魔法先生ネギま! 白面ノ皇帝(ハクメンノオウ)   作:ZERO(ゼロ)

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No.12:Acta est fabula ~期末テスト大作戦・後編~

~side ???~

 

暗く、何処までも暗く。

何処までも冷たい世界でわたしは生まれ、日の光を自由に見る事も許されず生きてきた。

それをわたしは普通だと思っていたし、皆もまた当然だと思っていただろう。

 

唯、牢獄のような世界で生き続け、利用され、死ぬまで自由など許されない。

だがわたしに生まれた価値がそれしか無いのならば、それで良いと思った。

誰に知られる事も無く、人の心に残る事無く、わたしと言う存在は消えていくのだと。

 

しかし・・・ある日、わたしはある人に助け出された。

その人はわたしに自由をくれた、己の足で進む事を教えてくれた。

その人はわたしに『愛』と言う感情を教え、暖かく眩い光をくれた。

そしてからっぽなわたしに誇りを、夢を、信じる事を教え―――わたしに失う事の悲しみを教えた。

わたしがわたしである事の大切さを教えて、わたしの前から逝ってしまった。

 

貴方がもう一度わたしの前に来てくれるなら、わたしはもう、何も要らない。

だから神よ、存在するのなら教えてください。

なぜわたしからあの人を奪ってしまわれたのですか。

 

~side out~

 

 

 

 

夢、現……人は必ず夢を見る。

夢の中で人は蝶となり、大空を己が羽で舞い続ける。

だが、果たしてそれは夢なのか、それとも現なのか―――

己が夢の中で蝶となったか、それとも蝶が人となる夢を見ているのか?

 

 

 

 

「う、うーん……あれ、ここどこ?」

「やっと起きたか……ヤレヤレ、いつまでもグースカ寝てんじゃねぇよアホが」

 

明日菜が目を覚ますと、目の前にはサイが胡坐で座っている。

周囲はまるでどこぞの地底世界のように木々が生え、その間から光が降り注ぐ。

滝や小川のように清らかな水が流れ落ち、到る所に本が入った棚が置いてあった―――

 

「って、此処はどこなのよ~~~~~~!?」

「俺が知るか、そこのちみっ子が説明したそうな表情してるから知ってんだろ」

 

明らかに周囲の状況を見て動揺する明日菜。

だがサイは興味なさそうに口を開いた後、同じく後ろで驚いた(どこか楽しそうにも見えたが)表情の少女を示す。

 

「誰がちみっ子ですか、誰が……そもそも貴方もさほど身長に違いは無いではありませんか。

まあ良いです……コホンッ、此処は恐らく幻の『地底図書室』と呼ばれる場所でしょう」

 

ちみっ子扱いされた夕映はサイの悪態に律儀に返すとこの場所の説明を始める。

彼女の話によると、地底でありながら暖かい光に満ち、数々の貴重品に溢れた本好きにはまさに楽園という幻の図書館らしい。

 

ただし、この図書館を見て生きて帰った者は一人も居ないらしいが。

まあとにかく脱出困難だと言う事は理解出来ただろう。

 

「え、ちょ、ど……どうするアルか!? それでは明後日の期末テストまでに帰れないアルよ!!」

「それどころか、私達このままじゃおうちかえれないんじゃ!? あの石像みたいのもまた出るかもだし!!」

「あ、あううう……み、皆さん、落ち着いてくださいぃぃぃぃ!!」

 

状況を理解してパニックになるバカレンジャー&ネギ。

その姿を見てサイは溜息を一つ吐くと極めて面倒臭そうに呟く。

 

「あ~、ピイピイ五月蝿ぇな。

騒いだって変わらねぇ状況になっちまったんだ、今更慌てた所で何もなんねぇだろうが。

これに懲りたら次からは眉唾事には手を出さねぇこったな、安易な楽はしねぇ方が身の為だって事は覚えとけバカ共」

 

そうするとサイはネギの耳元で呟く。

 

「おいネギ、こんな状況でテメェまで慌ててどうすんだ。

テメェはまがりなりにも担任だろ、だったら此処に居る奴等を勇気付けるなり何なりしてやれや」

 

サイの言葉にハッとしたネギ。

そうだ、このような状況こそ引率である自分が落ち込んでいて何になるのか。

サイに小さな声で『ありがとう、お兄ちゃん』と伝えると未だ慌てているバカレンジャー達に声をかけた。

 

「み、皆さん元気を出してください!!

お兄ちゃ……い、いえ、サイさんが言う通り慌ててても状況は変わりません!!

