ONE PIECE~Two one~   作:環 円

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青海編
51-海原の路(1)


 三角帆が風を孕み、船首が青の波を掻き分け進む。

 天気は上々、海原も穏やかだ。

 フーシャ村の漁師から格安で譲って貰ったバルシャは、修繕され新品同様とはいかないまでも、海水を良く弾いてくれている。

 「エース、このままいけば明日には…」

 アンが海図を広げ、羅針盤(コンパス)を使って方向を確かめながら、帆を操るエースに声をかけようとし、言葉を止めた。

 「ん、どうした?」

 「ちょっと見惚れてただけ」

 なんだよそれは、と眉を寄せるエースに父と母の面影を見た、などとは言えない。伝わっているかも知れなかったが、口では紡がなかった。

 

 航海は順調に進んでいる。

 風の向きも微調整は必要だったが、欲しいと思う方向から、まるでその船出の背を押すかのように恵まれていた。

 

 

 束縛から解放された後、アンがまず跳んだのは義祖父の家だった。

 本当は誰よりも自分の身を案じ、奥歯を噛んで拳を握りしめていたエースの元へ戻りたかったが、そこはぐっと感情を抑圧して庭に出る。住宅街が広がるその地区は基本的に静かだ。学び舎としての学校や、未来の海兵が通う士官学校がある内は、子供たちの姿も見えない。時折ご近所の奥様方が井戸端会議をしているくらいだ。

 

 家の主は本部に居り、見慣れた屋内は、当たり前ながらに無人だった。

 時計を見れば昼をまわったばかり、そろそろお昼ご飯の時間だ。久し振りの日光にくらりとめまいを感じるが、屋外の開放感により些末ごとになる。

 「ただいま」

 アンは足裏についた砂を縁側で払い落し、鍵をかけずに開け放っていた立て戸より中に入る。とてとてと向かうのは自分の部屋だ。障子を開けると大将達が迎えに来た時のまま、時を止めていた。

 居間に行くと、干していた洗濯物が取り入れられ、山となっている。

 「もう、おじいちゃんたら。あれほど自分のくらいは畳んでってお願いしてるのに」

 日々の習慣的にその場にぺたりと座って畳み、立ちあがった。

 

 あの日、荷物をどこに置いて出たっけ。

 アンは絡まった記憶を解きほぐそうと試みるが、ぼーっとした脳では考えるに考えられず、とりあえずは横においておく事にする。

 欲求を抑え込みマリンフォード内に移動したのは、これからの旅で絶対的に必要になるであろう物品があったからだ。

 廊下を横切って台所に入れば、テーブルの上に山と積まれて果物類が目に入った。

 量的にいっても義祖父ひとりで食べるには余りある多さだ。きっと誰かが持って来てくれたものなのだろう。

 椅子の上に投げ出されている風呂敷を見つけ、ああこれは、おつるさんからのだと思い至った。良く見ればアンが好む果物ばかりが目につく。

 「この果物は冷蔵庫に入れておかなきゃダメだって…」

 その時、小さなメモがひらりと舞い床に落ちた。

 拾って文字を追えば、じんわりと瞳が潤み、頬をなにかが流れ落ちる。大きく息を吸ってから、アンは手の甲で目元を拭う。

 

 触れる温かさが無性に欲しくなった。

 

 義祖父の懐から、その手を振り切って出た今、代償無くすがれる存在は半身であるエースだけとなる。震える身をぎゅっと、その腕に抱きしめて欲しかった。

 きっとルフィも大丈夫だと言いながら飛びかかってきてくれるだろう。

 

 繋がれている時は気丈に振る舞ってはいたが、それでも囚われていればその身に疲労が蓄積してゆく。

 アンにとって海軍は、身を拘束し鎖に繋いで牢に閉じ込めたとはいえ、敵ではなかった。

 もし自分が義祖父の立場にあり、今まさに手の内から飛び出そうとして、策を講じる時間が無ければ同じ事をしていただろう。相手に嫌われたとしてもそれが周囲の感情を逆撫でせず、一応の終息をみせるならば悪役を買って出ても構わない。

