とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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職場への提出しないといけない書類、用意し終わったー。
疲れた……orz


124(無限日記)

 

 A月A日

 

 どうしてか、ヴァーリの機嫌が良かった。

 カミシロトオルの夢を見たかららしい。

 夢――我は、夢を見た事が無い。

 夢とはどんなモノ?

 ルフェイに聞いたら、願望、願いだと言っていた。

 我の願望、願い――何?

 そもそも、我は睡眠を必要としていない。

 ――夢。見てみたい。

 我の願いは何? 夢を見る事が出来たら、知る事が出来る?

 

 

 

 A月B日

 

 ヴァーリは変わった。カミシロトオルと関わるようになって、変わった。

 少し驚いて、その後笑っていた。

 変なヴァーリ。

 美猴とルフェイも笑っていた。

 我、何か変な事を言った? よく判らない。

 でも、ヴァーリ達が笑っているのは悪くない。退屈ではない。

 嬉しい? そうかもしれない。

 そもそも、我は嬉しいという感情を理解できないので、その例えで合っているか判らないが。

 ルフェイが我を見て、我は嬉しそうだと言っていた。

 理解できないが、ルフェイが言うならそうなのだろう。

 我は嬉しい。

 ――悪くない。

 

 

 

 A月C日

 

 ヴァーリから、カミシロトオルとどう接するか聞かれた。

 よく判らない。

 我、カミシロトオルと話したい。

 それだけ。

 話してどうなるか判らない。我はまた変わる?

 変わるかもしれない。変わらないかもしれない。

 判らない。

 でも、話したい。そう思う。

 カミシロトオルと話したい。それが、我の願い?

 カミシロトオルと話す事が、我の夢?

 ――よく判らない。

 ……でも、話したい。

 カミシロトオルと話すと、静寂ではない。

 我、永遠の静寂が願い? 夢?

 グレートレッドから『次元の狭間』を取り返し、永遠の静寂を手に入れる。手に入れたい。

 でも、カミシロトオルは静寂ではない。楽しい。

 ――判らない。

 我の願いは何?

 

 

 

 A月D日

 

 変。

 もうすぐ、カミシロトオルと会える。

 会えるように、ヴァーリが準備をしている。

 でも、変。

 我が変。

 会いたい。カミシロトオルと話すのは楽しい。静寂ではないが、悪くないと思う。

 変化は嫌いではないのかもしれない。

 我が変わると、ヴァーリ達は笑っている。

 だから、カミシロトオルに会いたい。会って話したい。

 会って話せば、我はもっと変わる? ヴァーリ達、もっと笑う?

 我、我の為にカミシロトオルと会いたい?

 ヴァーリ達に笑ってもらう為に会う?

 どっち? 判らない。

 ――我、どうして永遠の静寂を望む? 望んだ?

 判らない。

 今までと、今の我、違う?

 我が判らない。

 ……変。

 我、どうして永遠の静寂を望んだ?

 

 

 

 A月E日

 

 我、どうして今まで、永遠の静寂を望んだ?

 判らない。

 答えが無い。

 我、変わった。

 変わったと誰もが言う。

 どんなふうに変わったか判らない。

 グレートレッドと戦いたい?

 ……今は、そんな感情は無い。

 それも変化? 我、また変わった?

 戦いたい? 戦いたくない。

 グレートレッドとも、カミシロトオルとも。

 

 ヴァーリ、カミシロトオルに会いに行っても良いと言った。

 会いたい。

 でも、会いたくない。

 判らない。

 我の変化、我、理解できない。

 いつか判る? 変化、理解できる?

 美猴もヴァーリも笑う。

 ルフェイも笑う。フェンリルも嬉しそう。

 ……カミシロトオルを、麻薬だと言っていた。

 そう言ったのはヴァーリか美猴のどっちか。

 麻薬。心を侵す毒。

 必要とされ、その一方で憎まれる薬。

 それがカミシロトオル。

 ――我、カミシロトオルを必要としてる? 憎んでいる?

 どっち?

 

 

 

 A月F日

 

 黒歌の日記にあった事を、美猴に試そうとした。気付かれた。

 美猴は気配に敏感だ。

 カミシロトオルは良く黒歌と一緒にベッドで寝ていた。美猴は難しい。

 今度、ヴァーリで試そうと思う。

 ルフェイからは、カミシロトオルと試すように言われた。

 一緒のベッドに入るのは、好きな人と、とも。

 カミシロトオルはここに居ない。

 好き。

 ……好きとは何?

 黒歌はカミシロトオルと一緒に寝ると幸せだと書いていた。暖かいと書いていた。

 幸せ、何? 暖かい、何?

 黒歌の感情は難しい。

 でも知りたい。興味深い。

 黒歌の変化、面白い。

 黒歌と同じ変化をすれば、我の変化の形、判る?