それに根拠は無いですけどきっと直ぐに帰れますよ!! 諦めないで期末に向けて勉強しておきましょう!!」

 

ネギの楽観的な言葉は皆を元気付けたようだ。

今まで困った表情をしていたバカレンジャー達の表情にも笑顔が出る。

幸いな事に教科書やテキストには困らないようだ―――この用意の良さにどこか意図を感じるが。

 

すると皆が気分を一新してテスト勉強を始めようとした矢先、サイは何処かに勝手に行こうとしていた。

 

「あ、ちょっとアンタ、何処行くのよ?」

 

「五月蝿ぇな、テメェ等にゃ関係ねぇだろうが。

あぁそうだ便所だ便所、それに俺はキティと茶々丸から借りた本(一夜漬け用のアンチョコ)があるから勝手にやる。

元々此処に来なけりゃテメェ一人で覚えてた所だし、そもそも俺は群れるのは好きじゃねぇ」

 

勝手な事を言うとさっさと何処かに行ってしまうサイ。

そんな彼の態度に明日菜とまき絵と夕映は口々に文句を言い始めた。

まあ彼女達とすれば折角テストに向けてやる気になったというのに、それを下げられてしまったのだから当然だろう。

 

「な、何よアイツは!? 普通こう言う時は皆で協力するものじゃないの!?」

「そ~だよ!! 折角ネギ君が皆を勇気付けてくれたのに!! 格好付けてるだけじゃん!!」

「……団体行動を乱す人物とは必ず居ますが、彼の場合は特にダメですね」

 

だが、そんな三人に対して楓、古、木乃香は文句を一つも言わない。

寧ろ木乃香など心配そうな表情でサイの向かった方を見ているのだ、一体どうしたのだろうか?

更にこの様な状況であれば真っ先に慌てそうなネギさえ少しだけ心配そうな表情をサイの歩いて行った方に向けていた。

 

「ふむ、少し行って来るでござるよ、皆の衆」

 

少しだけまじめな表情で楓はサイの向かった方向へと向かう。

対して『あんな奴放って置きなさいよ』などと明日菜が言うが―――それに対して古がある事実を呟く。

 

「アスナ、ダメアルね。

ワタシ知っているアルヨ―――明日菜達よりもかなり前に気が付いてたから。

サイはアスナ達が目を覚ますずっと前から少しも寝ないでこの辺が危なくないか見張ってたアル」

 

「えっ……!? ちょ、ちょっと古ちゃん、それどう言う事!?」

 

明日菜の問いかけに今度は木乃香が答える。

彼女は天然だがとても優しい、そして“人の嘘”を見抜く事も少なくはない。

彼女も古やら楓よりは起きるのは遅かったが、サイが休む事無く動いていた事を知っている。

 

「アスナ、サイくんは食料探しとか、出口探す為に休まなかったんやえ。

ほら見てみ、向こうにキッチンとか食材がある事を見つけといてくれたんや。

サイくん、口は悪いけど……気を失ってたウチらの事を心配しててくれたんやと思う」

 

事実彼女達の言う通り、サイは実は下に落ちてから一睡もしていない。

この場所に危険がないか、脱出口はないか、食糧などはあるかという事を彼女達が気絶している間に調べていてくれたのだ。

(元々良く解らない様な場所でおちおち気絶してられる程にサイは鈍感ではない)

 

「アスナさん……おに、いやサイさんは確かにいつも口が悪いです、冗談言ったりもしますし。

でも冗談抜きで言う時は何時でもボクらを発破掛けたり、道理が通らない事をした時にしか言ってません。

あれは本気でボク達を心配してるんだと思います」

 

ネギにもそう言われ、文句を言っていた三人は静かになる。

思えば確かにサイは口が悪く冗談交じりに言っているが、時より年齢不相応な表情になって辛辣な事を言う時はいつも誰かの為になる事だけだ。

それに彼は余計な事は言わず、やるべき事を実行している―――賞賛やら見返りやらなど求める事もなく。

 

”ガサガサッ”と不意に草木を掻き分けるような音がする。

楓が戻って来ていた、表情はいつものように微笑を浮かべたままで。

 

「長瀬さ……『し~、静かにしてあげるでござるよ、サイ殿は向こうで絶賛居眠り中でござるから♪』……うん」

 

どうやらサイは皆が起きた事によりやっと安心出来たようだ。

皆から見えない裏の方へと向かい、何十時間ぶりにゆっくりと休めたのだろう。

それを聞いた先程サイに文句を言っていた三人は心の中でサイに謝っていた。

 

 

 

 

――― 一方その頃、地上では。

 

「何ですって!? 2-Aが最下位を脱出しないとネギ先生と光明司さんがクビに!?