 ガープ中将がとった行動に、怒りは無かった。

 それよりも無理をさせ、最近は幾分か和らいでいた眉間のしわを深くしてしまったのではないかと、そちらを心配してしまう。

 「…立場も、」

 唇をぐっと、結ぶ。

 

 アンは風呂敷に義祖父分を残して全部包み、荷物に加えた。

 目が赤くなっているだろうが、そんな事はお構いなしに風呂敷を抱えて目当ての荷物を探す。

 それは。出航と決めた日に用意していた手荷物は、玄関に置かれていた。

 大きめの籠の中に無造作に入れられてはいるが、来客者が気に止めないようなさりげない場所にあった。

 中身を開けて確かめる。当面の資金として引き出しておいた金銭もあった。かなり色が付いているような気もしたが、ありがたく受け取って置くことにする。

 地図と羅針盤(コンパス)、記録指針(ログポース)、全てを確認し、肩にかける。そして靴を履いた玄関で、随分と長い間寝床となってくれた家へ頭を下げた後、半身の元へ跳躍した。

 

 出迎えてくれたのはエースとルフィだった。

 ふたりが両手を広げ、落ちてくるアンを抱きしめる。

 「おかえり」

 「ただいま」

 涙を隠す事無く、アンは満面の笑みを浮かべる兄弟達のように、泣きながら笑った。

 

 直ぐに出航すると言われ、コルボ山の海岸へと急いで向かう。

 そこには既にダダン一味と村長、マキノが待っていた。

 ダダンは家から動かなかったという。

 出て行ってくれてせいせいすると言いつつも、実のところ寂しいのだと、マグラがのんびりとした口調で言った。

 「突然の船出だっティたからニー」

 なんでもエースが昨日の夕方に、明日出航すると知らせに走ったのだという。

 まるでアンが戻ってくる事を予見していたかのようだと、こっそりマキノが教えてくれた。

 

 複雑な表情をしていた村長や、お弁当を作ってくれていたマキノ、わざわざ見送りに来てくれた頭を除いた一味に、感謝とダダンに向けての伝言を残し海原へと出る。

 エースはその姿が視界に捉えられなくなるまで手を振っていた。

 ひとりでも操作できるように設えた船は、潮の流れに乗りぐんぐんと沖へと進む。

 「エース、ありがとう。待っていてくれて」

 返事は無かったが、テンガロンハットの奥にある瞳が静かに気持ちを伝えてくる。

 

 地下牢で6日、過ごしていた期間はエースにとっても長かったはずだ。

 実のところDr.ベガバンクが作ったあのプラズマを壊す術をアンは幾つか考えついていた。だがそれを実行すれば、あの場所から逃亡する事になってしまう。能力を抑える、あの膜のようなふわふわを突き破ろうと思えば、出来たかも知れない。しかしそれは避けたかった。

 甘すぎる考えであるのは十分に理解している。だが海軍に弓を引くつもりは無い。

 アンは言葉ではなく、行動でそう主張していたつもりだ。

 だから、という訳ではないが抵抗しなかったからこそ水浴びが出来たり、衣服を代えてもらえ傷の手当てもして貰えたし、義祖父が毎日顔を見せにやって来れたのかとも思っていた。

 デイハルドという合の手が入りこうして今、海に出られた訳だが、数日間本部内はてんやわんやだろう。

 

 

 「エース、その包帯、まだ痛む?」

 「いや、痛みはもうねェんだけど、あと2、3日は様子を見ろって言われてさ」

 羽織ったシャツから見える左腕の包帯に視線を落とし、エースが笑う。

 刺青を入れる時、多少の痛みをアンも感じた。我慢できない程ではないが、その痛みが長時間続くと、なにかを壊してストレスを発散したくなるような、じくじくとした痛みが疼くのだ。

