とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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09.5(巫女日記)

 ○月Q日

 

 今日はリアスに連れられて、同級生のお宅へとお邪魔した。

 上代徹君。別のクラスの男子生徒だ。その頭に、先日死んだはずの、という言葉が付くが。

 私達にも判らないほどに弱々しい『神器』の反応だが、その『神器』の能力で死を免れたようだ。

 悪運が強いのか、それとも何か考えがあったのか。

 少なくとも、会った感じは普通の、どこにでもいる男の子だった。まぁ、少しばかり反応が鈍いかな、と思いましたが。

 私とリアスが訪ねても、最初に驚いただけで、あとは普通に接していたようですし。面の皮が厚い、とでも言いますか。

 今までおべっかばかりを使ってくる男性ばかりだったので、少し新鮮でした。おもしろい、と言えるのかもしれない。

 リアスも、強く興味を抱いていたようだ。悪魔に転生させようとしていたし。

 でも、いきなり言っても警戒されるだけでしょうに…。

 

 

 

 ○月D日

 

 昨日、リアスが可愛い後輩を悪魔に転生させた。兵藤一誠君、一つ年下の『兵士』だ。『兵士』の駒を8つも使って転生させたと言っていた。どれだけの潜在能力を秘めているのだろう? 興味深い。

 それと、放課後、その兵藤君と上代君に悪魔の説明をした。

 それにしても、上代君は少し強く握っただけで痛みに顔を顰めていた。本当に、ただの人間なんですね。

 私が簡単な魔術を見せたりすると、興味深そうにそれを見ていた。好奇心は人並み以上なのかしら? 

 今日は自己紹介と簡単な説明だけで終わった。部活には入ってくれないらしい。この前家を訪ねて勧誘した件で、警戒されていたのだと思う。でも、せっかく私とリアスが誘ったのだから、もう少し感情を表情に出してもいいのではないだろうか? あんなに露骨に警戒されると、女としてのプライドが傷つきそうだ。

 兵藤君の方は、今日から部活に参加していた。まぁ、もう転生してしまっているし、悪魔のお仕事に慣れるのは大事だ。あまりにリアスが猫可愛がりするから、少しだけちょっかいを出してしまいましたけど。初々しい、可愛らしい後輩だ。ああいう反応が良いのだ。

 上代君は、あまり面白くない。借りてきた猫のように警戒心しかなかった。私が笑顔を向けると視線を逸らすほどだった。……面白くない。

 結局その後、上代君の『神器』を見損ねたリアスをお仕置きする事にした。リアスは可愛いと思う。

 

 

 

 ○月I日

 

 兵藤君が、上代君の家に悪魔稼業のチラシを配ってきたらしい。

 でも、今日は呼び出しがかからなかった。どうしてだろうか?

 上代君くらいの年頃なら、願い事なんていくらでもあるでしょうに。しかも、私やリアスが悪魔だって知っているのだから。

 年頃の男の子なら、すぐに飛びつくはずだと思うのだけれど……どうしてだろう?

 上代君って、クラスの男子や今まで会った男の方とは違う視線を向けてくるので、よく判らない。

 まぁでも、それも召喚されれば判る事か。

 

 

 

 ○月A日

 

 上代君に召喚されない。それどころか、学園での反応も微妙だ。というよりも、避けられている節がある。

 私が悪魔だからか? それとも、別に何かあるのだろうか?

 苛々する。私が話しかけてもそんな反応をする男子は今までいなかっただけに、尚更だ。

 私を召喚しないくせに、兵藤君を襲った堕天使に会ったという事も、苛々させられる。

 女として見られていない感じがしてしまう。屈辱だ。容姿に自信があり、今までその容姿を褒められていただけに、尚更だ。

 問いただすために上代君を部室へと連れてきた。情報は必要なので、問題は無い。

 リアスも何も言わなかったし。

 しかし、上代君は全然強そうに見えないのに、よく堕天使に殺されなかったなと思う。良かった。知り合いとも言えない関係だが、勝手に殺されるのも寝覚めが悪い。

 

 

 

 ○月@日

 

 上代君が、悪魔稼業のチラシを捨てていた。

 魔術に精通している者なら、自分の魔力を通わせた魔道具に何かあれば判るものだ。

 しかし、どうして使わなかったのだろうか? 念じるだけで簡単に使えるのだが…使い方が判らないのだろうか? 今度は説明書も付けて送ろう。

 取り敢えず、兵藤君と小猫ちゃんにお願いしておいた。

 リアスが何か言っていたが、私は副部長の立場だし、部員を使う権限はあるはずだ。何も問題は無い。

 