どうしてそのような大切な事を言わなかったんですの、桜子さん!?」

 

同じクラスの出席番号17番の椎名桜子(しいなさくらこ)から覗いて見てしまったネギの課題の内容を語られた委員長ことあやかは大声を上げる。

 

「あぶぶっ!? だ、だって先生に口止めされてたし、サイくんにも『余計な事は言うな』って言われてたし!!」

 

その言葉に委員長は手を離す。

このままでは熱烈LOVEのネギと、何処となく“昔の自分”と同じような目をしていた為か気を掛けていたサイがクビとなってしまう。

外見に似合わず友人やら気を掛けた人物、つまり友達想いなあやかは皆に発破を掛ける。

 

「兎に角皆さん、テストまでしっかり勉強して最下位脱出ですわよ!! 普段真面目にやっていない方々も良いですわね!?」

 

やる気になれば何とでもなる、何故ならこのクラスには学園一の秀才などと称される者もいるのだから。

委員長の言葉にある者は奮起し、またある者はやる気なさそうにだがクラス解散の危機に立ち向かう為に気合を入れる。

だがその時、のどか&友人の早乙女ハルナ(通称:パル)によってバカレンジャー+αが行方不明になったという凶報が齎された。

 

「みんな、大変だよ!!!! ネギ先生とサイくんとバカレンジャーが行方不明に!!」

「「「「「……え゛っ(やっぱりダメかも……)」」」」」

 

ネギ達の行方不明と言う知らせに大騒ぎになる2-A。

しかし相も変わらずエヴァンジェリンは落ち着いて騒ぐ者達を傍観していた。

 

「やれやれ、あのバカは本当に面倒事に巻き込まれるのが好きだな」

「―――皆さんは大丈夫でしょうか、マスター」

 

心配そうに安否の知れない者達を思い呟く茶々丸。

まあ正確に言えば、その中でもある人物に対して無意識に一番心配していたが。

 

「まあ、心配要らんだろう。

あそこはジジイがいつも目を光らせている場所だ、大方今回の事もジジイの思惑か何かだろう。

それに茶々丸、お前は忘れている。 奴は私の心の壁を悉くぶち破り、全力の私をぶっ飛ばした男だぞ?

この程度の状況など『関係ないね』などと言いながらいつものアホ面を見せるさ。

私の認めた男だ、心配はない……問題はそれよりこの作り過ぎた弁当をどうするかだな」

 

エヴァの目線の先には、明らかに二人で食べるには多すぎる量の弁当箱が見える。

それを見ながら自然とエヴァは笑い、茶々丸は表情には出さなかったが嬉しげだった。

 

 

 

 

―――翌日、日曜日となり試験まであと一日と迫ったその頃。

他のバカレンジャー達がネギと共に勉強に勤しみ続ける間、サイは爆睡し続けた。

 

後々に解った事だが、魂獣解放(スピリッツバースト)は今のサイにとっては心身共に相当の疲労を与えるらしい。

更に疲弊した状態を回復する為に一種の短い『冬眠状態』に陥るらしく、その状態の時はどんなに起こそうとしても起きないのだ。

 

「……ん~? ふああああああぁぁ、良く寝た」

 

起きた時にサイの耳に響く少女達がはしゃぐ声。

丸一日以上寝ていて鈍った体を動かしながらサイの足は自然と声のする方向へと向く。

 

「あん? 何やってんだテメェ等?」

 

その声が響き、其処に居る者達の姿がサイの目に入った瞬間、一瞬で少女達の時が止まった。

実に簡単で当然の事、少女達は昨日から風呂に入って居ない事に気付き、周囲に大量にある暖かい水を見て汗だけでも流そうと考えたのだ。

 

汗を流す際、服はどうするか? 下着はどうするか? そんな事は問う必要もあるまい。

……こんな状況下において今まで寝ていて事情を知らなかったとは言えど、健全な年頃の男子に乙女の柔肌を見られたとなれば。

(サイを『健全な年頃の男子』と言うには少々語弊があるかもしれないが)

 

「「「き、ききききき……」」」

「……? なんだ、木なんぞ周りに腐る程あるだろうが」

 

サイは興味も無くそう返す―――彼にとってはこれが当然の反応である。

本来の場合、今の状況は普通の男子なら落ち着ける訳など無い筈だが―――何せ目に入ったのは裸のまき絵&古&楓だったのだから。

しかしサイの場合、基本的に色恋なんぞよりも喧嘩を好む性格故か取り乱す事など無いのだろう。

 

「「「きゃあああああっ~~~~~~~~~!!!!!」」」

 

「五月蝿ぇな……あぁ何だ湯浴みの最中かよ。

悪かった、悪かった、こちとら今起きたばっかでボーっとしてたモンでよ……犬に噛まれたとでも思って諦めてくれ」

 

慌てて水の中に体を沈める三人。

原作の場合は男とは言え10歳(満9歳)の少年に見られただけなのだから冗談で済む。

しかしサイは外見はネギと同じ位でもれっきとした同級生だ、恥ずかしさの度合が違う。

顔を真っ赤にしてサイの顔を見ている三人に罪はあるまい。

 

「……見た、でござるな?(ボソッ)」

「あぁ? なんか言ったか、細目女?」

 

良く見れば、細目に少々涙を滲ませている様に見える楓。

プルプルと小刻みに、まるで子犬のように震えながらサイの方を見て返す。

 

「乙女の柔肌を家族以外の男(おのこ)に見られるなど一大事でござる。

ええいっ、サイ殿!! かくなる上は責任を取ってもらうでござるよ!!!!」

 