 今は何ともないが、入れている最中は酷かった。

 実際に一度、我慢できなくなり、丁度来ていた義祖父にがぶりと噛みついてしまった程だ。

 

 なにごとかと驚いた義祖父であるが、痛みを訴えるアンを抱きしめ続けてくれたことには感謝している。

 

 捕らわれた翌日、ここを出るのは時間がかかりそうだから先に出航しておいてほしいとアンは願った。だが明日まで待つ、を繰り返していた半身に、それなら以前から刺青を入れたいと言っていたのを思い出し、待ち時間の間に彫って貰ってはどうかと提案した。

 簡単な物であれば2日ほどで入る。

 そうしてエースはマキノ経由で村長から紹介してもらった村の彫師に4つの文字を彫って貰ったのだ。シンプルなそれには、エースの願いが込められている。

 今は遠い地に在り過去を忘れ新たな人生を歩んでいる彼ではなく、胸の中に存在する"彼"と共にいくのだ。

 

 マキノに作って貰った手作り弁当と誕生日ケーキの代わりだと、入っていたシフォンケーキをふたりでほうばりながら、アンはコンパスで方向を確かめる。

 (エース、ちょっと北に流れてるから、あっち方面に綱ひいて)

 (ん。わかった)

 もぐもぐとふたりともに口を動かしつつ、前方に見えてくるはずの、突き出した半島を目指して船を進める。

 出発してから3時間ほどが経ち、上手く風と海流に乗ったおかげでコノミ諸島最東にあるハイカスの村までの航路が書き上がっていた。

 マリンフォードから飛び出してきたばかりだったが、凪地帯(カームベルト)を抜ければこの小さな船でも1カ月かからずにシャボンディ諸島に辿り着く事も出来る。

 だがそれではあまりにも、折角海に出た面白みが無いし、冒険の匂いもしない。

 アンはエースが望んだ選択に、新しい出会いを感じながら胸を躍らせる。

 

 サボが一番、エースとアンが今2番手として海に出、そして3年後にルフィが追いかけてくる。

 それまでにおれが海賊王になってたりしてな。額に人差し指を添えられ、遊ばれていた弟の様子をおもい出して笑む。それからエースは海と空を分け隔てる水平線を、何かに挑むかのように見た。

 「まあ頑張って」

 アンとしては兄弟たちに対しそういう他ない。

 

 「お父さんが没してから21年。未だに名を継ぐ者が現れていないのを喜んでいいやら悲しんだほうがいいのか。みんな途中で騙されちゃうんだよね」

 「普通は気付かねぇって。記録指針(ログポース)通り進んじゃいけねぇとかさ」

 

 すでに新世界の謎を知るふたりにとってこの航海は、ゲームで言う攻略本を片手に持ってプレイしている状態と変わりが無い。ただ攻略本があったとしてもやすやすと通してもらえる甘い海ではない。

 前半の偉大なる航路(グランドライン)はまだふたりであってもなんとか渡りきれるだろうが、問題となるのは後半だ。

 

 「仲間、集まるといいね」

 「なんとかなるだろ。簡単すぎても面白くねェだろうし。けどまぁ、その前に仲間と船だよな」

 

 さすがにエースもこの船で双子岬を越え、"偉大なる航路(グランドライン)"に入るつもりはなかった。月に一度赴く赤髪の船に行った際に、航海士から様々な話を聞いていたからだ。

 「良い船と人、に巡り合えたらいいよね」

 

 例えば草原を走る馬のような。例えば喧嘩しながらも最期は歩み寄れるような。

 話をしているとあっという間に時間が過ぎ去る。

 離れていた時間を埋めるように、あちこちに話題が飛ぶ。ふたりが交し合う話題の多くが弟に関してであった。ルフィの話で盛り上がれるのは今のところ、エースとシャンクス率いる赤髪海賊団だけだ。

