嫌う?

 ――それが、カミシロトオルの願い?

 

 カミシロトオル、自分を弱いと言っていた。

 判らない。

 カミシロトオルは強い。我に干渉できるほどに。

 でも、レイナーレや黒歌に助けられたと言っていた。

 判らない――。

 カミシロトオルが言う強いとは何?

 

 

 

 ?月?-8日

 

 カミシロトオル、困っている。退屈だと言っていた。

 我は楽しい。カミシロトオルは退屈。判らない。

 ――我は、とても楽しい。

 でも、カミシロトオルは退屈。

 カミシロトオルは、もっと楽しい事を知っている。

 我、楽しい事を知らない。だから、退屈ではない。

 沢山の事を教えてくれるカミシロトオルが居るから退屈ではない。

 ……でも、カミシロトオルは退屈。

 カミシロトオルは、もっと楽しい事を知っている? だから退屈?

 

 それにしても、グレートレッドはカミシロトオルの事を教えてくれない。

 不公平。

 グレートレッドが知っていて、我が知らない。不公平。

 攻撃したら、カミシロトオルから止められた。

 カミシロトオル、我よりグレートレッドが大事? 不公平。

 

 

 

 ?月?-9日

 

 カミシロトオルの背中、大きい。

 でも、非力。我を背負ってグレートレッドに上っただけで、息を切らせていた。

 少し面白い。

 カミシロトオルの背中、悪くない。

 また、乗りたい。

 グレートレッドの上から見た『次元の狭間』、何も無い。

 でも――悪くない景色だった。

 カミシロトオルと二人で見た景色。何も無いけど、少し違ったと思う。よく判らない。

 でも、何かが違った。

 何が違った?

 判らない。

 ――判らない事を、我は喜んでいる? 判らない事。それを考えるのが、我は嫌いではない。

 考える時間は、退屈ではない。楽しい? 判らない。

 

 カミシロトオル、賑やかなのが好きだと言っていた。

 『次元の狭間』、静か。賑やかではない。

 ここ、嫌い?

 判らない。聞けなかった。どうしてか判らない。ただ、聞けなかった。聞きたくなかった。

 ただ、我も嫌いではないと言った。そう思う。

 ヴァーリ達も黒歌達も、カミシロトオルの家も――嫌いではない。そう思う。

 そう言うと、笑っていた。

 変な顔。

 嫌いじゃない変な顔。笑顔。

 ――我、笑えない。だから、笑えない我は笑顔が好きなのかもしれない。

 帰りたい。

 それがカミシロトオルの願い。

 我の帰る場所は何処? 判らない。

 『次元の狭間』、退屈。何も無い。静寂――我が望んでいたはずの静寂。

 でも、今は何も無い。退屈な世界。

 ……帰りたい? 帰る場所は何処? ヴァーリ達の所? カミシロトオルの家? 『次元の狭間』?

 答えが無い。でも、我は帰りたい。

 カミシロトオルと一緒に帰りたい。

 

 

 

 ?月?-10日

 

 ドライグ、起きた。

 でも、肉体の再生、終わっていない。

 まだ、『次元の狭間』から出られない。

 カミシロトオル、ドライグが起きて喜んでいた。笑っていた。

 変。

 カミシロトオルが笑うと、我、変になる。また、我変わった? 判らない。

 判らないから、もっと笑ってほしいと思う。

 カミシロトオルが笑う事、嫌ではない。

 ドライグと話している時、カミシロトオルよく笑う。

 我と話している時とは違う。我と話すと、笑うけどドライグの時とは違う笑顔。

 判らない。

 我と話す時と違う笑顔。

 我とも笑ってほしい? うん。笑ってほしい。

 帰ったら、美味しい物を沢山食べに行こうと言ってくれた。

 楽しみ。

 

 

 

 ?月?-11日

 

 ドライグ、『次元の狭間』を退屈だと言っていた。

 退屈。――判らない。

 我、楽しい。カミシロトオルが居る。“遊び”を教えてくれる。

 カミシロトオルもドライグも、ここは退屈だという。

 ならきっと――我が知らないだけで、外はもっと楽しい事があるのだろう。

 帰る時が楽しみ。

 我は変わった? 判らない。

 我、我がどうだったか覚えていない。どう変わったか判らない。判断材料がない。

 ただ、楽しみが増えた。

 美味しい物を教えてもらう。楽しい事を教えてもらう。

 カミシロトオルと一緒に帰ったら、教えてもらえる。楽しみだ。

 

 

 

 ?月?-12日

 

 帰ったら何を食べたいか聞かれた。

 我、あいすを食べたい。

 あと、レイナーレの料理。

 困った? 困った。

 我、食べたいものを知らない。美味しい物を知らない。

 たこ焼き、ラーメン――後は、何も無い。

 何も無い。

 我、何も知らない。

 だからまず、あいすを食べたい。

 ――カミシロトオルが、初めて我に教えてくれたもの。

 だから、食べたい。

 帰ったら――カミシロトオルと食べたい。

 

 

 

 B月A日

 

 グレートレッド、張り切ってた。

 カミシロトオルと一緒に戦うの、初めてじゃない?