「……は? 何物騒な事言ってんだテメェは?」

 

どうやら楓、昔の忍びのような喋りかたしているだけあり考え方が古風のようだ。

そもそも『責任を取ってもらう』などと言われても当の加害者であるサイには全く理解出来ないだろう。

高々少し裸を見た程度で責任を取らされる筋合いも無い、何度も言うが別にわざと覗いた訳ではないのだから。

 

だが年頃の乙女とすればサイの事情もへったくれも関係無い、柔肌(裸)を見られたという事実そのもののみが大事なのだ。

楓自身がどう考えているかは理解し難いが、彼女は彼女なりに転んでも只では起きないと言うような打算があるのかもしれない。

(実は楓、前々からサイの強さに目を付けており、戦いたいと思っていた節があるのだ)

 

するとややこしい事にもう一人暴走する小娘が居た。

本来ならばコイツこそ『色恋沙汰』のいの字にも興味を持っていないと思われた拳法少女・古である。

 

……実は古、バカっぽくて人懐っこくて男友達かマスコットのように見られがちだが、実際は楓を越える貞操概念と古風さを持つ少女なのだ。

色恋沙汰に興味を持っていない訳ではなく、自分よりも強い漢が好みのタイプと言うだけの事……実際は同年代の年頃の少女達となんら変わらないのである。

―――そしてもう一つ、想い込んだら一直線と言う直情的で情熱的な性格でもあるのだ。

 

「サ~~イ~~~!! ワタシの裸見るなんて良い度胸アルね~!? 未来の婿殿にしか見せる心算無かったアルよ!!」

「だから不可抗力だと言ってるだろうが、そもそも見られたくなけりゃ俺が寝てる付近で湯浴みなどしなきゃ良いだろう?」

 

そんな言葉で婦女子の心が収まる訳など無い。

特にこの二人のように古風なタイプの者達になど通じる訳などあるまい……微妙に虎の尾を踏んでしまったような気がするが。

 

「許さんアル!! こうなったら責任とってワタシの婿になれアルよサイ!!」

「いや、だから何でそうなる?」

 

サイにとってはどうでも良い事。

そもそも良く考えてみれば少し前(二日前?)にサイ自身も半裸を見られているのだが、男と女とでは見られるという事の度合は違うのだろう。

 

「ちょ、ちょっと待つでござるよ、古!! 拙者が責任を取ってもらうでござるぞ!? お主は下がっておれ!!」

「何言ってるアルか楓!! そもそもサイを最初に目をつけたのはワタシアル!! 楓こそ引っ込んでるアルよ!!」

 

仕舞いにゃ言い争いを始めるバカブルーとバカイエロー。

尚、古の『目を付けていた』と言うのも最初は本気で戦って楽しめそうな相手と言う意味で目を付けただけだ。

しかしそれはどうやら楓と同じく『別の感情も孕んでいた』ようである。

 

ぶっちゃけ二人は気付いていないだろう。

最初のクラスでの洗礼の時の姿に『一目会ったその日から、恋の花咲く事も在る』状態なのである。

 

「はぁ……バカに付き合ってても面倒臭ぇ。

おいバカピンク、此処から出たら詫びに何か奢ってやるからそれで許せ。

あそこのバカ二人にも気付いたらそう伝えておいてくれや……はぁ、本当に疲れるぜ」

 

「んも~、しょうがないな~。

じゃあ此処から出たらスイーツ奢ってねサイくん♪ 後まき絵だよ私の名前、バカピンクは止してね♪」

 

『スイーツって何だ?』などと言う初歩的な疑問を浮かべながらサイは後ろを向くと手を振りながら去って行った。

ちなみにその間、バカブルー&バカイエローは言い争っていて気付かなかったそうだ。

 

 

 

 

「はぁ、冗談じゃねぇよ全く」

 

命からがら(でもないか?)乙女(ヲトメ)の修羅場を乗り越えてきたサイ。

だが悲しいかな修羅場というのは意外と続くものである。

 

「って……アンタ、こんな所で何やってんのよ!?」

 

いきなり後ろから声を掛けられるサイ。

止せば良いのに学習していないのか気にもせずに後ろを向いた―――その瞬間、サイは顔に思いっきり水を叩き付けられた。

 

「あぁ? 誰だ……ブハッ!?」

「見るなぁぁぁ、このバカァァァァ!!!!!」

 

水の所為ですっ転ぶと原因が誰なのか理解出来た、其処にはバスタオルを体に巻いた明日菜が仁王立ちしていたのだ。

 

「オイオイ、厄日って奴は続くのかよ……てか、俺は何か悪霊にでも取り付かれてるんじゃねぇだろうな?」

 

「うっさい、このバカ!! 起こしてもいつまでも起きないし、起きたと思ったら人の事覗くし、喧嘩売ってんのアンタは!?