 判らない。でも、判るかもしれない。

 知りたい。

 でも、一緒に寝るのは好きじゃないと駄目だと言われた。

 ルフェイの説明は判り辛い。

 好きとは何?

 どうすれば好きだと説明できる?

 好きとはどんな状態?

 好きになるにはどうすればいい?

 答えはもらえなかった。答え――誰もくれない。

 答え――欲しい。

 幸せと好き。

 それは何? どんなカタチ? どんなモノ? どうすれば証明できる? 

 今度、黒歌に聞こう。

 

 

 

 A月G日

 

 もうすぐ、カミシロトオルに会える。

 会いたい。

 ――会ったら変わる? 我、もっと変わる?

 我の変化、我、理解できる?

 ……楽しみ。

 美味しい物を教えてくれたカミシロトオル。

 黒歌を変えたカミシロトオル。

 ヴァーリ達を変えたカミシロトオル。

 我を変えるカミシロトオル。

 楽しみ。会いたい。

 カミシロトオルに会いたい。

 会って、話したい。

 それだけでいい。

 それだけできっと、我はまた変わる。黒歌みたいに変わる?

 ルフェイに聞いたけど、教えてくれなかった。

 ……でも、それでいい。

 我、気付きたい。我の変化、気付きたい。

 

 

 

 A月H日

 

 美猴、我を模していた。

 器用だと思う。

 我、笑った事無い……と思う。

 楽しいを知らない。

 嬉しいを知らない。

 幸せを知らない。

 好きを知らない。

 楽しいと嬉しい、少しだけ判らなくもない。

 ヴァーリ達と居る事。

 幸せと好き、判らない。

 理解できない。誰も教えてくれない。誰も答えを持たない。

 そんな我、笑わない。

 でも、美猴が模した我、笑っていた。

 不思議。

 ……我、我の笑顔、初めて見た。

 変な顔。

 

 

 

 A月I日

 

 今日から、カミシロトオルの家に住む事になった。

 ヴァーリ達は、またどこかへ行った。

 ルフェイとフェンリルだけ、我と一緒。

 あと、カミシロトオル達も一緒。

 カミシロトオルとの会談。我、カミシロトオルと戦わないことを約束した。それだけ。

 今までと変わらない。

 カミシロトオルが世界を壊そうとしないなら、我もカミシロトオルを殺さない。

 アザゼルとドライグ、変な顔をしていた。我が美猴を始めて撫でた時の顔と同じだった。

 我がカミシロトオルを殺さないの、変?

 カミシロトオルは、殺すより話す方が良い。我はそう思う。我が変? よく判らない。

 ドライグも興味深い。

 今までの赤龍帝と、全く違う道を進んでいる。『覇』ではない道を探している。

 赤ではない紅。

 我の知らないドライグ。

 『覇』ではない道――ドライグ、赤龍帝ではなく乳龍帝になる?

 聞いたら、変な声を出していた。アルビオンと一緒。

 その後、カミシロトオルに薬を塗ってもらっていた。

 精神が落ち着く薬。

 我も塗ってほしい。

 今度頼もうと思う。

 

 黒歌の真似をしたら、驚かれた。

 何故?

 黒歌、カミシロトオルと一緒にお風呂に入っていた。

 我も入りたい。

 黒歌、一緒にお風呂に入ると喜んでいた。嬉しがっていた。幸せを感じていた。

 我もその感情を感じたい。知りたい。

 喜ぶとは何?

 幸せとは何?

 ――我、知りたい。

 黒歌に聞いても、教えてもらえなかった。

 ヴァーリも美猴もルフェイも黒歌も教えてくれない。

 

 

 

 A月J日

 

 カミシロトオルと一緒に寝た。

 暖かい? 判らない。

 黒歌、カミシロトオルと一緒に寝るのが好きだと書いていた。よく判らない。

 また今度、寝ようと思う。

 その後、黒歌の妹と会った。白音。黒歌の家族。

 そう言えば以前、カミシロトオルは我の家族を気にしていた。

 我には家族は居ない。

 白音も、黒歌の幸せの一つ。家族も、幸せの一つ。

 幸せとは何? カミシロトオル。白音。幸せの形は一つじゃない。

 ……我の幸せ、どんな形?

 

 今日は、カミシロトオルから「おっぱいドラゴン」のお菓子を貰った。美味しかった。

 ルフェイが好きなドライグのお菓子。

 あと、レイナーレの用意した食事も美味しかった。

 カミシロトオルの『女王』だと黒歌が教えてくれた。

 『女王』。『悪魔の駒』でもっとも信頼する者に与えられる『駒』。

 ……でも、レイナーレは弱い。

 カミシロトオルよりも、我よりも、黒歌よりも…この家で一番弱い。

 でも、信頼されている。

 変な『女王』。

 作ってくれたご飯はとても美味しかった。

 

 

 

 A月K日

 

 恋。好きの一つの形。

 ドライグとドライグの主人。恋をしている?