 

 

 ○月「日

 

 私がチラシを配りに行くと、上代君は驚いた顔をしていた。うん、それでいいのだ。

 チラシを使ってくれるようにお願いしてきたし、これで召喚してくれるはずだ。

 

 

 

 ○月」日

 

 イライラする。どうして私ではなく小猫ちゃんを召喚したのか、とか、召喚に応じた私を見て第一声が「塔城さん」だったのか……思う所は多々あるけど、思い出すだけで苛々する。

 私が行ったのに、第一声が「塔城さん」だ。女の子に言っていい言葉じゃない。絶対に上代君は女の子とお付き合いをしたことが無いと思う。絶対だ。

 しかも、私が何かしましょうかと聞いても、別に、である。別に……である

 彼は一体、小猫ちゃんに何をさせる気だったのだろうか? イライラする。

 

 

 

 ○月{日

 

 リアスに、前回上代君に召喚された時の事を聞かれた。

 ええ、答えたわ。答えたとも。答えました。上代君の家に行って、第一声が「塔城さん」だった事も、全部話した。一時間くらい話した。スッキリした。今日はよく眠れると思う。

 

 

 

 ○月.日

 

 今日、上代君から正式に召喚された。小猫ちゃんの代わりとかではなく、正式にだ。

 私も、身嗜みも整えて、その召喚に応じた。リアスになぜか応援されたが、悪い気分はしなかった。

 ……お願いされたのは、肩揉みだった。ふざけてるのか、彼は。男が、一人暮らしの家に女を呼んで、お願いした事が、肩揉みだ。馬鹿にしてると思う。そんなに私には魅力が無いのだろうか? 小猫ちゃん以下なのだろうか? ……ショックだ。

 あまりにショックだったので、力を込めて肩を揉んでやった。痛みに悶えていた。ざまぁみろだ。ちょっとすっきりした。

 また召喚してもらえるように、チラシを玄関に置いてきた。次はもっとマトモなお願いをしてほしい。

 その後、リアスが快く私の相談に乗ってくれた。良い親友を持てて私は幸せだ。ティーカップをちょっと割ってしまったが、些細な事だろう。

 ……『神器』を見せてもらうのを忘れていた。今度召喚された時に見せてもらおう。

 

 

 

 ○月△日

 

 今日は祐斗君が召喚された。私より男か。どれだけ私をコケにすれば気が済むのか。

 ……祐斗君は、上代君に何をお願いされたのだろうか? 気になる。

 まぁどうせ、肩揉みとか部屋の掃除とかでしょうけど。

 

 

 

 ○月↑日

 

 あれから、上代君が悪魔召喚を行う気配が無い。

 ……面白くない。

 

 

 

 ○月+日

 

 先程、リアスが上代君に召喚されたようだ。

 ……今日も、寝る前のお酒が美味い。

 明日、リアスに召喚された時の事を聞こうと思う。良いお酒の肴になると思う。

 

 

 

 ○月$日

 

 今日、兵藤君が堕天使に襲われた。

 以前兵藤君を殺した堕天使・レイナーレだ。私の後輩に手を出すなんて、許せない。最近少しだけ苛々しているので、会ったら楽しませてもらおうと思う。

 リアスも、あまり良い顔はしていなかった。

 しかし、シスターを助けるために堕天使と戦うなんて、悪魔らしくないと思う。まぁ、兵藤君らしい、とは言えるかもしれないが。

 

 

 

 ○月;日

 

 夜、リアスと一緒に居たら堕天使に襲われた。誘う為に二人で行動していたのだが、こうも簡単に釣れると笑うしかない。

 それに、丁度良かった。イライラしていたので、いいストレス発散になった。今日は良く寝れそうだ。

 

 

 

 ○月:日

 

 上代君は、一体何者なのだろう?

 リアスの『滅びの力』で滅ぼしたはずの堕天使を復活させていた。

 そんな事、上級悪魔……魔王様でも不可能だ。だというのに……。

 いつも苛々させられる彼だが、少しだけ興味が湧いた。

 

 

 




主人公が姫島をどう思ってるかわかるあたり、可哀想である。

多分、レイナーレさん生存の一番の被害者は朱乃さん。


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