そもそも二日も眠り続けるんじゃないわよ!! 格好付けて勝手やって、挙句の果てに皆に心配かけて、本当にバカなの!!?」

 

「知るかアホが、それに人が何してようがテメェにゃ関係ねぇだろ?

ピーチクパーチクヒヨコみてぇに騒いでんじゃねぇよ、耳障りで仕方ねぇわ全く……」

 

怒気を放つ明日菜と冷静に文句を返すサイ。

だがそこでふと、明日菜が小さな声で何かを呟く。

 

「…………ったわよ」

 

小さな声だった為聞えなかったのか、サイは「あぁ?」と聞き返す。

この男、確実に誰に対しても喧嘩を売れる人物だろうと思われる……大方文句でも言ったのだろうと聞き返すが、返って来た言葉は意外なものだった。

 

「悪かったわよ……アンタ、アタシ達が目を覚ますまでずっと危なくないか見張ってたんでしょ?

そんなアンタに二日前、何も知らないで文句言ってたから……だから、ごめんなさい」

 

彼女は自分が間違っていたと思えば謝れる人物なのである。

 

「……何の事だか知らねぇよ、それに自分で好きな事やってんだ感謝も謝罪も俺には必要ねぇ」

 

相も変わらず悪ぶるサイ。

そんな天邪鬼な彼に明日菜は溜息を吐きながら言葉をかけようとした―――次の瞬間。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

少女の悲鳴が周囲に鳴り響く。

 

「大変やアスナ~~~!! あっ、サイくんも居たねんな!! 大変やねん!!」

 

響き渡る悲鳴に走り込んで来る木乃香、彼女の表情を見れば緊急事態だというのは直ぐに解る。

呼ばれて一緒に向かうと其処には二日前に此処に落とされる事になった原因のゴーレムがまき絵を手で握っていたのだ。

更にサイをムカつかせた口調でゴーレムは言う。

 

「フォフォフォ、此処からは出られんぞ、もう観念するのじゃ!!

迷宮を歩いて帰ると三日はかかるしの……『オイ、デカブツ』……フォ? 何じゃ小童?」

 

三日もかかってしまえば試験は受けられない。

絶望的な言葉に皆がうなだれる、しかし台詞を言おうとした所をサイに邪魔されるゴーレム。

そこでサイが語ったのは皆の絶望を払拭する言葉だった。

 

「ご大層に脅してる心算だろうが出口ならもう既に見つけてるぞ。

それを言う前に俺が寝ちまったから説明してなかったがな……オイテメェ等、さっさとその先の滝の裏まで全速力で走れ」

 

「「「「「……えっ?」」」」」

 

そんな惚けた表情で聞き返すバカレンジャー達。

サイはゴーレムが自分の言った言葉に驚いている間にまき絵を掴んでいる方の腕を蹴り上げて助け出し、楓に投げ渡してから怒鳴って言い返す。

 

「えっ? じゃねぇ!! さっさと走れこのアホ共!!」

 

怒鳴り声にビクッっとした明日菜達は言われた通り滝に向かって走り出す。

しかもちゃっかりとしていると言うか何と言うか、ゴーレムと共に落ちてきた魔道書『メルキセデクの書』をいつの間にか手にしながら。

 

「フォ、フォォォォ!? ま、待つのじゃ~~!!」

 

此処から始まるはゴーレムと人間(一人、半人間)の追いかけっこ。

滝の裏側にあった非常口と書いてあったドアには問題が付いていたが、何故か簡単に解けてしまう。

そのまま螺旋階段を進むと所々に数学やら歴史やら現文やらの問題があったが、バカレンジャーの名を払拭するかのようにすらすらと問題が解けていく。

 

しかし何事も油断とは命取りだ。

偶々螺旋階段に生えていた木の根っこのようなものに足を取られ、夕映が転倒してしまった。

 

「こ、こんな所に木の根が……痛っ!! あ、足を挫きました。

み、皆さん先に行ってください……ネギ先生、この本があれば最下位脱出が……」

 

夕映は自分が足手纏いにならないように魔道書を託そうとする。

しかし、そんな夕映を全く重さを感じていないかのようにごく自然に走りながらサイは肩に担ぐ。

 

「チッ、鈍臭ぇ女だな……ほれ、ちっと掴まってろ」

「わ、わわっ!? あ、あの……」

 

身長は殆ど変わらないのでどう考えても重い筈なのだがサイは顔色一つ変えない。

其処まで体が鍛えられていると言う事だろう、彼にとって小柄な少女一人分の重さなど苦にもならないのだ。

 

「あ、ありがとう、です……サイさん……」

「目の前で潰されても目覚めが悪ぃと思っただけだ、礼なんざ要らん……それと黙ってろ、舌噛むぞ?」

 

恥ずかしいのか顔を紅くしながら礼を言う夕映を担いで全速力で階段を登るサイ。

尚、そんなサイを後ろから(全速力故に先頭に居る)羨ましそうに見ている視線が二つあった。

勿論それはサイに裸を見られて責任云々などと言っていた楓と古だ。

 