 カミシロトオルと一緒に読んだ新聞に書いてあった。

 以前ルフェイは、我にカミシロトオルが好きなのか、と聞いた。

 我、カミシロトオルに恋をしている?

 恋――それは何?

 我には理解できない感情を考えるのは面白い。

 コレも、我の変化? よく判らない。

 カミシロトオルに聞いたが、詳しく教えてくれなかった。

 でも、恋とはどういうものか説明はしてくれた。

 黒歌はカミシロトオルに恋をしている? 聞いたけど、答えてくれなかった。

 黒歌の日記を読みたい。きっと、我が求める答えが書いてあると思う。

 でも、読ませてくれなかった。

 ルフェイも誰かに恋をしている?

 聞いたけど、居ないと言っていた。

 

 レイナーレの用意してくれる食事は美味しい。

 カミシロトオルも喜んでいた。

 ルフェイも、フェンリルも、黒歌達も。

 ……美味しい食事は嫌いではない。そう思った。

 

 

 

 A月L日

 

 レイナーレ、弱い。

 黒歌達に戦い方を教わっていたけど、力が弱いのはどうしようもない。

 レイナーレの肉体、黒歌よりも戦いに向いていない。

 魔力が低い。

 我の血を飲ませておいた。これで、魔力が増す。

 美味しい食事のお礼。

 我の力、特別。黒歌に気付かれないように飲ませるのは少し疲れた。でも、楽しかった。

 

 

 

 A月M日

 

 カミシロトオルの寝顔を見た。これで二度目。

 我と話していたら、いつの間にか寝ていた。

 静かなのは嫌いではない。

 静寂は好きだ。

 でも、カミシロトオルとは話したい。

 ――良い時間を過ごせたと思う。

 カミシロトオルが傍に居るだけで、退屈ではない。

 静寂は退屈だ。

 でも我は、永遠の静寂を望んでいた。

 どうして我、永遠の静寂を望んだ?

 答えは無い。見つからない。

 我が望む静寂は何? 退屈ではない静寂とはどんなもの?

 ……カミシロトオルの力の影響は、落ち着く。

 時間の逆巻き。

 町全体の時間を巻き戻す。

 曹操はカミシロトオルに関われない。

 カミシロトオルは、誰もを巻き込まない為に自身の力を使う。

 我とは根本が違う力。

 我とも、ドライグとも、魔王とも、神とも違う力。

 

 カミシロトオルと話すのは楽しい。でも静寂ではない。

 カミシロトオルは疲れて眠る――それは静寂。

 我が望んだ静寂。

 退屈ではない静寂。

 悪くない。居心地も良いと思う。

 ――カミシロトオルの隣は嫌いではない。

 

 

 

 A月N日

 

 『次元の狭間』に帰ってきた。

 静か。

 ドライグも、宿主が死んで黙ってしまった。

 静寂。

 我が望んだ静寂。

 だが、退屈な静寂。

 我の力はカミシロトオルに戻してもらったが、どうにも戦う気にはなれなかった。

 曹操が裏切った事を気にしていたわけではない。

 カミシロトオルは戦いを嫌っている。だから戦いたくなかった。それだけ。

 その所為でドライグの宿主、死んだ。

 我の初めての友達、死んでしまった。もう動かない。

 ドライグと話している時間、静寂ではなかった。楽しかった。

 

 ……『次元の狭間』、静か。

 静寂は嫌いじゃない。

 嫌いじゃなかった。

 

 

 

 ?月?日

 

 我と一緒にカミシロトオルも封印されたはず。

 でも見つからない。

 『次元の狭間』から出た?

 カミシロトオルなら可能だろう。

 あらゆる神の可能性をもつカミシロトオルなら、人間が考えた封印を壊す事は簡単なはずだ。

 現に、『次元の狭間』の封印はほとんど機能していない。

 初めから、壊れてしまっている。

 曹操、ツメが甘い。

 ドライグも呆れていた。

 コップと同じだと言っていた。

 コップが封印なら、水がカミシロトオル。

 カミシロトオルという水は、簡単に曹操が用意したコップから溢れてしまっている。

 最初から、コップでは無理だった。

 コップ一つでは、ダムの水は受け止められない。そうドライグが言っていた。

 ドライグの主、その話を聞いて喜んでいた。

 カミシロトオルの事を褒めるの、自分の事みたいに喜んでいた。

 今は、ずっと目を閉じている。動かない。

 死。

 

 今なら、我でも簡単に戻れる。

 カミシロトオルを一通り探したら、帰ろう。

 ――静寂は、

 

 

 ?月?-2日

 

 グレートレッドと会った。

 ドライグの主の魂、再生するの手伝ってくれている。

 変。

 我、グレートレッドと決着をつけようと考えていた。

 今はそんな考えは無い。

 我、変わった。

 少し、判った。

 我は変わった。

 ……少し嬉しい。

 

 




リハビリにはオーフィスちゃんがいい(断言
今回で11巻分
次回で12巻分

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