 しかもこの手の話題はストックされ過ぎているせいもあってネタは尽きないし、止まることもない。

 

 

 出発してから2日目、予定通りハイカスの村に到着した。あまり船が寄らない村であるのか、久々の旅人に歓迎の声を掛けられながら宿に案内され、朝を迎える。

 のどかな村にある小さな食堂で朝食のパンをフォークに指しながら、アンは海図を手にどの航路を通るか悩んでいた。エースは既に5人前をぺろりと平らげている。

 「なんか問題でもあんのか」

 次のおかわりを頼みつつ、悩む片割れの横顔を見た。

 「いやあ、食糧補給的にはここの、両島の間を通った方がいいんだけれど」

 問題があるとすれば。

 コンパスの針で刺したのは、ひとつの島だ。

 「アーロンパーク」

 

 がちゃん、と音が鳴った。手に持っていたコップが割れたらしい。カウンターに立っていた主人が身を引いている。

 頭にはてなを浮かべるエースに、数年前に出来た魚人の縄張りがある事を教えた。

 「魚人って言うのはね」

 問われる前にアンは説明に入る。

 魚人とはなにか。簡単に説明するならば、水中生活に適応した人間、と言うべき存在だ。

 魚類の特性が全身に現れ出た個体を魚人、下半身のみ魚の尾を持った個体を人魚と一応は区別されている。

 陸上に住む人間は長い間、それこそ空白の百年を跨いだ過去から、水中に住まう事が出来る魚人達を虐げてきた。

 諸説は様々だが、魚という水の中でしか生きられない生き物の遺伝子を持つ、呪われた種族だといわれていたらしい。そういう人間も元を辿れば単細胞生物から進化して今の姿になっているわけだが、そんな正論は差別を行う存在にとって問題では無い。

 ヒトは。

 あちらの世界でも己と違う者に恐怖する。理解できないモノを恐れる。

 それがヒト自身が作り上げたバケモノだとするならば余計に、だろう。

 そして魚人たちもまた群れるしか能がない、数だけの人間を下等動物と見下していた。

 

 

 有名な思想をひとつ挙げるなら、白人至上主義がある。自分たちの種こそ偉大であり、肌の色が濃い者らは劣等生物だと言論し、場合によっては同じ人間としてすら認めない。種を区別する差別を生んだ。

 

 これはアンが存在する世界においては、人間と魚人に当てはめれば嫌なくらい符合する。

 

 「魚人と人間って血液型同じなんだよね。外見は違うけれど中身は同じ。人間は海中で生活出来ないけれど、魚人とか人魚は海中でもえら呼吸出来るし。進化の具合で言えば、魚人の方が一歩先んでいるって言ってもいいくらいだと思ってるの、個人的には」

 

 だが一部のヒトはそれを認めない。

 否、認められない。認めてはいけないのだと思っている。

 かつて触れた、神のみが知る、DNAマップという命の設計図に手を加えて、生みだそうとしていたそれ、を決して明るみにしてはいけないが故に。

 

 滅ぼされた王国を利用し、隠した事実はそれだけではないのだが、いまさら根ほり葉ほり明るみにせずとも良いだろう。それらはしかるべき時に、しかるべき誰かが公開する。その時に世界がどう反応するかは、この世界に暮らす全ての人々が選択すべき問題だ。

 

 ルフィ。

 アンは弟の姿を瞼の裏に描く。

 わたしはきっと、いろんなものをあなたに背負わせちゃうと思うんだけれど。

 許してとは言わない。

 お姉ちゃんなんて嫌いだなんて、それだけは言わないでね。

 

 目を開き息を深く吸い、思考を切り替えて元の話題へと戻る。

 「実際に会った方が、どういう人達なのか、分かるんだろうけれど」

 会うと言ってもこの東の海では人に、100%敵対意志を持つ魚人しか存在しない。

 コネのある魚人と言えば、ジンベエ以下、魚人海賊団の面々だけだ。

 空白期から数えるとしても、900年以上続くこの迫害がどれだけ根深いものであるか、想像するに容易い。

 