「こら~サイ!! イチャイチャするなアル~~~~!!」

「サイ殿~~~!! 拙者と言う者がいながら!! は、破廉恥でござるぅぅぅ!!」

「……何なのですかアレは?」

「知らん、俺に聞くな」

 

そんなこんなで数々の問題を解き、螺旋階段の終わりまで登り切った一行。

まだ地上は遥かに上のようだが其処には地上への直通の高速エレベーターがあった。

 

「み、みんな、早く乗って乗って~~~!!!」

「フォォォォ!? ま、待て、魔道書を返すのじゃぁぁぁ!!!」

 

横の壁を破壊しながら迫るゴーレム。

急いでエレベーターに乗り込む一行、これで後は地上まで一直線だろう。

―――しかし現実とは“楽”が許される程甘くはない。

 

『ブブーーーーーー!! ―――重量OVERデス』

「「「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

悲しいかな、重量過多により無常にもエレベーターは動かない。

どうやらほんのちょっとのオーバーの為、服を脱いで軽くする明日菜たち。

―――てかお前等、少しは恥らい持てよ。

 

しかしパンティ一丁になるまで服を脱ぐもブザーは鳴りっぱなしだ。

そんなバカな行為をしてる間に遂にはゴーレムに追いつかれ、逃げ場を無くしてしまった。

何せエレベーターは袋小路にあり、目の前には巨大なゴーレム―――エレベーターは重量オーバーで動かない。

まさに最悪の状況に追い込まれてしまった彼女達が泣いても叫んでもどうする事も出来まい。

 

「フォフォフォ、追い詰めたぞ~~~!! さあ、覚悟するのじゃぁぁぁぁ!!」

「「「「「キャアアアアアアアアアア!!!」」」」」

 

まさに絶体絶命―――最早もう終わりかと思った次の瞬間。

咄嗟にエレベーターから降りる人物が居た、それはなんとまだ魔法が封印されたまんまのネギだ。

 

「ボクが降ります!! 皆さんは先に行って明日の期末を受けてください!!」

 

その姿は実に凛々しい。

ネギは解っているのだ―――例え魔法が使えなくても、傷だらけになっても、護るべき『誇り』があると。

其処に居たのは頼りない子供先生ではない、一人の戦士の目をした人物だ。

 

「動く石像(ゴーレム)めっ!! ボクが相手だ!!」

「フォフォフォ、良い度胸じゃ……くらえ~~~~い!!」

 

ゴーレムの腕がネギに迫る。

今の状態は10歳の子供と全く変わらないネギにとって、こんな一撃を喰らえば下手すれば致命傷だ。

だが、ネギは逃げずに明日菜達を逃がす為に一歩も退かない。

 

しかし無慈悲にゴーレムの拳がネギに迫る―――絶体絶命の状況にネギは目を瞑る。

 

響く轟音、だがその拳がネギに届く事は無かった。

恐る恐るネギが瞑った眼を開く、目の前に迫っていた拳は直前で止められていたのだ。

更に誰かが優しくネギの頭に手を置く……それが誰なのかはネギは直ぐには気付けなかった。

 

「中々良い啖呵だったぜ、根性あるじゃねぇかネギ……一瞬出る機会を失っちまった」

「……えっ……?」

 

ネギの前にはサイが不敵に笑いながら立っている。

迫っていた巨大な豪拳を片手で受け止め―――いや受け止めているのではなく、彼の五指が岩の拳を貫いて止めていた。

見れば左手が小さく淡い光を放っている、どうやら何らかの力を使って物理的にゴーレムの一撃を防いだのだろう。

するとサイはネギの襟首を掴むと有無も言わさずエレベーターの中に投げ込んだ。

 

「あ、あう!? お、お兄ちゃん何を!?」

 

明日菜にキャッチされるネギ。

エレベーターの外にはいつもの不機嫌面からは想像出来ない誇らしげな表情のサイが居た。

 

「だがなガキが格好付けるなんざ十年早ぇよ。

お前が教師になれるかどうか瀬戸際の期末試験だろ、だったらお前が居なきゃ意味ねぇだろうが。

ほら行け、しっかりやって来い……あぁ、後ついでにこれ貰っとくぞ」

 

『メルキセデクの書』を懐から取り出しながらサイは言う。

何時の間に持ち出していたのか解らない程の早業である、ついでに何時の間にかエレベーターの中には明日菜達の脱いだ制服が投げ込まれていた。

 

「「「「「あっ・・・そ、それは!!」」」」」

 

声を上げるバカレンジャー達に対し、サイは不敵な笑みのまま言い放つ。

 

「こんなモン一冊で頭良くなったら誰も苦労しねぇよバカ共が。

つまらねぇ小細工しねぇでさっきのネギ見習って裸一貫でやってみろ……大丈夫だ、本気でやった努力ってのは嘘を付かねぇ」

 