 喜んでいた。楽しんでいた。どうして?

 いつ、どこで、グレートレッドはカミシロトオルと会った?

 不公平。我も、カミシロトオルと戦いたい。

 

 レイナーレ、我の血を上手く使っていた。馴染んでいた。

 でも、まだ一割も使いこなせていなかった。

 それでも十分、曹操を打倒しきれていたけど。

 カミシロトオルの『女王』。強くないといけない。

 誰よりも、何者よりも、どんな存在よりも。

 我の特性は『無限』。

 無限の力、無限の命、無限の成長――限り無い可能性。

 『蛇』とは違う、我の本質。我の血。

 食事の礼。

 

 ヴァーリも、僅かの間に成長していた。

 時間の干渉。他者の時間の半減と略奪。

 カミシロトオルに似ている。

 それが、ヴァーリの新しい可能性。

 カミシロトオルはそこに居るだけで、周囲を変える。

 これからも、もっと変える? 変えるだろう。

 それが、カミシロトオルの本質。

 我が無限であるように。グレートレッドが夢幻であるように。

 カミシロトオルは夢現。

 夢のような現実を起こす存在。

 そこに居るだけで、カミシロトオルは世界の中心に居る。

 12の魔獣と1の魔神。

 我やグレートレッドには遠く及ばない。

 でも、冥界の悪魔たちでは遠く及ばない異界の魔神を模した存在。

 我とグレートレッドとカミシロトオル。我達で、片付けた。

 ――楽しかった。

 曹操も、ドライグの仲間も、英雄派も、悪魔も、堕天使も……全員が固まっていた。

 固まっていないのは、カミシロトオルの仲間と、ヴァーリ達だけだった。

 

 

 

 B月B日

 

 カミシロトオルとまた一緒に暮らす事になった。

 サーゼクスもアザゼルも、認めてくれた。

 珍しい。

 我の変化、笑っていた。

 よく判らない。

 でも、良かった。そう思う。

 これで、カミシロトオルに美味しい物を、楽しい物を、沢山教えてもらえる。

 ――良かった。

 しばらくは美猴達も一緒。カミシロトオルの家は賑やか。

 静寂などどこにも無い。でも、退屈ではない。楽しい。

 永遠の静寂。今は必要無い。

 

 ……ただいま。

 帰ってきた。カミシロトオルはおかえりと言った。

 これで正しい? 判らない。

 でも――ただいまと言うと、カミシロトオルは笑ってくれる。

 カミシロトオルは笑顔が良い。そう思った。

 笑顔は悪くない。

 笑顔が良い。

 ――変。

 我、また変わった?

 

 

 

 B月C日

 

 黒歌、白音を気にしていた。

 白音、しばらく会わない間に変わった。

 カミシロトオルを気にしていた。気にして、黒歌の影に隠れるようになった。

 どうして恥ずかしがるのか判らない。

 理解できない。

 好きなら傍に居るのが良い、とルフェイは言っていた。

 でも、白音はカミシロトオルから隠れる。でも離れない。

 よく判らない。

 好きとはどういう事? どうすれば、好きになれる? 好きを証明できる? 好きとは何?

 答えは誰もくれない。教えてくれない。

 いつもの事。

 いつか我が辿り着きたい事。

 ――黒歌も、白音も……ロスヴァイセもレイナーレも、カミシロトオルが好き。

 ヴァーリも美猴も、ルフェイも、カミシロトオルを好き。

 我は?

 判らない。

 好きとは、どういう事?

 ……判らない。

 好きになりたい?

 そう。

 

 




レイナーレさんチート化計画。
曹操さんは……不幸な事件だったね。
orzってなったんじゃないかな?

グレートレッドさんは、予想。
でも、今の原作の流れから、おそらくこうだろうなぁ、と思う。
間違ってたらスマヌ。
徹君の『神器』? まだ教えませんよ?(キリッ
ロスヴァイセさんは17巻次第ですな。それまで保留。
おばあちゃん出るみたいだし。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。