それは前世の記憶   作:yatenyue

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第3話

 

 

 

「なんだぁこれ」

 

「そんなの当たり前だよっ!

キーリお姉ちゃんなら」

 

ジャンがいう。

 

「ただ空気中の水分で水を作りだしただけでしょ

ただのでなく。ゴム状の物質に」

 

簡単そうにいうがそれは高度な技。

 

例えば、地面から武器をとかいうのは簡単だ

それに比べたらだが

 

一つ一つの分子をゴムの分子と同様の形に僅かな間に移動させ、

より弾性を増すために硫黄をいれる。

 

はっきりいって、キーリはサリアより水に関係する分野は得意なのだ。

 

「ついて来てどこか把握した」

 

そういいながらキーリは地面に降り立つと同時に出したものは元へと還す

サリアの確認をとった途端

2人は消えた

 

 

いや目にも留まらぬ速さで走り出したのだ

 

 

狭い最短経路を辿り、ついたのは地獄絵図さながらだった。

助かった人は同行者の安否を叫び、また延焼を起こしている所もあり、

血まみれの人も多くいる。

 

 

「まずは鎮火よキーリ。

雨一瞬降らせて。

私はとりあえず火の周りの酸素濃度を下げるわ」

 

朱い火花と

藍色の火花が

光る。

 

交わろうとその輝きは

眩しい。

 

そして舞うようだ。

 

キーリによって作られた黒い雨雲が生み出す雨は勢いの弱まった炎を消す。

「サリア

私はとりあえず救助に回るわ

サリアは治療に集中して」

 

「分かったわ。瓦礫には気をつけて」

 

そして二人はそれぞれのやるべきことを始めた。

 

サリアの方では

おもむろに取り出すのはカラフルな紐。

赤  黄

青  黒

大きく分けるとそのようなものだ。

それは優先順位だ。

赤は最優先。

一刻を争う患者につけるものである。

黄は優先。

大怪我だが、命にかかわるものではない患者につけるものである。

青は待機。

黒は死亡。手遅れ

(これは現代でも使用されている方法である。)

 

これはこの世界では使われないサリアだけが使う方法。

 

その紐を怪我をした人の状態に合わせてつけていく。

 

今確認できる全ての患者につけ終えた後で

動けない1人の赤の紐をつけた男性へと手を伸ばす。

 

(状態からして肋骨が折れて、片肺に突き刺さっているわね…)

 

再びいやわずかに淡い朱いいや桃色の光が瞬く

 

これが"紅桜"

と呼ばれるサリアの医術にも精通しているからできることであり、

 

また十二蓬華(×花)の中でもサリア程の者はいない。医療錬金術。

 

これができるものは、

サリアには劣るものの

十二蓬華"鈴蘭"のみ。

 

それにより流れ出す血わ止まり、傷付いた血管や体の傷、折れた骨、肺

全てが回復していく。

 

厳密にいうと強制的に自ら生み出しているのではない。

 

人間が本来持っている自然治癒能力を最大限にいやそれ以上に増大させ、

まるで時間が舞い戻るようなそんな錯覚さえ感じる。

 

「よし。まだ安静にしておいて下さい。

まだ脆くなっているので。」

 

医療錬金術は万能ではない

 

病気やそれにより引き起こされるものは、決して治すことはできない。

 

そちらは薬や外科手術だ。

 

ちなみに外科手術は中位医術師以上が公的に行うことができる。

 

そして無から有を作り出すことはできず、

だからなくなった腕を再生とかも無理だ。

 

「お願いよぉ先にうちの人を見て」

怪我人の妻らしい人が言う。

「っ」

 

その人を見るとつけてあるのは青色の紐。

脆くなった部分を固定しながらサリアは言う

 

「大丈夫です。その人は両足の単純骨折と5㌢程の腕の烈傷数箇所。」

 

そういう間にも

次の人の治療を取り掛かる。

 

「順番は決まってるんです。

最初が赤、次が黄色、最後が青色と。

あ怪我していないなら手伝ってくれませんか。

お金は後で払いますので、

近くで清潔な布を調達して熱消毒して下さい。

それだけで効率も上がりますから」

 

冷静な判断。

 

サリアは非情なのではない。

 

命に優劣をつけているわけではない。

 

それが最善だという理性にしたがっているだけのこと

 

サリアにとって全ての命は等価。

  

 

 

ただ少しの例外をのぞいて

 

 


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