そのまま外のエレベーターのボタンに蹴りを叩き込む。

『重量オーバー』と言う紅い文字が出ていたコンソールは『OK』に変わり、ゆっくりとドアが閉まっていく。

最後に閉まる瞬間、サイは背を向けたまま軽く手を振った。

 

 

 

 

「……さてジジイ、これで良かったんだろ? ホレ」

 

ゴーレムに『メルキセデクの書』を投げ渡すサイ。

飛んで来た世界で希少、最高の魔法書を起用に大きな掌で受け取るゴーレム。

 

「フォフォフォ、何時から気付いっとったんじゃねサイ君?」

 

「そうだな、疑問を感じたのがテメェが俺らを落とした時だ。

んでその疑問が確信に変わったのはあの『地底図書室』とか言う所に落とされてから少し後だな。

辺り調べてみりゃご丁寧に全教科のテキストだの、大量の食材の置かれたキッチンだの、トイレだのなんてモンが目立つように用意されてたからよ。

一回の偶然は“唯の偶然”だが、二回以上も偶然が続くってのは、それは“必然”だろ?」

 

答えを聞いてゴーレム、いや学園長は感心した。

彼は学園長の大切な孫娘の木乃香や本当の孫のように可愛がる生徒達の事を護るだけではなく見回りしている間にそれだけ情報を得て、それを思慮し結果を導いたのだから。

初めてシスターシャークティに紹介された時から只者ではないと思っていたが、予想を遥かに上回っているようだ。

まあただし女生徒の裸を見ても何も気にならないなどと一般常識に欠ける所も在るようだが。

 

「フォッフォッフォ……意外とお主も教師でもやれば良いかも知れんな」

「勘弁してくれ、俺ぁ人様に物事教えれる様な奇特な人間じゃねぇよ……ふぁぁぁぁ……」

 

不意に大きな欠伸をするサイ。

そのままエレベーターの前に力無く座り込むと、首を回しながら大きく伸びをする。

更に眼を瞑りながら彼は目の前にいる学園長(Withゴーレム)に対して信じられない言葉を飛ばした。

 

「……ジジイ、悪ぃが眠ぃから俺は寝るぞ」

「フォ? いやいや寝るってお主、テストはどうする心算じゃね?」

「仕方ねぇだろ、テメェの拳止める為にこの姿で使える分の力使っちまったんだ……この状態でアレやるのキツイんだぜ?」

 

一種の冬眠状態に入り掛けているサイ。

丸々二日は眠っていた為に今回はそんなに長い冬眠状態ではないだろうが、この後に控えている期末テストには間に合うまい。

……ノリノリで拳を振り下ろしていた学園長もこれについては何の文句も言えまい、例え途中で拳を止めようとしていたとしてもだ。

 

「済まぬ、どうやら儂が調子に乗った所為じゃな……つい、エヴァを倒したという君を試してみたかったのでのぅ」

「ケッ……ったくクソジジイが……まあ良いさ、代わりに……目が覚めてから……テスト受ける、で……構わねぇ、な?」

「うむ、それで構わぬよ……それと詫びついでに儂がお主が寝ている間に上まで運んでおこう」

 

言葉が聞こえていたか居ないかは不明だが、既にサイは俯いて寝息を立て始めている。

学園長はそんなサイを静かにゴーレムの手の平に乗せ、地上の方へと向かっていくのであった。

 

 

 

 

こうして図書館島の冒険・第一幕の幕は下りる。

図書館島から帰ったバカレンジャー+ネギ&木乃香は残ってしまったサイの事を心配しつつも残り5時間で出来る事をやり、期末試験に遅刻したものの期末試験を受け終わる。

尚、時間の量が原作と違うのはサイの爆睡が原因だという事は言うまでもない。

 

その後、採点の際に学園長のミスにより混乱もしたが皆の努力の成果により2-Aは見事学年トップの成績を勝ち取る。

それによってネギの教師としての採用が決まり、物凄い疲労感を出しながらもサイが戻って来た事によってめでたく期末テスト大作戦は大団円を迎えたのであった。

 

ちなみに余談だが、この期末テストにおけるサイの点数は全教科100点満点であった。

これは別に学園長が何かをしたのでも、サイが天才と言う訳ではない―――他にれっきとした理由がある。

 

実はサイ、勉強は死ぬほど嫌いであり苦手だが、ある取柄が在る。

それは莫大なまでの記憶力だ、しかも分厚い国語辞典を高々1日程度で記憶してしまう程に。

その記憶力の良さに気付いたエヴァが、アンチョコ帳と銘打って茶々丸や自分が十五年も中学生をやって来たのを利用して大体出そうな場所を調べ、公式やら英文やら説明やらを書いておいたのである。

しかも念の為テスト用紙の問題の出る順序も確認した上で、だ。

 

よってサイは英語の問題は英単語、国語の問題は文章、数学の問題は公式と、記憶にあるものを片っ端から書いていっただけである。

つまり問題の内容は理解出来て居なかったが、覚えていたものが全てテストの答えだった為に全問正解して全教科満点だったという事だ。

(ある意味カンニングとも言えるが、誰もサイの真似は出来ないだろう)

 

そしてもう一つ、これも余談ではあるが。

 

「待つアルよ、サイ~~~!!! ワタシの婿殿になる以上、ワタシより強くなければダメアル!!

