それは前世の記憶   作:yatenyue

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第2話

 

 

 

 

 

「…キーリまだ私だけで足りたのに…」

そうサリアが言う。

 

「何言ってんの

万が一でも指を怪我したらどうすんの

いつ手術が必要になるかもわからないのに…。

こういうのは私の役目だし、それに体が勝手に動いたのよね」

 

そう話している間も男の腕はびくともしない。

 

決して動かそうとしていないわけではない。

大の男の腕をやわな女性の片腕いや手の平で支えているのだ。

 

その力は並大抵ではない。彼女の名前はキーリ・アリテレス。

サリアの双子の妹であり、女だてら用心棒を仕事としている。

 

またサリア程ではないが医学知識もそこそこ高いため、サリアの補佐をしている。

 

「…分かったわ、あまり怪我させないでよ

二度手間だから」

 

「分かってる分かってる」

 

腕を支えるのをやめ、相手の力を利用し、男を意図も簡単に組み伏す。

 

「よーしで女が何って」

 

キーリの表情は笑ってるように見えるが、キーリの瞳は笑っていない

 

 

「女性蔑視もいい加減にしろよ。

お前みたいなのがいるか」

 

「キーリ やめなさい

簡単に染み付いたものが消えるわけがないわ」

 

そう言いつつ、赤子をみる。手で触診のみをし

「例の流行り病ね。

危なかったわねもうすぐで末期だったわよ。

キーリここに書いてる薬の材料取ってきて」

「オッケー」

 

とても素早く用意をしサリアの所に持って来る

「急ぎたいし」

そういい指先が覚えている量を的確に量り取り、

簡単な錬金術で分解し不要なものを取り除き、薬を作った。

 

 

「…先生っアリテレス先生」

傷だらけの少年が入って来た。

「あらジャン君どうしたのその怪我?」

「俺は大丈夫。

奇跡的に当たらなかったから。

それより先生大変だよ!!

 

 

電車が脱線事故を起こしたんだっ

先生の先生達の力が必要なんだっ」

 

彼は偶然だが知っていた。彼女達のもう一つの姿を

 

「分かったわ。

今この子の診察終わったから他に一刻を争う人もいないし。」

 

そして赤ちゃんの母親に言う。

「この薬を母乳に混ぜて与えてください。

とりあえず1回分で微妙な調節を毎回して行きますから。」

 

白衣は脱がず、またひそかに懐を確認する先程の男の付き添いらしい人が言う。

 

「俺も連れていけ、女子供だけに任せてはおけねぇ。

それにいくら強いと言っても男手が必要だろ」

 

「貴方錬金術の心得は?」

そうサリアが尋ねる。

 

「一応二葉だ」

 

「嘘ね二葉なら私たちのこと知っているはずよ」

 

「ちょアリテレス先生知られたくないんじゃ」

 

ジャン君は言う。

 

「ジャンはそんな気にしなくてもいーの」

 

キーリまで言う。

 

「十二蓬花の一人"紅桜"のサリア」

「で同じく"水仙"のキーリ」

 

二人が取り出すのはその証の一つ金時計と手甲。

 

サリアの方には白をベースにし、朱い桜が描かれ、

キーリの方は、黒をベースにした藍色の水仙。

十二蓬花は皆の憧れ。

 

だが、名前が知られているのは数少なく、

 

24人の二葉はランダムにそれぞれにつき、より高度な技術を学ぶ。

花名は代々受け継がれるのでなく、

そのもののイメージによってか、希望で決まる。

 

紅桜 水仙

 

その名のみは国中に知られた、

十二蓬花でも有名な、しかし名前も素性も性別でさえ知られていない。

 

 

「し…信じられるかっ!!

こんな女が最高峰の錬金術師なはずねぇだろがっ。

女は家を内から支えるのが仕事だろうが」

 

「やっぱそっちが本音か…

 

 

信じられないって言うならついて来れば?」

キーリが吐き捨てる。

 

売り言葉に買い言葉

 

「ふんっいいぜ行ってやろうじゃないか。

おい動ける奴はこの大嘘つきの鼻を負かしてやろうぜ。

どうせ最高医術師っていうのも、偽装だろうが」

 

サリアが我関せずの所で好戦的なキーリは声をあげる。

 

 

(なんだか勝手に話が進んでるしっ。

私は嘘だと言われようが誰かを救えれば満足なのに…)

キーリは1番女だから

とかいう差別や蔑視が大嫌いなのだ。

 

「キーリっそのくらいにして行くわよっ。

災害時は一分一秒も惜しいんだから。

ジャン君全速力でいくからどこか教えてっ」

 

サリアは診療所から外に出て言う。

 

サリアにとって第一は人命であることに変わりなく、

自分の名誉は二の次それがサリアという人の人となりである。

 

「えっとブロッサム通り沿いの」

「ああもういいわ。ブロッサム通りね

キーリっ」

「OKっ」

 

パチンと合わせた掌から蒼いいや藍色の閃光を放つ

 

藍色のまるで雫のような水の塊いや、球体が作られた。

 

キーリは助走をつけ、その上で軽く飛び上がる。

まるでトランポリンに乗ったかのように跳ね上がる。

 

 




あ頭脳というか知識も、半分から3分の一くらいか

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