 「なあ、トムさん、あの人は魚人じゃねぇの?」

 「はっ、そうだ、トムさん魚人だ」

 エースに言われてハッと気付く。あまりにも近し過ぎて、すっかり忘れてしまっていた。

 「差別、ねェ」

 口にくわえたフォークをひょこひょこと動かしながら、エースは視線をアンに寄せる。

 幼い頃から迫害の現場を見、己自身も父の名により悪意を受けて育ってきたエースにとってみれば、行われる側の心境のほうが分かりやすかった。

 ただ黙ってそのまま、成すがままになっているかどうかは別問題であったが。

 「アーロンパークのボス張ってる人物がこれまた、好戦的な人でね」

 魚人だから、ではない。人間でも温和な性格である人や、攻撃的な、内向的な、多種多様な性格がある。

 アーロンはサメの遺伝子が表に現れた魚人で、今現在はたった2000万ベリーの賞金首だが、元は億越えの値を付けていた。アンはこの魚人が解き放たれた経緯を知っている。そしてアーロンがどうして人間をそこまで毛嫌いするのかも、だ。

 七武海に加入したジンベエが当時、2億5000万だった。魚人たちの間では双璧と言われていたらしい。しかもかの人物アーロンはジンベエとほぼ変わらぬ実力を持ち、なおかつ残虐性も強かったのだと聞いている。

 だがしかし、賞金の掛け方が本部で行われる会議のさじ加減という意味合いにおいては、余り信用のおけない設定金額であるとも思える。

 

 「よってくのか」

 「考え中」

 最初は驚いていた主人も新たな客が入ってくると、そちらの方に向かい聞いた会話を忘れようとしているかのように見えた。

 それも仕方の無い話だとアンはおもう。アーロンパークは唯一、東の海における恐怖だ。

 立ち向かえば確実に死ぬ。それが分かっていて立ち向かうのは無謀者か、死にたがりのどちらかだろう。無力に、罪悪感を感じながらも、打つ手の出ない己を隠す。どうしようもないとうな垂れる。

 癒着も確認されていた。しかもそれが、かなり上の役職持ちなのだ。知人がつつこうとしても管轄外だと受け付けず、歯がゆい思いをしていると愚痴られてもいた。

 

 だから余計に、どうしようもない現実が悔しいのだろう。多くの人々にとって取れる手段がないのだ。だから涙を呑んで耐える。

 アンはそれを責める気はないし、立ち上がれと叱咤するつもりもない。

 それが普通の反応だからだ。誰もが命が欲しい。生きていたい。逃げたとしても、誰も責めてはいけない。責められない。

 「すごく頑張ってる子が居るんだよね」

 苦汁を選択し、罵られたとしても不敵に笑いながら、ああそうだ、と前を向く。

 その心の内は何度もアーロンに蹂躙されぼろぼろだというのに、それでも足掻きつづけている。足掻いて、己に目的を言い聞かせ、本当を殺して生きている。

 周囲を取り囲む人々もそうだ。

 その子の選択を知り、先ほどの食堂の主人のように己の無力さに苛みながら、ただじっと耐えている。反乱を起こせばその子にも矛先が向く。その子の頑張りが無意味と成す。

 「ねぇエース」

 ルート、こう通ろうと思ってるんだけれど、どうかな。

 コンパスの針でつー、と船の航路を指し示せば、

 「それでいいんじゃね。会ったらあったで何とかすりゃいい話だ」

 からん。

 しっかりと食べきった皿の上にフォークを置いたエースが口元に力強い笑みを結ぶ。

 「じゃ、そういことで」

 おじさーん、御代金ここ置いておきますね。ごちそうさまでした。アンは立ち上がりエースの後に続く。

 店のさまざまから怯えた風に眼をふたりに向けたいくつかの視線に、やるせなさを感じながらアンは小さく息をついた。


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