だから本気でワタシと戦うアルね~~~~!!」

 

「むっ!! 違うでござる古!! サイ殿は拙者の旦那様になるでござるよ!!

と言う訳で、里の者達を納得させるには拙者より強くあらねばならぬ!! さあサイ殿、拙者と本気で戦って拙者に勝つでござるよ、ニンニン♪」

 

「サイ、貴様……私と言うものがありながらぁぁぁぁ!!!」

 

「……不潔です、サイさん」

 

「何勝手な事言ってんだテメェ等は? それに待て、何だ木乃香その後ろから出てるブラックな気配は?」

 

「うふふふ、ダメやえサイくん……それにウチ、別にぜ~んぜん怒ってなんてあらへんよ~(怒)」

 

「お、お嬢様……サイさん……」

 

「……やれやれ」

 

「あ、あわわわわわ、さ……サイさん―――……」

 

「放っておくですよ、のどか。

(全くバカばっかりです、折角少しは格好良いと……はっ!? な、何を考えて居るですか私は!?)」

 

「ら、ラブ臭が!! 私のセンサーが振り切れる程のラブ臭がぁぁぁぁ!!!」

 

「わ、私は止めとこっと……。

(この状況をシスターとココネに知られたら……ブルブル、寒気がするっすよ)」

 

「あんのバカ!! 少しでも格好良いなんて思った私の純情を返しなさいよぉぉぉ!!」

 

「ア、アスナさん落ち着いてください!! に、逃げてぇぇお兄ちゃぁぁぁん!!」

 

その日から昼の静かで穏やかな昼食はがらりと変わる。

当の本人には基本的に色恋沙汰には全く興味がなく、その意志は無くも周りの者達が暴走していく。

 

どうやら此処から、サイの己自身が予想だにもしなかった女性関係の受難は始まるようだ。

勿論、それぞれが想いに気付いている気付いていないに関係なくである……普通の男ならば大喜びだろうが。

 

「チッ、冗談じゃねぇぜ。

あ~、何でこんな事になったんだかな―――っと、んな事言ってる場合じゃねぇか。

あばよテメェら、追えるモンなら追って来て見やがれってんだ」

 

そのまま屋上を飛び降りて逃げ出すサイと追いかける少女達。

此処から彼と彼女達の関係がどうなっていくのか、それは解らない。

 

だが一つだけ解る事がある。

少なくともサイにとっては実に不本意だが、退屈しないで済みそうだという事だ。

 

更にもう一つ彼女達は知らない事がある。

それは彼がどのような人生を生き、そして今のような人格を形成されたかと言う事だ。

 

全てを知ったその時―――

果たして、淡い(大分物騒なのも居るが)初めての想いを抱いた彼女達がどのような答えを出すか。

答えを知る者など何処にも存在しない。




第十二話の再投稿完了。
これにて学生衆の戦とも言える期末テスト編は終わりです。

しかし難儀な惚れられ方しましたな、サイ君は。
まあでもああ言った状況で原作の場合は10歳児のラッキースケベ(冗談)で済みますが、流石に同年代(実年齢は別として)の男子に見られては冗談では済まないでしょう。
此処では原作を読んでいて比較的古風な二人に犠牲(笑)になって頂きました。

まあアレです。
この二人(古と楓)の場合、この位の事がないとフラグは立たんでしょう。
バトらせて恋愛感情を抱かせるのが普通かと思いますが、サイは喧嘩好きですが戦闘狂ではありませんので。

そして語られたサイの特技、考え方。
状況を垣間見て想定して答えを出すその姿はどう考えてもバカとは思えませんが、サイは自分自身が馬鹿だと考えてる節があります。
それは多分、勉強が出来ない類の馬鹿ではないのかもしれませんね。

では、次の話へと続きます。
ちなみに最後に、この物語は時間帯の流れが前後する事が多々あると思いますがお気になさらず。
元々作者も理解していて時間の流れを変えてますので。
(例:最初の方に第三巻の内容(vsエヴァ)が描かれ、その後に一巻の内容が描かれるなど)


題名の意味は『喝采せよ、喜劇の幕は下りた』
ローマ帝国初代皇帝であるガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌス・アウグストゥスの臨終の際の台詞
(病を患い、臨終する際に見舞った友人に『私がこの人生の喜劇で自分の役を最後までうまく演じたとは思わないか』と尋ねた後に『もしこの芝居がお気に召したのなら、どうか拍手喝采を』と喜劇の口上を付け加えたそうである)

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